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NO.1322 高齢者への虚偽新聞契約は有効でしょうか?


投稿者 Yさん  投稿日時 2015. 2.22 AM 8:54


初めて質問いたします。高齢者への虚偽新聞契約は有効でしょうか?

高齢者の父がH26年12月の末に新聞販売店と4年間の契約をしていました。しかし本人は夜に来て暗闇の中でサインをしたと言っており、現在も新聞は届けられております。

契約控えには住所と電話番号は記入されており、本人の苗字だけで名前はなく、契約日も記入がありません。

販売会社に確認すると販売会社の控えには名前も印鑑も契約日26年1月? の期日が記入されているとのことです。これはよく書かれているテンプラではないでしょうか?

この場合、控えには契約日の記載がないのでクーリングオフでの契約破棄は出来るのでしょうか?

回答の程、よろしくお願いいたします。


回答者 ゲン


あんたは、お父さんが交わしたとされる新聞購読契約の有効性に疑問を感じておられるようなので、それについて話したいと思う。

契約者ご本人からの相談であれば、『契約を解除したい』という趣旨やろうと判断して、それに向けたアドバイスをするのやが、あんたから寄せられた内容だけやと、肝心の契約者である、お父さんの意志が、もう一つよく分からない。伝わってこない。

お子さんから、高齢者の親御さんが交わした新聞購読契約を解除したいという相談は数多く寄せられてくるが、ワシは契約者の意思、気持ちというのを最優先に考えたアドバイスをするように心がけているさかい、まずお父さんの意志を先に確認して頂きたいと思う。

それにより、回答が大きく違うてくるさかいな。

お父さんが、どうしても解約したいというのであれば、極力、それに沿ったアドバイスをするようにしたいと思うが、そうでなければ客観的な判断を伝えることしかできん。

そのことを念頭において聞いて頂きたいと思う。

『本人は夜に来て暗闇の中でサインをした』と言っておられるところからすると、お父さん自身の自筆による『住所と電話番号」、『本人の苗字』を記入されたものと考えられる。

『暗闇の中』であったとしても、サインができた程度の暗さであれば、特に問題になることはないと思う。具体的には、『住所と電話番号」、『本人の苗字』を書く欄の枠内に記入してあれば、『見えていたもの』として判断されるさかいな。

『本人の苗字だけで名前はなく』というのは、厳密に言えば本人の確定ができないとして契約書として成立しないと考えられなくもない。少なくとも、契約者に契約する意思がなかったというのであれば、争う材料にはなる。

しかし、『住所と電話番号』と『本人の苗字』を自筆で書いたとご本人が認めておられることからすると、そう主張するのは難しいやろうと思う。

多少契約書の記載に不備があったとしても、違法な内容のものでない限り、本人がその契約を交わしたと認めれば成立する可能性が高いさかいな。

ワシが、ご本人の意思を確認したいというのは、そういうことがあるからや。

これが、ご本人の自筆ではなく、またその意思に反して勧誘員が勝手に書き込んだというのなら、無効にできる可能性は高いがな。

勧誘員が勝手に書き込んだのなら、下の名前を知らん場合が多いやろうから、そうすることもあると考えられるが、このケースは、お父さんが書き込まれたということのようやから、それとは違う。

あくまでも契約者の自由意思で『苗字だけ』を書いたものと考えられる。

ただ、氏名に関しては担当した勧誘員が「苗字だけでなく、下の名前の記入もお願いします」と言って、そう促すべきやったとは思う。普通の勧誘員なら、そうする。

通常、契約者の氏名が完全に記されていない状況で不利益を被る可能性があるのは、その相手側や。この場合は、その新聞販売店ということになる。

契約書の体裁だけで争われたら無効になる可能性もゼロではないさかいな。少なくとも、『苗字だけ』の記載により、その販売店や勧誘員が得をすることは何もない。

そのため、そんな契約を取ってきた勧誘員に対して「もう一度、書き直して貰って来い」と言って叱責する販売店もあるくらいや。

まあ、その販売店と勧誘員は、お父さん信用して、それを問題にされることはないとでも考えたのかも知れんがな。

その時点では、その勧誘員に悪意のようなものはあまり感じられない。通常の契約行為やったと考えられる。

ただ、『4年間の契約』に関しては、『住所と電話番号」、『本人の苗字』が書ける状態であったとしても『見えにくい』ことを理由に知らなかったと言える場合がある。

但し、それは、その『4年間の契約』が過去にないもので、今回初めてだったという場合に限られる。

それであれば「騙された」、「知らなかった」として、消費者契約法の『不実の告知』に該当する可能性もあるが、契約書の控えを渡されていたことからすると、それで争うのも難しいように思う。

その場、もしくは後で契約書を確認すれば、すぐに分かることやさかいな。『4年間の契約』に異議があるのなら、普通は、その時にそう主張しているはずや。

『これはよく書かれているテンプラではないでしょうか?』というのは、あんたの話を聞く限り、その可能性はないものと考えられる。

『てんぶら(架空契約)』というのは、契約者が預かり知らないところで勝手に作られた契約のことで、契約者が認めている契約の場合は、それには該当しない。

『控えには契約日の記載がないのでクーリングオフもでの契約破棄は出来るのでしょうか?』というのは、契約者本人が、「そんな契約は知らない」、「契約した覚えはない」と言われるのであれば、無効にできる可能性もあるが、

