新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.172 他界した父のしていた購読契約の解除について


投稿者 T さん 関西在住 投稿日時 2005.12.1 PM 11:25 


はじめまして。
新聞販売店と、題記のような契約解除のトラブルを抱えてしまい、Webを色々と検索 していたところ、貴HPに辿り着き、mailさせて頂いた次第です。どうか良きアドバイスをお願い致し ます。

先日、一人暮らしをしていた父が他界致しましたので、遺品の整理をしていたところ、平成18年の1月から5年間の△△新聞の購読契約書と、平成23年の1月から4年間の○○新聞の購読契約書が出てきました。

そこでまず、△△新聞の販売店に電話をかけ事情を説明し、契約解除を申し出たところ、こちらは丁寧な対応をして頂け、快く契約解除に応じていただけました。

ところが、○○新聞のほうは「だったら法定相続人がいるでしょ?その人が契約を引き継いで下さい。契約解除には応じられません。」といって、契約解除に応じてくれません。

後は何を言っても「契約解除には応じられません。」の一点張りで、条件の提示もありません。あんまり頭に来たものですから、こちらもつい「弁護士さんに相談してまたかけなおします!」といってその日は電話を切ってしまいました。

その後、○○新聞社に電話をかけたのですが、「販売店と話し合って下さい」との回答しか得られず、消費者センターにも相談し、あらためて○○新聞の販売店に電話をかけなおしたのですが、結局、何を言っても「契約解除には応じられません。」の一点張りで、「弁護士を通して貰って結構ですよ」とか、挙句の果てには「弁護士も消費者センターも怖くない」と、開き直られる始末。

もちろん私は「無条件での契約解除」を求めているわけではありません。父も契約時のサービス(アタック2ケース)を受け取っていたようですし、常識の範囲内でなら、解約金?を支払うつもりはあります。

やはり、弁護士なんて言葉を出したのがいけなかったのでしょうか?
これから先、一体どのように交渉していけばよいのでしょう?

それにしても、私は「弁護士を通す」なんて一言もいってません。あくまでも「相談する」なんですが、相手にはそんなこと関係ないんでしょうねぇ。○○新聞の悪評は聞いていましたが、ここまで酷いとは思いませんでした。


この相談者の方に確認したいことがあったので、ハカセから聞いて貰うことにした。


送信者 ハカセ 送信日時 2005.12. 2 AM 9:49

サイト管理者のハカと申します。

この度は、お父様が、お亡くなりになられたとのこと、お悔やみ申し上げます。
ご相談の件、承りました。それにつきまして、お尋ねしたいことがあります。

先日、お亡くなりになられた、お父様の年齢は、おいくつだったのでしょうか。
その契約書の名前と住所の記載は、お父様の筆跡に間違いないのでしょうか。


その返信内容は、次のようなものやった。


返信者 T さん 返信日時 2005.12. 3 AM 0:58

まず、父の年齢は73歳です。諸般の事情により、別居をしておりました。(仲が悪かったというわけではありません)

近年、脳梗塞をわずらい、入退院を繰り返してはおりましたが、一人暮らしが出来ないほどの状態ではありませんでした。

しかし、いつまでも一人にしておくわけにもいかず、そろそろリフォームをして一緒に暮らせるように考えねば…と話し合っている矢先のことでした。

次に、契約書の記載内容についてです。
△△新聞の契約書の方は、住所と名前、電話番号の所は父の直筆です。しかし、○○新聞のほうは、間違いなく父の筆跡ではありません。十年以上前なら 書けたかもしれないような力強い字です。

「最近は手が震えて、うまく字が書けない。」と、よく言っておりましたので、恐らく代筆したのだと思います。恐らく、他人がみても一目瞭然だと思います。

では、何かとお忙しいとは存じますが、何卒よろしくお願い致します。


回答者 ゲン


お父さんが亡くなられたとのこと、お悔やみ申し上げる。

それにしても、何ともえげつない販売店やな。法的にも、その○○新聞販売店の言うてることは通らん。場合によれば、犯罪を問われるということもなりかねん。もちろん、契約は無条件解除や。その販売店が応じる応じんの問題やない。

その根拠は、その契約書が偽造されたものやということにある。ワシが、ハカセに、あんたに聞くようにして貰うたのは、それが知りたかったからや。

通常、この業界には独居契約者の死亡と急な引っ越しは、契約解除やむなしという不文律のようなものがある。たいていは、それで、ほとんどの販売店があきらめる。

その根本の考えは、あくまで、新聞契約は、販売店とその個人との間のもので、その契約の購読開始時に、そこに住み、生きていたらというのが最低条件になるというのがあるからや。

