新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.253 新聞の契約解除でもめて困っております
投稿者 ゆめさん 投稿日時 2006.5.13 PM 11:50
義母の話なんですが、新聞の契約解除でもめて困っております。
何年か前から契約している新聞会社らしいんですが、今回、同居の為、引越しをするので、新聞の解約したいと思っています。
それで電話をしたらしいのですが、当然解約は出来ないと言われたそうで、それでも解約を!と言ったら違約金を10万支払えば解約する、と言うのです。
現在の契約は、本人も何年契約で、何をもらったか、無料期間があったかもわからない状態ですが、それにプラスH22〜H27まで5年間契約(無料1年分付・景品はすでに貰い済)もしています。多分、現在の契約も3〜5年の契約だと思うのですが・・・。
現在の契約を最後まで続けてくれるなら、H22〜の5年契約は無効にしてくれる、といってたらしいのですが、(義父から怒られるのが怖いので)無理だ、というと違約金10万を支払えと言うそうです。
確かに、現契約に無料期間があったのならば、その期間分の支払いと、景品代位は最低でも支払わないといけないでしょうが、いくらなんでも10万は高すぎやしないでしょうか?
とりあえず、義母には現契約の書面が手元になく確認出来ないので、新聞屋さんにコピーをもらう事と、違約金の内訳を書いてもらうように言ったんですが、この場合、やはり10万も支払わないといけないでしょうか?
宜しくお願い致します。
回答者 ゲン
このケースは情報が少ないから回答がしにくいけど、かなり困っておられるようやから、取り敢えず仮定のアドバイスはしとく。
そして、これを読まれたら再度、その詳しいことが分かり次第、必要な情報を教えてほしいと思う。
@ 『同居の為、引越しをするので、新聞の解約したい』というのは、どこに引っ越しされるかで、まったく違った結果になる。
その引っ越し先が、その契約をした後、急に決まったことであり、その新聞販売店の配達区域外やったら、転居と同時に自動的にすべてが契約解除される。貰った景品があれば、それを返したら終いや。
新聞には宅配制度というのがあり、販売店の配達可能地域範囲というのが限られとる。せやから、販売店は、その範囲外に新聞を配ることはできんわけや。
これは、遠方であろう近所であろうと、配達可能地域が違うということがあるから調べたら分かるはずや。その販売店と同じ経営者以外の違う店からの配達ということになるのやったら、範囲外ということになる。
こういう状態になった場合、民法第543条で契約の履行不能による解除権が認められるとある。
配達できんものは契約の履行が不可能やからな。たまに、他の店に権利を譲ったという販売店がおるようやが、それは、そちらが認めん限り有効とはならん。
この急な引っ越しについては、販売店は仕方ないとあきらめるのが普通や。引っ越し先で継続してくれと言う場合もあるが、その選択権は購読契約者にある。嫌なら断ることができる。
Aそうやなく、この引っ越しが、現在と同じその新聞販売店の配達区域内ということなら、その契約は新たな引っ越し先でも継続されることになる。
その場合は、今回の『新聞の解約をしたい』というのは、そちらの一方的な自己事由ということにより、どうしても解約を希望するのであれば、その販売店からの解約違約金の請求については、法律上、問題になることはないと思う。
但し、金額については、詳しい契約内容が分からん以上、何とも言えんが、その販売店の言う「10万円を払え」というのは、確かにの業界でも常識外れやの請求やとは思う。
これは、請求されたからというて、それに100%応じる必要はない。話し合いによる合意で決めればええことや。
因みに、解約違約金についての上限は、当サイトでは2万円程度までというアドバイスをしとる。もちろん、これには根拠があってのことや。
当サイトの法律顧問をして頂いている法律家の今村英治先生から寄せられた見解にこういうのがある。
損害賠償の額ですが、特定商取法には継続的役務提供契約の中途解約を認める条文がありまして、これによると例えば学習塾の契約などは 中途解約のペナルティの上限として2万円または1か月分のどちらか少ない方という取り決めがあります。
これを類推適用するのが いまのところ正当な賠償額かなと個人的に思います。したがって迷惑料として2万円を超える額を請求するのはいくらなんでも高すぎるというゲンさんの回答はまことに的を得ていると私は思います。
但し、新聞購読契約についての判例や取り決めがないため、該当するかどうかは何とも言えんが、少なくとも当サイトでは、これを根拠にアドバイスすることにしとる。
契約の履行不能で、その解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負うというのがある。これは、民法545条にその規定がある。
契約が解除されると、契約は締結した時に遡って消滅し、各当事者は互いに相手方を原状に復せしむる義務(原状回復義務。受領した物を相手方に返還する義務)というのがそれや。
つまり、今回の場合で言うと契約が解除されると、販売店がそちらにサービスしていた新聞代金を払うことが、この法律の「原状回復義務。受領した物を相手方に返還する義務」に相当すると考えられるということや。
これは、違約金という性質のものやなく、当然の義務として発生するもんやと考えられる。
