新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1276 消費者啓発チラシについて
投稿者 Tさん 投稿日時 2014.4.21 AM 7:25
げんさん、博士さんおはようございます。
今度、新聞公正取引協議会からの「消費者啓発チラシ」(正常化チラシ)を新聞に折り込むことになりました。
そのチラシの中に、
購読契約は読者と販売店の合意によって成立し、お互いに守る必要がありますが、契約期間中に購読が困難なやむを得ない理由があれば解約できる場合があります。お困りの事情があれば、ご購読の販売店にご相談ください。
というくだりがあります。
この一文によって、生活に大変さを感じている多くの読者はたぶん気を良くし、販売店に申し出てくる方もでてくると思われますが、これをすべて聞き入れていたのでは新聞屋も私たちもたまったものではありません。
きっと読者と販売店とのトラブルもこのことによって、今より以上に増える気がして不安でなりません。
げんさんでしたらこの状況にどう対処するでしょうか。
これからも様々な試練や困難が待ち受けていると思いますが、こんな私たちに何かいいアドバイスがありましたらよろしくお願いします。
回答者 ゲン
『今度、新聞公正取引協議会からの「消費者啓発チラシ」(正常化チラシ)を新聞に折り込むことになりました』というのは、去年の2013年11月21日に日本新聞協会、および新聞公正取引協議会が「新聞購読契約ガイドライン」なるものを決めた一環やろうと思う。
「新聞購読契約ガイドライン」については、『第286回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞購読契約ガイドライン決定……今後のQ&Aでの影響について』に、その詳しい内容があるので、それを見て貰えれば分かると思うが、なぜ新聞公正取引協議会が「消費者啓発チラシ」を新聞の折り込み広告に入れるよう指示したのかといった理由について簡単に話しとく。
「新聞購読契約ガイドライン」ができる3ヶ月前の8月22日、国民生活センターは『なかなか減らない新聞のトラブル−高齢者に10年以上の契約も!解約しようとしたら断られた!』 というのを掲載して、新聞業界に改善を要求したということがあった。
日本新聞協会、および新聞公正取引協議会は、それを受けて「新聞購読契約ガイドライン」を策定した。
http://www.pressnet.or.jp/news/headline/131121_3380.html より引用
購読契約ガイドライン発表 新聞協会・公取協、解約トラブル防ぐ
新聞協会と新聞公正取引協議会は11月21日、読者から解約の申し出があった場合の対応の指針となる「新聞購読契約に関するガイドライン」を発表した。
新聞公正競争規約のほか、特定商取引法、新聞訪問販売自主規制規約を順守し、解約に関してもガイドラインを設けることで、読者とのトラブルを防いで公正な販売活動を目指す。
ガイドラインは、長期契約をめぐる高齢者からの苦情が目立つとして国民生活センターから改善要望が寄せられたことを踏まえ、策定した。
解約に応じるべき場合と、丁寧に話し合って解決すべき場合に分け、具体的な事例を列挙している。
長期や数か月先の契約を抑制するため、公正競争規約の上限を超える景品を提供していた場合は、解約に当たって景品の返還を求めてはならないと定めた。
また、クーリングオフ期間中の書面による申し出や規約違反、相手の判断力不足、購読が困難になる病気・入院・転居、購読者の死亡、未成年者との契約などを、解約に応じるべき場合として挙げた。
これらに該当しない読者から都合により解約したいとの申し出があった場合も、丁寧に話し合い、双方が納得できる解決を図らなければならないとしている。
消費者へは、ウェブサイトを開設して広く周知するほか、各支部協が折り込みチラシを作成し、読者へ配布する。
というものや。
