新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.216 新聞の購読解約方法について


投稿者 O さん 投稿日時 2006.2.19 PM 6:17


父が15年2月に亡くなった後、母が下記3種類の申し込みをしている。年齢も70歳の年で28年までの申込書にサインをさせられています。

母の年齢を考えても28年までの契約はどうみても長すぎる為に解約をTELにてしたらしいが全く受け付けてもらえない状況です。法律的に解約手続きが出来る方法があるのか教えて頂きたくたくお願いします。

【契約内容】
申し込みの名前:父の名前(サインは母 印鑑は押していない)

《各申し込み条件》
毎年12・1・2月無料と申し込み日に洗剤を2個貰っている。

1.申し込み日:15年2月17日
  購読申込期間:15年12月〜18年11月
2.申し込み日:15年11月30日
  購読申込期間:18年12月〜23年11月
3.申し込み日:17年6月29日
  購読申込期間:23年12月〜28年11月


回答者 ゲン


今回のケースは、契約自体が成立していないと考えられる。理由は簡単。契約者名義がお父さんになっておられ、契約されたときには、すでに亡くなっておられたということやからや。

民法525条に、申込者の死亡又は行為能力の喪失というのがある。申込者が反対の意志を表示した場合又はその相手側が申込者の死亡もしくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合には適用しない。とある。

『父が15年2月に亡くなった後』ということやから、これは、完全に死者との契約になる。どんな契約も、死者と交わすことはできん。もし、それができるとしたら、死者の名前で借金が可能ということになる。

それが、可能かどうかは、法律の規定云々の前に議論の余地すらないわな。金融機関はおろか、友人知人でも、金を貸すような馬鹿な人間はおらんはずや。

販売店は、それでもサインはお母さんがしたというやろ。それが、唯一の拠り所でもあるわけやからな。しかし、配偶者であるお母さんであっても、その契約を交わす資格はない。

何人も、死者の代理契約なんかはできんからな。これが、その販売所も知らず、お母さんが独自でその契約書を作成したというのであれば、あるいは、責任を問えるかも知れんが、今回の件は明らかに違う。

その契約は、間違いなく販売店からの勧誘の結果によるものやからや。そして、その地域を販売及び配達エリアを有しとる販売店は、当然のことながら、お父さんの死も知っていたと考えるのが普通や。

もっとも、例え、それを知らんかったと主張しても、契約が無効なことには変わりはないがな。

一般的には、その家のご主人名義でも、実際は奥さんがすることは多い。そして、それ自体は問題は少ないと考えられとる。日常の家事に関する債務の連帯責任というやつや。

これは、民法761条の規定で、そう判断される可能性のある条文がある。

夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責に任ずる。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

というのが、それや。もっとも、今回のあんたの相談には、何の意味もないことやがな。実は、このことは、ワシは知らなんだ。あるお二人の読者の方々から、教えて頂いたことや。 

いずれにしても、販売店は、本人確認を怠っとるという落ち度がある。お父さんへの本人確認をすれば、すでに死んでおられることは歴然やからな。それが、分かって契約をすることは許されん。

ただ、この販売店に限りやとは思うが、死者との契約が無効やということ自体が分からんかったのかも知れんという気がする。

販売店によれば、契約解除はクーリング・オフくらいしかないと考えとる無知な所もあるようやからな。

『解約をTELにてしたらしいが全く受け付けてもらえない状況です』というのは、そういうことやからとも考えられる。

せやから「父は、すでに死んでいるのですから、これ以上の契約続行は無理です」と、その販売店に通知して、その裏付けの法律も示せば簡単に納得するのやないかな。

これを言うのは、息子さんであるあんたの方がええな。ひょっとすると、お母さんやったから、そういう対応をしたのかも知れんしな。

これは絶対したらあかんことやが、女性とか若い人間、あるいはお年寄りに、こういう態度をとる販売店の人間も時折いとるというのを聞くこともあるからな。

それに、それを言うのは、お母さんでも、息子さんである、あんたでも立場は一緒や。むしろ、あんたの方が「母が何も知らず勘違いしてただけです」と言える分、交渉しやすいと思う。

