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NO.238 良いトラブルの予防策はありますか


投稿者 福男さん 新聞販売店経営 投稿日時 2006.3.24 AM 8:09


久しぶりのメールとなります。よろしくお願いします。

Q&Aでは、この頃よく契約の件が多くでていますね。引越しシーズンとなり、転居の場合のトラブルが発生します。

それは、もちろんのこととしまして通常より多く品物をあげたお客様に多く発生します。

思い返せば、いろんな形で処理してきましたので、このメールの中へは書きつくせませんが、トラブルに関して契約書の裏面があまりにも不親切だということがあります。

トラブルにならないようにする事が基本ですが、販売店側からすると理不尽と思えるような解約が発生します。

ほとんどはゲンさんに教えていただいた付帯契約や、上限は2万円ということが非常に役に立っております。しかし、お客様Bのような場合は非常に困ります。

トラブルの元の多くは、契約が終わった後にお客様がよく言われる「引越しの場合はどうなりますか?」セールスのあたりさわりがない言葉で「引っ越したら仕方ありませんよ、よかったら続けてお願いします」

それは6.8(景品表示法の上限、6ヶ月分の購読料金の8%のこと)ルール内であれば、私も問題ありません。

しかし、お客の場合には納得できません。その防止策として引越しの場合は続けて購読してもらう内容の書面にサインしてもらうか、契約のお礼状とともに転居や解約に対する項目を付け加えて渡す。そういうことは問題ありませんか?

私も今までであれば口頭で言っていましたが、訪問にしても限りがありますし、そのタイミングも難しいものがあります。

そう考えながらも事務的にできないかと思います。

もともと、そういうできない事をするからだ、と言われればそれまでですが・・。

また他に良いトラブル予防策などありましたらよろしくお願いいたします。


回答者 ゲン


トラブルが「通常より多く品物をあげたお客様に多く発生します」で、特に引っ越しに伴う解約について「お客Bの場合には納得できません」ということやけど、それは、説明次第では問題なく解決することやと思うがな。

そのことを説明する前に『Bの防止策として引越しの場合は続けて購読してもらう内容の書面にサインしてもらう』ということから話す。

これはせん方がええと思う。『引っ越しの場合は続けて購読』というのは契約としては成立せんことや。これは、将来的にどことも分からん販売店と再契約しろと言うに等しいことやからな。

もちろん、法律的にも認められることはないと思う。下手をすると、消費者契約法の第十条、消費者の利益を一方的に害する条項の無効に抵触する可能性がある。それをアピールする購読者がおったら契約そのものが消滅することすら考えられる。

『契約のお礼状とともに転居や解約に対する項目を付け加えて渡す』というのは、お願い事としてならええと思う。

その際「転居される場合は、現在の契約内容をそのまま延長されるのでしたら、転居先での販売店とのご契約をお勧めします。しかし、転居理由ということで解約を希望されるのでしたら、契約時に購読期間満了を条件にお渡しした景品の返還はお願いすることになります」という文面の内容なら問題はないと思う。

冒頭に『問題なく解決することやと思う』と言うたのには、このことがあったからや。

あんたは『通常より多く品物をあげたお客様B』が、引っ越しを理由に契約解除をすることで、その景品の貰い得になるということから『お客Bの場合には納得できません』という表現に繋がっとると思う。

しかし、そんな心配をする必要はないはずや。引っ越しを理由に契約解除を希望する場合は、双方の契約不履行ということで、契約は取り消しとなる。

このような急な引っ越しの場合、契約者側にも販売店側にも何ら落ち度はないということになる。やむを得んことや。こういう場合には、双方が契約前の状態に戻す義務が生じる。

これを原状回復義務という。契約の履行不能で、その解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負うということになる。これは、民法545条にその規定がある。

つまり、この法律で言えば、履行不能による契約解除を申し出た契約者は契約時に渡した景品類は返還せんとあかんことになるということや。それが、原状回復義務ということやからな。

