新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1357 新聞解約と拡材返却について
投稿者 T.Oさん 投稿日時 2015.10. 4 AM 1:49
このたび一人暮らしの母の新聞購読の契約について相談させていただきます。
本年4月くらいに母がA新聞と契約を交わしスポーツ紙を配達してもらうことになったようです。
現在母は認知症治療で病院に通院中で、今年2月に要介護認定もされていて今は「要介護3」です。
また生活保護も受けております。
私が7月に母の所に行き様子を見たところ、新聞を読んでいる形跡がなかったため、このまま購読することができないと判断し、また月々の生活費にも余裕がないため7月25日に販売店に連絡をして電話口に出た女性に内容を伝え、7月いっぱいで購読をやめたい旨話をして、集金に来てもらうことにしました。
夕方集金の方が見えて、その際にも認知症の事を伝え、7月で購読をやめたいから販売店に伝えてほしいと話をしました。
その後9月5日に母の様子を見に行くと、まだ新聞が配達されていて9月3日に8月分の集金に来たことがわかり、販売店に連絡をして、夕方に契約担当の方に来てもらい話をしました。
担当からは「話は聞いているが契約がまだ数か月残っていてそれは解除できない」と言われました。
母は認知症のため判断能力がかなり欠如していて自分で判断をすることはほぼできませんし、生活困窮者です。
これは新聞公正取引協議会の「新聞購読契約に関するガイドライン」の・相手方の判断力が不足している状態で契約したとき(認知症の方など)という「不適切な契約が行われていた場合」に該当すると思います。
その後契約担当から、9月分3039円だけ払ってくれたら解約するとの連絡があり、断ると今度は契約時にあげた拡材(洗剤・ラップ・スポンジのセット)分の1000円だけでも払ってほしいと言ってきました。
これも最初は洗剤をかなりあげた、と言っていましたが私が景品の金額制限規約の話をすると、それを後で読んだらしく、金額を1000円くらいと言ってきた次第です。
消費生活センターにも相談して指導してもらっていますが、まだ解決しておりません。
このまま1円も払わないで終わらせるにはどうすればいいでしょうか?
何とぞよろしくお願いいたします。
回答者 ゲン
法律的な見地、また「新聞購読契約に関するガイドライン」の趣旨から言えば、その契約は違法に交わされたと判断され、『景品の金額制限規約(6.8ルール)』を超えた景品の場合、その返還義務はないと考えられるさかい、その販売店の要求をはねつけることは可能や。
『1円も払わないで終わらせる』ことも十分可能やろうと思う。
しかし、そうするためには、それなりの手順を踏む必要がある。
あんたは、認知証のお母さんの代理人として相談されておられるとのことやが、「要介護3」の場合やと法的には「成年後見人」の資格を有した上でないと正式な代理人として交渉することができんとされとるが、その資格は持っておられるのかな。
その資格を持っておられるのなら問題ないが、そうでないのなら、「成年後見人」の資格を得られた上で交渉する必要がある。あるいは、お母さんの正式な代理人として弁護士などに依頼して交渉を依頼するかやな。
ただ「成年後見人」の資格を得るには家庭裁判所に後見開始の審判の申し立てをすることになるが、それには後々の相続問題まで絡んでくる可能性があるので身内の同意を得ておいた方がええと言うとく。
その手続きをするには、ご自分で申し立て書類を作成されるにしても数千円程度の申し立て手数料と、数万円から十数万円程度の指定医による診察を受け診断書を作成して貰うための費用が必要になると言われている。弁護士に依頼する場合は数十万円規模の出費になるものと予想される。
新聞読契約の解約、景品の返還問題程度で、そんな費用をかけるのはバカげとるわな。
もっとも、『1円も払わないで終わらせる』ことだけが目的なら、その販売店との交渉を続けるよりも「新聞購読契約に関するガイドライン」を打ち出した日本新聞協会、および新聞公正取引協議会に直接苦情を言うた方が効果的かも知れん。
ただ、それにしても、日本新聞協会、および新聞公正取引協議会のような第三者に説明して納得させるには、それなりの証拠を示す必要がある。
認知証の「要介護3」なら、それなりの書類をお持ちやろうから、それを示せば問題ないとは思うが、『景品の金額制限』について確実にオーバーしていると証明するのは、これはこれで結構難しく、厄介な場合が多い。
現在、「景品表示法」による新聞購読契約の『景品の金額制限』の範囲は、『取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲』と決められている。
