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NO.1346 絶歌について見解を述べてください


投稿者 Tさん  投稿日時 2015.6.26 AM 2:10


神戸連続児童殺傷事件の加害者である元少年の上梓が、波紋を呼んでいます。

この件について、ゲンさんとハカセの見解を述べてください。


回答者 ハカセ


『神戸連続児童殺傷事件の加害者である元少年の上梓が、波紋を呼んでいます。この件について、ゲンさんとハカセの見解を述べてください』という質問ですが、早速近所の書店に行って探したところなかったので、


ハカセです。

書籍を読んでいませんので何とも申し上げようがありません。書籍を手に入れ、読んでから回答しますので、今しばらくお待ちください。


と返信させて頂いた次第です。

すると、すぐに、


お返事ありがとうございます。

私の質問の為に、ハカセに経済的負担を強いるつもりはありません。出版という行動・事実の所感のみで結構でございます。

Amazon.co.jp売れ筋ランキング・そのレビュー・社会的影響力・知名度その全てが、ハカセの書籍を大きく上回っているのが腹立たしいですね!

不謹慎な意見ですが…。


と言って来られました。

私は、これでも一応は「物書き」として雑誌などに寄稿していますので、書籍の感想を頼まれた以上は読まずに回答するというわけにはいきません。

といえ、この「絶歌」という書籍が発売され話題になっていることは知っていましたが、個人的に読むつもりは、まったくありませんでした。できれば読みたくなかったというのが本音です。

しかし、そうもいきませんのでアマゾンで取り寄せて読みました。

この「絶歌」の著者、元少年Aが引き起こした1997年の『酒鬼薔薇聖斗事件』当時、私の長男が6歳、次男が2歳だったということもあり、小学生の子供ばかりを狙ったこの猟奇的な連続殺人事件はテレビや新聞で連日報道されていましたのでよく覚えています。

その異常な所業については、とても書く気にはなれません。その当時の事件について知っておられる方にとっては今更な話ですし、その頃のことを知らない人で、どうしても知りたいという方はウィキイペディアで『酒鬼薔薇聖斗事件』と検索すればヒットしますので、それを見て貰えれば分かると思います。

但し、それを読まれることによる嫌悪感については責任が持てませんので自己責任でお願いします。

「人でなし」という人道に外れた人間を指す言い方が昔からありますが、まさに「人間ではない」という意味で、「人でなし」の行為そのものだと思います。

犯罪事件の多くに「模倣犯」が出現しますが、さすがにこの事件を模した犯罪は、18年経った現在に至っても起きていません。それくらい特殊な犯罪、事件でした。

どんなに凶悪な殺人犯であっても、元少年Aのような残虐性は持ち合わせていないということなのでしょう。ぎりぎりのところで「人でありたい」と考えるために、模倣することなどできないのではないでしょうか。

結局、元少年Aは医療少年院に送致された後、東北少年院に移り、2004年(平成16年)3月10日、成人した少年は少年院を仮退院し、翌年の1月1日、本退院が認可され法律的には罪を償ったとされています。

それは法の決まりに則って行われたことだと思いますので、私がどうこう言う問題ではありませんから、それについてはやむを得ないと理解しています。

ただ、今回、元少年Aが書いたとされる「絶歌」なる書籍については出版するべきではなかったと思います。「絶歌」を読んで尚、強くそう感じました。

何かを訴えたいことがあるから書くということについては、私もそうですから反対はしません。むしろ推奨します。

しかし、自身が犯した罪に対して例え懺悔という形にしろ、被害者遺族の反対を押し切ってまで書くというのは賛同できません。

出版社も含めて、出版するのであれば、それにより新たな被害を被ることになるおそれのある被害者遺族の了解を得るべきでしょう。

被害者遺族の了解を得ずに出版しても法律では犯罪にはならないでしょうが、私には残酷な行為にしか思えません。

それに関した報道があります。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150629-00000071-san-soci より引用

