新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.152 解約する場合、違法な景品類として貰ったものは返還の義務はないのではありませんか?
投稿者 カイヤク君 投稿日時 2005.9.27 PM 6:31
なかなかおもしろいHPでつい夢中になりました。
僕も解約について相談があります。実は近くの新聞店とのトラブルについてです。どうしても納得できないので教えて下さい。
先日、勧誘員がきて6ヶ月の契約をしましたが、思い直して次の日、解約の通知(クーリングオフ)をしました。
契約時、5000円分の商品券と洗剤5ケースを置いていきました。次の日、その勧誘員が来て景品を返せと言われたので、かなり激しく揉めた末「違法な景品類は犯罪だから、警察に相談してからにします」と言ってお引き取り願いました。
景品表示法では、新聞契約は、景品の最高額は取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲内までのはずです。
僕の場合は、景品表示法では1884円までが渡せる景品の限度ということになるはずです。それ以上の金券類を渡すのは犯罪だと考えます。
そこで、ゲンさんに質問なのですが、解約の場合、違法な景品類として貰ったものは返還の義務はないのではありませんか?
明日も、勧誘員とバトルがあると思いますので、よろしくお願いします。
回答者 ゲン
あんたは何か勘違いしとるようやな。クーリング・オフをするのは、消費者の権利やからそれでええ。しかし、クーリング・オフというのは、今更、説明するまでもないやろが、契約をなかったことにするということや。
一切を白紙にする。これは分かると思う。それなら、そのための付帯条件である景品を返さんでもええという発想はどこから来るんやろか。返すことで、初めてすべてが白紙になるのと違うかな。
民法545条に、契約が解除されると、契約は締結した時に遡って消滅し、各当事者は互いに相手方を原状に復せしむる義務(原状回復義務。受領した物を相手方に返還する義務)を負うというのがある。
つまり、あんたがクーリング・オフで契約解除するのなら、勧誘員が、その契約の条件として渡した景品の返還を求めるのは当然やということになる。原状回復義務とはそういうことや。
あんたは「違法な景品類は犯罪だから、警察に相談してからにします」と言うてるが、それを理由に、貰うた景品を返さんという根拠にするには弱いと思う。
因みに、景品表示法の違法性について、警察へ言うてもまず取り合うては貰えんやろうと思う。大抵は、管轄違いを理由に門前払いや。
独占禁止法の補完法として、この景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)というのがある。この法律を運用する機関が公正取引委員会や。国の行政機関で内閣府の外局という位置づけになる。
摘発は公正取引委員会がする。ここは、他から指揮監督を受けることなく独立して職務を行う機関やから、警察が介入することはない。
せやから、あんたはこのことを報告するのなら公正取引委員会にせなあかん。確かに、あんたの言う通りやと、今回のケースは、景品表示法に抵触する可能性は大や。違反しとるとも思える。
しかし、この法律は、個人を摘発するのやなく、業者の不正を取り締まるための法律や。適用されるのは、業者だけとなる。
この場合の業者とは、新聞販売店だけになる。新聞社は関係ないという立場や。実際、勧誘の景品をこれだけ渡せという指示を販売店にするような新聞社もないからな。
新聞社はむしろ、自主規制を打ち出して公正取引委員会に積極的に協力しとるということになっとる。
公正取引委員会が規制する一般的な景品の上限は、取引価格の10%や。新聞業界の自主規制が8%ということだけを見ても、そう言えるからな。
新聞業界の自主規制が、公正取引委員会からの認定を受けたということで法律になっとる。
この法律が、個人には適用されんということは、ワシら拡張員を含む勧誘員が、その景品の渡し過ぎで、摘発や逮捕されることはないということや。
つまり、解約を申し出たあんたに、契約の条件として渡した景品の返還を求めるのは、何ら違法性はないということになる。
あんたの質問に『解約の場合、違法な景品類として貰ったものは返還の義務はないのではありませんか?』と疑問符はついとるが、ワシには、あんたの主張のようにしか思えん。
疑問符の答えなら、返還の義務はあるとしか答えられん。主張なら、その景品類は返したくないということになるけど、その真意が計りかねる。
社会正義として、公正取引委員会に提出するための証拠物件を確保しようとでもいうことなのかな。それとも、まさか、貰い得として、猫ばばをするつもりやないわな。
ワシからのアドバイスとしたら、返した方が、ええやろと言うしかない。あんたのしとることは、まったく無駄な争いやとも思うしな。
最後に、この法律が個人的には適用されんと言うたが、それなら、こういう景品は渡し放題でええのかというと、絶対にそういうことにはならん。
現在、この景品の渡し過ぎに関しては、販売店や拡張団もうるさい所が多い。販売店の指示によるものなら、販売店の責任やから仕方ないが、中には、勧誘員が個人的にそうしとる場合がある。
ひどいのになると、3ヶ月契約でその購読料を全額払うからとか、3ヶ月契約でビール券30枚渡すということもあるようや。こういうのは、爆カードと言うんやが、これは勧誘員の独断による自腹で行う事が多い。
しかし、新聞社、販売店、拡張団は、こういう行為を禁止しとるから、発覚すれば、その勧誘員はそれ相当のペナルティを所属する組織から受けるおそれがある。
勧誘員にとって、その方が、ある意味、法律より怖い。せやから、こういうサービスを客に持ちかけるときは「販売店には内緒にしてほしい」と言うて頼むことが多いということになる。
それが、発覚すれば、程度により、販売店への出入り禁止や所属組織から解雇を通達されることもあるからな。
因みに、今回のあんたへの景品の渡し過ぎが、公正取引委員会に発覚した場合、勧誘員個人が独断でそうしたというケースなら、厳重注意か勧告程度で終わりのはずや。
例え、その販売店に厳罰が下ることがあったとしても、公正取引委員会は、その受け取った景品を返さんでもええとは言わんはずや。民法の原則がある以上、結局は返さなあかんことになる。
最後に、もう一度だけ言うが、あんたが、その景品の返還を拒否することで、得することは何もないから返えしておいた方がええ。悪いことは言わん。
これは、あんたのためにもなる。常に、相手に落ち度があれば、何をしても正当化されると勘違いすると、あんたにとっても大きな不幸になる。自分の不法行為に気付かんようになるからな。
これ以上は、ワシも何も言うことはない。後は、あんたの判断次第や。