この最後に『消費者へは、ウェブサイトを開設して広く周知するほか、各支部協が折り込みチラシを作成し、読者へ配布する』と広言していたことが、今回の『「消費者啓発チラシ」(正常化チラシ)を新聞に折り込むことになりました』というのに、つながったのやろうと思う。
もっとも、『ウェブサイトを開設して広く周知する』と言っていたことについては、今のところそれらしいウェブサイトは見当たらんがな。
確かに、その折り込みチラシをすべての読者が読めば『生活に大変さを感じている多くの読者はたぶん気を良くし、販売店に申し出てくる方もでてくると思われます』となるかも知れんが、折り込みチラシというのは、あんたが思うほど一般の人は見ない。
一般的に折り込みチラシを、よく見るのは専業主婦で、地域性にもよるが購読者全体の1割〜2割程度のものやと思う。たいていはスーパーや量販店での安売り広告や。
現在、消費税率が上がって生活が苦しくなったから、新聞を止めるやろうというのは短絡的な考えで、苦しくなったからこそ、少しでも安売り情報やお買い得クーポンなどが付いている折り込みチラシが必要だとも言える。
その折り込みチラシを上手く活用している人からすると、新聞代程度の出費はそれほど苦にはならないという。
つまり、折り込みチラシをよく見る層は、『「消費者啓発チラシ」(正常化チラシ)』を見て新聞の購読を止めるのは考え辛いということや。
その他の人で折り込みチラシを読む人は極端に少ない。その証拠と言うては何やけど、古紙回収に出されている新聞の束には、配達時に挿入された折り込みチラシが、ほぼそのままの形で入っているさかいな。読まれた形跡が、殆ど見受けられない。
地域にもよるが、現在、購読者の7割が高齢者やと言われている。高齢者が新聞を止めるのも、まずないやろうと思う。高齢者にとって新聞は生活の一部と化しているさかいな。
そんな高齢者は、例えその『「消費者啓発チラシ」(正常化チラシ)』を見たとしても止めるというアクションを起こす人は少ないはずや。
ただ、問題はサイトのQ&Aにも、たまにあるが、新聞を購読していない高齢者のお子さんたちが、親御さんに何とか新聞を止めさせようとすることやと思う。
その新聞を購読していない高齢者のお子さんたちが、「お母さん(お父さん)、こんなチラシがあるから、今が新聞を止めるチャンスよ」と、唆(そそのか)しかねないということが考えられる。
まあ、それにしても、その『「消費者啓発チラシ」(正常化チラシ)』は体裁上、挿入するのは1回だけのはずやから、新聞を購読していない人が目にする機会は極端に少ないやろうがな。
実際に、その折り込みチラシを挿入してでないと、あんたのところでの反響は分からんやろうが、考えておられるほど「解約希望者」が殺到するようなケースは少ないのやないかと思う。
ただ、そこまで楽観できんという思いもよく分かる。
そうであるなら、その『「消費者啓発チラシ」(正常化チラシ)』では、『契約期間中に購読が困難なやむを得ない理由があれば解約できる場合があります』とあるように、『やむを得ない理由』と、『そうではないケース』とに別けて、しっかり対処するしかないやろうと思う。
新聞協会と新聞公正取引協議会の言う『解決に応じるべき場合』というのが、『やむを得ない理由』ということになる。
その主なものや。
1.クーリング・オフ期間中の書面による解約の申し出。
これについては問題ないと思う。今までどおりの対応でええ。
2.規約違反による解約も今までと大差ない。
規約違反による解約理由とは、「喝勧」のような威迫的な勧誘で契約した場合、「ヒッカケ」のように身分を偽って勧誘するやり方、「いい加減な話」、「ウソの話」といった「不実の告知」など法に触れる行為すべてを指す。
これも今までどおり解約の対象になる。今までと違うのは、勧誘員と購読者との間で、「その事実があった」、「いや、なかった」といった水掛け論になった場合、それまではうやむやになっていたものが、これからは購読者の申告が重視されるという点や。
勧誘員、および販売店側の主張が聞き入れられない可能性が高い。これはある意味、仕方のない面がある。購読者から勧誘員に不法行為があったと申告された場合、その殆どで実際にそのとおりのことが行われていたケースが多いさかいな。
