新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.188 ゲンさんの仕事について教えて下さい


投稿者 新月さん 女性 関東拡張員 投稿日時 2006.1 6 AM 11:09


始めまして。
よく「拡張員ゲンさんの嘆き」を見て日々勉強しています。
ちょっとした質問なのですが…もし失礼でしたら「答える筋合いないわアホ!」って感じで返事をくれればいいので聞いて下さい。

●仕事する前に何を自分の中で思っていますか?

●月何枚ぐらいやってるんですか?

まぁ…それぐらいなんですけど(汗)お願いします!


回答者 ゲン


質問はいずれも簡単そうやが、ちゃんと答えるのは難しいと思う。あんたの参考になるかどうかは分からんが、それで良ければそうする。

●仕事する前に何を自分の中で思っていますか?

仕事する前と限定されると、それほど特別なことは考えとらん。敢えて言えば、気持ちを集中させとくということかな。

ワシは、気持ちが集中して持続できる営業時間を2時間やと踏んどる。これは、昔からの癖で体に染みついたもんや。

ただ、この2時間というのは、ワシがという意味で、誰にでも当て嵌まることかどうかというのは分からん。

営業は気持ちの面での影響が大きい。やる気が持続せな結果を出すことはできん。特に、新勧叩き(新規訪問)にそれが言える。これは、客と応対できれば、それほどでもない。交渉や話に没頭できるからな。

問題はそれに至るまでや。叩いても留守、不在も多く、在宅していても無視されるというのは、この仕事をしとれば当然のようにある。

例え客が応対に出て来たとしても、ニベもなく断れることはざらにあるし、インターフォン・キックも多い。それが、10軒、20軒と続けば、誰でも意気消沈する。嫌にもなるし、あきらめや泣きも入る。それはワシも同じや。

ただ、ワシは、例えそうなっても、2時間という枠の中なら「次はいける」と常に自分に言い聞かせとるがな。

そのためには、開始前に、その気持ちを集中させて高揚させるようにしとるというわけや。

具体的には、その日、自分で決めた地域やターゲットに誤りはないと信じ込むことや。絶対にそれで上がるという強い意志やな。

ワシは、その日、拡張するのに行き当たりばったり、出たとこ勝負というのはあまりせん。この質問の最初に「仕事する前と限定されると」と言うたのは、それがあるからや。

ワシは、少なくとも、拡張する前日までには、そのバンク内(販売店の拡張エリア内)のどの地域のどういう客層をターゲットにするかというのを事前に調べて、その準備も済ませとる。

せやから、現場で、仕事にかかるときには何も考えんでもええ状態にしとるわけや。長いことそれでやってきたから、そうしとかな落ちつかんということがある。

なるべくワンパターンの営業は避けるようにしとる。ワシは営業の仕事が好きやし面白い。いろんな人間に接したいと思うてるし、そう心がけてもきた。

ある意味、営業の仕事が趣味なわけや。そのためにいろんなことを考えるのが面白い。もちろん、それで成功すれば、自分に酔えるし、例え、失敗しても次こそはと意欲も湧く。

別に、ええ格好で言うのやないが、単に金儲けとか成績を上げるだけのためにやったら、この仕事はとっくに辞めとるやろと思う。

何でもそうやけど面白くなかったら、なかなか続くもんやないからな。もっとも、他人には、なんとなくダラダラ続いとるとは言うてるけどな。

これは、ほぼ無意識に近かったと思うが、あんたにこの質問を受けて、初めて分かったことがある。それは、今日、1日を楽しもうとしてたということや。

営業しとると、今日は、どんな人間と出会え、どんな会話が交わせるか、それを考えるだけでわくわくするさかいな。毎日が新鮮な気持ちになれる。

同じことの繰り返しやと思うたら、つまらんからな。そのための準備を日々、怠りなくやっとるということや。

●月何枚ぐらいやってるんですか?

