新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.155 住所が書いてなくても購読契約は有効ですか?


投稿者 kentarou さん 投稿日時 2005.10.12 PM3:24


はじめまして。
昨年の4月に付き合いでY新聞と24ヶ月契約をし購読していたのですが、そのY新聞をとりだしてすぐ、N新聞と言うのが勧誘に来て、『Y新聞の契約が切れる2年後の4月から購読して欲しい』と言われました。

私はまだ仕事も不安定だし、2年後もここに住んでいるか分からないから契約は出来ないと答えると、勧誘員が『そのとき住んで無くても結構ですよ、契約も確定ではないですから、景品差し上げますんで名前だけ書いてください』と言われ、あまりにしつこかったので名前だけ書いてしまいました。景品はビール1箱でした。

私は“確定ではないので印鑑は押さない、私の住所も書かない”と言って印鑑も押さず住所も書きませんでした。しかし、名前だけは書いてしまったのです。

住所が書いて無くても契約は成立するのでしょうか?
もし成立していたら、いまさら解約は無理でしょうか?


回答者 ゲン


『住所が書いて無くても契約は成立するのでしょうか?』ということやけど、名前を直筆で記入しとることと、景品を受け取ったということで契約は成立しとると考えられる。

勧誘員から『そのとき住んで無くても結構ですよ、契約も確定ではないですから、景品差し上げますんで名前だけ書いてください』と言われたからとのことやが、契約書にサインするという行為自体が確定するということになると思うがな。

勧誘員が「確かに、そう言いました」と認めるか、もしくは、客観的に、あんたの言い分を証明することができん限りは契約を交わしたということになる。

今回の場合は、その勧誘員があんたの家に実際に行って契約しとるわけやから、敢えて住所の記載がなくとも、それが認められる可能性は高いということや。

あんたにとっては、仮契約のつもりやったのかも知れんが、契約書に「これは仮契約である」とか「本契約は後日にする」とかの記載がなければ、それは契約書として有効になると考えられる。

基本的に、新聞購読契約に仮契約というものはない。それなら、今回の場合は仕方ないのかというと、まだ何とも言えんということがある。場合によれば、契約が無効になることも考えられんでもない。

それは、あんたの所に来た勧誘員が、ワシらのような拡張員と販売店の従業員が勧誘した場合とで違うということがあるからや。

拡張員の場合やと、普通の販売店は、名前だけしか記載しとらん契約書を認めることはまずないやろと思う。

販売店からすれば、その筆跡もあんたのものか、他の誰のものかは分からんからな。それを認めてたら、てんぷら(架空契約)のし放題ということになりかねん。

せやから、名前と住所と印鑑がなかったら、拡張員からの契約は受付ん販売店の方が多いということや。大抵は、もう一度行って客からそれを貰うて来てくれと言うはずや。そやない場合でも、販売店はあんたにその確認の電話は絶対に入れる。

もし、その電話があり、例え、拡張員から販売店にはこう言うてほしいと、因果を含められていたとしても、あんたが契約書の内容に間違いないと伝えていたら、立場が弱くなる要因になる。

販売店からの問い合わせがない場合は、あんたの存在が確認され、その契約書にも不備がないと判断されたときくらいのもんや。

どういうことかと言うと、あんたは名前しか書いてなくても、その拡張員が販売所に届けるときには、その項目はすべて書き込まれとるということが考えられる。書き込むのは、当然、その拡張員ということになる。あんたのハンコも押されてな。

ただ、ハンコの場合は、一般的に多い名前ならともかく、あんたの姓は、少し珍しいと思うから、その地域では多いのかなというのが気にならんでもないがな。

地域で多い姓なら、100円ショップや文房具屋に置いてあるやろうから、それを買うて押したと考えられんこともない。あるいは、そういうことを常日頃、言うてる拡張員の場合は、そのハンコを持っとるということもあるがな。