このケースは契約者ご本人であるお父さんが、それと認めてしまっておられるという点と、契約して日数が経ち過ぎているという点を考え併せれば、契約日の記載がないことを理由に、クーリング・オフができなかったと主張するのは難しいやろうと思う。

クーリング・オフの有効期間は8日間や。例え、僅かにその期日を過ぎていたとしても現実にクーリング・オフの手続きをしていれば、『契約日の記載がないことを理由』にクーリング・オフが成立していた可能性も考えられるがな。

まあ、アドバイスをする側から言わせて貰うと、実際に契約に来た日から換算して8日間以内にクーリング・オフの手続きをするようにと勧めるがな。真実は何よりも勝るさかいな。

『現在も新聞は届けられております』ということは、今は2月の半ばを過ぎているさかい、契約から1ヶ月半以上経過していることになり、『クーリング・オフの有効期間』で争うのは、まず無理だと考えられる。

おそらく、その間に1ヶ月分の新聞代の支払いもしているはずやから、そうであれば、よけいや。契約をしているからこそ、新聞の投函をして新聞代を支払って貰っているとなるさかいな。

結論とししては、『控えには契約日の記載がないのでクーリングオフでの契約破棄は出来るのでしょうか?』というのは、残念ながら今となっては難しいやろうと言うしかない。

ただ、あんたの話から契約を破棄できる可能性は、まだ残されていると考えられるがな。

『販売会社に確認すると販売会社の控えには名前も印鑑も契約日26年1月? の期日が記入されているとのことです』でありながら、そちらの控えには『契約日も記入がありません』というのは、双方の契約書に記載されている内容が違うということになる。

契約書の大原則に、双方とも同じ内容の契約書を保持する事というのがある。

つまり、双方が持っている契約書に相違があれば、その契約自体が無効になる可能性が高いということや。

それが有効ということになるのなら、契約した後から、好きなだけ契約事項を一方の契約書に書き込めば良いということになるさかいな。そんなアホなことが認められることはないわな。

それに、お父さんの契約書の控えに契約日の記載がなく、相手方の新聞販売店の契約書に契約日の記載があるということになると、その販売店が悪意を持って、わざとそうしたということも考えられる。

契約日を記載していなければクーリング・オフをするのを躊躇(ためら)うのやないかと考えるバカな販売店もあるさかいな。それでクーリング・オフの期日が過ぎれば良いと。

しかし、その場合は、双方の契約書の相違不備を理由に契約解除ができるとアドバイスをしている。実際、そうなったケースも多い。

但し、それについては何度も言うが、契約者である、お父さんの意志が重要になるわけや。

この場合は、お父さんが直々に「お前のところは、違う契約書を作って人を騙すようなことをしているのか。そんな販売店との契約は無効だ」と強く言い張ることでしか、『契約書の相違不備』を理由に契約解除に持ち込める可能性はないと考える。

その意味でも、まずお父さんのご意思を確認して頂きたい。

こういった相談をされる、お子さんたちに、いつも言うとることがある。

それは、お父さんのような高齢者の方にとって、新聞は「特別なもの」、「生活から切っても切り離せないもの」と考えておられる人が圧倒的に多いということや。

今の若い方にとっては必要でないと思えるかも知れんが、新聞が身近にあることが当たり前として育ち、長くその環境で生活してきた人たちにとっては、新聞がそこにあるだけで心が安らぐ、落ち着くということが往々にしてあるもんなんや。

それは、今の若い人たちから携帯電話を取り上げる事とよく似ているのやないかと思う。

高齢者からすると、携帯電話などなかった時代を長く過ごしてきているから、その必要生などそれほどないと考え、未だに持っていない人もいるくらいや。

そういう高齢者から「携帯電話など金がかかるだけで無駄だから、止めろ」と言われたら、どう思うかということや。それを考えれば、ワシの言いたいことも分かって貰えるのやないかと思う。

人が何を重要視するか、何が必要であるかというのは、その人が決めることや。

例え、お子さんであろうと、親であろうと個人の嗜好に関する領域に踏み込むべきやないと考える。本人の意思を尊重するべきやと。

ワシがアドバイスをしたいと考えるのは、その事で困っている人を助けたい、役に立ちたいという思いがあるからで、その本人の意思に反するかも知れん相談には乗れない。乗りたくない。それが正直な気持ちや。

唯一、その相談に乗るとすれば、そうすることにより、契約者本人のためになると判断した時くらいやが、残念ながら、あんたの話からは、それが感じられない。

あんたの判断で、お父さんに新聞の購読を止めさせたいという風にしかな。

あんたにとっては面白くない言い方やったかも知れんが、理解して頂きたいと言うしかない。

代理の相談をされるのであれば、まずそのご本人の意思を明確にして頂かないと、ワシとしては、そう答えるしかないわけや。

そういうわけなので、今後どうされるかについては、お父さんとよく話し合われた上で、お父さんの意志が、はっきりしてから、また相談して頂ければ、その先のアドバイスをさせて貰いたいと思う。今のところは悪いが、ここまでが限界や。


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