新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.262 新聞の特殊指定廃止を見合わせる報道記事について


投稿者 匿名希望さん 投稿日時 2006.6. 3 PM 3:39


はじめまして、ゲンさん。

あるWEBサイトニュースに、新聞の特殊指定(新聞社や新聞販売店による異なる定価設定や値引き行為を禁ずる)の廃止が当面見合わせる方針を公正取引委員会が正式表明したという記事がありました。

自分は元新聞販売店正社員で新聞拡張の仕事をしてました。元勤め先の近辺には他社の販売店などあり新規顧客を獲得するのに大変苦労しました。

ライバル全国紙の販売店は新聞の価格を下げるから粗品を無理やり顧客にあげて契約をとっていました。

そのWEBサイトニュースに以下のことが記してあります。


新聞を取るのをやめよう。朝刊の中身など、どうせ前の日に見たテレビのニュース番組と同じなのだから、ずいぶん前に読んだことのあるネットの情報と同じなのだから。昼休みに図書館などで目を通せば十分だ。

これで気持ちの良い朝を迎えることができるだろう。虚報を繰り返す紙面 に腹を立てる必要もなくなる。一方的で恣意(しい)的な紙面 にうんざりすることもなくなる。なによりも、得体の知れない営利企業、新聞社が作った情報に騙(だま)されることが少なくなる。これはいいことだ。


新聞販売店で拡張アルバイト員や拡張正社員で働く人にとって特に気になる情報ですが、ゲンさんはどう感じ取れますか?


回答者 ゲン


新聞の特殊指定問題については、サイトやメルマガで散々言うてきた。その中の一つ『NO.241 新聞社が販売店を直轄化するという方向性についてどう思われますか』の中でも言うてるが、今回の公正取引委員会の決定については、今年の3月末の時点で、ほぼ予想できていたことやった。

その中でのワシのコメントを抜粋する。


今回、新聞特殊指定の見直しが見送られるとしたら、現状の体制に変化を期待するのは、難しいような気がするがな。

環境が変わらな体制も変わらんというのは、どの世界でも言えることやと思う。

環境に対しては、なるべくその環境の変化を防ごうとする力とその環境の変化を受け入れ順応しようという力とに別れるもんやが、新聞社のそれは前者や。

今のところ未確認情報ながら、新聞社の環境の変化を防ごうとする力が若干、勝ってるようや。


実は、こう言えたのは、この回答をサイトでしたとき、ちょうど、当メルマガ『第85回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞特殊指定について』で、読者の方々に広くこの問題の是非についてアンケートを募集していた時期やったんやが、その際、寄せられた情報で、ある程度の予測がついていたからやった。

当サイトには、多くの新聞販売業界に携わる方々に協力して頂いとるし、また、公正取引委員会の動向に詳しい人もおられる。その方々からの複数の情報で、それに関したものがあったわけや。

せやけど、これは、今回はという但し書きがつくと思う。やはり、公平に見て、新聞社も含めこの新聞販売業界は問題が多い。業界が変わらず、このままやと近い将来、この問題がまた持ち上がるのは間違いないやろからな。

『そのWEBサイトニュースに以下のことが記してあります』という内容は、そのWEBサイトとは関係ない個人的な意見のようや。

そのWEBサイト内に『※この記事は、P○個人の文責によるもので、法人としての○○の見解・意向を示すものではありません。また、P○ニュースは○○のニュース部門、○○・ニュースとは無関係です』という注釈があるからな。

