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NO.191 拡張員の引退後について


投稿者 うぇすとまうんてん さん 投稿日時 2006.1.11 PM 4 :31


初めまして、サイト、メルマガともいつも興味深く時には楽しく拝見させていただいております。

一つ素朴な疑問が浮かび、お尋ねしたいのですが、年をとり引退された拡張員の人たちはどのような暮らしをされているのでしょうか?また、どのように生計を立てているのでしょうか?

色々なバックグラウンドをもたれた方がいらっしゃるようなので、老後の生活も千差万別ではないかと想像します。ゲンさんのご存知の限りで結構ですので、引退した拡張員のその後の生活の例をいくつか教えていただけると幸いです。


回答者 ゲン


あんたの質問の趣旨は良う分かるが、何をもって引退と言うのかによって答えも違ってくると思う。

あんたは、拡張員という存在をどう捉えておられるのかは分からんが、この仕事を長年、全うして引退したということを意味しとるのなら、あまり聞かん話や。あっても少ない。

普通、引退という形容は、定年退職もしくは、後進に後を任せたというときに使うものや。単に辞めたというのは、引退とは言わんと思うが、もし、それも含めてやとしたら数えきれんくらいいとる。

それには、最初から望んで志してくるような仕事やないということがある。たいていは、止むに止まれず行く所もなかったか、食い詰めてと言うのが多い。

特に、すでに普通なら引退しとると思われる高齢者が活躍した時代の拡張員に、それが言える。少しの間の腰掛けとしてこの仕事を選択したというのが大半のはずや。

また、続ける気があっても、ほとんどは、その仕事の過酷さに阻まれる。そう簡単には契約が取れて金にならんということもあるし、想像以上に、世間の冷たい視線に晒されるというのもある。こんなものとは知らんかったとなるわけや。

したがって、すぐ辞める人間が多い。もしくは、他へ移る。定着率は、おそろしく悪い。この業界は1ヶ月もすれば、新人扱いされん世界や。1年もおれば、ベテランと言える。

ワシみたいに10年以上もこの仕事を続けとるというのは希有な存在ということになる。もっとも、そのワシからして、拡張団は3度変わっとる。同じ所に長居はしとらん。

せやから、あんたの言う『年をとり引退された拡張員』というのはあまり知らん。基本的に拡張員に定年という制度はない。60代、70代の現役というのも結構おるからな。

そして、この業界を辞めた人間というのは、再び接触するのを嫌う傾向にある。それで、尚更、その動向がつかみにくい。接触が続いとるのは、拡張員から販売店の専業に鞍替えした者くらいや。

とにかく『ゲンさんのご存知の限りで結構です』でええと言うのなら、思い出す限りそうしてみる。

まず、成功例からや。これは、極、希なケースということになる。

拡張員から団長に上り詰め、そこそこの会社組織を作り、息子に跡を継がせ引退して悠々自適の生活を送っとるというのが、たった一人やけどおる。歳を食うても、未だ団長を続けて現役というのは他に5人ほどいとる。

販売店の専業になって、その所長までなった人間は、これは結構多くて8人おる。このケースもその内の一人だけが引退ということになっとる。

但し、この男は、病気で仕方なく一線を退いとるというだけで、現場には良う口出しとるようやから、本当に引退しとるのかというのは分からんがな。

拡張員から専業になったという成功例にはメルマガの『第28回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■一枚のお助けカード』 及び『第29回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■勝ち組、拡張員?』 で紹介した、池田(仮名)という男も含まれとる。良ければ、読んでみてほしい。何か感じるものがあるかも知れんという気がする。

他には、年寄りということやないけど、辞めたということが引退になるとしたら、これもメルマガの『第37回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員列伝 その1 サラブレッドのマサ 前編』 と『第38回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員列伝 その1 サラブレッドのマサ 後編 』で紹介した、マサという男の例もある。

この男は、元地方競馬の騎手やったんやが、わけあって一時期、ワシと共にしてた。そして、今は呼び戻されて地方競馬の厩務員をしてるということや。

ワシの知る限り、ここまでがハッピーエンドで終わっとるケースということになる。そして、その彼らに共通して言えるのが、家族の支えがあるということや。ワシの知る限り、独り者で上手くいった話というのは聞いたことがない。

悲惨な話ならいくらでもある。

辞めた人間で死んだと聞かされたことも多い。この仕事で稼げるというのは、ほんの一握りしかおらん。その日、食うのがやっとという人間も実際におる。

病気になっても医者にもかかれん。単に金がないというだけやなしに、そんな連中の中には、国民健康保険証すら持ち合わせとらん者もおる。

それでも、団におって仕事ができるうちは、まだ何とかなる。しかし、仕事ができんようになったらどうしようもない。

そういう連中の多くは、身から出たサビというやつで自業自得の場合が多い。それは、十分、分かっとるつもりやが、それでも、そうと知らされれば、やはりやりきれんものがある。

メルマガ『第46回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員列伝 その3 ヒッカケ病(やまい)のシンジ 』で、その典型的な話をしとるから見て貰うたらええ。但し、あまり、ええ話やないとは思うがな。

この他には、どこかでホームレスになっとるとか、警察に捕まったという噂話はたまに流れてくる。もちろん、その真相は確かめたわけやないから分からん。知りたくもないしな。

辞めた者の噂話で、ええことはほとんど聞くことはない。それには、悪い噂、悲惨な出来事の方を好むということもある。人の成功した話、上手くいった話は面白くないわけや。

あんたの言うとうり、千差万別やと思うから、様々なケースがあるやろと想像はできる。せやけど、ワシの知る限りということになると、どうしてもこういう話になってしまう。

ただ、このサイトには、以前、拡張員をされていて、今は普通の会社に勤めておられる方から、懐かしいということでメールを頂くこともある。

この場を借りて、言いたいのやが、元拡張員をしていて、今はこうしてるという方がおられたら、このサイトまで知らせて貰えんやろか。紹介させて貰いたいと思う。

ワシの話だけやと、あまり参考にはならんかったのやないかと考えるからな。


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