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NO.139 販売店を変えるのは可能でしょうか?


投稿者 すけろくさん 投稿日時 2005.8.27 AM 8:55


こんにちは。私はA市に住んでいます。引越し当時、ネットでY新聞を申し込んだところ、隣のB市の販売店Bと契約することになりました。

しばらくの間はきちんと配達されていたのですが、最近立て続けに不配達が生じ、またそれを連絡しても新聞を持ってこないので解約することにしました。(解約自体は販売店も非を認めており問題なし)

今度もY新聞を読みたいと思いネットで販売店を検索したところ、A市の販売店Aが見つかりました。(我が家からの距離はB販売店と同じ)ここで質問なのですが、販売店Aに購読申し込みは可能でしょうか?


回答者 ゲン


結論から言うと、あんたには気の毒やがそれは難しいと思う。あんたの所へは、Y新聞やったら、そのB販売店からの配達にしかならんはずや。

新聞には宅配制度というのがある。新聞社毎で、専属販売店に配達地域の割り当てをしとる。同紙の場合、その地域以外の販売店からの配達はできん仕組みになっとるわけや。

その地域の割り当てというのも、全国で一律やない。市町村などの単純な決め方でもない。決まった法則というものが存在せんのや。

せやから、あんたがA市に住んどるという理由だけで、A市の販売店からの配達というわけには行かんということになる。A市に住んどっても、同じ新聞が、あんたと同じようにB市の販売店から配達されるというのは、この業界では別に珍しいことでもなんでもない。

極端な例で言えば、道一本挟んで、すぐ向かいに販売店があるのに、同じ新聞でありながら、他の遠方の店から配達ということも実際にある。

「引越し当時、ネットでY新聞を申し込んだところ、隣のB市の販売店Bと契約することになりました」と言われとることからすれば、新聞社からの依頼でその販売店Bがあんたとの所へ来たというのは間違いなく、その範囲内やったということになる。

この新聞の宅配制度というのは、再販制度で保護されとるということがある。再販行為というのは、メーカーが販売する価格を販売店に指示して守らせることや。販売価格の維持が目的になる。

しかし、これは、販売業者間の競争を制限して、消費者の利益を害するおそれがあるから、原則として独占禁止法第19条で、不公平な取引方法に該当するとして違法とされとる。

但し、これには、特例が設けられ、同じく独占禁止法第23条第4項の「著作物」の中に定価販売の慣行があったということで、新聞は再販行為を認められとるわけや。

これについては、再販行為を行っても独占禁止法違反にならんと定めているだけで、再販行為をやれと義務付けているものやない。

ところが、これを新聞各社は、再販制度で保護されとると受け取っとるわけや。実際、一度、違反やないと規定されれば、それが法律に適ったものとして正当化される。

宅配制度は、その再販制度があるから存在しとるということになる。新聞社が、決まった価格で新聞を売るには、特定の店からだけでしか買うことができんようにするのが、手っ取り早く都合がええわけや。

地域を限定して宅配をすれば、否応なしにそうなる。新聞社は長年それに心血を注ぎ、現在では宅配率93%という驚異的な数字を確保するまでになった。

そういう背景のもとに販売店の営業、配達区域というものが決まってきたことになる。この制度が存続する限り、あんたには気の毒やけど現状では、Y新聞を読もうと思うたら、B市の販売店Bからの購読しかないということになる。

それなら「販売店Aに購読申し込みは可能でしょうか?」というのも無理やということになるが、中には、それに応じる販売店もある。

これには、二通り考えられる。

一つは、契約だけがほしい場合や。どういうことかと言うと、自分の所では配達はできんが、あんたから契約を貰うことで、その契約を販売店Aが、B市の販売店に売り渡すということがある。

もっとも、この場合は、その販売店同士がよほど良好な関係でないと、普通はそういうことはせん。大抵は、最初から「お宅の地域はB市の販売店になりますから、そちらを紹介します」となるやろな。

普通、同紙販売店の隣同士というのは、仲の悪いというのも珍しいことやない。その境界が鮮明に区別されとる所はそれほど問題はないが、かなり、入り組んだ境界線という地域が結構ある。

こういう所では、その客の取り合いを巡り良く争いが起こることがある。そういう所では連絡を受けても断るだけで、紹介もせんかも知れんけどな。

もう一つは、快く受け付けるということがある。一見、今まで説明しとることと違うやないかと思うかも知れんけど、この業界では、これも不思議なことやない。

それは、販売店AとB市の販売店が同じ経営者やった場合に、そうなることが考えられる。このケースは結構、多い。特にあんたの場合は、A市に住んでいながら、隣のB市の販売店からの配達ということやから、その販売店の規模はかなり大きいと判断できる。

広大な配達エリアを有しとる場合、幾つかの販売店を同じ経営者が経営しとることがある。おそらく、そういう販売店に申し込めば、それほど問題なく受け付けるやろということや。

しかし、いずれの場合も結局は、同じ販売店からということになってしまう。もしくは、配達が名目上、他店であっても同じ経営者の店ということや。

あんたがY新聞をほしがる必要度にもよるやろうけど、例え、同じ店で再度、取ることになっても、今度は同じようなことはないと思う。

『しばらくの間はきちんと配達されていたのですが、最近立て続けに不配達が生じ』ということやけど、これは、どうもその最近に配達員が代わった可能性がある。

不配達というのは、店の責任というより、配達員のミスや。これは、店を替え、新聞を変更しても、必ずなくなるというものでもない。客の立場からすれば、あってはならんことやけど、人間が配っとる限りは、そういうこともある。

特に、新人の内は、そういう間違いを起こしやすい。もちろん、それを分かってほしいと言うてるのやない。どんな理由があれ、客に迷惑をかけることは絶対にあかんからな。

『またそれを連絡しても新聞を持ってこない』というのは、これは、販売店の責任や。こういう姿勢やと何を言われてもしゃあない。あんたが解約やと言うたのも良う分かるし、店側も何も言えんかったはずや。

ここで、一つだけ考えたってほしいことがある。今回の件では、その配達員、販売店も十分反省しとると思う。こういう形で客に離れられるのが、販売店としては一番辛いはずや。

他の新聞の勧誘員と契約したという理由なら、また客として帰って来ることがあるが、あんたのようなケースはほとんどそれが望めんからな。

つまり、そのB市の販売店との再度の契約をしたとしたら、今回のようなことが再発する確率はかなり低いやろと思うということや。

どんな商売でもそうやが、クレーム客の言うことというのは、大抵は良う聞くもんや。それが、今回のように解約にまでなった客の場合は特にな。その配達員も、販売店も次の失敗は許されんと思うはずや。間違いなく、特別扱いになる。

もちろん、あんた次第やけど、他でY新聞を取ることができんで、尚かつ、必要やというのなら、もう一度だけチャンスという意味で、B市の販売店と交渉したらどうかなと思う。

現行の宅配制度が続く限りは、その新聞が必要なら、それもある程度、仕方ないということやからな。

ただ、何にでもそうやが、新聞社により例外というのがある。同じ全国紙であっても、N経新聞なんかやと、あんたのようなケースでは、比較的簡単に販売店の変更ができる。

N経新聞も、専属の販売店があるのやが、その数が少ない。多くは、他紙への委託販売という形を採っとる。せやからY新聞販売店での配達が嫌なら、A新聞販売店に簡単に変更できるということや。他にも、地方紙でそういう新聞もあると聞く。

今回の質問は、あんたには、ええ答えやなかったかも知れんけど、新聞販売のシステムがそうやということで、分かってほしい。多くの場合、購読者に、販売店を選ぶことはできんということや。


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