新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.186 このようなケースでの解約は可能ですか?
投稿者 andy さん 投稿日時 2006.1. 3 AM 2:31
はじめまして
一昨日、以前7年間位購読していた○○新聞(事情あって1年半前から2年前位に更新中止)がポストに投函されていた為に、間違いではないかと販売所に連絡したところ、半年前に離婚した元妻が1年半前に、今年の1月1日からの契約を私の名前で交わしており、クーリング.オフの期間も過ぎているのでいまさら解約は出来ないとの一点張りです。
販売所は確かに元妻のサインした契約書を持っているようですが、私自身は取る意思がありません。今後、どのように対応すればよいかを是非お教え下さい。
回答者 ゲン
あんたのケースは、法律的に言えば微妙なところがあるが、契約を無効にできるのやないかと考えられる。
民法第113条に代理権を持たない者が、その他人の代理人としてした契約は、その本人がその契約を認めない場合は無効となるとある。
この場合、その当時、妻であったとしても契約の締結に関しては、基本的には法律上、他人と分類される。例え、夫婦、親子、兄弟間であっても、自分以外の名前で、その当人に無断で契約することはできんと考える。
これが、正式な契約として認められるとしたら、奥さんはあんたの名前で借金のし放題ということになる。それは、絶対にあり得んからな。まあ、実際、どこの金融屋でも、それはせんと思うけどな。契約はあくまでも、個人的なものや。
但し、何にでも例外はある。夫婦の場合は、日常の家事に関する債務の連帯責任(下記 補足欄参照)という民法の例外規定があるが、このケースには、それは摘要できんのやないかとワシは考える。
ただ、一般的には、あんたの委任状があるとか、実印が押されとるということになれば、その契約が認められる可能性は高い。
しかし、それ以外ならまず問題は少ないと思う。契約書も、あんたの直筆のサインやないからな。その販売所にしても、契約は奥さんがしたと言うてるのやから、それを確かめるまでもないやろ。
そのことを、もう一度、その販売店に言うて、それでも「解約は出来ないとの一点張り」ということなら「無断で新聞を入れても金は払わんで」と通告したらええ。
この販売店の場合、悪意のようなものが若干感じられる。
あんたは『事情あって1年半前から2年前位に更新中止』と言うておられるが、奥さんが契約をしたとされる『1年半前に、今年の1月1日からの契約を私の名前で交わしており』というのがそれや。
7年間位購読していた新聞の購読を中止したというのは、あんたの意志やと思う。その販売店と何かトラブルがあったのか、他の新聞販売店とあんたが契約したためやと思うが、この時、少なくとも、その販売店は、あんたに契約する意志がなかったことは知っていたはずや。
せやからこそ、奥さんを攻めて、その中止直後に契約したということやろと思う。しかも、それを、その販売店はあんたに知らせることなく、本人確認もなかった。つまり、内緒にしてたということになる。
さらに、この販売店の落ち度は、配達予定日前にあんたに連絡もなく、いきなり配達を始めとるということがある。
通常、どこの販売店でも、1ヶ月前から遅くとも1週間前までには、配達の確認連絡を入れるもんや。それがない。
おそらく、その販売店は半年前に、あんたと奥さんが離婚されとられるということを知らなんだんやろと思う。
無連絡で配達しても、奥さんに上手く処理して貰えると考えたのやろな。また、契約当時、販売店と奥さんとの間でそういう話になっていたのかも知れん。こういうご主人に内緒で契約するケースは実際には結構ある。
ワシも、正直言うてそういうのはある。そこの家の奥さんと契約しても、実際の名前はご主人やったというのは珍しいことやない。
たまに「主人の名前で?」と聞かれる場合は、ワシはこうなる可能性を知っとるから「できれば奥さんの名前で」あるいは「奥さんの名前で結構ですよ」と言うようにはしとる。その際「契約の基本はご本人なので」と言うてな。
