新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1333 不配による高額の罰金の請求には応じなければいけませんか?


投稿者 まちゃさん 大阪在住  投稿日時 2015. 5. 1 PM 3:54


アルバイトの身です。

『不配が1週間に2度あり読者からの苦情により支払った。原因者は配達員の僕』ということで1ヶ月の購読料4,037円の請求を受けました。

金額が大きいので払うべきか悩んでいます。

アドバイス下さい。


回答者 ゲン


配達人の評価というのは、いかにミスが少ないかで判断される。

不配や誤配、遅配といったミスは月5回までが業界での一般的な許容範囲とされ、それ以上多いと解雇の対象になるケースもあるという。

そして、そのミスに対して罰金が取られることも多い。多い少ないの違いはあるがな。

罰金の徴収について現金回収の場合、損害賠償の請求に当たり、違法性は少ないものと考えられている。

しかし、不配によるペナルティで『1ヶ月の購読料4,037円の請求を受けました』というのは多すぎる。この業界としては異例や。少なくともワシは知らん。聞いたことがない。

サイトのQ&Aに『NO.208 配達人の罰金制度について』というのがあり、その折り、幾つかの新聞販売店に不配などによる罰金制度についてアンケートを取ったことがあるが、それによれば、1件あたりの不配ミスに対する罰金は500円程度が最も多いという結果やった。

もちろん、1件の不配に対して1ヶ月の新聞代の請求をしたという販売店はなかった。おそらく全国的に見ても皆無に近いやろうと思う。

これを拒否した場合は、どうなるのか?

その支払いを拒否すれば、給料時に天引きされるかも知れないが、それは違法行為になる。

労働基準法第91条(制裁規定の制限)の第91条に、


就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。


とあるからや。

法的には、その範囲内での罰金なら合法と判断される可能性が高いと言われている。

あんたの場合なら、1日の日当が4,037円の2倍の8,074円以上あって、初めてそれが合法と判断されるということや。

まあ、アルバイトの新聞配達で1日の日当が8,074円以上というのは、まずあり得んさかい、1件の不配だけで4,037円という請求は限りなく違法性の高いものと考えられるがな。

それをその販売店の経営者に言えば、その違法な請求はせんようになるかも知れんが、それやとその販売店とは揉めることになるやろうから、最悪の場合、不配を理由に解雇を言い渡されるかも知れん。

その場合、あんたに不配などのミスが過去にもなく今回が1度というケースか、または他の者には同じようなミスで、そんな罰金が科せられたことはなく、その人たちと比べてもミスの発生率が遜色ない、あるいは少ないというのなら、労働基準局に提訴すれば争える。

その前に、その販売店が『不配が1週間に2度あり読者からの苦情により(4,037円を購読者に)支払った』というのが事実か、どうかを確かめるという方法もあるがな。

一般的に、新聞販売店は不配があった場合、その日のうちに新聞を持って行って謝罪するのが普通や。その際、手みやげ代わりに粗品を渡して終わりというケースが圧倒的に多い。

ごく稀に、不配が2度続いたことで、その購読者が怒り「もうお前のところの新聞なんかいらん。解約する」と言い出す人がおられる。

その場合、その販売店の人間が「それでしたら、今月の新聞代金はサービスしますので許してください」と言って何とか解約を回避しようとするケースがあるかも知れん。

その責任を、あんたに負わせようとしている可能性なら考えられる。

しかし、その判断は販売店独自でしたことやさかい、あんたが負うべきかどうかは意見の別れるところやろうと思う。

ただ、それがウソということも考えられる。その場合、その事実をその販売店の経営者に突きつければ、罰金を払えという根拠はなくなる。

よしんば、それが本当やったとしても、ワシには、あんたの負うべき負担とは思えんがな。

そもそも罰金とかペナルティというのは、事前に、そういったミスを起こした場合に労使双方で取り決めしておく必要があると思う。

それをしていなかった販売店にも当然やが大きな落ち度があったと考えられる。その取り決めもせず、販売店が勝手に負った負担だけを従業員に被せるというのは、どう考えてもおかしいわな。

こういった場合の法律的な判断は、多くの場合、従業員に対して過度な責任を被せたらあかんとなるはずや。

それらのことを考え併せると、その販売店と争った場合、あんたに有利に働く可能性が高いやろうと思う。結果として、その高額な罰金を支払う必要はなくなるはずや。

ただ、そういった争い事に発展した場合、その販売店では働き辛くなることが考えられる。

それが嫌さに解雇されるくらいならとあきらめて、「4,037円の罰金」を払うという選択肢もある。

しかし、それをしてしまった場合、そういった常識外れな罰金を言い渡す販売店経営者なら、次に同じ事があれば、また同じように高額な罰金を請求する可能性が高いやろうと思う。

はっきり言うが、常識のない相手に、いくら他では「こうですよ」と言うてみても意味がない。無駄や。「よそはよそ、うちはうちのやり方がある」と言われるのが関の山やさかいな。

その販売店が他の配達人に対しても、あんたと同じような仕打ちしているのなら、タチの悪い経営者ということになるが、あんた以外に、そういうケースがない場合は、他の何らかの理由で、あんただけを排除したいと考えているとも考えられる。

普通、そんな無茶な罰金を言い渡せば辞めていく人間が大半やさかいな。また、辞めて貰って結構とでも考えてなかったら、そんな真似はできんやろうと思う。

それなら辞めて他を探せばええのかと言われても困るがな。簡単に次のバイト先が見つかればええが、そうでなければ、あんたの生活に支障をきたすやろうしな。

その辺りのところをよく考えて、どうされるかの最終判断は、あんた自身でして頂くしかない。

ただ、ワシのアドバイスというか、意見ということなら、その新聞販売店の経営者のもとでは今後も遅かれ早かれ、再びそういった事態になりそうな気がするさかい、なるべくならそんな過剰な罰金のない納得して働ける職場を探された方がええやろうとは思うがな。


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