せやから『通常より多く品物をあげたお客様』であろうが、少ない景品の読者であろうが、返還して貰えば関係ないことになるわけや。

この事については、Q&Aでも随所に言うてることや。例えば『NO.165 引っ越し時の解約について相談があります』などでもそれは言うとる。

そういう『通常より多く品物をあげたお客様』が引っ越しを理由に契約解除を申し出て来たら「契約解除されるのでしたら、お渡しした景品の返却をして頂かなくてはいけませんが、このまま引き続き、引っ越し先での購読をされるのでしたら、こちらから、その旨、お伝えするサービスを行っていますので、景品の返却は必要ありません」と、サービスの一環という形で言えばええ。

加えて「尚、当店との契約を解除されて、新たな引っ越し先での販売店と新規の契約をされた場合、私どもと同等の景品が貰えるとは限りませんよ」と言うくらいはええと思う。あんたの所がそのサービスに自信があるのなら、そう言うことが本当に親切になるやろしな。

これを「引っ越し先で継続して購読することが当たり前」とか「解約はできん」とかという姿勢で言うと、客も反発することになりやすい。それがトラブルとなるわけや。

ワシの経験から言えば「解約しない方が得ですよ」と説明すれば、たいていは引っ越し先での継続になるがな。

ただ、中には、どうしても契約解除を主張する者もおるが、そのときは、渡した景品を返還して貰うことで納得するしかないやろな。強制のできることやないしな。

ただ、その購読期間によってトラブルになることもある。例えば、1年契約ですでに6ヶ月以上購読しとっても、景品の返還は全部せなあかんのかということや。

法律的に言えば、購読期間による景品返品の割合の規定がないから、全部と言えると思う。まあ、それも当然で、そういうのがあれば、原状回復とは言わんからな。

しかし、一般的には、その割合に応じた返還ということで手を打っとる販売店は多いようや。もっとも、それは、あんたの所の方針もあるやろし、客との話し合いにもよることやと思うから、状況次第やろけどな。

あんたの言う『トラブルに関して契約書の裏面があまりにも不親切だということがあります』というのは、むしろ、一般読者が感じとることやと思う。

ただ、これも、どこまで記載すればええかということになる。下手に書けば、消費者の利益を一方的に害する条項に抵触する畏れもあるからな。

ワシの意見を言わせて貰えれば、トラブルは似たようであっても、そのケース毎に微妙に違うと思う。解決方法も一つやない。相手が同じ人間なら別やが、たいていは違う。

人それぞれ自分の正義、主張、思い込みというのがある。例え、同じような事案であろうと、そのトラブルの解決法は、いくつもあるということや。

それは、このQ&Aでも、言えることで、似たような質問はいくつかあるが、その回答は微妙に違うはずや。よほどでないと、まったく同じ回答になることはないと思う。

また、それぞれの結果も違う。トラブルとはそうしたもんや。その時々に合わせた解決をしていくしかないというのが正しい答えになる。

『事務的にできないかと思います』というのも、引っ越しなんかを事前に予測するのは、よほどそういう可能性のある契約者でなければ分からんことや。予測できるのやったら、端からトラブルにはならんやろしな。

親切で、事前にすべてのケースを想定して、その対応を伝えておくというのは、悪いことやないとは思うが、あまり、それをしすぎるのも、よほど上手く説明せんことには、却って警戒心を抱かせるのやないかと思う。成る契約も成らんということにもなりかねんからな。

『また他に良いトラブル予防策などありましたらよろしくお願いいたします』ということにも関連するかも知れんが、トラブルのQ&Aのような感じで、チラシを作っておくというのも、一つの方法でええかも知れん。

少なくとも、口頭で言うよりは、良心的な販売店という印象を客に与えられるのやないかな。その内容は、あんたの過去の経験から作成するのもええし、当サイトのこのQ&Aの中から、良さそうなものを選んで貰うのでもええかも知れん。

そして、できたら、その内容は客の立場に立ったものの方が好感度はええやろな。間違うても、店の立場を強調して、こうして貰わな困る式の文面やったら、逆効果や。そんなものやったら、作らん方がましやと思う。

あくまでも、それを作る目的は、契約について理解して貰うためで、店の評判を上げ客に好印象を抱かせるようなものやないと効果は期待できんやろと考えるからな。


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