新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1315 悪徳拡張や脅しなどの問題を新聞や他のメディアがなぜ報道しないのか、不思議です



投稿者 Kさん  投稿日時 2015. 1.16 AM 11:35


新聞拡張団のからくり、拡張について悪徳拡張や脅しなどの問題を新聞や他のメディアがなぜ報道しないのか、不思議です。

回答願います。


回答者 ゲン


『新聞拡張団のからくり、拡張について悪徳拡張や脅しなどの問題を新聞や他のメディアがなぜ報道しないのか、不思議です』というのは、一般の方からして見れば自然な疑問やろうと思う。

新聞やマスコミは他者の不正は厳しく暴き立てるのに、なぜ新聞拡張員の悪質な勧誘を問題にしないのかと。自ら「襟を正す」べきやないのかと。おかしいやないかと。

正論としてはそうやが、新聞社は自ら「公器」とは言うものの、所詮は営利企業の一つにすぎんという一面がある。

企業では利益を生むことが最優先される。そのためには、「悪声を公表せず」という姿勢にならざるを得ないわけや。

「当社では、新聞の勧誘時には、こんなえげつないことをしてますよ」と公表して新聞の売り上げが伸びるとは考えんやろうからな。

そんなことをすれば、新聞のイメージが悪くなり、新聞が売れんようになって困るわな。それなら何も言わず黙っていようと考えても何ら不思議はないと思う。

営利目的の企業である新聞社がそう考えるのは、ある意味、自然な事やとも言えるさかいな。

残念ながら、「自ら襟を正すべき」、あるいは「すべてを白日のもとに晒(さら)すべき」といった自らに不利になるようなことを考える組織は、この日本、いや世界中、どこを探しても存在せんやろうと思う。

それは一般の企業だけに限らず、官公庁や警察、裁判所、病院、学校など絶対に不正があってはならんとされる組織においても同じことが言える。

それらの組織に不正があったとしても自ら公表することなどなく、殆どが隠すことに徹する。それが、世の中というものや。

その不正を新聞が暴いてきた。そうすることが使命と考えて。

新聞で暴かれると仕方なく「私がやりました」、「申し訳ありませんでした」と謝罪するのが普通やと思う。

それが法律に触れるような場合は警察が介入し、それなりの罪に問われることにもなる。

しかし、ある特定の新聞に不正があっても他の新聞に暴かれる、書き立てられるケースは少ない。

それには、日本の新聞社の多くは『社団法人日本新聞協会』に加入していて、それ自体が一つの組織として機能しているということがあるからや。新聞業界自体が巨大な組織体になっているわけやな。

そのため、暗黙裡にタブーには触れ合わないでいようという申し合わせができているものと考えられる。

新聞業界には3つのタブーがある。一つは、あんたが指摘される『悪質な勧誘問題』、二つ目は『押し紙問題』、そして三つ目が『記者クラブ問題』や。

この三つに関しては、どの新聞社、また新聞社と関係の深い民放テレビ各局で報道されることは殆どない。

ただし、皆無ではない。ごく稀にやが、報道されることもある。

例えば、このQ&Aに『NO.108 近所で販売店員が逮捕されました』というのが、それや。

これは新聞販売店の従業員が悪質な勧誘をしたために、千葉県警に逮捕されたというケースやが、これについては新聞各紙で報道されたし、テレビ報道もされた。しかも実名でな。

また、『社団法人日本新聞協会』でもタブーの一つ『悪質な勧誘問題』の実態には触れずとも、その存在を知っていて、それをなくすための対策を発表をしとる。

2008年6月19日付けの社団法人日本新聞協会よる『新聞協会が特商法改正ふまえ自浄努力の具体策を発表』というのがある。


新聞協会が特商法改正ふまえ自浄努力の具体策を発表


 日本新聞協会は18日、新聞セールスインフォメーションセンターの全国展開などを柱とする「訪問販売にかかわるさらなる自浄努力の具体策」を発表した。

 訪問販売に関する規制強化策を盛り込んだ改正特定商取引法が国会で成立したのを契機に、新聞界の法令順守の取り組みを強化する。

 具体的には、首都圏など東日本全域を対象としてきた「新聞セールス近代化センター」を「新聞セールスインフォメーションセンター」と改称。これまでの東京に加え、大阪と福岡に事務所を置くことで、全国をカバーする体制を整える。

 センターは読者からの相談受付や苦情処理を行うほか、新聞セールススタッフの登録や悪質スタッフの排除、法令順守の指導などに当たっている。

 このほか、新聞各社の苦情・相談窓口を充実させるため、24時間受け付ける体制を整備するなどのモデルを示し、実現を促す。全国の消費生活センターとの連携も強化する。


というものや。

ちなみに、ここに出てくる『特商法改正』については、『第79回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■『特定商取引に関する法律』改正法は業界にとってのチャンスになる?』というのを見て貰えれば分かると思う。

また、『第286回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞購読契約ガイドライン決定……今後のQ&Aでの影響について』というのもある。

これらは、『社団法人日本新聞協会』が悪質な勧誘をなくすために策定したものや。

つまり、業界としては見て見ぬふりをしているわけではないということやな。業界全体としては、それにより悪質な勧誘行為が激減している。悪質な拡張員が追放されているというのが実態なわけや。

このQ&Aを始めて10年以上になるが、その10年前と現在とでは、悪質な勧誘について寄せられる相談、苦情というのが激減しとるさかいな。

もちろん、皆無になったと言うてるわけやない。未だに、悪質な勧誘を続けている者がいとるのは確かやからな。

ただ、その10年前からワシらは、そんな悪質な勧誘に未来はないと言い続けてきたが、それが現実のものになろうとしているのも確かや。近い将来、「悪質な勧誘」そのものがなくなるはずやと考えとる。

こんな状況で「悪質な勧誘」をやっていたんでは、契約を取ることもできず飯も食えんようになるさかいな。それだけやなく、下手をすれば逮捕されて顔と名前を晒され、ブタ箱行きというのではリスクだけ背負って間尺に合わんしな。

「悪質な勧誘」は、それをすることで利益を得られるから、するわけで金にならんことをするバカはおらんということや。

実際、10年前と今とでは拡張員の数も半減以下になっとるという事実が、如実にそれを物語っている。

あんたの言われる『他のメディア』というのが、テレビ局のことなら、先にも言うたように、その親会社に新聞社が多いということもあり、新聞のタブーである『悪質な勧誘』に触れることは、まずないやろうと思う。

これが週刊誌とか雑誌の類なら、今まででも結構報道されとるがな。もっとも、週刊誌や雑誌は新聞社の不正そのものの方に興味があって『悪質な勧誘』については報道価値が低いのか、あまり報道されるケースは少ない。

これがネット上のメディアになると、個人のHPやブログ、ツイッター、掲示板などでは『悪質な勧誘』について取り上げているケースは格段に増えるがな。

その多くは、個人的に『悪質な勧誘』で酷い目に遭った、被害を受けた恨みを晴らそうというものや。今の時代は、それができる。

実際、ヤフーあたりで『悪質な新聞勧誘』のキーワード検索すれば、46万8千件ほどヒットするさかいな。

結論として、あんたの疑問はよく分かるが、新聞社に自らの汚点を報道しろと言うても無理やということや。損になるようなことはしない。

企業や組織の不正を暴くのが新聞なら、新聞の不正を暴くのはネットや週刊誌の類ということになる。今はそういう構図になっている。

新聞の不正が暴かれてきた背景には必ずネット上か週刊誌での曝露が絡んでいるさかいな。

以上が、ワシの回答やが、納得して頂けたかな。


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