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NO.235 解約違約金について


投稿者 eiji さん 投稿日時 2006.3.19 AM 0:53


ゲンさんはじめまして。早速ですが質問があります。

以前販売店2社と、H20〜H22・H21〜H23の購読契約を交わしたのですが、年内予定の引越しに伴い家計を見直し、新聞はほとんど読んでいないので、現在のH19いっぱいまでの契約はそのままで、上記2社との契約は解約しようと考えました。

既にクーリングオフ期間は経過しているのですが、既に受けてしまっているサービス(ドリップコーヒー2回分×3箱くらい)の代金を返還すれば解約できると思い解約したい旨を電話で伝えたところ、違約金として1万円戴きます、との回答でした。

それを聞いて納得できない私は、また日をあらためてお話しましょう、と伝えひとまず電話を切りました。

契約を交わすときに営業に来られた方には、何年も先のことで、その時どういう状況になっているか分からないから、いつでも解約できるようにギフトカード等のサービスは配達時期が到来してからにしてくれと言い、契約書にも「入れ月送り」となっています。

また契約書には、クーリングオフの説明・途中解約の場合の既に配達された分の代金の算定方法・購読料の改定について・契約期間終了後の継続について、の説明のみで違約金の発生する場合やその算定方法は一切記載がありません。

消費者契約法において事業者には消費者に対する明示義務が課せられていることからしても、消費者には予測不能な営業上の不利益を、契約書に記載なしに「常識の範囲内」として消費者に課すのはおかしいと自分は思うのですが、こちらのHPでもクーリングオフ経過後は違約金として数万円は普通であるように書かれています。

自分には社会人としての常識がない、ということになるのでしょうか、、、
ゲンさん、教えてください!


回答者 ゲン


『年内予定の引越し』というのが、その販売店の配達区域外やったら、問題なく契約解除できると思われる。

そのことは、このQ&Aの『NO.165 引っ越し時の解約について相談があります』かもしくは『NO.225 引越しの際は解約できるのでは?』を参考にして貰うたらええ。

これらの中でも言うてるが、その販売店の配達区域外への引っ越しは、民法第543条の履行不能による解除権が認められるというのに該当する。

新聞の購読契約は、あくまで、購読者と販売店との間のものや。新聞社と契約しとるように思う者もおるが、それは違う。新聞社は、購読者との契約は一切、関係はないというのが公式な立場やからな。

新聞には宅配制度というのがあり、販売店の宅配可能地域範囲というのが限られとる。せやから、販売店は、その範囲外に新聞を配ることはできんわけや。

できんものは、契約履行不能ということになる。この場合、引っ越し先で、その新聞を購読するかどうかは、あくまでもあんた次第ということになる。強制はできん。

せやから、実際に引っ越しが決定した段階になって、通告しても差し支えないのやないかと思う。その場合、あんたの言う『既に受けてしまっているサービス(ドリップコーヒー2回分×3箱くらい)の代金を返還すれば解約できる』ということになる。

当然『違約金として1万円戴きます、との回答でした』というのも、無効になると考えられる。いくら、その販売店がそう主張しても、法律で守られるはずや。

但し、あんたの引っ越し先が、その販売店の配達可能区域内であった場合には、その契約は継続されるものと考えられる。

その場合『家計を見直し、新聞はほとんど読んでいないので……上記2社との契約は解約しようと考えました』というのは、あんたの側だけの自己事由ということになるから、それを理由に一方的な契約解除はできんことになる。

一方的な契約解除が、認められるのは、クーリング・オフ以外では、販売店側の不法行為か重大な落ち度がある場合だけに限られる。

『契約を交わすときに営業に来られた方には、何年も先のことで、その時どういう状況になっているか分からないから、いつでも解約できるようにギフトカード等のサービスは配達時期が到来してからにしてくれと言い、契約書にも「入れ月送り」となっています』

と言うように、実際、景品を貰わなければ解約可能やないかという解釈をされる方は多い。

しかし、良う考えてほしい。

『何年も先のことで、その時どういう状況になっているか分からないから、いつでも解約できるように』というのは、契約ですらないことになる。

有効な契約書とは、お互いが納得して商品と代金の取引を明確にして、その契約期間が決められ書面にされたものや。

契約書を交わした限りは、それを守る義務が生じる。少なくとも、契約社会であるこの日本に居住する限りはな。そして、あんたの契約は間違いなくそれに該当する。

『その時どういう状況になっているか分からないから』と考えるのやったら、そういう先の契約はしたらあかん。契約をした限りは責任は伴うものやからな。

因みに『ギフトカード等のサービスは配達時期が到来してからにしてくれと言い、契約書にも「入れ月送り」となっています』というのは、単なるお互いの確認事項にすぎんと考えられる。

契約時に景品を貰おうと、入れ月に貰おうと、それは、当事者間の合意事項やから、どちらであっても契約自体には関係ないとなるはずや。

『違約金の発生する場合やその算定方法は一切記載がありません』というのは、それについて明確な取り決めや形式があるわけでもないから、記載しとることはないやろ。違約金というのは、あくまでも当事者間の交渉で決まることやからな。

万が一、その記載があれば、それこそ消費者側の不利益事項と認定されるおそれがある。下手をすれば、その契約自体が無効と判断されかねんからな。

これは、消費者契約法の第9条に消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効という項目に抵触する懸念大ということでな。

