新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.170 新聞の途中解約について


投稿者 匿名希望さん 投稿日時 2005.11.30 AM 11:05


色々検索していてこちらのサイトに辿り着きました。新聞購読の途中解約についてお聞きしたい事があり、メールさせて頂きました。

平成14年6月〜平成19年5月までの60ヶ月契約をしました。そのサービスとして自転車・ビール券・ビールを貰い、1年間無料購読もしました。

契約の時点で11ヵ月後に引越しすることが分かっていたので、長期の契約はお断りしましたが、引越し先で取ってくれたらいいからと居座られて契約しました。

でも、1年、新しい所に住んでみて(親と同居し始めたのですが)2紙も取っているのは保管場所に困るので、面白くない方を解約しようと昨年のこの時期に販売店に問い合わせました。

すると、『現時点で2年半が経っていますがこのあたりの相場で2年購読すると半年無料購読なので、1年無料購読の半分の22950円を違約金として支払って頂ければ解約に応じられます』と言われました。

この時点で解約していれば問題なかったのですが、迷ったので『とりあえずもう少し購読します』と言いました。

昨日、やっぱり解約を・・・ともう一度販売店に問い合わせてみたら、『81200円支払って頂かないと解約には応じられません』と。

去年から更に1年間払ったのに、何故か3倍以上も違約金が高くなりました。内訳は@無料購読1年分の料金(45900円)A景品の料金6P分(18000円)B営業費(17000円)です。(計算しても81200円にはならないのですが・・・)Bは拡張員に支払う報酬だそうです。

正直、おかしくないですか?勿論、契約違反をしようとしているこちらに落ち度があるのは分かります。ですので、ある程度の違約金は覚悟した上で電話しました。でも、営業費って私が負担するもの?

5年契約に対して販売店が拡張員さんに報酬を払っているのはこちらのサイトで理解しました。しかし、現時点で無料購読を除いても2年半購読しました。契約の6割以上は経っているのです。

もし支払う義務があるなら残り4割分とは言わなくても半分でいいと思うのは私の勝手でしょうか?

又、30ヶ月購読したのだから、無料購読分にしても全額返還する必要はないと思うのですが、如何なものでしょうか?

とても長くなりましたが、販売店は、私がまだ20代で女だからか、私が最初の応対の悪さに怒ってしまった為か、終始タメ口で、小ばかにし吹っかけられているような恐喝されている様な気分にさせれました。

心底腹が立ち、違約金を払ってでも解約したい気持ちでいっぱいですが、8万円も支払えません。どうしたら一番よいか、お知恵を貸してください。よろしくお願いします。


この相談に疑問点があったので、ハカセに少し聞いて貰った。


送信者 ハカセ 送信日時 2005.11.30 PM 2:11

サイト管理者のハカセと申します。

ご相談の件、承りました。それにつきまして、お尋ねしたいことがあります。

それは、引っ越し先についてですが、11ヶ月後に引っ越しされたというのは、同じ新聞販売店の営業区域内だったのでしょうか、それとも、別の新聞販売店への引継契約だったのでしょうか。

もし、別の販売店ということでしたら、引っ越しをされた時点で、新たにその販売店と新しい契約書を交わしたのでしょうか。そうならば、それに書かれた契約内容を教えて下さい。

今回のご相談は、それによって回答が違うものになることが予想されます。

それでは、ご返事をお待ちしています。


早速、返信があった。


返信者 匿名希望さん 返信日時 2005.11.30 PM 2:43


早速のお返事ありがとうございました。 別の販売店への引継ぎ契約ですが、新しい契約書は特に交わしていません。

販売店曰く、先の販売店から今の販売店が契約を買ったそうです。なので、拡張員に支払った報酬も支払えとの事です。


回答者 ゲン


結論から先に言えば、法律的には、あんたはかなり有利な立場やと考えられる。

この件に関しては、念のために、当サイトの法律顧問をして頂いておられる、法律家の今村英治先生 に、ご意見を伺っているので、それを踏まえた回答をしようと思う。

新聞購読契約というのは、新聞販売店とあんたとの間の個別契約であって、新聞社は一切関係ない。新聞社もそういう立場や。これを、良く勘違いするから、こういうことが起きる。新聞社との契約と錯覚するわけや。

