新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.282 拡張時の服装について
投稿者 piyopiyoさん 地方紙拡張員 関西在住 投稿日時 2006.7.30 PM 10:18
ゲンさん、ハカセさんはじめまして。いつも拝見しています。
今回初めてメール致しますが、私も関西の某地方紙で拡張をしている者です。
ゲンさんにお聞きしたいことがあるのですが拡張時はどのような服装でされてますか?
私はネクタイしたり、専業になりすますがごとくラフな服装もします。地域性やターゲットのお客さんに合わせて変えています。答えられる範囲で構いません。よろしくお願いします。
回答者 ゲン
拡張時の服装ということやが、ワシもこれには気遣うとる方やと自分でも思うとる。
あんたは『専業になりすますがごとくラフな服装もします』ということやが、ワシもそれに近い。新聞社のロゴ入りシャツ、ジャケット、ジャンパーを着てというのが多いし、好きやからな。
ワシは、実際に代配なんかもして配達の経験があったから、そのスタイルには抵抗がないけど、拡張員の中には、そういうのを嫌う者もおる。せやから、ワシみたいなのは実際には少ないな。
ただ、ワシらの方では、入店先によっては「スーツ着用」「ネクタイ着用」を義務づけとる所もあるから、それはそれで守らなしゃあない。好みがどうとかは言うてられんからな。
もっとも、今の季節は最近のクールビズの影響もあって、一時期よりは緩む傾向にある。ワイシャツ着用だけでノーネクタイOKという所が増えたさかいな。
団からは特別な指示はないが、昔のようなチンピラ風の服装はご法度やから、それは厳しくチェックされる。というても、うちの団では、そういう者はおらんけどな。今はスーツにネクタイというのが主流や。周りがそれやと、たいていはそうなる。
あんたの『地域性やターゲットのお客さんに合わせて変えています』というのが、正しい営業の心構えということになる。
あんたは、ご自分でそう考えられたのか、経験的にかは分からんが、それを言うておられるだけで「できる」お人やというのが分かる。
スーツ姿にネクタイというスタイルが一番無難ではあるが、それも、地域や客層により厳しい場合がある。いかにも営業員然としたスタイルを嫌う客も、中にはおるからな。
特に、関西地方にそれが顕著やと思う。その中の一つ、京都を例に挙げて説明する。
ワシは、この仕事を始めたのが京都やった。ここは、あんたの言う『地域により』というのが、最も分かりやすい所やと思う。
京都という所は、北と南で、客層が大きく違う。
北へ行くほど大きな家屋敷が目立ち、富裕層が多いとされ、それに対して南ほど庶民的やというのが、京都に住む人の一般的な認識や。
これは、偶然にそうなっているということやなしに、歴史的な背景が強く影響しとることでもある。
ただ、それを詳しく説明すると手間と時間がかかるし、何よりそんな話は面白くないやろと思うから、ここでは省かせて貰う。
当時の権力者が住民の住み分け、つまり居住区を決めることにより、統治する上で都合が良かったから、そうしたのやとだけ理解してくれたらええ。
北では格式というものが重んじられ、南では庶民中心の文化となり礼節については、それほどでもなくなったと考えられとる。
それを現代まで引きずっとるというのが、京都の歴史の重さでもある。そして、そのために、当然のように、そこに住む人間の性質にも違いが出ることになる。
格式を重んじる北では、スーツ姿にネクタイというスタイルが受け入れられやすく、庶民派と言われる南では、ざっくはらんな格好の方が好感が持たれやすいということになるわけや。
もちろん、何にでも例外ということがあるから、すべてがその範疇に含まれるというわけでもないが、たいていは、それに当て嵌まると考えてもええと思う。
そして、この京都での図式が、日本全国にある程度まで浸透しとるというのも、事実やと思う。特に歴史のある街で、しかも、富裕層と庶民派層の色分けがはっきりしとるような地域にそれが言える。
ただ、拡張員が言う富裕層というのは、それとは若干違うこともある。それは、持ち家かどうかという単純な決め方をしとるというのがあるさかいな。
いくら持ち家でも、実際には、そのローンの支払いで内情は火の車という世帯は何ぼでもあると思うが、それは、ワシらには分からん。少なくとも家さえ持っていれば、拡張員からは富裕層と見られるわけや。