そのスポーツ紙とやらの契約期間が6ヶ月以上として計算した場合、1ヶ月の新聞代3039円×6ヶ月×8%=1458.72円になる。これ以上の景品金額が違反で、これ以下であればセーフということや。
それからすると、『洗剤・ラップ・スポンジのセット』というのが、『景品の金額制限』の範囲に違反するかどうかは、それだけでは分かりにくい。
それは新聞販売店が一般読者に渡す景品類は、一般に流通している価格よりもかなり安く手に入るものが多いからや。
例えば、最も多い景品の洗剤では、メーカーと新聞社が提携しているケースが多く、工場内で傷物になったとか2級製品と烙印を押された商品が販売店に回ってくる場合が多々ある。そういう物は極端に値段が安い。
傷物になった、2級品になった理由については、いろいろあるが、たいていの場合、倉庫に長く保管されていたとか、商品の箱が傷ついて店舗に並べられなくなったケースなどが大半を占める。
商品自体の欠陥で問題になることが殆どないため一般には、それと知られることはないがな。
そういった個別の商品名を明かすのは、いろいろと差し障りがあるさかい、ここでは控えるが、一般の店舗で1箱500円で売られている洗剤が100円程度で入手できる場合もあるということが分かって貰えれば、それでええ。そういう景品類は他にも数多く存在する。
また、個別の販売店にしても景品にかかる経費を節約するため、激安ショップ店、およびその卸元から商品を購入することもあると聞くさかい、その線から低価格で仕入れる場合もある。
『景品の金額制限』で決められているのは、『取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲(6.8ルール)』ということで金銭についての規定のみで、商品の一般的な流通価格で決められているわけやない。
つまり、『洗剤・ラップ・スポンジのセット』が1458.72円以下で購入したものであれば、法律の範囲内だと主張できるということや。
法律違反は、確かな証拠があって初めて違反、違法と認定され罪に問える。裏を返せば、その証明ができず、「怪しいな」という程度では罪には問えないということや。
実は、これが景品表示法の大きな盲点になっているわけや。特に新聞業界のケースについて、それが言える。
それを覆すには、その商品について徹底した調査をする必要する必要があるが、新聞業界においてそんなことを行った行政機関は皆無や。少なくともワシらは知らん。
今から14年ほど前の平成13年に和歌山の新聞販売店が、この景品表示法(6.8ルール)違反により摘発されたケースがあるが、その時は、1年契約で1万円分の商品券を渡していたということで、商品代金云々の言い訳ができんかったからや。法律上、商品券は現金扱いになるさかいな。
ところが、商品での景品渡しとなった場合は、明らかに違反していると分かる程度の物でない限り、景品表示法(6.8ルール)違反に問われるケースは殆どない。
しかも『洗剤・ラップ・スポンジのセット』の返還要求として「1000円くらいと言ってきた」ということやから、今回の景品分は「1000円くらい」やったと主張しとるのと同じことになる。
それであれば、景品表示法(6.8ルール)違反していないさかい、「新聞購読契約に関するガイドライン」に規定されている「過剰景品の返還はしなくても良い」ということは日本新聞協会、および新聞公正取引協議会としても言えんやろうと思う。
『消費生活センターにも相談して指導してもらっていますが、まだ解決しておりません』というのも、それと同じことやないのかな。
認知証のお母さんを思いやられる気持ちは良く分かるし、あんたの主張に間違った部分がないのは十分承知した上で言うのやが、法律や決まり事を盾に主張するのなら、それなりの手順を踏んで、証拠を揃えてからでないと難しいということや。
結論として、その販売店と争うのであれば、お母さんの「成年後見人」としての資格を有した上で交渉するか、あるいは弁護士などに任せるかのいずれかやと思う。
また『1円も払わない』で済ませたいのなら、その販売店が景品表示法(6.8ルール)に違反しているという明らかな事実を掴むしかない。
ただ、それをするには多くの時間と費用がかかり、費用対効果の面から賛成はできんがな。
それくらいなら1000円払って終わりにした方がええのやないかと思う。
もっとも、その販売店のやり方が許せないと考え、とことん戦われるというのなら反対するつもりはないがな。
ワシの個人的な意見を言わせて貰えば、このケースでは、その販売店は早々に引くべきやったと思う。どうひいき目に見ても、その販売店のやり方は褒められたもんやないさかいな。
ただ、ワシを含めて多くの人が、いくら人情的に許せない、卑劣な行いやと考えていたとしても、法的に違法、違反と決めつけられない限り、残念やが、あんたの思いどおりにはならんやろうと思う。
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