新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.256 クーリング・オフの説明がなければいつでも解約できますか


投稿者 X さん 投稿日時 2006.5.25 PM 11:02 


ちょっとした疑問があります。
友人が“クーリング・オフは、法律で存在を知った日から8日間有効だと決められているから、その説明を勧誘員がしなかったら、それを知らなかったということにして、昨日はじめて知ったと言えば契約解除なんかいつでもできる”といって、ほんとうにそれで解約できたといいます。

実は僕もコワモテの勧誘の人から先月、6月から3ヶ月の約束で新聞の契約をしました。そのときは、こわくてクーリング・オフなんて考えられませんでしたが、確かにその人は、クーリング・オフのことなんて何もいわなかったと思います。

ですので、クーリング・オフの期間はとっくにすぎていますが、クーリング・オフのことは知らなかったということで、販売店にいってみようと思います。

こんな場合、ほんとうに友人のいうとおり解約できるのでしょうか?
よろしくおねがいします。


回答者 ゲン


『こんな場合、ほんとうに友人のいうとおり解約できるのでしょうか?』ということやけど、よほどの販売店やない限り「はい、そうですか。分かりました」と応じるような所はないはずや。

あんたの友人は、どこでそんなことを聞いたのか、あるいは考えついたのかは知らんが、思い違いをしとるようや。しかも、根本的なことやから、ある意味、たちが悪いと言えるかも知れん。自分だけの思い違いだけならともかく、他人にそれを吹聴してるようやからな。

あんたに限らず、そのことに詳しくない者は『クーリング・オフは、法律で存在を知った日から8日間有効だと決められているから、その説明を勧誘員がしなかったら、それを知らなかったということにして、昨日はじめて知ったと言えば契約解除なんかいつでもできる』と、自信持って言われると、そうかなと信じてしまうことになる。

あたかも、法律にそういうのがあると思い込むわけや。それを信じて実行すれば恥をかく結果になる。

あんたはまだ、心のどこかに、ひょっとしたらという思いがあったから、ここに相談されたんやろが、結果的に、そうしたことで、恥をかかずに済むことになると思う。もっとも、ワシの説明に納得できたらやけどな。

クーリング・オフの規定は、特定商取引に関する法律の第9条にある。同じく、その第4条に、訪問販売における契約書面の交付というのを義務づけとるというのがある。それと同時にクーリング・オフの書面の交付も契約者に渡すようにも義務づけられとるわけや。

そこには、口頭での説明が必要やとは規定されとらん。もし、それがあれば、口で言うただけでええとなるからな。

口で言うた言わんというのは、その当時者が認めれば問題ないが、どちらか一方が異を唱えるか否定すれば、その証拠がないと、ただの水掛論になる。

契約に関して、法律は書面ということに重きを置く。クーリング・オフの解除にしても、書面の通知以外では、法律的にその効力はないとされとるからな。

もっとも、営業員は、顧客への道義的な責任、あるいは親切、サービスの一環として、クーリング・オフの説明はするべきやと思うけどな。

しかし、それを言うてたかどうかで、クーリング・オフの期間に変更が生じることはない。これが、書面でのその通知を怠っていたというのなら、例えその説明を口頭でしていたとしても、それを聞いてないと言えば、口頭で説明したという確かな証拠がない限り、いつでも、クーリング・オフの解除ができるということになるがな。

ただ、新聞購読契約においては、そういうことはまずあり得んことや。たいていの購読契約書の裏側には必ず赤字で「クーリング・オフのお知らせ」と題した部分があるはずやからな。

それが、クーリング・オフの書面での説明ということになる。今日び、それのない新聞の購読契約書は考えられん。


クーリング・オフのお知らせ

特定商取引に関する法律でいう訪問販売での申し込み又は契約の場合、本書面を受領した日から起算して8日間は、表記、新聞販売所宛への本契約の解除を書面(ハガキ、封書等の文書)で行うことができます。その効力は、書面を出したとき(郵便消印日付)から生じます。


と、あるのがそれや。販売店毎の契約書により、その文面は多少違うかも知れんが、内容的には大差ない。

つまり、購読契約書を渡したと同時にクーリング・オフの通知も書面でしとるということになる。これは、法律でも有効とされとるもんや。

せやから、その友人の言う『その説明を勧誘員がしなかったら、それを知らなかったということにして』ということにはならんわけや。手渡した契約書にちゃんと記載しとるから、知らんということも通用せん。

一般の購読者の中には、新聞の購読契約というものに対して、ただの約束を交わした程度という軽い気持ちの人が結構いとる。中には、契約を交わしたということすら認識のない人も珍しいことやない。

確かに勧誘員の中には、そういう説明をせん者もいとるというのは良う聞く。また、していたとしても、その場は聞き流す客も多い。それが、聞いてないということにつながる場合もあるということや。

もっとも、クーリング・オフというのは、今や一般にも浸透しとることやと勧誘員も認識しとるから、説明というても「何か分からないことがありましたら、裏面をお読みください。クーリング・オフや留守止めに関しての説明もありますので」と言うくらいや。

ワシの知る限り、それならと、その場でそれを確認する人はほとんどおらん。勧誘員にしても「是非、確認してください」とまでは言わん。客には、そのやりとりの記憶すらないのが普通や。それが、説明せん者がいとるという批判になるのやないかな。

しかし、渡された書面には必ずその記載があるんやから、やはり、その確認を怠るというのは、購読者の手落ちやと思う。契約書として渡されたものは、やはり確認しとかなあかんやろ。それが、あれば何の問題もないことやからな。

その友人が『ほんとうにそれで解約できた』と言うのも、ワシには信じ難いことやが、販売店の中には、客が嫌で断るのなら仕方ないという理由だけで、解約に応じる所もあるようやから、そういうこともあるやろと思う。

しかし、たいていの販売店では解約に応じることはないはずや。言い方がきついかも知れんが、こういうのは、販売店からすれば、根拠のない言いがかりと受け取ることもあるやろからな。

いずれにしても、その友人の言を信じて、販売店にそれを言えば、恥をかくのはあんたや。止めといた方がええ。販売店の人間は、こと、クーリング・オフの法律に関しては詳しい者が多いさかいな。それで、ごまかされることはまずないと断言してもええやろ。

これは、いらんお世話かも知れんが、その勘違いしとる友人に、ワシの説明が納得できるのやったら、あんたから、忠告してやってはどうかな。

おそらく、その友人は同じことを、あんただけにやなく、他の人間にも言うやろと思う。実際、そうと信じ切っとるその友人にしたら、ただの親切心で吹聴しとるだけなのかも知れんからな。

せやけど、それが続けば、結局はその友人自身の信用を落とすことにもなりかねんということや。ええ加減なことを言う奴やと。特に、それを信じて販売店に言うて、恥をかいたと思う人間がおったら、尚更そういうことになる。

ただ、友人への忠告は慎重にした方がええとは思う。

忠告してこれを善導し、不可なれば則(すなわ)ち止む。

論語の有名な教えやが「忠告して聞けばそれで良し、聞かなければそれ以上の忠告は止めておきなさい」ということやな。分かる者やったら、簡単な忠告で理解するはずや。

特にこれは、思い込みの激しい人間や目上の人間に対する対応についての教えやさかいな。こういう人には、いくら自分が正しいと思うことがあっても、それを押しつけるような助言、諫言は控えた方がええということになる。

この後に「自ら恥めらるるなかれ」と続く。その助言を相手が、いらんお節介やと受け取れば、言うた人間にまで害の及ぶことがあるかも知れんから、ほどほどにという戒めやな。


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