新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.231 忘れていた2年前の契約の解除について


投稿者 マドカさん 投稿日時 2006.3.16 PM 9:55


はじめまして。
契約解除について、相談があります。

以前、A社との契約がまだ2年程ある時、B社の拡張員がきて「A社との契約終了後でいい」という事で、1年間の契約をしました。

そんなことも忘れていた2年後、B社の人(拡張員とは別の)が「来月から契約いただきました・・」と現れました。しかし、そんな契約を憶えてなかったため、A社と先に1年追加契約をしてしまいました。

そのとき頂いたものを使ってしまったし、A社のほうが読みやすいということもあって、B社に説明し契約解除を求めたところ「こっちが先に契約した」ということでB社からA社に直接話をつけるとの事。

その時のB社の人間の、高圧的な態度が気にいらなかった事もあり絶対B社とは契約したくありません。

2年も前なのでクーリングオフは適用できないと言われました。ちなみにその2年前の契約書には私の印鑑は押していませんでした。

B社との契約を解除して、A社の新聞を取ることができますか?


回答者 ゲン


『B社との契約を解除して、A社の新聞を取ることができますか?』と言うことやけど、できんことはないが、無条件というわけにはいかんやろと思う。

無条件の解除ができるのは、クーリング・オフ以外やと、相手側の不法行為、決定的な落ち度がある場合に限られる。

それから言えば、今回の場合、相手の販売店側には落ち度のようなものは感じられん。

『来月から契約いただきました・・」と現れました』というのも、1ヶ月前の契約の確認やから当然なことや。

『ちなみにその2年前の契約書には私の印鑑は押していませんでした』というのも、契約書に直筆のサインがしてあったら、それだけで契約書と認められる。

逆に、印鑑だけ押してあって、氏名、住所欄があんたの直筆やなかったら、偽造契約書やと主張できるということにもなる。

日本は、はんこ社会やという思い込みからの発言やと思うが、それが有効なのは、実印の場合と銀行印なんかのように特定の場所だけに届けとる印鑑に限られたことからな。

そういう印鑑を押すことが義務づけられとる契約書やったら、それがないというのは問題やろが、そうでなかったら、その契約書の存在を認めた段階で有効となると考えられる。

今回の場合で言えば『そんな契約を憶えてなかったため』というのが、それになる。忘れてたということを認めたというのは、その事実があったと認めたに等しい。

『その時のB社の人間の、高圧的な態度が気にいらなかった』というのが、どの程度かというのは分からんが、あんたのように何の条件提示もなく「契約解除」を宣告されたら、どんな業者もええ気はせんし、立場もないから、多少は何か言う所もあるやろと思う。

逆に、 無条件で分かりましたと理解を示す方がおかしいことやないかな。

今回のトラブルの原因は、間違いなく、あんたがその契約を忘れとったということにある。

あんたの話ぶりやと、忘れとったから仕方ないやろという風に聞こえる。新聞の契約くらいと簡単に考えとるからやろけど、それでは世の中、通用はせん。きついかも知れんがな。

契約というのは、文書にした約束や。約束を忘れましたで済まされては、それをあてにしてた方はたまらんことになる。約束を守るのは人として当然のことやからな。

どうしても、その契約が嫌やったら、ペナルティとしての違約金を支払うからと申し出て話し合いで解決するしかない。

これが、冒頭で言うた『できんことはないが、無条件というわけにはいかんやろ』ということや。

たいていは、違約金を払うということになる。その金額も当事者で決めるしかないが、あまり高額やとそれも問題やがな。

残念ながら、新聞の契約解除の妥当な解約違約金についての判例はないけど、当サイトでアドバイスするときは1年以上の契約を解除する場合、最高で2万円までが妥当な線やないかと言うとる。それ以上は高い。

もちろん、これには根拠があって、他業種やが、月払い契約の解除金についての最高裁の判例を基にしとるというのがある。加えて、ワシの知る限りの一般的な販売店の提示額がそれやということもな。

誤解せんといてほしいが、せやからというて、それを絶対払わなあかんと言うてるのとは違うからな。それをあくまでも目安として、お互いの納得できる金額で決着つけたらええことや。

今回のケースは、あんたが購読しようと考えとるA社の販売店も、難儀するのやないかと思う。

『B社からA社に直接話をつけるとの事』というように、B社の販売店がねじ込むというのは、それなりの理由があるからや。

『こっちが先に契約した』という言葉の裏には、結構深い意味がある。今回、そのA社の販売店の勧誘員には少なからず落ち度があると思える。

それは、あんたに契約延長を頼む場合、一言「現在、どことも契約してませんよね」ということを言うとく必要がある。それが、あれば、あんたもその時点で分かったはずやからな。

あんたがB社の販売店と交わしたような契約のことを「先付け」「先縛り」というのやが、これはどこでもしとることや。当然、A社の販売店も他でしとる。せやから、そのことに気を配る必要があるのやないかとなる。

B社の販売店は、それに気配りしてたからこそ『A社との契約がまだ2年程ある時、B社の拡張員がきて「A社との契約終了後でいい」という事で、1年間の契約をしました』ということになったはずや。

ワシが、A社の販売店も、難儀すると言うたのは、そこを突っ込まれるとどうしても立場的に弱くなるやろと考えたからや。

今回のケースで一番丸く収まるのは、最初の契約通りB社の新聞を先に1年間購読して、その後にA社の新聞を購読することや。購読期間の変更なら、ほぼ問題なくできると思う。

B社の販売店がA社の販売店に話をつけるというのも、落としどころはそれのはずや。これやと、金銭的な負担は何もない。あんたが、我慢すれば済むことになる。忘れてたという落ち度をがあるということでな。

同時に2社の購読というのも、選択肢としてはあるが、これは、あんたも嫌やわな。これができるくらいなら、相談もしてないやろしな。

最後の方法は、金がかかるが、あくまでもA社の販売店に契約解除を頼むということやな。簡単にはいかんかも知れんがな。

因みにこのケースは、それで契約解除ができても、プラス2年前に景品を貰うてたらその返還も必要になるということも付け加えとく。

これは、契約解除につきものの原状回復義務というものがあるためや。せやから、交渉するときは、このことも考えに入れといた方がええ。解約金が決まって、まだこれがあると知らされたらがっくりくるやろしな。

いずれを選択するかは、あんた次第や。そして、次からはなるべく忘れんようにな。それと、契約というものはもう少し慎重に考えた方がええと思うよ。


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