せやから、解約違約金というのは、それにプラスされるものということになる。そのプラス分が最大で2万円程度までやというのが、当サイトの考え方や。
ただ、今回の『違約金10万を支払え』というのは、多分に、契約解除を阻止しようという意図がその販売店にあるのやないかと思う。こう言えば、解約はあきらめるやろということでな。
因みに『それにプラスH22〜H27まで5年間契約(無料1年分付・景品はすでに貰い済)もしています』についても、別途の契約解除が必要になる。これも、その販売店との話し合い次第や。
Bあんたが『とりあえず、義母には現契約の書面が手元になく確認出来ないので、新聞屋さんにコピーをもらう事と、違約金の内訳を書いてもらうように』と言っておられるように、その契約書のコピーを貰うのと違約金の提示理由を書面で受け取るのはええことやと思う。
契約書については、購読者が希望したら必ず提示する義務がある。また、その契約書の保管義務もその販売店にある。因みに、購読者にはその保管義務はない。
万が一、現物、またはそのコピーでの契約書の提示ができん、あるいは紛失したということであれば、この契約はなかったものとして無効を主張できる。
契約書のない契約は、お互いが認めん限りは有効とはならんという原則がある。揉めたときに、その判断の基準となるものが契約書というわけや。
その際、貰ったとされる景品類の返還も必要なくなると考えられる。それがどの程度のものやったか分からんのやからな。もっとも、そちらがそのことを認めれば別や。
最近は、コンピュータに情報を打ち込んであるという理由で、その契約書を保管してないという販売店も中にはあると聞く。しかし、これは何の理由にもならず、法的根拠もないので無効を主張するには、問題はない。
C『義父から怒られるのが怖いので』というのは、意味が良く分かり辛いけど、義父さんは引っ越し後の延長を一切認めんということなのかな。
それやったら、義母さんは『義父から怒られるのが怖いので』という言い訳を販売店にはせず、その義父さんが直接、交渉すればええことと違うかな。
販売店にとって、そういう言い訳は、はっきり言うて関係のないことやからな。
それとも、販売店とそういう契約をしとるということを旦那さんである義父さんには内緒でしとるということなのかな。
それが分かると怒られるということで、内緒で処理するというのなら、その販売店の要求を呑むしかないやろと思う。
こういう問題で揉めて、内緒にというのは、それ以外では無理や。こういう揉め事は大きくなるから必ず分かる。
一般的には、新聞購読書の契約者は旦那さんの名義というのが多い。その契約書に、奥さんである義母さんがサインしていたとしても、それは別に差し支えない。その契約書は有効とされる。
契約解除を話し合いで解決するのには、義父さんが交渉の場に出る必要がある。奥さん任せにできることやない。義父さんが奥さんを怒るというのは筋違いやろと思うけどな。それとも、何か理由があるのなら別やがな。
D話し合いが平行線を辿り、解決の目処が立たず決裂し、その販売店がその後も新聞を入れ続けた末、その集金を要求した場合、その支払いをそちらが拒否したと仮定する。
その場合、その集金を請求するのなら、販売店は民事で損害請求訴訟を起こすしか方法はなくなる。「裁判所に訴えてくれ。そこでそう決まればその金額を支払う」と言うてみる。
その販売店が、そういう訴訟をするかどうかは未定やが、万が一、そういう訴訟を起こされても、その場で契約解除についての話し合いも可能やと割り切ればええ。
そして、そこで決定されることなら、お互い守らなしゃあないということになるやろと思う。
絶対とは保証できんけど、そう開き直れば、交渉が有利に展開することもある。
どんな交渉事でもそうやが、弱みを見せたり、弱気になった方が負けや。主張すべきことはした方がええ。もっとも、ゴリ押しするだけやったらあかんやろけどな。
結論として、契約解除というのは、正当な理由なしにはできんということや。この場合は、その販売店の区域外への引っ越しやないと、法的に認められることはないということになる。
同居に伴う契約解除というのは、購読者側の一方的な自己事由ということになり、それを解除するのなら、ペナルティとしての契約違約金を支払うという前提以外の話し合いは無理やということになる。特に今回のような販売店とはな。
以上、幾つか提示した内容を調べ、それに該当することで参考になることがあると思えば、そうしたらええし、また、新たな事情でもあるのなら、それを知らせてくれれば、できる限りのアドバイスはするつもりや。
相談者から、この件に関して補足のメールが寄せられた。
投稿者 ゆめさん 投稿日時 2005.5.15 AM 0:06
こんばんは。
早々にメール頂き、ありがとうございます。
それで補足ですが、引越しは、急に決まった事で、配達地域外になります。
現契約は、どういう契約かまだ不明ですが、H22〜の5年契約はH16か17の11月に契約したもので、景品はすでに使用済みです。
義父が何故怒るかと言うと、義母は元々訪問販売に弱くて、よくトラブルを起こしているからです。
元々H22〜の契約は、相手に言われるまま印鑑を渡し、氏名などの記入は新聞屋さんが書いたそうで、契約不履行では?という本心もあるようですが、それは、景品を受領しているので、難しいのでは?と思うんですが・・・。
義母では、交渉が難しいとの事なので、私が、義母の代理という形で、間に入ろうかと思うんですが、私なりに何故10万なのか考えてみたんですが、
@景品の金額(契約額の8%として5年で約2万程度?)