△△新聞販売店の対応が、この業界では普通なんや。それを、こういうヤカラ(無茶の意)じみたことを平気で言う販売店は、往々にして無法な契約を取ったおそれがあると考えたためや。

契約書の筆跡が、お父さんのものと明らかに違うというのが、かなりの高確率でそれを裏付けとると思う。

契約書というものは、住所、氏名はその契約者の直筆でなかったらあかん。また、契約書に代筆するにも、その資格を有した者しかその効力はない。

こういう、たちの悪い販売店にありがちなのは、勧誘員がサービスのために書いたと言うか、客に頼まれたから書いたと主張するということがあるが、それは通用せん。

お父さんが亡くなられとる今となっては、それを証明することはできんのやからな。この場合の立証責任は、販売店側になる。あんたの方でそれを証明する必要は一切ない。

印鑑を押してあると言うかも知れんが、これも、実印以外やったらその効力もない。実印というのは言うまでもなく、印鑑証明用に役所に登録された印鑑のことや。何ぼ契約書やというてもそんなもの新聞契約程度で押すはずはないから、そういうことはないやろがな。

万が一、お父さんが通常、使うてた印鑑が押されてたとしても、それも、おそらく、その勧誘員が押したものやから、知らんと言えばええ。

その印鑑が、確かに通常使用されていたかどうかというのは、お父さん以外では分からんやろし、その販売店がそれを証明することは、まずできんはずやからな。

あんたの名前やったら、おそらく、どの100円ショップにでも売ってるはずやから、それを押したんやろとでも言えばええ。事実、契約書を偽造するような者は、平気でそうして押しとるからな。常習者はそういう印鑑をいくつも持っとるのもいとる。

せやから、この契約書は、あんたにしたら「偽造されたもんや」と言えるわけや。「偽造された契約書に従うつもりはない」と、はっきり宣告したらそれで終わる。

刑法第159条に私文書偽造等というのがある。今回のように、勝手に他人名義の契約書を作ったり、契約書を改竄することや。

同じ仕事に携わる人間として恥ずかしい限りやけど、これをやる勧誘員も実際にいとる。おそらく、お父さんからこの契約を取ったのはこういう輩にほぼ間違いないと思う。

この罪は、やってる勧誘員が考える以上に重い。3ヶ月以上5年以下の懲役に処するという規定があるからな。

その販売店は、聞き分けがなさそうやから、それでも「勧誘員が勝手に取った契約で、こちらには責任はない」と言い出しそうやが、それも通用せん。

使用者責任というのがあるからな。これは、従業員であろうが、外注であろうが、それを免れることはできん。

この件のあんたの対処法は幾つかあるから、これからそれを教える。

1.このまま、何もせずに放っておく。相手にせんでも、どうということにはならん。その○○新聞の販売店の契約は平成23年の1月からということやから、まだ、5年以上先の話や。

その時になって、その新聞販売店から、購読開始を通告して来たら、初めて「それは契約書を偽造されたものやから応じるわけにはいかん」と言えばええ。

それまでは、その販売店は、あんたに対して何も言うことはできん。その販売店は、その時にならな、購読拒否による被害を受けたとも言えんわけや。現時点では、何も起こってないんやからな。

それに、これは、ワシの想像やが、そういう販売店が果たして、後、5年も存続しとるのかなということも考えるからな。

何度も言うが、通常、死んだと知ってその身内にその契約書を引き継げというのは異常や。ワシもあまり聞いたことはない。

ワシら拡張員も、たまに古い契約が不良カードで返ってくることがある。理由は、死亡か引っ越しが多い。ワシらの団では、まだ、購読が開始されとらん契約なら、あきらめて、拡張料なんかの返還をする決まりになっとる。

ワシも過去にそういうのは、いくらもある。つい先だっても、ワシが懇意にしとるハルさんという家主が死んだんやが、その少し前にその人と交わしてた契約が返ってきた。この販売店のような所ばかりやったら、そういう無効カードは、存在せんことになる。

その販売店が、それを今まで恒常的にしとったのか、それとも、いつもは、そういうことはしとらんのやが、そこまでして、解約を阻止せなあかんほど、現在が追いつめられとるかのいずれかやろと思う。

