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NO.1371 新聞購読契約は、遺産になるのでしょうか?


投稿者 Kさん  投稿日時 2016. 3.26 AM 7:49


販売店のエリマネです。新聞購読契約は、遺産になるのでしょうか?


回答者 ゲン


被相続人が死亡すると、一切の権利や義務が、相続人にそのまま受け継がれることになる。これを「相続財産」と言い、一般的には「遺産」と呼ばれている。

「相続財産」にはプラスの財産だけやなく、マイナスの財産(負債)も含まれる。被相続人に借金があれば、その借金を返す義務が生じ、被相続人がしていた契約も特段の事由がなければ、そのまま引き継がれると考えられている。

『新聞購読契約は、遺産になるのでしょうか?』というのは、基本的にはそうなるが、それぞれの立場、ケースにより、様々な問題をはらんでいる。

あんたは『販売店のエリマネです』と言われておられるところからすると、新聞販売店の従業員で「エリア・マネージャー」と呼ばれている特定の地域責任者やと思う。

その地域の顧客である契約者が死亡された場合、新聞購読契約もそのまま引き継がれるというのが一般的な法解釈(民法第896条)やが、相続人が複数いれば、当然のことながらその相続分配により、複数の相続人に移行するものと考えられる。

複数の相続人すべてが死亡した契約者と同居していれば、新聞購読契約もそのまま引き継がれるべきやとなるが、相続人のすべて、もしくは一部が、その契約の継続を拒否した場合や、相続人の一部が、その新聞販売店のエリア外に居住されている場合は契約の履行を要求することが難しくなる。被相続人である契約者が独居されていた場合は尚更や。

「相続財産」の分配は、複数の相続人の合意で決められて良いとされていて、すべてがそれぞれの「法定相続分」どおりに分配されるとは限らない。

『相続人のすべて、もしくは一部が、その契約の継続を拒否した場合』は、拒否した相続人の「法定相続分」に応じた義務の追及をせなあかんことになるが、相続人が非協力的やったら、そもそも「法定相続分」を知ることすら新聞販売店には難しくなる。

「個人情報」を理由に相続人の「法定相続分」開示を拒否されたら、それまでやさかいな。当然やが、契約の引継者が特定できんことには新聞購読契約の履行要求そのものが不可能になる。

法的手続きを以て知る手もあるが、そのためにだけに裁判に訴えるというのは費用対効果の点から言うても得策とは言えんわな。もっと言えば、その契約期間にもよるが、そんな裁判を延々としている間に契約期間が終了するということも十分考えられる。

また『相続人の一部が、その新聞販売店のエリア外に居住されている場合』に、その相続人から契約の継続を拒否されれば、それまでになる。契約者の引っ越しと同じ扱いで、新聞販売店はエリア外への配達ができんさかいな。

『被相続人が独居されていた場合』という例が、このQ&Aの相談にも結構あるが、その場合は「契約者の死亡を以て契約が終了する」とアドバイスしとる。実際、新聞販売店がいくら頑張っても別居している遺族、相続人にその契約の履行を強要することはできんしな。たいていの新聞販売店はあきらめとる。

従って、『新聞購読契約は、遺産になる』ということで法律を盾に取って、嫌がる相続人にその契約の履行を強要しても難しいということや。

ただ、唯一、被相続人の配偶者が同居していた場合、遺産相続やなく、「夫婦相互の代理権」と呼ばれている「民法第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)」で、配偶者に契約の続行を求めることができるとは考えられているがな。

民法第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)とは、『夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責に任ずる』というものや。

一般的に贅沢品や不動産、高級アクセサリー類などの購入を配偶者の許可なくしていた場合の支払いは他方の配偶者に責任はないとされとるが、新聞購読契約であれば「日常の家事債務」として認められる可能性が高いということもあり、普通は、契約者である配偶者が亡くなられても、そのまま契約が続行されているケースが多い。

新聞販売店の経営者が亡くなられた場合の新聞購読契約は「相続財産」として認められ、「遺産」になるものと考えられる。

ただ、この場合、新聞購読契約は次期新聞販売店の経営者に引き継がれ、必ずしも相続人が引き継ぐとは限らない。一般的には次期新聞販売店の経営者が相続人やない場合は、相続人からその権利を買い取っているようやがな。

いずれにしても新聞購読契約自体は財産価値があると認められているということやな。


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