神戸児童殺傷「元少年A」手記 土師淳君の父「息子は2度殺された」


 平成9年に起きた神戸市須磨区の連続児童殺傷事件の加害男性(32)が「元少年A」の作者名で出した手記「絶歌」。被害者の土師淳(はせ・じゅん)君=当時(11)=の父、守さん(59)が産経新聞の取材に応じ、「今、改めて事件の内容を多くの人に伝える必要がどこにあるのか。私たち遺族の心も傷つき、『息子は2度殺された』という思いだ」などと心情を話した。

 加害男性からは、事件後毎年手紙が送られてきており、事件から18年となる今年5月にも、手紙が届いたばかりだった。

「手紙を読むことはつらい。それでも、私たちは子供に対する義務だと思い、手紙を読み、『事件のときのことをもっと知りたい』と声を上げてきた」

 しかし守さんの思いは裏切られた。加害男性からも、出版社からも、何の連絡もないまま、突然手記が出版された。

「事件の詳しい状況や加害者の心境は遺族だけに伝えればいいこと。本を読むことで、事件を知らなかった多くの人が、私の子供が残酷な殺され方をした事件のことを知る。私たちの心は傷つき、二次被害、三次被害を受ける」

「絶歌」を出版した太田出版(東京)は、発売後の17日にホームページ上で見解を発表、「少年犯罪を考える上で大きな社会的意味があると考えた」と主張するが、守さんは「これほど特異な事件の内容を社会に知らせても、普遍的な意味はない。売ることだけを考えている」と反論。抗議書を出し、回収を求めている。

 事件後、守さんは「全国犯罪被害者の会(あすの会)」の活動などを通じて、少年犯罪の情報開示などを求めてきた。

 しかし今回、加害男性が「元少年A」の作者名で本を出したことに、「32歳の責任ある成人男性が、少年法の陰に隠れて匿名で本を出し、遺族を傷つける。卑怯(ひきょう)だ」とも憤る。

 加害男性は医療少年院に約6年入所し、その後、更生したとして退院した。弁護士らのサポートチームが支援を続けてきた−とされていたが、「絶歌」では、17年に支援から離れて暮らすようになった−との内容が書かれている。

 こうした情報は手紙にはなかったという。守さんの不信感は募るばかりだ。「事件直後の心境に戻った。本当に更生しているのなら、こういう本を書けるはずがない。更生にかかわった人たちの認識も甘い」と話す。

 加害男性側は、関係者を通じて「絶歌」の出版後に改めて手紙と本を守さんに渡そうとしたが、守さんは受け取らなかった。もとより「本を読む気は全くない」という。

 出版の自由や表現の自由との間で、取り扱いの難しさを問う声もあるが、守さんは「自由といっても、何をしてもいいということではないはず。被害者や遺族の人権は侵害されている。加害者の出版の権利を守るのではなく、被害者の人権を守ってほしい」と訴えている。

 今回、地元の兵庫県の公立図書館が本を購入しなかったり、書店が取り扱いをしなかったり、遺族へ配慮する動きも出始めている。同県明石市の泉房穂市長は、市内の書店に配慮を求めた。

 こうした動きを守さんは「ありがたい」と評価しており、「一刻も早く回収してほしい。また犯罪の加害者が、自分の犯した罪のことを手記にして出版する、という行動も規制してほしい」と話している。


私が、もしこの父親と同じ立場に置かれていたと考えるだけで堪らない気持ちになります。元少年Aに対して激しい憎悪がこみ上げてくるでしょう。許せないという気にもなると思います。

ただ、私たちのポリシーとして何事についても一方的に批判することだけは避けたいという気持ちがありますので、その「絶歌」の巻末部分にある元少年Aの言い分も紹介しておきます。