それでも、ご主人の名前を書いた奥さんに「それはまずいですよ」とまでは言わん。しかし、本当はそれではあかんのは承知やが、敢えて黙っとる場合が多い。それには、あんたのようなケースが少ないということもあるがな。
新聞購読契約の場合、例え、ご主人が意に添わんとしても、その奥さんが結んだ契約なら仕方ないと考えるのが普通やというのもある。その逆もな。
あんたも、離婚さえしてへんかったら、今みたいには言うてないと思う。たいていは、仕方ないとあきらめるやろからな。
販売店にしても、夫婦は一体と考える。どちらと契約しても、その契約は有効やと思う。販売店としての常識なわけや。また、それと考えられる他の民法の条文もあるからな。(下記 補足欄参照)
販売店の『解約は出来ないとの一点張り』というのもそこから来る。普通、こういう断られ方をされるというのは、販売店としたら痛いし、辛い。
しかし、どんな契約も、その契約者本人の意思の確認は絶対にしとかなあかん。それを怠ったということは、やはり、落ち度になる。
その販売店にすれば、あんたから、どうしても配達した新聞代や解約違約金を払うて貰おうと思えば、民事で裁判所に訴えるしかない。
それをせず無理に集金に来るようなことがあって、脅しや暴言を吐けば、恐喝罪が成立することもある。無効な契約を断っとるのに、勝手に配達した新聞(商品)の金を払えというんやからな。
よほど、たちの悪い販売店やなかったら、そこまではせんと思う。そういうことがあれば、刑事事件として警察に通報されても仕方ないからな。
例え、その販売店が民事裁判に持ち込んだとしても、あんたの場合、負けることはまずないと思う。販売店が、今回の契約に関してあんたがそれを承知してたという証拠を示せん限りな。
ただ、あんたが、穏便にということを考えるのやったらその契約書にサインをした元の奥さんにその事情を聞いた上で、その販売店と話し会うしかないやろと思う。
奥さんが、その契約を認めてあんたに内緒やったという非も承知なら、その販売店と話し合ってどうするか決めるしかない。
その場合は、某かの解約違約金を支払っての解約をするというのが一般的やということになる。あるいは、奥さんとその販売店との約束の内容次第では、その解約金も不必要になるかも知れん。
その内容次第というのは、販売店が奥さんに「ご主人には内緒で」というようなことを持ちかけとる場合やな。これは、完全に違法行為になると考えられる。
逆に「後で主人を納得させときますので」と言うてた場合は、非は元奥さんの側になるということになる。そのいずれかというのは、元奥さんに聞いて確かめるしかない。
通常、解約となったら、最低限度、拡材の返還ということにもなると思うが、それに関しても奥さんと販売店の間でしか分からんことや。あんたの手元には、その契約書すらないようやからな。
しかし、現在のように販売店が、あくまでも頑なな態度でいとる限りは、話し合いの余地もなければ、その拡材の返還もあり得んということになる。あんたにしても、貰うた覚えもないものを返すこともできんやろしな。
いずれにしても、元奥さんに事情を聞いて、話し合いにするか、突っぱねるかを決めたらええ。
少なくとも、今回のこの件に関しては、あんたには何の落ち度も引け目も感じることはないから、弱気になる必要はないと思う。
補足
民法第761条に、夫婦の日常の家事に関する債務の連帯責任というのがある。
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責に任ずる。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
新聞の購読契約が、日常の家事に関する債務に該当するかどうかは、その判例がないから確かなことは分からん。当サイトでは、一応、日常の家事に関する債務ということで認識することにはしたがな。(2006.2.25
時点)
それからすると、今回の、元奥さんの行為は、法的にも良さそうにも思えるが、やはり、ご主人には内緒で、しかも、そのことに販売店が関わっていると判断した上で問題があると考えるから、この回答の通りでええと思うてる。
尚、このことの詳しいことは『NO.221 民法761条の夫婦相互の代理権について』を参照してほしい。