そして、新聞業界は宅配制度というものに支配されていて、新聞販売店は、決められた販売エリア以外の配達と営業ができんことになっとる。

つまり、契約者がその地域から、やむを得ず急にエリア外に引っ越さなければならなくなった場合、元の販売店はエリア外での配達ができんということやから、契約債務の履行が不可能になる。

この場合、無条件で契約は解除される。契約が解除されれば、双方は契約以前の状態に戻す必要がある。

契約者は契約時に貰った景品やサービスの返還義務を負い、販売店は、正当な事由ということで違約金なしの解約に応じなあかんということや。

ただ、ここで契約者は、その契約期間内で引っ越しするのを承知でその契約を結ぶのは違法ということになり、場合によれば詐欺罪が適用され、販売店から損害賠償を請求されることもある。

今回の場合は、あんたは事前にその引っ越しを通達しとるから問題はない。普通、客が引っ越しをすると分かれば、勧誘員もあきらめるのが大半やが、中には、あんたのように、それと承知で契約を迫ることもある。

引っ越し先で引き続き購読して貰えればええという理由でな。あんたの言う『販売店曰く、先の販売店から今の販売店が契約を買った』ということになるわけや。

この業界では、契約の売買というのを販売店間でしとる場合がある。これは、引っ越しの他にも、勧誘員がエリア外の住人から取った契約を、販売店を通してそのエリア内の販売店に売るケースなんかがそうや。

その際、かかった経費と同額で売るのが一般的や。もともと、これは、新聞販売店のサービスのような感覚で始められたことやと聞く。

契約者にしても、引っ越し先で同じ新聞を取るのなら、改めてそこの販売店と契約を結ぶ手間も省けるということでな。引っ越し当日から、自動的に新聞が届く。

それに、場合によれば、その契約者の利益になることもある。新聞販売店の景品やサービスは全国で一律やない。同じ新聞であっても、地域や販売店毎で違うのが普通や。以前の販売店の方がサービスは、はるかにええという場合がある。

一旦、解約して、また新しく引っ越し先の販売店と契約した場合、そのサービスが格段に落ちるということもある。その点、そのままの引継なら、その不利がなくなるわけや。

但し、そういうケースやと、受け入れる側の販売店がその売買に応じん可能性があるから、それは成立せんことがある。

その売買が成立するのは、やはり、同等がそれに近い条件の販売店同士やろと思う。すべての販売店間でそれが行われとるということやないわけや。

この引っ越し時の、引継というのは、法律的に言えば、債権譲渡ということになる。これについて少し説明する。民法467条にその規定がある。

債権譲渡は元の債権者(譲渡人)と、新たに債権を譲り受ける者(譲受人)との間で債権譲渡契約を締結し、元の債権者である債権の譲渡人が債務者に対し債権を譲渡した旨の通知をすることで法的に有効となる。

新たに債権を譲り受ける者(譲受人)から債務者に「引き継ぎましたよ」と言っても効力はない。これを認めると悪いヤツが嘘ついて、どんどん債権回収してしまうからな。

債務者への通知は通常、内容証明郵便で行われる。債権譲渡に関する第三者への対抗要件は確定日付のある証書やからな。したがって重複譲渡などのトラブルを避けるため内容証明郵便が利用されるということや。

つまり、販売店が「これは前のお店からの契約の継続だ」と言ってきてもこうした通知がない以上、債務者が「債権譲渡の知らせはないから無効」と主張することができるというわけや。

あんたの話を聞く限り、新しい契約書を交わしとらんということやし、この内容証明による債権譲渡の通知もないようやから、強気でそう言うてもええと思う。

いずれにしても販売店側は、債権譲渡に関わる確定日付のある証書も契約書もないんやから、圧倒的に不利になる。

せやから、あんたが法律的な根拠で、その販売店に今回の契約の解除を申し入れるのなら、それも可能となる。

販売店が債権譲渡を主張するなら、通知を受けていないと突っぱねたらええし、新規の契約と主張するなら、そちらの販売店からはクーリングオフの説明を書面で受けていないと言えばええ。

