新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.136 この業界での仕事は魅力がありますか


投稿者 まさたろうさん 投稿日時2005.8.10 PM 4:46


はじめまして。つい最近このホームページを知り現在読破中です。

実は私は現在昼間の本業の足らず分を朝刊の配達で収入を得ています。

先日そこの所長からうちで専業で働いてほしい、もしやる気があれば店長候補として道を付けてあげると、食事をごちそうになりながらこの話をいただきました。自分としてはこんな私をここまで買ってくれていることに感謝していますし、恐縮さえしています。

昼間の仕事は誰もがうらやむような職種であり、自分がやめると言わない限り首になることはありません。ただ、この先いろいろな合理化などで自分の意志とは関係なく自分の身の振り方が決められてしまうかもしれないのが私としては耐えられないのです。出世とか言う言葉も無縁です。給料はある程度保証されますが、お年寄りでもできる仕事です。

現在私は35歳です。妻もあり、子供も三人います。

ことを起こすのであればいい時期だと思っていますし、これを逃すとずるずるとなるがままの人生を送りそうな気がします。

そこでゲンさんの個人的意見でよいのでご意見を頂きたいのです。

この業界が、安定を捨ててまで魅力のある仕事になりうるのか、頑張ればそれだけの収入を得られるのか?

ちなみに私のところの所長は私より少し上の方ですが、同じ世代の軽く倍以上の収入を得ていますが、それ以上に勤勉であり、尊敬に値する人です。

今はいろいろな可能性を模索している時期なので、厳しいご意見を期待しています。


回答者 ゲン


ワシの意見くらいで簡単にあんたが、自分の人生を決めるとも思えんが、ワシの分かる範囲のアドバイスはしようと思う。当たり前やが、最終決断はあんた自身がせなあかんけどな。

ワシには、あんたの仕事のことは良う分からん。しかし、この業界のことは多少は分かる。まず、所長さんがあんたにそういうことを言うには、当然、それなりの理由がある。

もちろん、あんたに見込みがあるからやというのは間違いないが、それだけではない。もっとも、中には、誰にでもそう言う人間がおるが、あんたの話を聞く限りは、まともな所長さんのようやから、それはないやろと思う。

この業界は、人材がすべてや。ええ人間が集まらなやっていけん。それを良う心得とる経営者は常にそういう目で人を見るし、探す。あんたは、その眼鏡にかなったことになる。

しかし、それは、あんたの資質がええと判断されたことで、あんたの将来や成功がそれで約束されたわけでも、保証されたということでもない。

あんたには、クリアせなあかんことが、かなりあるようや。まず、仕事の厳しさは、この業界は半端やないということを知らなあかん。それで、成功しようとするには、それなりの心構えと覚悟がなかったら、まず無理や。

そこそこにめしを食うて行くだけなら、それほどでもないが、それでも、他の業界と比べればはるかに厳しい世界や。せやけど、そのそこそこ程度なら、あんたにとっては意味ないわな。安定した仕事がすでにあるんやから。

『頑張ればそれだけの収入を得られるのか?』ということやけど、それは可能やとしか言えん。しかし、『頑張れば』のレベルがおそらく今のあんたでは想像できんやろと思う。配達の延長程度の話とは違うからな。

それは『昼間の仕事は誰もがうらやむような職種であり、自分がやめると言わない限り首になることはありません』ということからも、推測できる。

そういう世界にあんたは今、好んでのことかどうかは別にして、どっぷりと浸かっとるということがある。そのまま、この業界に飛び込むには、考えの甘い面が多いやろと思う。これは、何もあんたを責めて言うてることやない。

人は良くも悪くもその環境に順応するということがある。厳しい環境ならそれなりに、楽な環境でもそれを当然として受け入れる。

厳しい環境から楽な環境への変化は比較的問題はない。ほぼ誰でも簡単に対応できる。問題はその逆の場合や。

楽な環境から、厳しい環境への対応は、よぼどのことがない限り難しい。普通、それが可能となるのは、そうするしか生きる道がないというくらいの切羽詰まった状況に置かれたときや。

この業界に飛び込んで来るのは、そういう人間が多い。俗にいう行き場がないというやつや。今はそれしか選択肢がないような場合や。基本的に専業になるには、誰でもなれる。住む所がなくても問題はない。大抵は、店が何とかする。

それには、この業界が慢性的な人材難やということもある。もちろん、すべてやない。ただ、誰もが希望する職種やないことは確かや。大抵の販売店で常に従業員の募集をしとる所が多い。

就業継続率も良うない。それには、この業界に飛び込んでくる人間が、最初から腰掛け的な考えの者が多いということがある。それは、ワシら拡張員にも同じようなことが言えるがな。

それと、就業時間の過酷さがある。表向きの契約書には、深夜2時頃から6時頃までの4時間と正午から午後4時くらいまでの計8時間程度の勤務と謳っとる。これは、主に配達と店内作業が主となる。

