新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.274 ゲンさんはここまで拡張員が悪質になった原因はどこにあると思われますか?


投稿者 ボーイさん 投稿日時 2006.7.5 AM 1:42


ゲンさんはじめまして。近年、拡張員の態度には怒りをこえて恐怖を感じます。

年に何度か遭遇してしまいますが、昔は玄関先で「○○新聞ですが」と言ってきたときに「うちは○○新聞と長年付き合っているから」と答えますが、引き下がらず3ヶ月だけでもとかサービスをたくさんするのでと粘ってきます。こちらは契約する意思が無い事を伝えれば、当時はドアを蹴る程度で帰っていきました。

ところが最近は、「同じアパートに引っ越して来た者ですが」や「お届け物です」と手口を変えてきます。

本当に引っ越して来た方の挨拶もありますが、9割は拡張員だと判断できるし相手にしません。

ある日、会社から帰って来たときに運悪くアパート前で3人連れに会ってしまい、なれなれしい口調から新聞屋の拡張員とすぐにわかりました。

そのうちの2人に捉まってしまい、こちらは相手にするつもりなかった為過ぎ去ろうとしたら、若い方が兄貴分に「どうしますか?」と聞き、その後胸ぐらをつかまれ「話くらい聞けこらー」と脅かされました。

ここまでされれば間違いなく傷害なので警察に連絡することも考えましたが、顔や住んでいる場所が知られているし仕返しの方が怖いので止めておきました。

新聞屋の拡張員の方も契約をとることが仕事でありノルマ?もあるかも知れませんが、それは他業種の営業においても同様なのではないでしょうか?

人間性・質について考えさせられますが、ゲンさんはここまで悪質になった原因はどこにあると思われますか?聞かせて下さい。


回答者 ゲン


『ところが最近は、「同じアパートに引っ越して来た者ですが」や「お届け物です」と手口を変えてきます』と、いうことやが、こういうのは今に始まったことやない。

かなり以前から常習化されとることや。このQ&Aにも、HP開設初期の頃からそういう苦情は多い。他には、古紙回収を名乗るという例も良う聞く。

あんたの受け取る印象やと、昔より最近の方が悪くなっとるということのようやが、全国的に見れば、拡張員の質は、数段、良くなっとるのは間違いのないことなんや。一部の例外を除いてな。

ワシは、この世界に入って12年余りになるが、始めた頃は、それは酷かった。もっとも、最初に飛び込んだ拡張団が特に悪名高いということもあったけどな。

その頃は、喝勧というて、脅して契約を取るというのが主流やった。騙しやてんぷら(架空契約)も普通に横行してた。

新聞勧誘に限らず、訪問販売全体の勧誘が度を過ぎてたわけや。そのために「消費者契約法」「景品表示法」「クーリング・オフの規定を定めた特定商取引に関する法律」などが次々と生まれ、そういう勧誘に対して法の壁として立ちふさがるようになった。

その当時は、見逃されたような勧誘方法でも、現在は、いきすぎると逮捕されるという事案も珍しいことやなくなってきとる。

新聞社も立場上、そういう勧誘を推奨するわけにはいかんから、その取り締まりにも力を入れるようになってきた。

そのために『NO.273 こんなことでいいのでしょうか?』で取り上げた『社団法人新聞公正取引協議会』という組織を結成し、監視の目を強めとるのがその表れや。

それらが、功を奏してきて、本当に悪質な拡張員のおる拡張団、あるいは、その出入りを許す販売店は全体の極一部というまでになっとる。

せやけど、そんなことを、いくらあんたに説明しても、納得も信用もできんわな。現実に、そういう悪辣な拡張員が目の前におるのやからな。

誠に気の毒やが、あんたの居住区は、その極一部の悪辣な連中が集まっとる地域ということになる。ワシの言う、一部の例外というやつや。

勧誘行為の取り締まりが厳しい所は『ドアを蹴る程度』でも、一発レッドカード退場や。良くてイエローカードの厳重注意ということになる。

つまり、その拡張員は、その店の出入りは疎か、その所属拡張団からも馘首にされなりかねんわけや。実際、そいう例を良う耳にする。

そこを逐(お)われた拡張員が、流れる先は、当然ながら、それを受け入れる拡張団ということになる。

そういう連中の吹き溜まりになった拡張団の勧誘は推して知るべしということや。あんたの所がそうやと思われる。

実は、この新聞勧誘全体の苦情やトラブルの9割以上は、そういう特定の地域からなんや。そして、このサイトに寄せられとる苦情、トラブルの割合も、そこからというのが多いということでも、それを裏付けとる。

さらに言えば、そういう連中は、その中でも特定のターゲットを絞るということをする。狙いは、アパート住まいの学生や独身者の比較的若い人で、しかも、自分たちよりも弱そうなということが条件になる。

『若い方が兄貴分に「どうしますか?」と聞き、その後胸ぐらをつかまれ「話くらい聞けこらー」と脅かされました』というのは、正しく、あんたがその条件に合致して、格好の獲物やと思われたわけや。

