新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.273 こんなことでいいのでしょうか?


投稿者 某新聞販売店店長さん  投稿日時 2006.7. 1 PM 10:24


愚痴になるかも知れませんが、聞いて貰えないでしょうか。
転勤により、契約を解除したいとの申し出をお客様側から受け、転宅先での購読をお願いしました。しかし、お客様側の事情に付き、転宅先での購読は出来ないとの事でした。

転宅事情ですので、これも仕方の無い事です。お客様に、契約を解除させていただくので、契約時にお渡しした商品券の返還を求めました。

当社では、1年契約に対し、商品券5000円を使用しています。

これにお客様が納得されず、新聞公正取引協議会へ電話したようです。ここで、次のような話を販売店にすればいいとの対応を受けたそうです。

“新聞契約を「金品等により」契約した場合は、契約にあらず。契約として認められないので、商品券の返還に応じる必要は無い。私(協議会担当)の名前を言って下さればよい”とのことでした。

協議会の言い分は、サービスは違反。契約自体が成立しないとの判断。新聞屋の契約書は、サービスした時点で、契約書の意味合いをなさないということだそうです。

正直、やり切れませんでした。契約時に、サービスを要求したのはお客様側です。一方的な解約にもかかわらず、商品券返還もしなくてよいでは、何をしているのやら。

メルマガを読んで、サービスだけで増紙するのではないことは認識しても、新聞屋さんが増紙するのは、それだけではない。寝ても覚めても、店でできる事全てをしなきゃならない。ほんと、泣けてきました。

区域担当の一言が身につまされます。

「新聞屋に未来なんかないですね。合意の上なのに、違反を盾に契約解除できるなら、営業行かない方がましです。自分達の仕事は、無駄なんですね」

彼の一言にも一理あります。フォローもしてやれない自分が情けないです。

立場上、私たち販売店は、新聞公正取引協議会には、何を言われようと楯突くことはできませんから、結局、泣き寝入りするしかありません。

しかし、こんなことでいいのでしょうか?どこか間違っていると感じているのは、私たちだけなのでしょうか?


回答者 ゲン


『新聞契約を「金品等により」契約した場合は、契約にあらず。契約として認められないので、商品券の返還に応じる必要は無い』というのを、本当に新聞公正取引協議会の担当者が言うたのやとしたら、暴言というしかないと思う。

そして、これは、取りも直さず、このサイトで「契約解除時には、民法545条の原状回復義務に基づき景品類の返還をすべき」とアドバイスしとることを根本から否定されたことになる。

ここで、あんたには常識やと思うが、このサイトを見とる人のために『新聞公正取引協議会』という組織について簡単に説明しておきたいと思う。

そのネーミングから、公正取引委員会と同列の組織のような印象を受けられる一般の方が多いと思われるが、これは、まったく別の組織で、民間団体や。正しくは『社団法人新聞公正取引協議会』という。

これには、111新聞社(発行本社)と150系統会(新聞社別・地域別の新聞販売業者団体)の参加事業者が会員となり、組織されとるものや。分かりやすく言えば、新聞社、販売業者の代表組織ということになる。

新聞の勧誘においての違反行為を監視することが、その主な仕事であり、目的や。新聞勧誘の正常化を目指すということやから、それ自体は悪いことやない。それで、勧誘の不法行為や迷惑行為がなくなるのであれば言うことはないからな。

ただ、冒頭で言うたとされる暴言行為は戴けん。新聞公正取引協議会というのは、新聞業界の人間なわけやから、そのためになる発言をする必要があると思う。

それを「契約にあらず。契約として認められない」と切り捨てるのは、自らの首を絞める行為やないやろか。新聞契約そのものを否定しとるとも受け取られる発言やからな。ワシが暴言やと言う理由や。

因みに、この件に関して、名称で混同されやすい公正取引委員会に同じ質問をすると「当方では、契約にあらず、商品券の返還に応じる必要は無いというような判断をする立場にはない」また「民法の現状回復義務についても、言及する立場にない」という回答が返ってきた。

同じ質問に対して、公的機関である公正取引委員会は、そういう返答は一切できんという立場や。つまり、このケースのようなことは言わんということやな。

念のため、あんたの所とは違う『新聞公正取引協議会』の他の支部に問い合わせたら「当会は、あくまでもそれが違法かどうか判断するだけで、購読客に、それを返せ、返さなくてもいいと決める所でも、助言する所でもない。その販売店に指導するだけだから」とのことやった。

これが、正常な受け答えやろと思う。

しかし、あんたの地域の新聞公正取引協議会のその担当者は、相手の販売店が文句があるのなら、いつでも言うて来いと言うてるわけや。氏名まで名乗ってるのやからな。

これは、その担当者が特別そういう性質の人やったというのもあるかも知れん。もっとも、その客が都合のええように、その人の言葉を、脚色してあんたに伝えただけなのかも知れんがな。真意は違うということも考えられる。