しかし、それ以外に月10日ほどは集金日というのがある。これは、集金率に合わせて報酬が出る仕組みになっとるから、就業時間外とされるのが一般的や。集金業務に残業代は出んと思えばええ。

加えて、勧誘がある。これも、店によりやけど、過酷なノルマが課せられることが多い。これは、一契約についていくらという取り決めやから、時間外労働やけど、同じく残業代は出ん。

それらを考え合わせると、1日の労働時間は、かなりなものになる。もちろん、これも、その人によっても違うし、販売店の方針でも影響される。

あんたが、この仕事で成功するかどうかは、勧誘、つまり営業できるかどうかに尽きると思う。これができれば、ある程度は稼げるやろうし、うまく行けば、店長になれるだけやなく独立の道も開ける。

店長にまでなる人間というのは、人から「あの人の仕事ぶりはすごいなあ、とてもあそこまでできん」と言われるくらいで普通なんや。それで、なかったら、実力中心のこの世界では誰も従わん。

その世界で、飛び抜けようと思うたら、その上に、この営業力が必要になる。人に認められるためにも、将来、独立するのにも、それがなければ、まず、無理や。営業が大きなウェートを占めると言うても過言やない。

他の配達とか、集金は慣れれば、自然に身につく。まあ、それでも、頭を使う者と何も考えずにする者とでは、かなり差がつくがな。しかし、それは、とんな仕事でも共通して言えることや。

せやけど、営業はやってみな分からん。向き不向きも含めてな。あんたの場合は、やっみてあかんかったから、元の仕事に戻るというわけにもいかんやろ。

そこで、一つ提案しようと思う。現在の仕事には、休みもそこそこあるはずや。所長に相談してということになるが、その休みの日を利用して実際の営業、勧誘をしてみるというのはどうや。

「前向きに転職を考えてます」と言えば、所長も断る道理はないはずや。配達のことは、現在もやっとるんやから、問題はないやろ。

新聞の営業は、脅かすわけやないけど、思うほど簡単やない。と言うても、それほど難しく考えるほどでもないがな。幾つかの心構えができてれば問題ない。

まず、新聞屋の営業は嫌われるということがある。あんたも、このサイトを興味を持って読んでくれとるようやから、ある程度は想像できるやろとは思う。

それを、実際の現場で体験してみることや。それが、理解できれば、断られるのが圧倒的に多いということも分かる。それにくじけたり、嫌気を起こさんことができるかを知ることや。

そして、この営業が好きになれるようなら、見込みもあるし、成功する可能性も高いと思う。営業というのは、不思議なもので、ただ、成績が上がって儲かるということだけやなしに、成約すると、気持ちの高揚感というのを味わえる。

アドレナリンが出て、心地のええ興奮状態になる。ワシらのように、長く営業を続けとる者は、金のためというより、この高揚感を味わいたいためというのがある。一種、麻薬のようなものや。それがないと、体調自体が悪くなるほどやからな。

何でもそうやけど「好きこそものの上手」と言うように、その仕事に惚れ込まなその道での成功は厳しい。

あんた自身の甘さを払拭するのは、現時点では難しいやろと思う。

所長の人柄に惚れ込むのはええ。それだけの人のようやしな。自分を買うて貰えとると感じられるのも「人生意気に感ず」で悪くはない。そういう人間のもとで仕事できるという期待感も分かる。

ワシは、それらを否定しようと思わん。ただ、その結果について、考えとく必要はあると思う。つまり、そうして、自分の思うてたことと違う状況になった場合、後悔せんかということや。

ワシもこの歳になるまで、いろんな人間を見てきた。男が男に惚れてということも良う分かる。ただ、結果が悪ければ、人は自分が悪いと反省する前に、その道に引き込んだ者を恨むということがある。

惚れた相手を恨まなあかんという不幸なことになる。本当は、どんな結果になろうとも、責任は、すべて自分なんやけどな。

人間は、誰でも人生の岐路には必ず立たされる。否応なしに、どちらかの道を選ばざるを得んというようなことはいくらでも起きる。その意味で言えば、今のあんたは、まだ、余裕のある立場やから、ましや。

それに、今すぐ急いで決めなあかんということでもなさそうやし、臨機応変に考えたらどうや。今の状態を続けながら、もう少し観察するか、もしくは、営業をしてみるかや。

営業は一度やってみても損はない。今まで見えんかったことでも結構、見えるようになるしな。自分の可能性を知るということでもええと思う。

ワシからは、こんなもんやけど、このサイトには、それなりにいろいろヒントも含まれとるのやないかと思うから、じっくり読んでくれれば、何か分かるかも知れん。分からんことは、いつでも遠慮せんと聞いてくれたらええ。


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