こういう連中でも、そこら中でむやみやたらに、そんなことをしとるわけやない。実は、奴さんらも、それをするのが怖いということがある。

世の中には、一般に紛れて普通に暮らしとるヤクザもおれば、警官や弁護士なんかもおる。そんなのを下手に脅せばえらい目に遭うからな。

また、例え若くても『NO.213 僕も客側ですが、客側に意見したいです』の相談者のように『僕は容姿が恐く見えます。体がでかく、格闘技の経験からくる威圧感があるようで、拡張員の方に高圧的にでられた事がありません』という人もいとる。

人を観てからしか、そういうことができん連中なわけや。しかし、ここのところの相談で、2,3人の徒党を組んで、そういうことをしとるという相談が増えてきたな。

以前までは、脅しをするにしても、たいていは一人でしてた。理由は単純や。大人数で勧誘しても、一人の人間から得る契約は1本でしかないから、それを分けたら実入りが減る。

それでも、敢えてそうするというのは、いよいよ、そのやり方も限界に来たからやと思うてええやろ。

最近は、脅して取った契約は、簡単にクーリング・オフされるということが増えた。ここにもその相談は多い。ワシも、そういう悪辣なケースの場合は、迷わず、クーリング・オフを勧めとるがな。

たいていの相談者は、あんたと同じで、後の仕返しというのを怖がる。ワシは、そういう場合、ほとんどはそんなことはないから心配する必要はないとアドバイスしとる。実際、それで仕返しされたというのは、まったく聞かんからな。

もっとも、今までが、そうやからと言うて、今後もそうなるとは限らんけどな。わけの分からん、理屈の通用せん人間は、どこにでもおるさかいな。

2,3人で来るというのは、その脅しの効果を高めるため以外には考えられんと思う。しかし、結果的には、そうすることで、自分で自分の首を絞めるだけにしかならんのやけどな。そいつらには、それが分かっとらん。

もうすでに、そういうのは噂になっとるはずやから、いずれ、そこにも必ずメスが入る。そうなれば、連中は、また他の居場所を探さなあかんことになる。

現在、その輪がどんどん狭められてきとるのが現状や。末期的症状と言うてもええ。ただ、その狭められた輪の中で生活しとる、あんたのような人たちには、えらい迷惑な話やろけどな。

ワシが、このサイトで、悪辣な拡張員を糾弾するようなことを言うてるのは、そういう一部のろくでもない人間のおかげで、その他の多くの真面目な拡張員が迷惑するからや。

たいていの拡張団では、そういう人間は排除する。また、そういう人間に対しては、他でも仕事ができんように、各団に要注意人物として業界情報で回状も回す。

しかし、それにも限界がある。そういう、行き場のない連中を集めとる拡張団が存在しとる限りはな。

やはり、一番、効果的なのは、被害に遭われた方が直接、訴えることや。実態が分からな、誰もそれを取り締まることはできんからな。

今回のように暴力絡みやったら警察でもええし、新聞社も、そういうのは放っとかんやろと思う。

ただ、仕返しを怖れてということなら、無理にとも言えん。ワシが、いくら「そんな可能性は低いで」と、力説しても、ゼロとは言い切れんわけやからな。当事者の判断に任せるしかない。

『新聞屋の拡張員の方も契約をとることが仕事でありノルマ?もあるかも知れませんが、それは他業種の営業においても同様なのではないでしょうか?』と言うのは、まったくその通りや。

ただ、そうやからと言うて、人を脅すことの理由にはならんがな。それは、勧誘ですらないことや。当然、営業ともかけ離れとる。ただの強請たかりと同じやさかいな。

『人間性・質について考えさせられますが、ゲンさんはここまで悪質になった原因はどこにあると思われますか?聞かせて下さい』

これは、悪質になったということやく、昔がそうやったということで、未だにそれから脱却できん人間が一部に残っとるというのが正しい認識やと思う。

その原因を言及するとなれば、遙か60年前に遡る必要がある。それを話し出すと長くなるので、当メルマガ『第50回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員事情の昔と今』を暇なときにでも読んで貰うたら分かるはずや。

要するに、この新聞勧誘は、初期の頃に、ヤクザにその勧誘を任せていたという歴史的背景から、未だにそれから抜け切れておらん人間が、僅かながら残っとるということや。

せやから、悪質になったという捉え方は正しいとは言えん。正しくは、業界が自浄している段階で、それから弾き出された昔ながらの勧誘しかできん人間が、ある特定の地域に集中して、そこで迷惑行為に及んどるということや。

あんたには、信じられんことかも知れんが、地域によれば、拡張員と客が和気あいあいとしとるというのは珍しい光景やないわけや。

少なくとも、ワシの知る限り、客と敵対関係にあるというのはほとんどない。当たり前やが、客と仲良うせんことには、営業は難しいからな。

ここ2,3年で新聞業界も急速な変貌を遂げようとしとる。その過渡期にあることだけは間違いない。あんたが見とる、その連中も近いうちに姿を消すやろと思う。

勧誘の世界も、今日び、それでカード(契約)を上げて、めしを食うていけるような時代やなくなってきとるのだけは確かやからな。


ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から


Q&A 目次へ                                 ホーム