新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.141 新聞巻取り規格の由来について教えて下さい
投稿者 seki さん 投稿日時 2005.8.29 PM 3:20
新聞巻取りの規格の寸法についてなのですが、
D巻きは813mm
A巻きは1.626mm
C巻きは1.219mm
だと思います。
ちなみにこのA巻き・C巻き・D巻きの由来はどこからきているのでしょうか?
教えて下さい。
回答者 ゲン
申し訳ないけど、こういう印刷に関連した質問は、Q&A NO.74 で答えたこと以外は良う知らん。あんたは、おそらく、その新聞の印刷に携わっておられる方やと思う。
その専門家の知られんことを、ワシのような営業だけの一介の拡張員に分かるわけがない。ハカセも当然のように良う分からんということや。どこを調べても載ってないと言う。
そこで、このサイトに協力して貰ってる新聞発行本社員の方に、ハカセがメールで問い合わせたところ、すぐ返信して貰ったので、それを伝える。
情報提供者 石津基地さん 某社関係者 投稿日時 2005.8.29 PM 11:35
早速ですが、ご質問の正解はわかりません。推測というか、わが社ではこういわれているようです。
Aは紙の規格からきており(新聞紙1枚はおよそA1サイズです)、その次の規格がBだと紙規格のB(B4とかB5)と混同しやすいのでCなのだと。
ちなみにA巻きは新聞紙を縦に4枚取れるサイズで、以下Cが3枚、Dが2枚だったと思います。
なお、新聞社には慣例で使われるなぞの表記が結構あり、これはその代表的なものではないでしょうか。あと、版制(11版とか14版とか)も「どうして朝刊が2桁で、夕刊が1桁なのか」、誰も正解を知りません。
ということのようや。ワシにとっては、これだけでも「へぇー」ということやけど、それでも質問の正解は分からんと言う。とすれば、その由来というのは、かなり古いことなのかなと思う。
そこで、読者の方にお願いなのやが、この件について何か情報があれば、教えて貰えんやろか。ワシは、分からんことがあるというのは、奥歯に物が挟まった気分で、どうもすっきりせん。
もっとも、今は、歯医者にその奥歯を引き抜かれとるから、物は挾まらんのやけど、誰か教えて頂ければ助かる。
サイトで呼びかけたら、早速情報が寄せられた。本当に有り難いことや。
以前、新聞の印刷に携わっておられ、現在は、拡張員をされている方からや。この方には、丁度、1年前から、このサイトにいろいろと協力して頂いとる。
それでは、紹介する。
情報提供者 shogoさん 現役拡張員 投稿日時 2005.9. 1 AM 9:41
巻き取りの語源についてですが、誰も正確に知らないのは事実だと思います。
知らない理由は、新聞用紙の需要が急増した為、静岡県天竜川沿い(山奥)東渡送線の駅から約48キロ上流に、Y新聞中部工場の建設を明治29年に着手、明治32年開業しましたが、その後、中部工場の貴重な諸書類がすべて紛失したため、巻き取りの呼び名や名称の正確な語源がわからなくなったからです。
このときすでに、A巻き、B巻き、C巻きという呼び方がありました。以後は、どの用紙メーカーでも、慣例的にA巻き、B巻き、D巻き、C巻きと呼んでいます。
それまで輸入に頼っていた巻き取りを明治25年から、ようやく国内で(王子製紙)供給できるようになり、日清戦争後の明治27年、28年頃、新聞用紙の需要が急増した時にはすでに慣例でB巻き8連という言い方が存在していました。
ちなみに、A巻き、D巻き、C巻きの寸法はありましたが、当時の主流はB巻きでした。B巻き巾1092mmで、これは明治23年の規格です。
日清戦争後、現在のB巻き巾は406.5mmです。
B巻き8連から15連、これは明治22年に輪転機をフランスから購入したため、当時の巻き取り巾サイズが43インチとなったそうです。43インチというのは、輪転機の版胴の巾がそうだったからです。
印刷の仕方は、今も共通点がありますが、一胴巾で刷ったものを、スリッターと呼ばれるもので切り、その後、折り機で断裁するんです。
一胴巾で4枚の版がかけられます。同じ版を二枚づつです。それを、表胴、裏胴、かけ印刷し、スリッターで断裁するため一台の輪転機で8ページの新聞ができます。
今も昔も、新聞紙の巾は変わりませんが、フランスが、巾16インチ(406.5mm)で
やっていたため、輪転機を輸入した日本の新聞紙の巾が決まったんです。
A巻きで8ページ、D巻きで4ページ、C巻きで6ページ、B巻きで2ページの印刷をするのですが、実際のところ、現在の新聞輪転機では号外2ページでもD巻きで4ページで印刷後、スリッターでカット後、折り機にて2ページに断裁するのでB巻きの出番は希少です。
また、巻き取りの連数サイズは、明治44年、苫小牧工場が稼動したことにより貨車送りや船積みにかわりB巻き15連が主流でしたが、しだいに新聞の増頁により印刷能力のスピードアップ化が求められ、A巻取り25連に移行していきました。
今は、A巻取り50連、75連が主流です。古い工場ではまだA巻35連があるかもしれません。
現在では、工場により多少異なりますが、ワンセットで40ページの新聞を一時間あたり6万5千部〜8万部ほど印刷することができます。
自分は印刷にいたのですが、C巻使用が印刷技術上、いろいろめんどうで嫌いでした。
昨今の巻き取りの使い方は、建頁、24頁はA巻き3本でワンセット。
26頁はD巻き、A巻き、C巻き、A巻き4本でワンセット。
28頁はD巻き、A巻き、A巻き、A巻き4本でワンセット。
32頁はA巻き4本でワンセット。
40頁はA巻き5本でワンセットです。
どれも軽量紙を使う為、50連以上です。
通常、工程時間の問題で、一日、ワンセットで10万部から12万部を印刷するのが一般的です。
1連で500部印刷できます。50連で25000部の印刷をするのですが、指示部数の残連が異なり、高速印刷中に紙をつなぐことを、ペースタと言います。この仕立てを手作業で行う工場と機械仕立て(自動給紙)する工場があります。
この仕立も輪転機メーカーにより違いY新聞本社の古い機械(東京機械)この仕立てが自分は好きでした。三菱のRX輪転機の仕立ては楽だったけど、あまり好きじゃなかったです。
巻き取り用紙のメーカーは数社あり紙質はかなり違います。月に1〜2度、メーカーが立会い、用紙に対する注文点などを話し合います。
印刷中、張力が上がりすぎたり、その逆でも品質に差がでるので、常に、でんぷん濃度などを変えてみたりしています。インキメーカーも同様で含水率を季節により、上げたり下げたりします。
本当に詳しい内容で有り難いことや。古いことやとは、想像していたが、まさか、日清戦争の明治時代にまで遡るとは思わなんだ。何でもそうやが、奥の深いもんやと、つくづくそう思う。