新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1280 拡張員ごとにサービスの内容が違うということはありえますか?


投稿者 Aさん  投稿日時 2014. 6. 6 AM 11:02


博士には以前大変お世話になりましてありがとうございます。

あれから拡張員になりました。

それで1つ質問があります。

私が専業をしてた店のことですが、昨日拡張の仕事で入店したところ事務員から1Sでお願いします! とのことだったので・・・え! とか思いながら・・・

今、他の拡張員が入店してあげてるカードは2S〜3Sだと思います。

しかし私には1Sのみだったので「他社か2Sとか3Sとかしてるお客さまが同じ条件だと購読してもいい!と言ってるのですがどうしましょう?」と言うことを電話で確認すると・・・

1S以外は認められないというので泣く泣く、そのお客さまの契約をお断りしました。

それでこれでは拡張はできないと判断してやめて帰りました。

そこで博士に質問ですが・・・・

たとえばA拡張員には2SでB拡張員には3SでC拡張員には1Sです。

と言ったように拡張員ごとにサービスの内容が違うということはありえますか?

また、こういう場合はどこに言えばいいのですか?

それともこんな仕打ちされるのならここのお店はキャンセルしてしまい何も言わない方がいいのでしょうか?

よろしくお願いします。


回答者 ハカセ


お久しぶりです。

『あれから拡張員になりました』ということは、以前勤めておられた販売店は辞められて、その地域の拡張団に入って仕事をされておられるのですね。

この業界には、そういう方が沢山おられますので、以前のように、この質問に関しては非公開にされる必要はなさそうに思います。

『そこで博士に質問ですが』ということですので、私がお答えします。

但し、ゲンさんには一応、Aさんの質問内容は伝えています。どのように回答すれば良いのかといった点についてのアドバイスも受けていますので、それを踏まえた上で、お答えします。

『拡張員ごとにサービスの内容が違うということはありえますか?』ということですが、同じ新聞販売店であっても、各拡張団毎、各拡張員毎に区別しているケースはあります。

本来なら、すべての拡張員に公平な条件で勧誘させるべきというのが正論で当然のことだと思いますが、拡張員毎に条件をきつくしたり、甘くしたりするということについては販売店の裁量の範囲内だとされています。

そのため、露骨なえこひいきが平然と行われているケースが多々あります。

販売店が、拡張団や拡張員をえこひいきする理由の多くは、特定の拡張員に入店して欲しくないからだと聞きおよびます。

『たとえばA拡張員には2SでB拡張員には3SでC拡張員には1Sです』という場合、A拡張員とC拡張員はB拡張員と比べて明らかに不利です。さらに、C拡張員はA拡張員に比べて不利です。

ちなみに、Sというのはサービスの略で、1Sとは1年契約で無料サービス期間が1ヶ月のことで、順次、2Sは1年契約で無料サービス期間が2ヶ月、3Sが1年契約で無料サービス期間が3ヶ月のことを意味します。

えこひいきをしている販売店の方でも、それは承知で、不利な条件を課して契約が上がるとは思っていないはずです。その中でもC拡張員からの契約は、まったく期待していないと言っても良いでしょう。

『1S以外は認められない』というのは、契約を上げてくれなくても良いですよと暗に仄めかしているのと同じだと私は思います。

『こういう場合はどこに言えばいいのですか?』というのは不公平だからとの理由で苦情として持ち込める公の機関はないでしょう。

というより、1S、2S、3Sのいずれであっても厳密に言えば、そのすべてが「6・8ルール」に違反する違法行為ということになります。

敢えて、そのことを知らせるとしたら、「6・8ルール」を扱う景品表示法の執行をする公正取引委員会くらいでしょうか。それにしても、公平にしなさいとは指導しないでしょうから、Aさんにとっては、そうしても意味がないと考えます。

それに、その程度では公正取引委員会も動かないでしょうしね。その程度の違反レベルは全国的にも多いですし、それは公正取引委員会の方でも把握しています。

そもそも「6・8ルール」自体が、現在の公正取引委員会の基準とは大きく違ってきていますので、それに違反したからといって調べたり摘発したりするというのは考えにくいと思います。

事実、新聞業界において、ここ10年間、「6・8ルール」に反した景品表示法違反で摘発されたケースは皆無ですからね。

「6・8ルール」というのは、ご存知のように、景品の最高額を取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲と決められているものです。