購読者の自作自演、ウソというのもないことはないが少ない。どちらか一方の言うことを信じるとしたら購読者側の言動を信じるというのは、やむを得ない選択やと思う。
これをなくすためには、勧誘時、それと疑われるような言動は慎むよう勧誘員に指示するしかない。
「李下に冠を正さず」やな。紛らわしい行為やそれと疑われる言動はアウトと考えて勧誘することや。
もっとも、これについては、それぞれの事情で違うてくるさかい、分かりにくい状況であれば、ここに質問されたらええがな。
3.契約者の判断力不足につけ込んだ契約は無効、解除になる。
「契約者の判断力不足」については「認知症」かどうかが判断の基準になるようや。
認知症患者と診断された人、通院歴のある人は問題なく「判断力不足」と判定されるやろうが、それ以外で、そうと決めつけるのは難しいのやないかと思う。
ありがちなのが高齢者であるというだけで「判断力不足」とされるケースやが、「認知症」でもないのに、そう判定するのは、高齢者は「バカや」と言うに等しいことや。
こんな失礼な話はないし、第三者がそう決めつけるのは人権侵害になるおそれがある。
高齢者イコール「判断力不足」の人とは言えんさかいな。
例えば、ワシの父親と同年代の俳優、高倉健氏は、現在83歳やが、誰も氏を「判断力不足」の高齢者とは考えんやろうと思う。
どこからどう見ても凄い人、しっかりとした人としか見えんさかいな。そういう人は世の中には無数におられる。
これから日本は本格的な高齢者社会に突入する。拡張員にしても、すでにかなり前から高齢化が始まっている。
70歳代の拡張員もザラにいとる。変な言い方やが、高齢者が高齢者を勧誘する時代でもあるわけや。
年齢だけで言えば、どちらが弱者とも言えんような時代になっているとも言える。
今回のガイドラインの策定において、『高齢者からの苦情が目立つ』ということが大きな要因になっているさかい、その高齢者の扱いをどうするのかという点が問題になるが、今のところ年齢による区切りはないから、そのつもりで当たればええと思う。
認知症患者と診断された人以外は『契約者の判断力不足』とは言えないと説明して、「高齢者というだけの理由では解約には応じられません」でええと思う。
こういったケースは、その契約者である高齢者自らの申し出というのは少なく、たいていは、その高齢者のお子さんたちからの解約希望というのが多い。
正しくは「契約者、ご自身からの解約依頼でないと解約交渉のお話はできません」でも構わんとは思うが、それやとトラブルになりやすい。角が立つさかいな。
認知症患者、およびそれに類似する症状のない高齢契約者のお子さんたちには、「失礼ですが、そちらのお母さん(お父さん)は、しっかりされておられる思いますので、そのように仰られるのは如何なものでしょうか」と、暗に「私どもは、そちらのお母さん(お父さん)をそのようなバカにした目では見ていませんよ」と匂わせるように言えば、分かって貰える可能性が高いのやないかと思う。
ただ、これについても、それぞれの事情次第では難しい判断を迫られることになると思うので、迷うようなことがあれば、いつでもワシらに聞いて欲しい。
4.購読が困難になる病気・入院の場合は解約を認める。
これも仕方ないわな。普通に考えて、「購読が困難になる病気・入院の場合」には購読者が望まれるのなら、金銭的、あるいは精神的な負担を軽減する意味においても解約を認めることが正しい判断やと思う。
ただ、解約するのを「それでは、退院されるまで」、あるいは「ご病気が治られるまで」、「配達休止にしますので」と言って、購読者の了解を取るという手もある。
この業界、「解約」と「休止」ではえらい違いやさかい、一応、そう打診するのもええのゆないかと思う。
5.新聞販売店の営業エリア外へ転居した場合、解約ができる。
これについては、Q&Aを始めた当時から「解約できる」と回答し続けてきた。