後者の場合やったら、そういうことを繰り返しとったら、早晩、改廃(廃業)の憂き目を見ることになるのやないかな。評判もかなり悪そうやからな。5年後までに、かってにコケるかも知れんから、それまで放っておいたらどうやということや。

言うまでもないことやと思うけど、その契約書とお父さんの筆跡の分かるものは残しておかなあかんで。

2.性格的に、きっちりせな気持ちが悪いと言うのなら「その契約書は偽造で、本人の意思と違うから無効や」と通知したらええ。通知は、内容証明郵便の方がええやろな。

懇意にされておられる弁護士の方がおられるのなら、その方に頼むのもええし、内容証明郵便の通知だけなら行政書士の方でも十分や。もちろん、ご自分で出されるのもええ。

もっとも『「弁護士も消費者センターも怖くない」と、開き直られる始末』ということなら、その販売店にそれで、どこまで納得させられるかどうかというのは、はなはだ疑問やがな。

わけの分からん人間を説得するほど難しいことはない。腹の減った熊をなだめるみたいなもんや。餌をやれば、おとなしくはなるやろうがな。

もっとも、そんなことをするのは馬鹿げとるから、説得するというのは、あきらめた方がええ。そういうのに、理を説こうが何を言おうが無駄や。相手にするだけ損や。

それでも、一度だけ、ちゃんと通知しとくというのは、例え、揉め事が5年後ということになっても、あんたには圧倒的に有利に働くやろから、無駄やないとは思うがな。

3.新聞社の販売部に再度、連絡をするというのも、解決の道は近いかも知れん。

ただ、前回『その後、○○新聞社に電話をかけたのですが、「販売店と話し合って下さい」との回答しか得られず』と返事されたということから、言いにくいかも知れんが、何でもそうやけど言い方というのがある。

あんたが、始めにどう言うて連絡を入れたのか分からんが「契約について困ってます」という言い方なら、まず間違いなく、あんたに言うたように「販売店と話し合って下さい」となる。

新聞社は、契約事に関して、関わるようなことはせん。契約はあくまでも、販売店と購読者間の問題やというスタンスやからな。

新聞社の販売部に連絡を入れる場合、なるべく困っている理由として販売店の不法性、違法性を強調することや。それを放置すると、そちらの新聞社に傷がつきますよというニュアンスやな。

具体的に今回の場合で言えば「そちらの販売店の方が、明らかな契約書の偽造により、違法な契約を結ばれたので、それを解除してほしいと申し入れましたが、取り合っていただけないのでそちらから注意をして頂けませんか」と話す。

そうすれば、必ずその事情を聞いてくる。その時にも、お父さんが、脳梗塞で倒れたのをいいことにという感じで、その不当性を強調することや。

実際、そうやと思う。そういう病気の人は一目見たらだれでも分かるもんや。通常の神経の持ち主なら、そういう人からの契約は控えるもんやからな。

さらに『このまま、それを放置されるというのであれば、これは、刑法第159条に私文書偽造等に当たる刑事事件ですから、警察に告発するしかありませんが』とでも言えばさすがに真剣に対応するはずや。

4.この問題で、あんたがその契約を拒否した場合、それによって損害を被ったというのであれば、その販売店が裁判所に訴えなあかん。それが、受理されれば、裁判ということになる。

一般では、この裁判というのを、何か大変なことのように思うかも知れんけど、民事のそれは大したことはない。半分、脅しの文句にそう言う者がおるがな。

今回のケースで、どう間違ってもあんたが敗訴ということは考えられんから、心配することもないと思う。念のために、実際の民事裁判でもワシの体験を踏まえた回答が『NO.35  契約内容が新聞販売店から変更されたので解約したい』で言うてるから、参考にして貰うてもええ。

それより以前に、その販売店がそうするとも思えんがな。販売店にそれで得られるものは何もない。勝てもせん裁判費用がかさむだけやからな。また、実際にそういう話も聞かん。せやから、こういう問題での判例すらないわけや。

あんたの方には、何の落ち度もないわけやから、堂々としとればええ。受けて立つという姿勢でええのやないかな。

『結局、何を言っても「契約解除には応じられません。」の一点張り』ということなら、こちらは『そんな違法な契約は認めんから、例え、その時になって新聞を強引に入れ始めても一銭も払うつもりはない』と、突っぱねたらええ。それで通る。

まあ、これだけのことを言われて、尚かつ、そう主張する所はないとは思うが、例え、そうであっても、理は間違いなくあんたの方にあるのやから、臆することはないと思う。


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