個人の意見としてのものなら、それがどういう内容のものであれ、ワシとしては「ああ、そうか」と言うしかない。どういう意見を持とうとそれは個人の自由やと思うからな。

その発言により、何らかの被害を受けるとしたら、その当事者が、発言者に質すなり、撤回を要求すればええだけのことや。

ワシとすれば、それらの発言に一々、反論なりコメントをする気にはなれん。もともと、他を批判するということは好きやないし、するつもりもないからな。

但し、その行為が誰かを傷つけ迷惑をかけて、えげつないとか、許せんと思うことには言及することはあるが、そうやない限り放っとくのが、ワシのスタイルや。

特に、こういう主張に対して反論や意見を言うても、不毛な言い争いになるだけやと思うとるからな。

立場が違えば意見が変わるのは当然や。その違う立場に理解を示そうとする人間となら、意見を戦わせてもそれなりに実になるかも知れんとは思う。

しかし、残念ながら、そのWEBサイトニュースに寄せられた方の意見には、それを伺うことができん。論調を読む限り、新聞憎しに凝り固まっとるようや。新聞不要論者というのが良う分かる。

対してワシは、どちらかと言えば、新聞擁護論者や。その新聞がなくなれば、明日からめしが食えんようになるから必然的にそうなる。それが、立場の違いということや。

ワシが、このサイトで新聞業界に苦言を呈するようなことを言うてるのは、あくまでも、それで良うなってほしいと願うとるからや。この発言者とは苦言の質が違う。

せやけど、それで済ませては、Q&Aにはならんと思うから、その意見の反論ということやなく、あくまでも、あんたの『特に気になる情報ですが、ゲンさんはどう感じ取れますか?』という質問に答えるということで、ワシの個人的な意見を伝える。

それが、受け取り方によれば、批判ととられるかも知れんがな。難しいところや。もう一つ、これは、あくまでも、あんたに寄せて頂いた部分のみの意見やということも、言い添えとく。

まず『新聞を取るのをやめよう』という意見には、今更という観がある。こういうことを言い出す人間は昔から大勢いてた。

自分の意見が正しいと思い込み、それを他の人間にも押しつけたいということなのやろう。特別、珍しいことでもない。

こういう意見に同調する者は、この意見を聞いたからというのではなく、もともと同じような思考をしていたと考えた方が自然やないかな。

心配せんでも、これを聞いて、そらそうやと言う人は少ないと思う。却って、その押しつけが鼻につくのやないやろか。

『朝刊の中身など、どうせ前の日に見たテレビのニュース番組と同じなのだから』というのは、一部のニュースに限れば当たり前の話や。そういうこともあるやろ。

テレビのニュース番組で流される情報の多くが、その新聞社から出とるんやからな。テレビ局は、その情報の多くを新聞社から買うとるという現実がある。

テレビがリアルタイムで、新聞はその後を追った報道と思い込んどる人間は、結構いとるようや。しかし、大半のそういう情報を集めとるのは新聞社であり、新聞記者さんたちや。

新聞紙面は、印刷物にする都合上、締め切り時間というのがあり、それで、掲載を制限されるだけのことにすぎん。情報の出所は新聞社というのが圧倒的に多いわけや。

さらに言えば、新聞社とテレビ局がグループ企業というのが多いというのは周知のことや。そのテレビ局が、系列新聞社の情報網に頼ったとしても何の不思議もないと思うがな。

『ずいぶん前に読んだことのあるネットの情報と同じなのだから』これは、何を根拠に、あるいはどういう記事について、そう言うてるのか良う分からんけど、少なくとも事件ニュースということなら、この発言者が言うてるようなことは皆無やと断言できる。

同様の事件報道が数日に渡って続くことはあるが、それでもその内容は日々変わっとるはずや。こういう表現をするのなら、その具体例を示して貰わんと、わけが分からん。

『昼休みに図書館などで目を通せば十分だ』この発言なんかも、何の矛盾も感じることなくそう言うとるのは理解に苦しむ。

この発言者が『新聞を取るのをやめよう』と言うてるのは、新聞不要論からのはずや。しかし、図書館で読むからええというのは、その不要としとる新聞を読むということやろ。

この発言者が言うてるのは、単に、タダで新聞が読める場所があるから買う必要はないということになる。

せやけど、それは新聞が不要であることの論拠にはなっとらんやろ。本当に不要と思うとるのなら、そんな発言が出てくるはずがないと思うがな。

その後に続く発言についても同じことが言える。

『虚報を繰り返す紙面 に腹を立てる必要もなくなる。一方的で恣意(しい)的な紙面 にうんざりすることもなくなる。なによりも、得体の知れない営利企業、新聞社が作った情報に騙(だま)されることが少なくなる。これはいいことだ』