A現契約の、多分あったであろう無料期間1年(月4000円として4万8千円)これに違約金の2万×2契約=4万で、まぁ10万程度・・・かなと。
でも、配達地域外に引越しの場合は、違約金は発生しないんですね?ならまだまだ交渉余地はあるでしょうか?あと、こちらが支払うべきお金は、@Aは確実ですか?他にもあるでしょうか?
現在は止めてくれと言っても、配達されているようですが、この違約金10万で交渉成立なら、すぐにでも止めてくれるそうです。この10万は、一括は無理なら月1万づつ返済でもという話も出ていたそうですが、とりあえず引越し先の住所は教えない方が良いですよね。
中々、情報が少なく曖昧で申し訳ないのですが、アドバイスありましたら、宜しくお願いします。
回答者 ゲン
『引越しは、急に決まった事で、配達地域外になります』ということなら、最初に回答した通り、貰うた景品の返還で決着がつくことや。違約金などの支払いは一切、必要ない。
これは、いくら、その販売店が異を唱えてもどうしようもない。それについては、一度、説明しとるから分かって貰えると思う。
問題は、義父さんに知られんようにするということやな。これについては、かなり難しいと思う。
引っ越し日をその販売店に通知してたら、それまでに何度か、このことに関して販売店の人間が訪れるか電話するかも知れん。そのとき、その義父さんが応対に出るようなことがあると、簡単にバレるやろと思う。
引っ越し日を知らん場合は、こういう引っ越しをするという話を聞けば、その販売店は担当の人間に徹底して注意させるやろうから、販売店、その担当者によれば毎日、ほぼ張り付き状態になるということも考えられる。
普通、引っ越しは早くても2,3時間はかかるもんやから、そのくらいの時間帯毎に監視されたら、その引っ越しの現場を押さえられるということもある。
また、販売店毎にファンというか特別な協力者、モニターという客を確保しとることもあるから、そこからの通報というのも考えられる。
そうでなくとも、販売店の従業員や拡張員は常に引っ越し客を見つけようと魚の目鷹の目で探しとるケースが多いから、見つかる危険性は高い。
販売店に見つかれば、当然やけど何か言うてくるはずや。そのとき、義父さんと販売店の人間が揉めるということも十分考えられる。
せやから、そういう危険性の高い隠し事をせずに、今回の件は、できれば、あんたからその義父さんを説得して、納得して貰うことが一番ええと思う。そうすれば、その販売店との交渉も強気で言えるしな。
『義父が何故怒るかと言うと、義母は元々訪問販売に弱くて、よくトラブルを起こしているからです』
こういう人というのは、世の中には結構多い。放っておいたら何度でも同じことを繰り返すタイプや。おそらく、何ぼ言うて聞かせても治ることはないやろと思う。
今度、同居される方というのは、それは十分承知のことやと思うから、今さらやけど、こういう人は絶対にひとりで留守番なんかさせたらあかん。できたら、印鑑なんかも預けんことやと思う。
『元々H22〜の契約は、相手に言われるまま印鑑を渡し、氏名などの記入は新聞屋さんが書いたそうで、契約不履行では?という本心もあるようですが、それは、景品を受領しているので、難しいのでは?と思うんですが・・・』
これは、契約の無効を主張するのやったら、自筆のサインやないと言えばええやろけど、今回に関してはその必要すらない。その契約も引っ越しで、不履行となるからな。もっとも、その貰うた景品は返しとかなあかんがな。
『義母では、交渉が難しいとの事なので、私が、義母の代理という形で、間に入ろうかと思うんですが』
これは、交渉する上では、ええやろと思う。本当は、代理人としての委任状でも書いて貰うといた方がええけど、相手が公的な組織やないから、話し合いに応じるということなら何も問題ないやろ。
『@景品の金額(契約額の8%として5年で約2万程度?)』と言われるのが良う分からんけど、景品の返還は基本的には現物でええ。