その場合も、あんたには販売店から連絡はある場合の方が多いやろうが、不備のない契約書に対しては販売店もそれほど突っ込んで確認することもない。

「今回のご契約、ありがとうございました」という程度で終いや。あんたもその程度なら、実は、こうなんやとまでは言わんやろと思う。

刑法第159条に私文書偽造等というのがある。勝手に他人名義の契約書を作ったり、契約書を改竄することや。

この罪は、やってる拡張員が考える以上に重い。三カ月以上五年以下の懲役に処するという規定がある。

今回の場合は、それに該当する可能性が考えられるが、現時点では、そうやと決めつけるわけにはいかん。あんたの手元にその証拠がないからな。

しかし、それを手に入れるのは、それほど難しいことやない。その販売店に「交わした契約書の所在が分からんから、コピーでもいいから貰えないか」と伝えたらええ。

大抵はそれに応じるはずや。それで貰うた契約書のコピーと、あんたの手元にある契約書を見比べてみたらええ。

その契約書に明らかな作為や改竄、ハンコの捺印があれば、私文書偽造やと言うて、契約の解除を迫ればええ。それで終わる。

ただ、これが、販売店の従業員、それもある程度以上の立場の主任、店長クラスとの間に交わした契約書やと、あんたが渡したそのままということもある。

普通、販売店のトップもそういう人間の言うことは信用するから、その契約書の不備に関して異を唱えることも少ない。あんたへの確認作業もすることはない。

その場合も考慮に入れて、コピーの契約書を要求する場合「勧誘に来た人に持って来てほしい」と一緒に伝えたらええ。それで、その人間が来るようやと、その販売店のそういう立場の人間やろうし、拡張員なら無理か難しいと答えるはずや。

勧誘した人間が販売店のそういう立場の人間やと分かった場合、契約時の話は間違いないのかと、もう一度、念を押し、間違いないと答えたら、持ってきたコピーの空白欄にでも「これは仮契約である」とか「本契約は後日にする」とかの記載をして貰うことや。

そのコピーになら、それに応じる人間もおるやろと思う。それに、その販売店の責任者的な立場の人間なら、あんたの要望も実際に聞き入れて、間際で契約解除に応じるということも考えられる。

しかし、販売店からそれ以外の人間が来て、そういう話は聞いたこともなく、契約書の改竄もないようやと、あんたの主張は認めんやろと思う。契約は成立しとると言うやろな。

その場合は、あくまでもそれは騙しやと言うて、消費者契約法に「勧誘時に不適切行為があれば契約は取り消せる」とあることを理由に契約解除を迫ることもできる。今回の場合で該当する不適切な行為とは「嘘を言う」「うまい話を言った」ということになる。

それを主張すれば、揉めるやろけど、あんたが納得できんというのなら仕方ない。せやけど、揉めるのが嫌なら、契約は成立したと認めるしかないことになる。

その場合『もし成立していたら、いまさら解約は無理でしょうか?』ということやけど、どんな契約でも解約不可能ということは絶対にない。無条件解約ができんということがあるだけや。

解約の条件を示せば解約には、法的にも応じなあかん。新聞購読契約の解約の条件というのは、大抵の場合、解約違約金の合意ということになる。

もっとも、これは新聞の購読契約だけに限らず、世の中の他の契約すべてについても言えることやけどな。

その交渉の過程で、今回の件はその解約金の軽減を求める上での材料にはなると思う。もちろん、相手の販売店次第で違いはあるやろけどな。

ただ、ここで注意せなあかんのは、あんたに非がまったくないとは言えんということや。契約書に名前だけでも書いたということもそうやが、何よりその条件として景品を受け取っとるということが大きい。

契約する意志も気持ちもないのに、何でそのための付帯条件である景品を受け取ったんやと、そこを突かれたら、あんたも言葉に窮するやろと思う。

あんたの場合は、実際に購読するのは「Y新聞の契約が切れる2年後の4月から」ということのようやけど、そんな先の契約に対する景品の受け取りは、常識をわきまえた者なら、その間際に持って来てくれというのが普通や。

実際に、そういう人間の方が圧倒的に多い。特に、あんたのように、その時になって取るか取らんか分からんという場合にはな。例え、契約書を仮のものと勘違いして書いたとしても、そのための景品を受け取ろうとはせんもんや。

それを受け取ってなければ「それは、その時にならなはっきり分からんかったから、仮の契約やと言うんでそうしただけや」と言えるからな。

ただ、海千山千の勧誘員に言葉巧みにそう言われたのやということは分かる。そのときはそうかなと思うたというのも理解できる。しつこさに負けたということもあるやろ。

それでも、この景品をその場で受け取ったということは、すべてを承知やったと言われても仕方ないということがあるということを覚えておいた方がええ。

実は、この景品を契約時に渡すというのは、単に客に対するサービスからだけやなく、後日、契約で揉めた場合、このあんたのようなケースで「その時、本当にそう思ったのなら、何でその契約のためのサービスとしての景品を受け取ったのか。契約を承知したから受け取ったはずだ」と責める材料にするためという狙いもある。

実際、その論理に間違いはないと思う。もし、それが違うと言うのなら、新聞の購読契約をするつもりもないのに、その景品目当てだけでサインしたということになるからな。

冷静に考えれば、その方が異常やと気付くはずや。世の中、何のリスクもなしに、ただサインするだけで貰い得というのはあり得んと思うとかなあかん。あるのは、得したと錯覚することだけや。

今回の場合、例え、あんたの主張が認められて、解約になったとしても、貰うた景品は返さなあかんことになる。嫌な思いが残るだけで何も得することにはならん。

まあ、あんたも今回のことで良う分かったと思うから、次からは、こういうことには気を付けることやな。こんなことを簡単に信用してたら、そのうち、ろくなことにはならんと思うで。


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