新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.175 値上げされたとき・欠陥があったとき
投稿者 NONさん 23歳 男性 千葉県在住 投稿日時 2005.12. 4 PM 9:19
NO.108以来、半年ぶりにお尋ねしたいことがあります。契約についてです。よろしくお願いします。
1.以前、購読したときの契約書に、中途解約はできないことが書かれており、その下に「購読料の改定が行われた場合は、新購読料とさせて頂きます」と書かれてあります。これは例えば、月3000円で購読契約をして、契約期間中に5000円、1万円と、どんどん値上げされたとしても、従うしかないことになるのでしょうか?
2.最近の耐震強度偽造による欠陥マンションの問題を見ていて思ったのですが、新聞に欠陥があった場合、契約はどうなるのでしょうか。万が一、新聞に前代未聞の大誤報や虚偽報道が発覚して、その新聞が信用できなくなったとき、その時点で解約できるのでしょうか?
有り得ない話かもしれませんが、もしも実際に起きたらと思うと、気になりました。契約で痛い目に遭わないよう、教えて頂きたく思います。よろしくお願いします。
回答者 ゲン
1.の 『「購読料の改定が行われた場合は、新購読料とさせて頂きます」と書かれてあります。これは例えば、月3000円で購読契約をして、契約期間中に5000円、1万円と、どんどん値上げされたとしても、従うしかないことになるのでしょうか?』という質問やけど、こういう値上げはまずあり得んやろな。
新聞は著作物再販の対象とされ、再販行為が独禁法上例外的に許されとる。それを公正取引委員会が管轄しとる。
他の商品のようにメーカーの都合だけで、簡単には値上げはできんという背景がある。値上げするには、公正取引委員会にお伺いを立て、その承認が必要になる。過去に認められた値上げ幅も1年で100円、200円という程度のもんや。
例外的に、1973年から1974年にかけて600円という上昇があったが、それが最高や。
もっとも、その時代は、日本が超高度成長の真っただ中でインフレにより物価の上昇率も異常に高かったから、その600円も、現在の感覚で言えば100円程度のもんやったわけや。
「購読料の改定が行われた場合は、新購読料とさせて頂きます」という裏には、その100円程度の僅かな値上げという意味合いがある。その程度は、辛抱して多めに見てよ、というやつやな。
ここで、参考までに、ハカセが調べた主な全国紙の戦後から今までの、宅配1ヶ月分の新聞代の推移を教えとく。
1951年10月までは朝刊のみしかなく、1951年11月以降は朝夕セット料金を表示した。
年度 | 新聞購読料金 |
1946 | 5円(2月) 8円(8月) |
1947 | 12.5円(5月) 20円(10月) |
1948 | 44.75円(9月) |
1951 | 100円(5月) 130円(9月) 280円(11月) |
1952 | 280円(11月) |
1954 | 330円(9月) |
1959 | 390円(11月) |
1962 | 450円(11月) |
1965 | 580円(10月) |
1968 | 660円(11月) |
1969 | 750円(11月) |
1971 | 900円(4月) |
1973 | 1100円(7月) |
1974 | 1700円(7月) |
1978 | 2000円(3月) |
1980 | 2600円(6月) |
1986 | 2800円(5月) |
1989 | 3100円(2月) 3190円(4月) |
1992 | 3650円(2月) |
1993 | 3850円(12月) |
1994 | 3925円(4月) |
この表を見て貰うたら分かるが、1994年を最後に、ここ11年ほど値上げはしとらん。過去にもこれほどの長期間、値上げせんかったことはない。今のところ、それが何を意味するのかまでは分からんがな。
そろそろ、値上げがあるかも知れんし、このままこの値段が続くという気もする。あるいは、実質の売れ行きが落ち込んどるのは確かやから、値下げを検討しとるということも考えられる。
新聞の価格は、その時代毎の物価に合わせて、売れやすい金額の設定をしてきたという側面が伺われるからな。