被害者の家族の皆様へ


 自分の過去と対峙し、切り結び、それを書くことが、僕に残された唯一の自己救済であり、たったひとつの『生きる道』でした。

 僕にはこの本を書く以外に、もう自分の生を掴み取る手段がありませんでした。

 本を書けば、皆様をさらに傷つけ苦しめることになってしまう。それをわかっていながら、どうしても、どうしても書かずにはいられませんでした。

 あまりにも身勝手すぎると思います。本当に申し訳ありません。


これを読まれて、どう感じられるかは読者次第だと思います。

本来なら、あまり口を挟みたくはないのですが、それでは回答にはならないと考えますので、あえて私の意見を述べさせて頂きます。

私には、この元少年Aは人の気持ちが理解できない、何も分かっていない人間だとしか思えません。分かるのは「自分だけ」の典型的な自己中心的な人物だということだけです。

普通『被害者の家族の皆様へ』と題した文章を書くのであれば、そこには「贖罪」の気持ちがなくてはいけませんが、元少年Aからは、まったくそれが感じられません。

元少年Aは『書くことが、僕に残された唯一の自己救済』と、堂々と書いています。自分が助かるには、これしかないのだと言いたげに。

『本を書けば、皆様をさらに傷つけ苦しめることになってしまう』ということが本当に分かっているのなら『どうしても、どうしても書かずにはいられませんでした』とは絶対にならないはずです。

普通の神経の持ち主、および本当に自身の過去を恥じている者であれば、こんな手記など書けるはずがありません。

もっとも、この元少年Aを普通の一般人と同列に見ること自体に無理があるのかも知れませんがね。そもそも他者を思いやる心があれば、あんな事件など起こさなかったでしょうから言うだけ無駄なのかも知れません。

『Amazon.co.jp売れ筋ランキング・そのレビュー・社会的影響力・知名度その全てが、ハカセの書籍を大きく上回っているのが腹立たしいですね!』ということですが、書籍が売れる一番の要素は「話題性」です。

残念ですが、本の内容の善し悪し、筆力や表現力といったものは二の次です。出版の世界では、「売れる可能性の高い本を出版する」というのが当たり前で、言い方は悪いかも知れませんが「売れたもの勝ち」なのです。

その点で言えば、この「絶歌」は、私の書籍より遙かに「話題性」に富んでいるので売れたとしても何の不思議もありません。

当然ですが、それについて悔しいとか腹立たしいといった思いは微塵もないですね。それよりも少数とはいえ、未だに私の書籍を買ってくださる方がいることの方が誇りに思います。

負け惜しみになりますが、「話題性」で売れる本は所詮一過性のものにしかすぎませんからね。人の役に立つために書いた本は息が長いと信じていますので。

元少年Aの狙いは、間違いなく「本を書けば売れる」、「自身を売り出せる」という点に尽きると私は見ています。

すばり、そこには書くことで生計を立てようとの目論見があるだけだと思うのです。

その証拠に元少年Aは地方で派遣労働をしていたようですが、ある出版社に自ら企画を持ち込み「書くことに専念したい」と申し出て総額で400万円程度の金銭を先に貰って書き始めたという事実が明るみに出ています。

その事実で、すべて納得できます。金を得るためだけに出版しようとしたのだと。それで、これからの生計を立てたいのだと。

それであれば被害者遺族のことなど考えるようなことはしないでしょうし、事前に知らせるようなことをするはずもありません。そんなことをすれば出版などできなかったでしょうしね。

ついで、ですが私が読んだ印象から本自体の内容について、どこまで本当のことを書いているのか、甚だ疑問に感じました。

人には自己保身の気持ちが必ず働きます。元少年Aにも、その思いが働いたと感じられる部分が多々ありました。文章表現が、あまりにも凝っていて逆に陳腐さが際立つために、そう感じさせるのかも知れません。

真実を書いているのかどうかについては私だけの印象ではなく、元少年Aの弁護団長を務めた野口善國氏が読後の感想として「全くの嘘を書いているとは思いませんが、真実を余すところなく書こうとしているとは思えず、何かしら意図をもって書かれた印象を受けました」と言っておられることからも分かるのではないかと思います。

正直言いまして、私は、この本を買って読んだことを後悔しています。私は年間に少なくとも100冊以上の本を読んでいますが、よほどの駄本以外、読後にこんな嫌な気持ちになったことは滅多にありません。

ただ、それについてはTさんのせいではありませんので気になさらないでください。単に書籍を読まずに批評することなどできないという私の方の事情にすぎないのですから。

以上が、私の意見、感想です。

ちなみにゲンさんは「ワシからは本を読むつみもりもないし、コメントする気にもなれんと言うといて欲しい」ということでしたので何も申し上げることができません。


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