余談やが、販売店により、その持ち家の客とそうでない賃貸の客とは、そのサービスの内容に差をつけとるというのもある。持ち家の客の方が有利や。
例えば、契約期間でも、持ち家の客には1年以上、数年の契約というのを認める販売店が多い。当然、そうなれば、渡す景品にも差がつくことになる。
逆に賃貸の場合は、契約期間も最長で1年ということが多い。これは、持ち家の客は引っ越しすることが考えにくいが、賃貸はいつ引っ越しされるか分からんということがあるからで、差別というのとは意味合いが少し違うとは思うがな。
この賃貸の中でも、低家賃のアパート、文化住宅、マンションなどが集中しとる地域や学生さんの多い地域も「ガサ」と呼んで特別扱いする場合がある。
そして、これは褒められたことやないけど、こういう地域で拡張する場合は、服装もそうやが、態度もざっくばらんというか砕けた営業をする者が多いのも事実や。
また、結果的にも、その方がカード(契約)が上がりやすいということも確かやから、多くの拡張員がそういう攻め方をする。
それらを考え併せて、地域での服装やスタイルというのを考慮しとく必要があると思う。すべてで同じ格好の営業は、こと拡張においては得策とは言えんやろな。
例えば、ラフなスタイルでガサ廻りをする拡張員でも、そのままの格好で官公庁や会社廻りなんかは、できんもんやさかいな。
それを考えれば、地域や客に合わせた服装やスタイルが必要やというのは、誰にでも理解できるはずや。問題は、その意識があるかないかやと思う。
最後に、服装、身だしなみについて、ワシが心がけとることを言うとく。参考になるようやったら、そうしてほしい。
1.いつも、小綺麗にして汚れたものは着ない。客は、実に細かい所を見とるし、気にするもんや。特に、主婦層の多い地域への拡張は、見た目に清潔感がないと命取りやと思うとかなあかん。
そして、これは、客も含め、誰も注意してくれん。自分で心がけるしかないということや。
これについては、ワシは、上着やシャツ、ズボン、ジャケットの類は、なるべくこまめにクリーニングに出すようにしとる。
2.身につけるものは時計に至るまで気を遣う。高すぎず安すぎずが基本やな。同じスーツを着るのでも有名ブランドの高級品というのは、客のひんしゅくを買いやすいし、あまり安物やと貧乏臭く映る。
ワシは、建築屋の営業が長かったから、そのときの考え方が強いのかも知れんが、何事においても客より上位に立ったらあかんと考えとる。
本人にその気はなくとも、高級ブランドを身に着けとるだけで、高所から見下ろされとると感じる客もおるさかいな。
逆に、あまり安っぽいと、失礼なと思う客もおる。結果、無難なのは、そこそこのものということになるわけや。
もちろん、そんなことは何も気にせん客もおるが、それを期待して営業するわけにはいかん。何でもそうやが、不利な条件より、有利な方がええからな。
3.センスを磨く。これは、何も時代の最先端を行けというのとは違う。身だしなみに共通する部分やが、同じシャツを選んで着るにしても、センスがあると思われるのと、ダサイと見られるのとではえらい違いやからな。
このセンスを説明するのが一番難しいことかも知れんという気がする。ほんの僅かな違いで大きく変わることがあるからな。
まったく同じものを着ていても人によりセンスの善し悪しの違いが如実に出る。これを矯正するには、自分という人間を客観的に見ることが必要になる。
拡張などの対面営業は、第一印象でほとんどが決まる。それが良ければ、話くらい聞いてみようかということになるし、悪ければ門前払いや。この差は大きい。
このセンスを磨くということについては、ワシも確固たる自信があるわけやない。
ただ、その方法として、鏡に映った自分自身を他人として見る訓練を重ねるという方法もある。これは、印象も加味されてのことやから、このとき、笑顔を作る練習も一緒にすれば、より効果的やと思う。
4.今まで、客になって貰うた心やすい人間に、それとなく「私の第一印象はどうでしたか」と聞くのもええ。参考になるはずや。
本当は、嫌われたとき、断られたときの印象をその人間に聞くことができれば一番ええんやが、これは無理やろうと思う。その場合は、たいてい問答無用で拒絶された後やろからな。
最後に、一番重要なことは、服装やスタイルによって、客に与える印象の度合いが違うというのを、常に意識しとくことやというのを言うとく。
どうでもええと考えるのと、どうしたらええかと思案するのとでは、結果において天と地ほどの開きが生まれるはずやからな。