しかし、過去には、ただの1度も値下げしたことがないから、そういうことになかなか踏み切れんのと違うかな。勝手な憶測やがな。
余談やが、この1994年に、ワシはこの世界に飛び込んだ。せやから、ワシ自身は、この新聞代の値上げという問題に立ち会ったことがない。
ただ、その当時、駆け出しの頃、若干やが、それに文句を言う客が確かにおったのは事実や。前年から75円程度の値上げなんやが、世の中はバブルが崩壊して不景気になりかけとったから、僅かな値上げでも過敏に反応してたんやな。
「こっちは、3850円で契約したんやで、何で新聞社の都合で勝手に値上げされなあかんねん」という具合や。
今やから言うけど、その当時は、ごねる客には、そのままの値段の集金をしとった所が多かったと聞いた。納得して貰える客だけ、その値上げ分を戴くということや。
ただ、その時の契約書には「購読料の改定が行われた場合は、新購読料とさせて頂きます」という一文はなかったように記憶しとる。
せやから、客もよけいに「勝手に上げくさって」ということになったわけや。そのトラブル防止の意味もあり、この一文を追加する契約書が増えたんやないかな。
これらの説明で、極端な値上げは存在せんということが分かって貰えたのやないかなと思う。
しかし、それで済ませては、あんたの仮にという質問の答えにならんから、現実味はなくとも、そうなった場合のワシの考えを言う。
『契約期間中に5000円、1万円と、どんどん値上げされたとしても、従うしかないことになるのでしょうか?』というのは、それに従って払う必要はない。やはり、それは程度の問題やという気がする。
消費者契約法に、消費者の利益を不当に害する契約条項は無効とするというのがある。これは、それに該当すると思われるから、それを拒否できるし、契約解除も可能ということになる。
2.最近の耐震強度偽造による欠陥マンションの問題を見ていて思ったのですが、新聞に欠陥があった場合、契約はどうなるのでしょうか。万が一、新聞に前代未聞の大誤報や虚偽報道が発覚して、その新聞が信用できなくなったとき、その時点で解約できるのでしょうか?
これに関してはあり得ん話やない。現実に『新聞に前代未聞の大誤報や虚偽報道が発覚して』というのは、どの新聞社も抱えとる問題や。
これのない新聞社はないとさえ言える。人によって捉え方は様々やけど、この問題は結構、深刻や。
その時々の事件で、あんたのように、信用できんからという理由で「解約や」と言う客は多い。これは、法的に云々ということやなしに、それを言い出す客を引き止めることは難しいと思う。
最近では、今年の始め奈良の小1女児殺害事件の犯人が新聞配達員やったと発覚したということがあったが、その事件以後、その犯人が勤めていた販売店の新聞を読んでいた客からの契約解除が殺到したということがあった。
その販売店も現在は改廃(廃業)になったが、その当時、地域で25パーセントほどのシュアを誇っとった。しかし、今現在の販売店では、その購読客は半減してしもうたということや。
そして、それは、その地域だけに限らず、周辺の購読客にまで及んどる。あるいは、全国的にも少なからず、その影響はあったはずや。
このQ&Aの『NO.56 小1女児誘拐殺人事件について』に質問を寄せられた方も、近隣の地域に居住されており、その新聞を購読しとったから、どうしようかと悩まれとった。ワシは、事件と新聞は関係ないからと購読続行を勧めたがな。
後に、その人からのメールで、そのことかを分かって貰えたのか、引き続き読みますとのことやった。
しかし、大勢の人が、当時、その新聞から離れたのは事実や。これは、ええとか悪いの問題よりも、嫌悪感という性格が強いと思う。これについては、どうしようもない。
販売店も数人の客程度やったら、何とか頑張って、その契約阻止に奔走するかも知れんけど、大事件が勃発して、解約やという客が数多くいとった場合は、完全にお手上げ状態にならざるを得んということや。
そういう時に、法律云々の話を持ち出しても、まったく無意味やからな。せやから、あんたの質問の答えは、新聞の名前や信用を落とすほどの重大事件があれば、解約されてもどうにもできんということになるやろなということや。
但し、何ぼ、信用できんことやと言うても、あんた一人でそう主張してもあかんで。あんた一人だけの場合は、自己事由ということになり、正規の解約手続きが必要になる。
やはり、それには社会的反響というものが大きく左右することやと思う。