新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.228 他分野ですが、営業について教えてください
投稿者 K.Aさん 保険外交員 31歳 投稿日時 2006.3.11 PM 6:34
初めまして。ゲンさん ハカセさん。
今年に入ってから生命保険の営業に就職したので、営業について色々勉強したいと思っていたら、このHPを見つけて楽しみながらお話読ませてもらっていました。
実はこの先ずっと営業職を続けていくべきかと悩むようになってきたので、真に勝手ながら相談したいと思い今回メールさせていただきました。
私は現在31なのですが、高校卒業後、飲食店員、建設作業員、トラック運転手と転々としながら、今まで生きてきました。
職業安定所に通っているとき、今の会社の上司に声を掛けられ、営業職というものに興味はもっていたので、やったことはなかったのですがやりがいのある仕事だという説明を聞いて頑張ってみようと思って入社したのです。
まず生命保険の営業は募集人の資格がないと保険が売れないので、それまでは研修ということで私は営業未経験ということもあり、商品などの勉強より、心構えとかお客の対応の仕方などを重視して研修を受けてきました。
そして、試験に受かり実戦突入ということになったのですが、今の会社の方針は、新人はまず親兄弟、友人、知人、など知っている人から話して契約を取っていくという方針になっていまして、私は研修でこれができないようでは何もできないと言われていたので何人かとアポを取り、話をしに行きました。
ですが、私が営業未経験というのもあるでしょうが、保険の話をするとかなりの抵抗にあい、こういうやり方を勧める会社はろくな所がないから早く辞めろとか、何でよりによって生命保険なんだとか言われたり、あと、電話しても取ってくれなくなってしまった友人もでてきてしまいました。
それを上司や同僚に相談すると、励ましのつもりなのか、成功している人はみんな経験している、そんなやつは相手にするなとか、まだ成功するかしないかやめるのはまだ早い等色々言われるのですが、正直言ってどうしたらいいか判らなくなり新聞関係とは全く違うと思いますが、ゲンさんやハカセさんのご意見を伺いたくメールさせていただきました。真に勝手な相談で本当に申し訳ないです。
ゲンさんもハカセさんもお忙しいとは思いますが、よろしくお願いします。
回答者 ゲン
このサイトでは、他分野に関してのコメントは、原則、控えるようにしとる。あまり、分からんのに言うわけにもいかんしな。
ハカセも、たいていはやんわりと断りのメールをしとるが、あんたはかなり真剣そうやということもあり、営業という広義な面からでええということなら話すことにする。
保険営業については、ワシは直接関わったことはないが、仲間の拡張員の中には、元保険外交員をしてたというのは多い。特に女性がな。
それに、一般読者の方の中にも、保険の外交員をしておられるというのもおられる。その人たちは『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』が参考になると言うてメールも頂いとるので、それも役に立てて頂ければとは思う。
アドバイスするに当たり、保険の営業に関しては、その方々からのご意見を参考にさせて頂いた。何分にも伝聞やから、その辺は承知して貰いたい。ワシの勝手な思い込みもあるかも知れんというのもな。
あんたは、話を聞く限りは営業の仕事には向かんように思う。訪問販売を主とする、この対面営業に関して向き不向きという要素は大きい。向いてない者が大成することはまずない世界やからな。
その理由の第一は、あんたの気持ちの中に営業初心者やという気持ちが強く、切り替えができとらんということにある。
営業に向く人間というのは、この切り替えが早い。割り切りが早いと言うた方が分かりやすいかな。もっとも、これは、慣れが解決する問題かも知れんが、それまで堪えられるかということになる。
第二は素直すぎる。素直やというのは、人間として美点の一つでもあるわけやが、営業の世界では、それだけやと厳しい。
言われたことを守るのは、それ自体、悪いことやないが、それについて、疑問を持つということも大事や。何でも疑ってかかるくらいが丁度ええ。納得した上でないと意味がないからな。
因みに今回やと『今の会社の方針は、新人はまず親兄弟、友人、知人、など知っている人から話して契約を取っていくという方針になっていまして、私は研修でこれができないようでは何もできないと言われていた』ということに疑問を持ってなかったのかということになる。
これは、門外漢のワシにでも分かることや。自分の身内や知人への営業だけやと長続きすることはないやろし、それで、営業のテクニックが磨かれるということもまずないと言える。
そういう営業は、どうしても甘えの構造になる。相手を純粋な客として見られんやろしな。自分が頼むのやから、契約してくれとなるだけの話や。
きついかも知れんが、こんなのは営業とは言わん。ただの頼み事や。例え、それで成功したとしても、あんたにプラスになるのは、契約が1本上がったというだけのことや。
達成感もさほど、味わえんやろと思う。営業の仕事が好きになる者は、必ずこの達成感を得られることにある。快感になるんや。そういう意味では、あんたはその第一歩のところで誤っとるように感じる。
第三にあんたは、営業員としてよりも、勧誘される立場の客向きや。現実にそういう立場にあるのやないのかと思う。
『職業安定所に通っているとき、今の会社の上司に声を掛けられ』ということ自体が、営業そのものやったわけや。少なくとも、ワシにはそう感じられる。