普通は、嫌なものは、それを避けたらええだけの話や。新聞がそれほど信用ならんというなら、読まんといたら終いのことやと思う。

しかし、一方では、タダなら見ると言うとる。テレビのニュースは信用できるが、新聞はだめやと言う。新聞社の情報でテレビのニュースが大きく影響されとるにも関わらずにな。

この発言者の主張は、整合性に大いに問題ありやと思う。本人が、新聞嫌いなのは、それはそれでええ。攻撃したい理由もそれなりにあるのやろと思うから好きにしたらええ。

しかし、それについてインターネットという公共の場で、しかも、あんたのように大手のWEBニュースでの記事と誤解されるような場で批判するのなら、ちゃんと調べて、新聞記事の内容を熟知してからそうするべきやと思う。

せめて、ワシのような反対意見の者も納得のできるような論調にしてほしい。ワシは何もあら探しが趣味やないさかい、納得できる意見があれば、素直にそれを認めるくらいの度量、気持ちはあるつもりや。

これが、ワシらのような個人サイトであれば、初めから個人的意見ということで、それほどの影響もないと思う。あんたにしても、その意見が、その個人のHPに載っとることやったらワシにわざわざどう思うかという質問もせんかったはずや。

少なくとも、この発言者は自身をジャーナリストと広言しとるのなら尚更、そうせなあかんやろ。良う分からんことを公然と言うべきやないと思うがな。恥をかくだけや。

ジャーナリストの基本は、事実9に意見1やという。本当に説得力ある論調というのは、その事実をひたすら積み上げたものだけや。

それから言うても、この発言者のそれは、自身の個人的な主張に終始しとる。少なくとも、寄せられた文面からは、そう感じとれる。

結局、かなり強烈な批判になってしもうたようやな。せやけど、この発言者の弁はそれほど不用意やということや。突っ込みどころが多すぎる。

ワシの結論は、この手の発言に『気になる情報』とまでは考えんでもええということになる。インターネットの世界には、これ以上の辛辣な意見はそれこそ腐るほどあるしな。一々、気にしてたら身が持たんで。

ただ、拡張する上において、気がかりやということで、こういう論調に対抗する必要性を感じるのなら、理論武装をすることや。

当メルマガの『第66回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞の利点』を読めば、ある程度はその理論武装もできるのやないかと思う。

しかし、論理的に対抗できても、あまり意味がないということだけは言うとく。特に、拡張に携わる者にとってはな。

例え、相手をそれで言い負かすことができたとしても、それで、カード(契約)が上がることは、まずないやろと思う。反感を買うだけのことや。

営業員は、当たり前やが、自身の意見だけを押し通すわけにはいかん。ときには相手の言うことに不本意でも迎合せなあかんこともある。客とぶつかって、契約なんか取れることはまずないやろしな。

せやから、ワシも、客とそういう話になって、反論することがあったとしても、敢えて何も言わんことの方が多い。そうしたからと言うて、実になることもないしな。不毛な言い争いは避けた方がええ。

元来、ワシは人を腐したら人後に落ちることはないやろと思うとるくらい辛辣な男や。何の自慢にもならんけど、口の悪さでは、少々の人間には、引けをとらんと思うとる。

ワシが、他人を批判したぁないというのは、そういうこともあるからや。それをして、する者もされる者も、さらに、それを聞く者も、ええ気はせんやろしな。

せやから、何度も言うが、ここでのワシの意見は、あくまでも特別やと思うといてほしい。普段は、こんなことは言わんし、言うつもりもないからな。本当に、ここだけの話や。

最後に言うとくが、このワシの意見が絶対正しいとも、また理解してほしいとも、特段、考えとらんからな。分かって貰える人だけ分かってくれたらそれでええ。


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