それがない場合、あるいはそれが手に入れることが困難な場合は、時価に換算した金額ということになる。
契約額の8% というのは、勧誘の際に客に景品分として渡すことのできる上限のことで、景品表示法に、新聞購読の契約総額の8%、又は6ヶ月分の購読料の8%のいずれか安い方というのが決められとる。
新聞販売店は、それを超えて景品を渡すことを法律で禁じられとるわけや。実際にそれが守られとるかどうかは怪しい所はあるがな。
せやから、それからすると、6ヶ月以上はすべて一律として計算するから、そちらのケースやと、3925円(1ヶ月分の購読料金)×6ヶ月×8%=1884円という計算式になる。
つまり、その新聞販売店は、1884円以上の景品分を渡したら、法律上、あかんことになるわけや。それは、3年契約であろうと、5年契約であろうと一緒や。
契約書に、景品として何を渡しとるか明示されとったら、例え違法な景品分やとしても、民法の原状回復義務の観点からすると、貰うた物は返還せんとあかんことになると思う。
但し、その契約書にお互いが認識できる景品分の記載がなく、また、その販売店の主張がべらぼうな場合は、景品表示法を根拠に、1884円分の支払いを主張することはできる。
それで、揉めるのやったら「出るところへ出て決着を付けよう」と言うても差し支えない。困るのは、その販売店や。
因みに、1年無料サービスというのは、公正取引委員会からすれば、値引きの範疇ということになり、この景品表示法には触れんという考え方がある。
つまり、値引き行為というのは、公正取引委員会からすれば、むしろ、歓迎される行為ということになり、お咎めなしということのようや。しかし、それも程度の問題のようやがな。
もっとも、これは新聞社が認めとらんけどな。無料サービスというのは、一般的には販売店が新聞社に内緒でやっとる行為ということになる。
せやから、サービスがこれだけやとしたら、これも、原状回復義務の観点からすると、すでに受け取った無料の新聞代は、販売店の請求があれば、返還せなあかんと考えられる。
良く違法なものは返還の義務がないと主張する人間がおるが、その契約を解除、または履行できんのであれば、やはりそれを条件にタダで受けとった物は返さなあかん。どんなことでも、貰い得というのはないと考えてた方が無難や。
違法行為は、販売店がその法律で裁かれるだけのことやから、購読者には関係ない話やと思う。貰いすぎた景品で、購読者が不利益になるということもないやろしな。
しかし、ここがややこしいところやけど、前回の相談内容にあった『無料1年分付・景品はすでに貰い済』ということで、抱き合わせで景品も一緒に貰うてた場合は違法になる。
この場合も、景品の返還分の未定で揉めたら、1884円分のみの返還の主張も可能やと考えられる。微妙なところやけどな。
さらに言えば、無料サービスを選ぶか景品を選ぶかの二者択一を提示した場合、例え、無料サービスを選んだとしても、それは、値引き扱いにはならず、景品表示法に抵触することになる。参考までに言うとく。
『この10万は、一括は無理なら月1万づつ返済でもという話も出ていたそうですが、とりあえず引越し先の住所は教えない方が良いですよね』
それは、やめておいた方が無難やと思う。常識的に考えて、その販売店が住所も聞かず、それを納得するとはとても思えん。必ずその約束の書面を要求するはずや。
そうなれば、どこかで、それが義父さんに発覚するおそれがある。何より、それで止む得ず新しい住所を教えることになれば、その販売店から入れ知恵された勧誘員が再度、訪問してきて同じことを繰り返すことも考えられんでもないからな。
ワシのアドバイスの結論としては、義父さんに事情を説明し、今回限りということで納得して貰うた上で、その販売店との交渉をした方が無難やと思うんやがな。
万が一、それが発覚し、家庭内で揉めるようなことがあったら、相談を受けたワシとしても心苦しいからな。