営業というのは、何も直接、その商品を売り込むだけやない。相手を納得させるというのも、広義の意味で営業になる。
現実にあんたは、その上司に説得させられ勧誘員となり、身内に半強制的に営業に行かされとるのやからな。
おそらく、その上司の目的は最初からそのはずや。少なくとも、あんたのためを思うてということより、そういう勧誘員を確保するのが、狙いやったと思う。
そういう勧誘員を一人確保すれば数人から数十人の親戚縁者、知人の契約を確保できる可能性があるのやからな。言えば、勧誘員としての戦力より、あんた自身がお客さんとして必要やったわけや。
『上司や同僚に相談すると、励ましのつもりなのか、成功している人はみんな経験している、そんなやつは相手にするなとか、まだ成功するかしないかやめるのはまだ早い等色々言われるのです』というのも、まだ現実にあんたが身内や知人からの契約に成功してないからやろと思う。
同じように、行き詰まったとしても、身内、知人から契約を取れた後やったら、果たして同じことを言うかというのがある。
はっきり言うが、ハローワークなんかで人材を直接捜して勧誘するというのは、どう考えても胡散臭い。ワシならそう思う。
通常、どこの企業でもそれはしとらんはずや。さすがに、この新聞勧誘業界でもそれはない。少なくともワシは聞かん。
ワシら拡張員の募集は、ほとんど求人広告によるものや。例え、それがどれだけ胡散臭かろうと自らの意志で面接には来る。面接で、上手いこと言われて騙されたと思う者はおるかも知れんがな。
それは、どんな企業でも一緒やから、しゃあない。まさか、求人の面接官が自社の欠点を強調することはないはずやしな。ええことしか言わん。そういうのは言うた人間より、信じた人間に落ち度がある。と、ワシは思う。
このことについて、保険外交員の現役の方と元経験者に聞いてみたが、やはり、あんたの言うように、ハローワークに出向いて、そこに来る人間を物色して勧誘しとる所もあるとのことや。
保険業界も営業員というのは使い捨てという感覚のようや。聞けば、ワシら拡張員と匹敵するくらい出入りが激しいらしい。営業員の確保のためにそうするということや。
ハローワークに出入りしとる人間は、当然やかけど、仕事を探しに来とるから、誘うのもそれほど難しいないという理由でな。
もちろん、それでも誰にでもというわけには行かん。それなりの勧誘マニュアルがあるようや。そして、あんたはその眼鏡にかなったということになる。
これだけを聞けば、何かえげつない世界のようやが、もともと営業というのは甘いもんやない。
即席ですぐ稼げる営業員になるというのは、よほどの人間や。普通は時間がかかる。しかし、たいていはそれまで我慢できんから辞める。金にならんやろからな。
その意味で言えば、新人に手っ取り早く契約を上げさせるのは、縁故関係に頼るのが一番ええ方法なのかも知れんということになるからな。
ここからが、ワシのアドバイスになる。
あんたが、それに疑問を持って、しかも縁故関係を気まずくし、友人をなくすという危惧があるのなら、何ぼその上司が言おうが止めといたらええ。
あんたが、この仕事に疑問を持ち、自信がないのなら、辞めるというのも選択肢の一つやと思う。
ただ、あんた自身がその仕事に向いとるかどうかを知りたいのやったら、飛び込み営業だけでやってみるというのも一つの手や。
その場合、かなり勉強せなあかんと思う。新聞営業と違い、保険はいろいろな知識を要求される営業のはずや。
現場に出る限りは、常にベテランのエキスパートやという風に装えるようやないとあかん。まだ新人やからという甘えは一切通用せん。
あんたも客になった立場があるやろから分かると思うが、いかにも自信なさげな素人ですという保険勧誘員の勧める保険に入る気はせんやろ。
聞くところによると、保険の外交員は、月に4,5本の契約が上がればなんとかなるようやから、ただひたすら訪問を繰り返すことや。
新聞営業の場合、新人にはたいていそれを言う。システム上、拡張員には縁故関係なんかほとんど役に立たんから、ただひたすら叩く(訪問)しか方法はないんやがな。
1日100件程度の訪問は普通で、その内、9割は留守か門前払いや。1割の10件程度が話を聞いてくれ、それにかける。それで、少なくとも毎日2件くらいの契約が上がらんとやっていくのは厳しい世界や。
営業初心者は、誰でも最初は訪問することから始める。訪問する件数によって契約が上がるというのが普通や。契約が上がることでその喜びが分かるようになる。
上がれば、いろいろなことが見えてもくる。創意工夫もそれなりにできるようになる。また、そうならな続けるのも厳しいがな。
そして、そういうことが楽しめるようになったら、本物の営業マンになれる。ワシはそう思うとるけどな。
ただ、これは何度も言うが、誰でも当て嵌まるかと言えば、その保証はできん。ある程度、覚悟と意欲で補えるが、最終的には、その人間次第や。
営業の仕事というのは、誰でも始められるが、誰でも上手くいくとは限らんものや。簡単やけど難しい。その辺をどう理解するかやな。
現時点で、あんたがその保険の外交員を続けるつもりなら、ただひたすら訪問することを勧める。営業初心者にはそれが一番ええ。人が100件なら、自分は200件という風にな。
ワシは、あんたに営業は向かんと言うたが、それは今のままやったらという意味やからな。人は変われる。それも、たった一つの気付きが生まれるだけで十分なんや。
どういう選択をするかは、自分で決めてほしい。自分の気持ちに正直になればええのと違うかなと思う。