今回の解約の趣旨を聞いとると『母の年齢を考えても28年までの契約はどうみても長すぎる為』ということで、新聞自体の購読には別に問題なさそうに思う。

せやから、現在の契約は一度、すべてクリアする替わりに、改めて、お母さんの名前で、今度は6ヶ月なり1年なりという短いサイクルの契約に変更するように提案されたらどうかと思う。

これなら、その販売店も応じるのやないかな。何でこんなことを言うのかというと、このまま、解約ということになると、後の処理にちょっと、ややこしいことになると思うからや。

もっとも、これから説明することに納得されるというのであれば、問題はないかも知れんがな。

死者との契約は認められんと言うたが、新聞としての現物を届けられ、15年12月から現在までは、その新聞代も払われとるということで、その間の分は納得されとるということになる。

契約の無効というのは、そのアピールをしてから有効ということになる。これから以降の分は解約でもええわけや。

但し、解約となれば、双方に原状回復義務というのが生じる。つまり、契約する前の元の姿に戻すということや。解約というのは、契約をなかったことにするわけやから、意味は分かると思う。

今回の場合『毎年12・1・2月無料と申し込み日に洗剤を2個貰っている。』ということやから、平成15年12月〜平成16年の2月までの3ヶ月、平成16年12月から平成17年の2月までの3ヶ月、平成17年12月〜平成18年の2月までの3ヶ月、計9ヶ月は、無料サービスを受けとったということになる。

加えて、15年2月17日、15年11月30日、17年6月29日に洗剤を2個づつ、計6個貰うとるということになる。

原状回復義務の観点から言うと、受けたサービスや物品は返還ということになる。つまり、その間の新聞を返すことは実質無理やから、新聞代での返還ということになる。

それが、9ヶ月ということになれば、3925円×9=35325円という計算になり、ちょっとした負担になる。これに比べたら少ないが洗剤6個分もある。

但し、これは、その全額を必ず支払わなあかんということやない。その販売店からの請求があり、あんたの方で仕方ないとなった場合にそうなる。

その金額に納得いかんかったら、双方で話し合うしかない。1年で3ヶ月のサービスやと考えられから、実質、3ヶ月分だけの負担で良さそうに思うが、この場合は、その3年間を一契約という見方も成立する。

つまり、そのサービスも3年間の契約やからこそ可能やと言えんこともないわけや。それが、ややこしいということになる。

これは、あくまでも、ワシの案やが、最初の契約書にある18年11月まで、このまま何も言わず購読して、その後の契約書をお父さんの死亡により無効にするというのは、どうやろと思う。

そうすれば、すでに受けたサービスは、契約満期ということで返還の必要はなくなる。後の契約は、まだサービスを受けてないわけやから、返す必要はない。返すとしたら、洗剤4個くらいなもんや。

そのときに、先ほど言うた、6ヶ月ないし、1年毎の契約ということで負担にならんようにしたらええのやないかと思う。

もっとも、そのときになって、死亡の法的な説明をしても、今と同じ態度をその販売店がとると言うのなら、決裂するしかないがな。

その決裂も今より、18年11月の時点の方が、何もサービスを受けとらん分、ええのやないかと思う。

今、それを持ち出して解約となっても、最悪の場合、9ヶ月の新聞代を返還せなあかんということになるのも、しんどいと考えるけどな。

どのみち、今から18年11月の残り一杯まで取っても、9ヶ月や。同じことなら、その方が得やと割り切ったらええのと違うかな。

今回のケースは、高齢者への10年先までの契約ということで行きすぎの観は確かにある。立て続けの5年契約をするというのも悪質やと受け取られてもしゃあない。

普通は、一つの契約が終わって次やからな。もしくは、契約の残りが数ヶ月になった時点で次の契約を依頼するのが一般的な販売店のやり方や。

ただ、サービス内容を見る限りは、全国的には、ええ方やという気はする。もっとも、その地域では、それが普通かも知れんけどな。

結論として、今すぐの解約は可能やが、その場合は、サービス分の請求をされたら覚悟しとかなあかんということになる。

18年11月になってからやと、負担はなくなるが、それまで、気分的にはすっきりせん状態が続くと考えられる。

どちらがええかは当事者次第やから、お母さんと相談して決めたらええことやと思う。


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