新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.276 今後に役立つようなアドバイスをお願いします


投稿者 T.T さん 東北拡張員 投稿日時 2006.7.12 AM 5:37


初めまして、私は、営業、勧誘などは全くの素人のものです。経済的な理由により、大学へ行けなくなってしまった私は、地元に帰り、新聞勧誘の仕事を始めました。

理由は、夢の為にお金を貯めることもありますが、将来、自営業を考えているので、拡張は今の内からやっておけば、絶対に役に立つなぁ、と思ったからでした。

先輩たちは、拡張に型は無いと言い、あまり拡張については、教えてはくれませんでした。それでも、一軒家、アパートはもちろん、商店、事務所など、手当たり次第やったおかがで、最初の一週間はパンク無しでした。

先輩達が言うには、普通は、商店などは行かない、図々しい奴だと言ってほめてくれました。図々しいのは、拡張員にとって大事なのは本当ですか?
 
最初の一週間後は、普通の一般人にも契約してもらうように、一軒家、アパートを中心に回りましたが、結果は全然ダメでした。単純なド素人質問ですが、どうやったら、人の心を動かすセールストークが出来るようになりますか?

模範的なセールストークと言うのは、どう言うものですか?他にも、この仕事を始めて一ヶ月の私に、今後役立つようなアドバイスを教えて下さい。宜しくお願いします。


回答者 ゲン


拡張の仕事は言わずと知れた営業や。しかし、営業職という捉え方をしとる拡張員は、残念ながらまだそれほど多いとは思えん。

あんたの言う、将来の自営業のためにということなら、拡張は営業やという明確な捉え方をしておかな意味がない。

言うておくが、昔ながらの拡張の仕事をいくら覚えても、一般の営業ではほとんど役に立たんやろと思う。

その意味では、水を差すようやが、あんたの『拡張は今の内からやっておけば、絶対に役に立つなぁ、と思った』というのは、疑問符がつくということになる。

昔ながらの拡張とは、一言で言えば、新聞を売り込むためには何をしてもええというやり方や。その考え方が強すぎたため、客を脅すような喝勧や騙しという、カード(契約)を上げた者勝ちという拡張が多かったわけや。

また、一歩引き下がった営業もなかなかできんかったということもある。そこには客とは対等、もしくは上やという意識があったからやと思われる。

それには、この新聞の拡張が始まった初期の頃の拡張団はヤクザ主体やったという歴史的背景があったことが大きく影響しとった。

ヤクザが客に頭を下げてまでお願いしますというのは、考えにくいからな。その考え方から、景品という拡材で釣る勧誘が生まれたと言うてもええ。

「これをやるから新聞を取ってくれ」というのがそうや。また、それで売れる客がおったのも事実や。せやからこそ、そのやり方が、60数年という長きに渡り続けられてきたわけやからな。

現在でも拡張のやり方で一番多いのは、拡材に頼った営業なのは間違いない。「うちと購読して貰えたら、こういうサービスがおまっせ」「何やったら、もうちょっとサービスしまひょか」というのがそうや。

断っておくが、これが何も間違いやと言うてるわけやない。それを望む客がおることも事実や。客が望む営業をすることが基本的には正しいことやさかいな。

特に、あんたのように初心者に近い人については、拡材のサービスでなびく客を捜す営業に心がけることをワシも勧める。

但し、そのためには根気と忍耐がいる。1日中訪問をして歩いても、その9割近くが、留守かインターフォンキックで断られるというのが普通の世界や。客と話すらできんことが圧倒的に多い。

話を聞いてくれる客でも「うちは○○新聞しかいらん」「他を取っとる」などといろいろな理由で断ってくることが大半を占める。

しかし、中には、景品次第では購読してもええという客は必ずおる。そういう客は、例え、そのときは他を購読していても、その次ということなら、契約することがある。

「先付け契約」「先縛り」と呼ばれとるものがそうや。そういう客と遭遇できれば、比較的簡単に初心者でも契約は取れる。

もっとも、そういう客と遭遇できるのは希やがな。そのためには、数多く、訪問を繰り返すことで、その確率を少しでも上げるしかないわけや。せやから、最初はどこの団でも、ただひたすら叩け(訪問)と指導する。