これは公正取引委員会が決めたものではなく新聞業界の自主規制によるものです。業界の自主規制が法律として認められた希有なケースと言えます。

この「6・8ルール」が決められた当時、一般の業種の景品付与額は取引価格の10%以内でした。新聞業界は、それ以上の厳しい条件を提示したことになります。

法律を課す方としては「それは厳しすぎるので止めてください」とも言えませんので、そのまま認めたという形になっています。

ところが、その後、公正取引委員会は、一般の業種の景品付与額を緩和し、取引価格の20%までなら認める方針を打ち立てました。

しかし、新聞業界はその後も依然として「6・8ルール」のままです。未だに緩和する気配はありません。

少し考えれば誰でも分かると思いますが、他のすべての業種が取引価格の20%までの景品付与を認めているのに、新聞業界だけ取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲に違反しているからといって摘発するわけにはいきませんよね。

もし、そんなことをすればダブル・スタンダードになります。

これは私の勝手な憶測にすぎないかも知れませんが、公正取引委員会としては、そんなダブル・スタンダードと言われるような面倒なことをするくらいなら、いっそのこと「摘発しない」とした方が良いと判断したのではないでしょうか。

それが、ここ10年ほど新聞業界が「6・8ルール」違反で摘発されていない理由だと考えます。有名無実の法律とまでは言いませんが、法律としての機能を失っているようにしか私には思えません。

ただ、Aさんの所属する拡張団の拡張員さんが全員『1S以外は認められない』と言われるのでしたら、そちらの団長さんから、その販売店に苦情を言って貰う、あるいは、団長さんから新聞社の販売部の方に不公平を是正して貰えるよう交渉して頂くという方法もあります。

しかし、Aさんだけが、そうだと言うのであれば、Aさんが、その販売店から嫌われていると考えた方が良いでしょう。過去のAさんとその新聞販売店の経緯からすれば、それは十分考えられることです。

その場合は、その団長さん次第ですが、言っても望み薄ではないかと思いますので望まれるようなアクションは期待できないのではないかと思います。

ただ、いくらその販売店がAさんを嫌っていたとしても、正当な理由もなく入店禁止にするわけにはいきませんので、『1S以外は認められない』と言っているのではないでしょうか。

Aさんから自主的に入店しないように仕向けるために。

『それともこんな仕打ちされるのならここのお店はキャンセルしてしまい何も言わない方がいいのでしょうか?』というのは、その販売店が、そう望んでいるはずですから、入店しなくても済むのなら、そうした方がよろしいのではないでしょうか。

私なら、そうします。望まれない仕事をするのは、つまらないですし、その分、他の販売店で頑張れば済む話ですしね。そちらの拡張団も、そういう理由なら便宜を図ってくれるのではないかと考えます。

ただ、どうしても入店して、その販売店で仕事をしなければいけないのでしたら、その販売店の言うとおり『1S以外は認められない』という条件で勧誘をするしかないでしょう。

新聞の契約はサービスだけで獲得できるわけではありませんので、例え1Sであっても契約を上げることは可能です。

そのための方法については『第84回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■2010年からの新聞営業講座……その2 拡材について』の中の『金をかけずに済む拡材サービス方法のあれこれ』 というのが参考になるのではないと考えます。

最後に『他社か2Sとか3Sとかしてるお客さまが同じ条件だと購読してもいい!と言ってるのですがどうしましょう?』といったことは、これからはその販売店には伝えない方が良いと申し上げておきます。

そう言えば、「どこの客だ」ということになり、その客の氏名、所在地を教えなければいけなくなります。そうすると、十中八九、その販売店の所長は、3Sのできる拡張員に行かせて契約にしようとするはずです。

そんなことになれば、もっと嫌な思いをされるでしょうからね。

そもそも営業の仕事は信頼関係があって成立するものですので、最初からそれが壊れているような関係で上手くいくとは思えません。

私なら、そんな販売店で仕事をする気にはなれませんが、どうされるかはAさんご自身が判断されるしかありません。

1Sの条件で契約を上げれば、今後、その販売店の所長さんのAさんに対する見方が変わるかも知れませんしね。Aさんのことを見直す可能性もあります。そうなれば、また事情も違ってくるでしょう。

いずれにしても、拡張員になると決められたのでしたら頑張ってください。何か困ったことがありましたら私たちがついていますので、いくらでも相談に乗りますので。


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