この新聞協議会というのは、新聞販売店には絶大な力があるようや。この言動が事実やとしたら、何を言うても新聞販売店が逆らえるわけがないという、ある種の奢りが、その担当者にあったとも思える。

実際、あんたの所は、理不尽と思いつつも、泣き寝入りしてあきらめるということにしたのは、そういうことやろうからな。

どこにでも、こういう手合いの人間はおるが、自分のバックの力で弱い立場の相手を押さえつけ痛めつけようとするのは、どう考えても戴けん。醜悪なものすら感じる。

ただ、今回のあんたの渡した景品は、その新聞公正取引協議会の人が指摘する通り、違法行為の可能性が高い。

『当社では、1年契約に対し、商品券5000円を使用しています』という程度の拡材は、以前なら、この業界では、いきすぎたサービスをしとるというほどやなかったと思う。違反は違反やけどな。

客観的に見て、あんたの所の対応はまともな販売店のそれや。どんな不法行為も取り締まるのは結構やが、顧客に対して誠意を尽くしとるような良心的な販売店まで混同するのはどうかと思う。

この場合、この新聞公正取引協議会の人は、客にそう言う前に、その販売所に一言注意するべきやったのやないやろうか。それも仕事の一部やという気がするのやがな。

例えは、ええかどうかは分からんが、ワシには、先月、6月1日から始まった民間の駐車違反監視員と今回の新聞公正取引協議会の人間が重なっとるように見えてしゃあない。

駐車違反場所に停めとる運転者のおらん車は、片っ端から摘発するというやつや。これも、確かに駐車違反する人間が悪い。しかし、運送関係の仕事でやむを得ずというのも多いし、介護タクシーという障害者を運んどるケースもある。

本当に悪質なドライバーだけが摘発されとるのなら、それでもええが、まじめに仕事しとる者も同じように扱うのは、いかがなもんやろと思う。

それと、同じで、この新聞公正取引協議会の人間の対応は、本当に悪質な販売店の摘発より、まともで善良な販売店の芽を摘む結果にならんやろかということを危惧するんやがな。

それとも、その新聞公正取引協議会の人間は、購読客に、そう言うことで、新聞業界のイメージを上げようとでも考えたのやろか。

いずれにしても、その考えは間違うとるとしか言えん。これは、誰が考えても分かることやが、契約というのは人と人との合意の上での約束事や。

その約束を守ることを条件に景品が渡される。その約束事が守ることができんようになったら、貰うたものは返すのが、当然のはずや。返すことで、その人間には、何の不利益もないわけやからな。

こんな簡単なことも分からんのかと思う。言うておくけど、苦情を持ち込む人間が、すべて被害者やから正しいということは絶対にない。

間違うとったら、間違うてるとはっきり教えたらなあかん。このサイトでも、たまに勘違いされとる相談者の方もおられるが、それを指摘すれば、たいていの人は分かってくれる。

今回の購読者の行為は、猫ばば以外の何ものでもない。それを助長させるのは、その購読者のためにもならんと思う。

その人間は、そうすることで、どんどん、いじましい考えが染みついていいくだけなのやからな。間違いなく人間が腐っていく。

結論として、あんたがあきらめるというのは、立場上のこともあるやろから尊重する。しかし、このサイトでの姿勢を変えるつもりは毛頭ないというのが、ワシらの姿勢やいうのも言うとく。

やむを得ず、契約を解除せなあかんようになった場合、現状回復義務の原則に従い、貰うた景品は返すべきやと、これからもアドバイスしていくつもりやからな。

せやけど、違反は違反ということも考えなあかんのは確かや。その違反の部分を突っ込まれるという口実を与えることになるのは避けた方がええ。

最近では、全国的に商品券やビール券での金券の景品は廃止にしとる所がほとんどやと聞く。今回のあんたのように、商品券の場合は、その違法性を指摘されたら逃げようがないという理由が多い。これが、景品なら、工夫次第でその範囲内に収めることも可能やからな。

最後に、この新聞公正取引協議会の担当者の弁を擁護するというわけやないけど、彼らも新聞の正常化にはやっきになっとるのは間違いのない所やろと思う。

これは、今年、持ち上がった新聞特殊指定の見直し問題が大きいはずや。今回は何とか見直し回避ということになったが、次回もそうなると保証されとるわけやない。

依然として、これからもその危惧は残る。やはり、公正取引委員会の攻撃、狙いは違法な勧誘実態の摘発にあるはずや。

新聞公正取引協議会の担当者も、それを未然に防ごうとしてた上でのことやと受けとれば、ある程度、理解もできるやろ。多少、勇み足気味やがな。


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