それに、解約違約金を請求するかどうかも、その販売店次第ということもある。実際に、そういうものは一切、請求せず、受け取ってない所もあるしな。

『消費者契約法において事業者には消費者に対する明示義務が課せられていることからしても』というのも、必ずしもそうとばかりは言えんと思う。事によりけりや。

単に「説明がなかった」「説明が不十分」ということだけでは契約の取消は出来んということがあるのがそれや。これは判例にも多いことや。もっとも、そのケース毎で争うてみんと分からんということもあるがな。

『消費者には予測不能な営業上の不利益を、契約書に記載なしに「常識の範囲内」として消費者に課すのはおかしいと自分は思うのですが』というのも、考え方の相違があると思う。

そもそも契約書を取り交わすということは、お互いの信頼関係が前提の上で成されるものや。これは、分かって頂けると思う。

そこには、お互い正当な事由なくして、一方的な契約解除はないものとの暗黙の了解があるべきものや。正当な事由というのは、相手の不法行為や重大な過失を指す。

しかし、今回のケースは、どう見てもあんたの側の自己事由にしかならんと思う。あんたの側の自己事由を『予測不能な営業上の不利益』と転嫁するのは無理があると考えるがな。

どうしても『契約書に記載なしに「常識の範囲内」として消費者に課すのはおかしいと自分は思うのですが』ということであれば、争う姿勢を示すしかないやろと思う。

ワシは、自分の意見を押しつける気はさらさらない。判断はあくまでも相談者が、という姿勢は一環しとるからな。このサイトでは、そのための情報を提供しとるにすぎん。

その意味でも『こちらのHPでもクーリングオフ経過後は違約金として数万円は普通であるように書かれています』というのも心外やし、もう一度、良く読んで貰いたいと思う。

ワシは、どんな相談のときも、お互いの話し合いが基本で重要やと言うてるはずや。その違約金の金額については当事者間で決めるしかないとな。これだけの金額を払えとは一度もアドバイスした覚えはない。

ただ、そこで、販売店側の法外な要求に備え、あるいは相談者の希望に添い、一般的な販売店の違約金の提示をしとるにすぎん。

そして、その金額も最高の条件で2万円が限度やと思うと言うてるはずや。もちろん、これにはそれなりの根拠があって言うてる。

そのことに関して、当サイトの法律顧問をして頂いている法律家の今村英治先生から寄せられたご意見があるから紹介しとく。


損害賠償の額ですが、特定商取法には継続的役務提供契約の中途解約を認める条文がありまして、これによると例えば、学習塾の契約などは中途解約のペナルティの上限として2万円または1か月分のどちらか少ない方という取り決めがあります。

これを類推適用するのが、いまのところ正当な賠償額かなと個人的に思います。したがって迷惑料として2万円を超える額を請求するのはいくらなんでも高すぎるというゲンさんの回答はまことに的を射たものと私は思います。


何度も言うが、これは、ワシのアドバイスする上の根拠であって、必ずしもそうするべきやと言うてることやないというのは、分かってほしい。正直なところ、ワシとしては金額を提示すること自体には抵抗があるからな。

ただ、その目安がなければ、素人さんである一般読者の方は、老獪な販売店には太刀打ちできんやろと考えて、敢えてそうしとることや。

それから言えば『違約金として1万円戴きます、との回答でした』とその販売店が提示したというのは、2年契約の解約違約金の額としては、常識的というか、良心的な部類やと言えんこともない。

『自分には社会人としての常識がない、ということになるのでしょうか』というのは、それとは違うことやと思う。

誰でも、自分にペナルティとか、マイナス要因が加わり、金銭的にも損をすると思えば、何でやとなり抵抗したくなるのが普通の反応や。しかも、それについて自分では落ち度がないと思うてたらよけいそうなる。

結論を言うと、今回、引っ越しをされるのが、その販売店の配達区域外なら、そのときになってそれを通告すれば、問題なく契約は解除されるはずや。これは、いくらその販売店が異を唱えても仕方ないと思われる。景品さえ返せば終わると考えてええ。

それが、配達区域内というのであれば、契約は継続して、法律的にも守られると思うから、その場合は話し合いによってしか解決は難しいと思う。その解決方法は、当事者間で決めるしかない。

あくまでも、あんたの側の正当性を主張して、無条件解約を希望するというのなら、それはあんたの自由や。

その場合、販売店は納得できんかったら、損害賠償訴訟を起こすしかないとなる。ただ、結果としてあんたに不利になる可能性が大やとだけは言うとく。もっとも、その裁定は、その裁判官が下すことになるから、それ以上のことは言えんがな。

いつでも簡単に無条件で解除できる契約というものは、まずないというのがワシの考えや。あるとすれば、相手が好意的にそれに応じてくれた場合だけしかないと思う。

タカが新聞の購読契約くらいという気安さから、そういう安易なことを考える人が後を絶たんが、どんな契約もそのとき納得して交わした以上、それを守るのが常識と言えば言えると思う。契約は契約ということやからな。

これからは、こういうトラブルが嫌やったら、どんなに上手く言われようと、先の契約というのはせんことやな。

ワシから、アドバイスできることとしたら、こんなところや。どうするかは、何度も言うが、あんた次第ということになる。


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