根拠は、宅配制度によって新聞販売店の営業エリアが決められていて、その範囲内でしか営業も新聞の配達も認められていないからや。
新聞販売店の営業エリア外へ転居した場合は、新聞の配達ができんわけやから、「契約不履行」状態にならざるを得ない。
その新聞の継続購読を望まないのなら、配達のできん新聞の購読契約など続ける必要がないということでな。
ただ、その新聞の継続購読を望まれるのなら、今までどおり、転居地での引き継ぎ購読をするための転居通報サービスというのを新聞社はするはずやから、その点での心配はないはずや。
もっとも、それまでは『お引っ越し、新住所が決まりましたらお知らせください。当店から新住所の販売店に連絡します』と、引っ越し先での購読が半ば決定しているかのような文言が書かれた契約書が多かったが、これからは、それが通用せんようになるかも知れん。
まず、「お引っ越し先でのご購読は、どうされますか?」と購読者の意思を確認せなあかんようになると考えられるさかいな。もっとも、「移転先でも続けて購読された方が便利ですよ」と説得して納得して貰う分には構わんと思うがな。
6.購読者が死亡した場合は契約解除できる。
今までは、独居契約者に限って死亡による契約解除をする新聞販売店が多かったが、これからはワシが常々回答で言うてきたように、契約者本人の死亡で契約解除ができるということになったと考えた方がええ。
新聞販売店の中には契約者が死亡しても、その家族がその住所に住んでいることを理由に契約の解除を拒んで新聞の配達を続け、集金していたというケースが数多くあった。
新聞は個人にではなく家に配達しているからという理由で、そう押し切っていたわけや。
これからは、それは認められないと、ガイドラインにもはっきり明記されとるさかい、その考えは捨てるしかない。
そもそも新聞購読契約とは、新聞販売店と契約者個人との間に結ばれた契約なわけや。
それを一緒に住んでいるという理由だけで契約者がいなくなったにもかかわらず、一方的に、その新聞の購読を望まない家族に、その契約の継続を強制することの方が社会通念上、異常なことやったと言える。
例えて言えば、家族の誰かが金融機関から金を借りていて、死んでしまったから他の家族にその金を払えと言うてるのと同じやさかいな。
家族が連帯保証人にでもなっていない限り、法律的にも、そんなことは認められんし、またそんな請求をする正規の金融機関もないやろうと思う。
契約というのは契約の当事者の死を以て終了する。当たり前の決定や。
ただ、民法761条に夫婦相互の(日常の家事に関する債務の連帯責任)については、今回のガイドラインでは言及されていない。
これは、夫婦の一方の名義で契約していた場合、他方はその契約に従う義務あるということやが、その法律を根拠に引き続き購読して貰うことは可能やと思う。
ただ、それも「法律やから従え」ではトラブルを生むだけやさかい、「ご主人(奥様)の好きだった新聞ですから、せめて契約満了までは、このままご購読願えませんか。ご供養にもなると思いますので」と言えば、分かって貰えるものと考える。
7.未成年者との契約は、申し出があれば契約解除しなければならない。
これについては、民法第4条に、
未成年者と契約するには、原則として法定代理人(親権者)の同意が必要で、同意のない行為は、取り消すことができるというのがある。
とあり、今まででも法定代理人(親権者)が望めば解約できた。
今回、これをガイドラインに敢えて加えたというのは、その確認をするため、もしくは未成年者との契約は慎重にしろというメッセージやないのかと思う。
未成年者と契約する場合は、初めからそのリスクを覚悟した上でしろと。
8.相手方が本人や配偶者以外の名前で契約したと判明した時も解約に応じなければならない。
これは新しい解釈やと思う。契約者が偽った名前で書いた契約は無効やと言うてるわけや。
これは勧誘員にとっては辛い決定かも知れんな。これをなくすためには、契約時、常に相手に身分証明書を提示して貰って確認せなあかんということになるが、実務上、それは難しい。