初めは、そのやり方でしっかり頑張ることや。それ以上のことは、その後でも遅くはないと思う。何ぼ、将来のためと考えても、まずはこの世界でめしが食えるようになることが先決やからな。

ただ、あんたが、将来の自営業のためという営業を考えとるのやったら、それだけでは意味がないのも確かや。

『先輩たちは、拡張に型は無いと言い、あまり拡張については、教えてはくれませんでした』というのは、ある意味、その通りやと言える。

営業には個人差がある。同じ客と接しても、誰もが同じ結果になるとは限らんわけや。また、ある人間が成功しとる拡張方法でも、他の人間がやって上手くいくという保証もないさかいな。

もともと、営業の仕事に、こうやれば絶対、契約が上がるというような便利な方法はないと断言してもええ。確率を上げることのできる考え方があるだけや。

ただ、他の営業職には、たいていマニュアルというものが存在するが、この拡張にはそれがない。もちろん、団毎で、特有のマニュアルがある所も存在するようやがな。全体としては少ないということや。

営業は教えて貰うものやなく、盗み取るものやと思う。この業界の人間はその意識が強い。したがって、人に教えるということを好む者も少ない。基本的には、ワシもその考えや。

このサイトでは、営業のことに関していろいろ言うてるが、個人的に、このサイトで言うてるような営業方法を、微に入り細に入り他人に教えるということを、ワシはした覚えはない。

せやから、その先輩たちの反応は、この業界では当たり前のことやということになる。

『先輩達が言うには、普通は、商店などは行かない、図々しい奴だと言ってほめてくれました。図々しいのは、拡張員にとって大事なのは本当ですか?』

これは、図々しいというより、営業する人間なら当然のことやと思う。どこへでも飛び込んでいかなあかん。特別やと捉える方が、むしろおかしいわけやけど、確かにそれをする人間は、この業界には少ないな。

あんたは、それをしとるということで、大成する見込みは十分や。それが、できとるということは、気構えがええことの証しやからな。

『単純なド素人質問ですが、どうやったら、人の心を動かすセールストークが出来るようになりますか?』ということやけど、これは難しい質問やな。

特定の人間にという条件なら、こうしたらええのやないかとは言えても、不特定多数の心を動かすことができるような便利なセールストークというのは皆無に近いと思う。

少なくともワシには教えるのは無理や。そんなええ方法があったら、ワシが知りたいくらいや。キリストさんやお釈迦さんの説教方法を教えてくれと言うてるのに等しいことやからな。

『模範的なセールストークと言うのは、どう言うものですか?他にも、この仕事を始めて一ヶ月の私に、今後役立つようなアドバイスを教えて下さい』というのも、似たようなもんや。あまりに漠然としすぎて無理や。

但し、ヒントということなら『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』や、あるいは『メールマガジン・新聞拡張員ゲンさんの裏話』『その2.勧誘・拡張の営業についてのQ&A』の中にあるかも知れんとは思う。

人は、一つの気付きで大きく変われるもんや。その気付きに出会えられるどうかで、その人の将来まで大きく影響することになると思う。

すべては教えられることやなく、自ら学び取るということに尽きる。このサイトに、あんたの望むヒントがなければ、他で探せばええことや。一番肝心なのは、その学び取るという姿勢を忘れんことやと思う。

最後に、今回は、こういう回答をしたけど、次回からは、もっと具体的な質問にしてほしい。あんたの質問を答えるには、あまりにも範囲が広すぎるからな。

例えば、同じ『どうやったら、人の心を動かすセールストークが出来るようになりますか?』という質問でも、なるべくその標的とする人物を限定するようなものにして貰いたい。

そうして貰えれば、少しは答えられると思う。単に人の心と言うだけやと漠然としすぎとるさかいな。


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