実は、クーリング・オフの期間というのは、この書面での通知があって初めて8日間という期限が発生する。普通は、契約書を交わした段階で、その裏面に「クーリング・オフのお知らせ」というのがある。それで、契約後、8日間というのが、クーリング・オフの期間と一般的には思われとるわけや。

せやから、あんたの場合は、その契約書がなく、未だに、その書面の通知もないのやから、クーリングオフ期間=8日間で終了の起算日がまだ到来していないと大手を振って主張できるということや。

具体的なトークとしては「前の販売店からの契約継続ではなく、おたくとの間の新規の契約と認識している」と、まず言う。

実際、あんたは、前の販売店とは債務不履行による契約解除になっとるのやから、必然的に、現在の販売店との新規契約ということになるからな。

多くの販売店は、この継続契約であっても、やはり、新規の契約書を作成しとるからな。それが、当たり前なんやが、ここは、それをしとらんから、そのことを突けばええ。

せやから、続いて「新聞の購読契約の締結については、特定商取法第9条の訪問販売に該当し、クーリングオフ制度が法律で設けられている。新聞の契約時には必ずこの書面を交付される。この書面を交付されてから8日以内ならクーリングオフができることはご存じだと思うが、私はこの書面を交付されていない。したがっていつでも契約解除ができる」と言えばええ。

但し、このやり方は、当然やが、ある程度、揉めるというのは覚悟しとかなあかん。話も、ころころ変わるところを見ると程度のええ販売店とも言えんようやしな。

まあ、脅迫めいた言動があれば、それを録音して警察にでも通報すれば問題ないが、そんな揉め事は面倒やというのなら、話し合いに切り替えればええ。

それも、これだけの条件が揃うてるのやから、有利に運べるはずや。

あんたが、この契約を結ぶ際に、以前の販売店において受けていたサービス分の返還で話をつけるのが、心情的にも一番、すっきりするやろと思う。

しかし、その額は、あんたの納得できる範囲でええと思う。実際に、一定期間の購読をしていて、現在の販売店にも利益があるはずやからな。

具体的な額やが、その販売店が以前、提示していた解約違約金をベースにしたらええと思う。

『現時点で2年半が経っていますがこのあたりの相場で2年購読すると半年無料購読なので、1年無料購読の半分の22950円を違約金として支払って頂ければ解約に応じられます』と言われましたというやから、それから、1年間購読しとる分を差し引けばええという計算や。

ただ、ころころと言うことが変わるような販売店は、それも言うた覚えがないと白を切ることも考えられるが、聞く限り、かなり信憑性の高い話のようやから、その真偽を確かめるのはそれほど難しいことやないと思う。

この販売店が言うには、2年半残りの時点で、違約金が22950円ということやから、現在が1年半残りということで、単純計算やが、13770円という計算が成り立つ。

これは、22950円÷30ヶ月=765円(1ヶ月分当たり)×18ヶ月=13770円という計算や。もっとも、この額は、単なる計算やけど、その販売店の最初の提示金額からすれば妥当な線やと思う。

おそらく、あんたが予想しとった金額より安いやろが、この金額でも、景品やサービス分を差し引いても、その販売店には十分利益が出とるはずやから、交渉する価値はある。最終的には、お互い納得の上でとなるがな。

決裂しそうやったら、この金額以外では、交渉に応じんと突っぱねるのも、一つの手や。その販売店が、ごねても一銭にもならんと分かれば、それで応じるはずや。

その交渉の場やけど、若い娘さんということで甘く見られとると感じられとるのなら、誰か頼りになる男の人に一緒に掛け合って貰ったらどうかな。親御さんと暮らしておられるのなら、お父さんがええのやないのかなと思う。

今回の件は、あんた次第や。法律を楯に、きっぱりはねつけるもよし、話し合いで有利に運ぶもよしということや。どう、転んでも、あんたの不利になるようなことはないと考えるからな。

また、何か分からんことがあったら、いつでも、遠慮せんと聞いてくれたらええ。ほな、頑張ってな。


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