「契約時には身分証明書の提示をお願いしています」てなことを言えば、「そんなに信用できんのなら契約はせん」と言われかねんさかいな。
普通は、勧誘時にそこまでの確認はしない。
これは、おそらく留守番の高齢者の方が、家長である息子さんの名前で契約して、後でトラブルになったというところから考えられてガイドラインに加えられたのやないかと思う。
これを防ぐには、契約は契約する人の名前でサインして貰うという基本に立ち帰るしかない。まあ、ワシは昔からそうしとるがな。
以上が、「新聞購読契約ガイドライン」に示された『解決に応じるべきやむを得ない理由』ということになる。
つまり、これからはそれらを念頭に入れた勧誘をするしかないということや。
ただ、今回の「新聞購読契約ガイドライン」には、単に契約を解除するだけでは済まんということがある。
長期や数か月先の契約を抑制するため、公正競争規約の上限を超える景品を提供していた場合は、解約に当たって景品の返還を求めてはならないというのが、それや。
『公正競争規約の上限』とは新聞に適用される景品表示法『6・8ルール』のことで、『景品付与の上限を『取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲』と決められている』というものや。
6ヶ月以上の契約に適用されるのは、すべて『6ヶ月分の購読料金の8%』で、それを超えた景品を渡していた場合は、その返還を求めてはならないということになった。
契約が長くなると、必然的にその分、景品の量が増えるのは業界では常識や。
6ヶ月契約より1年契約の方が景品は多く、2年、3年と増える毎にさらに増えて行くことが当たり前とされていた。
これは新聞販売店、契約者の共通した認識でもある。
しかし、その共通の認識でいくと景品額が『6ヶ月分の購読料金の8%』の金額を超えるのは、ほぼ間違いないものと思われる。
そうなると、『公正競争規約の上限を超える景品を提供していた場合』ということになり、解約時に今まで当たり前とされていた「渡した景品類の返還要求」をしてはならないということになるわけや。
今までは、例え『6・8ルール』に違反していたとしても民法545条の原状回復義務に照らせば、契約を全うすることを条件として貰った景品類は返還せなあかんと考えられてきたさかい、このQ&Aでも長く、そのアドバイスをしてきたが、今後できんことになった。
事、新聞業界の場合、一般の法律よりも業界の決め事、通達の方が重視されるさかいな。
法律上、「渡した景品類の返還要求」に問題がなくても日本新聞協会、および新聞公正取引協議会がNOと言えば、それに従うしかない。
業界にとっては法律を超える重みがあるさかいな。
そうなると、自動的に『公正競争規約の上限を超える景品を提供していた場合』は業界の規約違反ということになり、「解決に応じるべき場合」に該当するものと考えられる。
契約者の中には、あこぎな人間も結構いとるさかい、それを逆手に取られる可能性を新聞販売店は考えておく必要があると言うとく。
どういうことかと言うと、契約時『上限を超える景品』と承知で受け取っておきながら、「それは業界の規約違反だから解約したい」と言えば、新聞販売店は、それに応じるしかなくなるということや。
そして、『解約に当たって景品の返還を求めてはならない』と決められているから、景品だけ取られ損ということになる。
契約者が意図的にそれを狙ってしたことやとしても制度的には新聞販売店が泣くことになるものと考えられる。
つまり、長期契約になればなるほど、そのリスクが高くなるさかい、それを避けるためには、なるべく短い契約で繋いでいくしかないということや。
ワシは「縛り」と称する長期契約には、契約者の死亡や引っ越しのリスクが常につきまとうから止めといた方がええと言い続けてきたが、それに加えて拡材の多寡で契約を取るという手法も、今回の決定で終焉を迎えたと言うしかない。
ワシは常日頃から、いつかは拡材一本の契約が行き詰まる時がくるやろうと言い続けてきたが、ついにこんな形でその日が来てしもうたということやな。