質問の意味は良う分かる。それを聞きたい気持ちもな。しかし、はっきり言うけど、それを聞いても、あんたには何の参考にもならんと思う。

ワシがあんたと同じ地域で同じ団に所属しとるのやったら、あるいは参考になるかも知れん。条件が一緒やからな。

確かに、拡張員の能力を測るために、その契約枚数を基準に考えるということはある。月に50本上げる者より、100本上げる方が勝っていると考えがちや。少なくとも、この業界にそれほど詳しくない者はそう思うやろ。

しかし、この拡張の仕事は地域や新聞社、入店する販売店など様々な要因で、その結果はまったく違うものになる。

100本上げる者の方が50本しか上げてない者より能力が優れとるとは言えんわけや。その逆の場合すらある。

例えば、あんたの拡張しとる新聞は、その地域では1,2を争うブランドで人気も高いやろと思うが、ワシらの方では、全くの三流新聞の扱いでしかないという現実がある。

シェアも人気も低い。それに伴ってチラシの量も少ない。拡材の量は他と比べても遜色はないし、むしろ多い方や。全国版ということで新聞代も安い。それでも、なかなか売れんという現実がある。

こういう、ブロック紙、地方紙が、全国紙を凌駕しとる地域は他にもいくらでもある。地域性ということに阻まれ、なかなか部数が伸びんのや。

そういう所で、そちらで100本上げとる拡張員が営業したとしても、そのとおりの結果は出せんやろと思う。そこで50本上げとる人間にも及ばんということもあり得るということや。

誤解せんといてほしいが、そちらの地域で100本上げとるというのが、値打ちがないと言うてるわけやない。ただ、地域性によりまったく違うから比較が難しいということが言いたいわけや。

当メルマガ『第74回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員の初出』の中で少し触れたが「パレートの法則」というのがある。

上位20%の成績が全体の80%を占めるというものや。その法則に従うと、あんたの所の拡張員が100名いとるのやったら、その上位20人までは、実力者とみてええやろと思う。

その意味で言えば、ワシの成績は、団内でその20%以内には入っとる。ただ、トップクラスというほどでもないがな。

ワシは成績そのものにはあまり執着する気はない。坊主、パンク(契約ゼロ)というのは、さすがに困るが、まあ、1日5本も上がればそれで満足しとる口や。

その日、よほど気分が乗っとれば別やが、それ以上は仕事しようという気にはあまりならん。

ワシは、しゃかりきになって100万円稼ぐのと、楽して30万円稼ぐのやったら、間違いなく後者を選ぶタイプやからな。特に今はな。

因みに、去年の月平均の契約数は80本程度や。その内の約半数は、常連客からの紹介や交代読者なんかが含まれとるから、まったくの新規のみで言えば月40本程度ということになる。

取り立てて自慢できる数字やない。この契約数ということだけに関して言えば、この仕事を始めた2,3年頃までが、一番良う上げてた時期やろと思う。

最初に始めたのが京都で、その頃は、月150本から200本程度はコンスタントに上げてた。その後、大阪に移って、そこでは班長もしてたということもあり、ほぼ同数を上げてた。

しかし、それも地域性ということに加えて時代ということも影響してたと思う。それから比べたら今は半減ということになる。

それには気楽にやっとるということもあるが、それらを含めて実力ということになる。今も頑張れば、それに近い数字を残せるのやないかと考えんでもないが、現実にそれができとらんということは、実力はそれやということになる。タラ、レバはこの世界にはないさかいな。

それでも、敢えて言い訳がましく言えば、この業界で目立つとろくなことはなかったということが影響しとると思う。目立つほど頑張るよりも、気楽に楽しめが今のスタンスや。

もっとも、これは、ワシの経験則だけで言えることやがな。それについて語れば長くなるから、何かの折りにでも話すことにする。

あんたの答えとしたら、こんなもんやが、やはり、あまり参考にならんかったやろ。面白半分ということなら、世の中には、こんな人間もおるんやと思うて貰うたら、それでええがな。


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