新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1338 返却予定の野球のチケットを紛失してしまいました
投稿者 ayk さん 投稿日時 2015. 5.23 PM 0:58
初めまして、宜しくお願いします。
先日、Y新聞社さんがきて、旦那が出たのですが、球団のユニホームやタオル、野球のチケットをもらいそのまま契約書? のようなものに住所などの名前を記入してしまっていました。
翌日にキャンセルの電話をし、景品を返却してほしいと言われ返却しようとしたのですがチケットを紛失してしまいました。
この場合は同じチケットの物を買った方がいいのか、紛失したことを言って金額をお支払いした方がいいのか。
また、金額をお支払いの時に定価より高額な料金を取られないか不安です。
紛失してしまったのがいけないのですが分からないので質問いたしました。
宜しくお願いします。
回答者 ゲン
『この場合は同じチケットの物を買った方がいいのか、紛失したことを言って金額をお支払いした方がいいのか』というのは、どちらでも構わない。
一般的には、そういった野球のチケットは入手困難なケースが多いさかい、金銭での支払いということになるやろうと思う。
その販売店に正直に『チケットをなくした』と言えば、それに相当する金銭を要求するはずや。というか、それしかできんわな。
『金額をお支払いの時に定価より高額な料金を取られないか不安です』いうのはないと思う。野球の観戦チケットは公に販売されとるもので定価以上の額を要求することはできん。
もし、定価以上の額を要求してきた場合は、そちらとしても面白くないやろうから揉めるわな。
今回の粗品は『球団のユニホームやタオル』ブラス『野球のチケット』ということやから、場合によれば返還せんで済むケースもある。
どういうことかと言うと、2013年11月21日に日本新聞協会、および新聞公正取引協議会によって「新聞購読契約ガイドライン」というのが発表されたからや。
その中に『解約に応じるべき』事項として、
長期や数か月先の契約を抑制するため、公正競争規約の上限を超える景品を提供していた場合は、解約に当たって景品の返還を求めてはならない。
というのがある。
『公正競争規約の上限』とは新聞に適用される景品表示法『6・8ルール』のことで、『景品付与の上限を『取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲』と決められている』というものや。
6ヶ月以上の長期契約に適用されるのは『6ヶ月分の購読料金の8%』で、一般的な朝夕セット版の新聞購読料金を例にすると、6ヶ月以上の契約の場合に渡せる景品額の上限は、
4037円×6ヶ月×8%=1938円ということになる。
それを超えた景品類の返還を求めてはならないと、その「新聞購読契約ガイドライン」で決められたわけや。
あんたのケースは、『球団のユニホームやタオル』ブラス『野球のチケット』ということやから、明らかに1938円以上はするものと思われる。
そうなると、『公正競争規約の上限を超える景品を提供していた場合』ということになり、解約時に今まで当たり前とされていた「渡した景品類の返還要求」をしてはならないということになるわけや。
今までは、例え『6・8ルール』に違反していたとしても民法545条の原状回復義務に照らせば、契約を全うすることを条件として貰った景品類は返還せなあかんと考えられてきたが、「新聞購読契約ガイドライン」が発表されたことで、多めに景品を貰うた場合は返さんでもええようになったということや。
事、新聞業界の場合、法律よりも業界の決め事、公式通達の方が重視される。
法律上、契約者に対する「渡した景品類の返還要求」に問題がなくても日本新聞協会、および新聞公正取引協議会がNOと言えば、新聞販売店はそれに従うしかない。業界にとっては法律以上の重みのある決定事項やさかいな。
理屈の上では、そうでも実際の現場では揉めることも多い。まあ、新聞販売店にとっては客のために良かれと思ってサービスしたわけで、それをしすぎたから、返還の必要がないというのでは、あまりにも理不尽やさかいな。抵抗したい気にもなるわな。揉めてでも返して欲しいと。
しかし、業界の決まり事は何よりも優先されるさかい、それを理由に貰った粗品を返さないと言うことはできる。その選択肢もあるが、それは勧められん。
揉めて面倒になるということもあるが、他に不利益が生じるケースも考えられるからや。
あんたは『先日、Y新聞社さんがきて』と言われておられるが、正確な日はいつなのやろうか。それによって事態は大きく違うてくる。
『翌日にキャンセルの電話をし、景品を返却してほしいと言われ』、そのとおりにすれば、そのまま契約解除になるとは思うが、野球のチケットをなくして返せないということで「新聞購読契約ガイドライン」を盾に景品の返還を拒否すれば、その販売店が新聞の契約解除そのものを渋るケースも考えられる。
但し、そのY新聞社の勧誘員が来た先日というのが、5月18日以降やった場合、クーリング・オフを使えるさかい、その場合は問答無用で契約解除ができるがな。
その詳しい方法については、『ゲンさんのお役立ち情報 その8 クーリング・オフについての情報』 を見て貰えれば分かると思う。
その販売店に『キャンセルの電話』をしただけではクーリング・オフをしたことにはならない。そう勘違いしている人は多いがな。それでは解約できたとしても、その販売店との合意があってのことや。
クーリング・オフは文書での通知でないと効力がないと法律で決められている。その期間は勧誘に来て契約書にサインした日から8日間や。
『契約書? のようなものに住所などの名前を記入してしまっていました』のは、間違いなく契約書や。それ以外の何ものでもないと思う。
5月18日に勧誘に来たのなら、5月25日までに日本郵便(JP)で、クーリング・オフの手続きをすれば、それが可能や。勧誘に来た日が1日過ぎる毎にクーリング・オフができる期日が延びる計算になる。
今がクーリング・オフの行使期間内なら、まず契約解除の確定をしておくことを勧める。それから『なくした野球のチケット』をどうするかの交渉をされても遅くはない。
反対に、現時点でクーリング・オフの期日が過ぎた状態なら、その販売店の『なくした野球のチケット』をどうするかについての要求を訊いて対処するしかない。
金銭での弁償要求があれば、それに応じといた方がええやろうと思う。もちろん、その対価が正当な額の場合に限るけどな。
それとは別に、『野球のチケットをなくした』ことを理由に、その契約の解除そのものを渋られるケースも考えられる。
その時は争うか、あきらめてその契約を全うするかのいずれかを選択することになる。
争うと決められたのなら、揉めるのは必然やさかい「新聞購読契約ガイドライン」を盾に、『球団のユニホームやタオル』ブラス『野球のチケット』の返還を拒否するという手もある。
ワシ個人としては、そんな真似はして欲しくはないが、業界の決め事なら、それを利用するのも致し方ないとは思う。少なくともワシには、そうするのを止めとけとは言えんさかいな。
まあ、そこまで行けば、『野球のチケットをなくした』ことについては、相応の対価を支払えば良いということになるやろうがな。
それで良しとしておいた方が、大して揉めることもなく決着してお互いのためにもええやろうと思う。
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