拡材だけの拡張に頼ってきた者にとっては厳しい状況になるやろうと思う。
日本新聞協会、および新聞公正取引協議会の思惑どおり、新聞販売店の『長期や数か月先の契約を抑制する』効果が期待できると。
もちろん、規約違反やないと言い逃れる程度の景品類であれば、解約時にその景品分の返還請求はできるがな。
『公正競争規約の上限を超える景品を提供していた場合は、解約に当たって景品の返還を求めてはならないと定めた』ということは、裏を返せば『上限を超えない景品を提供していた場合は景品の返還を求めても構わない』と受け取れるさかいな。
これが、一般的な法律なら施行日以前の契約案件については適用されんケースが多いが、事、新聞業界の場合は決定の通達があった時点で、過去の事案すべてに適用されるものと覚悟せなあかん。
新聞業界では決定事項が何よりも優先されるということからすればな。
そもそも過去の契約やから適用外やということを認めていたら、この決定事項そのものが意味のないものになる。
かなりの割合で『6・8ルール』をオーバーした景品を渡している新聞販売店が多いと思う。それを例外としていたら現場も契約者も混乱するさかいな。
残念ながら、それに該当する販売店では契約者が解約したいと言えば、それに応じ、景品の返還もあきらめるしかないと覚悟するしかないということや。
業界にとっては理不尽な決定やが、もともと日本新聞協会、および新聞公正取引協議会というところは、監視組織であって、新聞販売店や拡張団を守る組織ではないということが分かっていれば、そうした決定をしたのも理解できるやろうと思う。
新聞販売店を守るというより、新聞業界全体をアピール、つまり世間に向かって、ええ顔をしたいのが本音やと。
これ加えて『丁寧に話し合って解決すべき場合』というのも、付け加えられた。
1.契約事項を振りかざして解約を一方的に断ってはならない。
新聞販売店の中には、聞く耳を持たんという感じで、「解約には応じない」というケースが多々見受けられたが、これからは、それはできんようになったということや。
そういったトラブルが数多くあったことも、今回のガイドラインが作られた要因の一つになっていると思われる。
2.過大な解約条件(損害賠償や違約金の請求など)請求してはならない。
これも当然と言えば当然やが、どこまでが『過大な解約条件』なのかは明記されていない。
解約違約金の請求を一切認めないのか、ある程度までは認めるのかについての言及もない。
今回のガイドラインでは、どちらとも受け取れる内容になっているさかいな。
『契約事項を振りかざして解約を一方的に断ってはならない』というのは、おそらく『過大な損害賠償や違約金の請求を解約条件にしてはならない』という意味なのやろうとは思う。
それからすると、ある程度までの解約違約金の請求は認められるものと考えられる。
ただ、これについても、それぞれの事案で判断するしかないのやろうと思う。一番無難なのは、購読者に理解して貰えるように説得することや、それしかない。
3.購読期間の変更など、お互いが納得できる解決を図らなければならない。
購読期間の変更、短縮というのは比較的応じる販売店が多いから、それほど問題はないと考える。
お互いが納得できる解決というのは、その事案毎で違うから何とも言えんが、新聞販売店には契約者としっかり話し合いをするという姿勢を持つしかないやろうと思う。
ここまで長々と言うてきたが、これは、あくまで顧客からの要望があった場合で、なければ関係のない話ということになる。
まあ、その「消費者啓発チラシ」(正常化チラシ)を見て、解約を希望する人は少ないとは思うが、万が一、そういう人が現れた場合は、上記のように対応して頂きたいと思う。
ただ、上記以外にも、それぞれ固有の事情が数多く考えられるので、もし何か分からんことがあれば、遠慮なく相談して欲しい。できる範囲で答えさせて貰うさかい。
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