新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.287 この段階での解約は倫理的にはどう思いますか?
投稿者 kazuya さん 投稿日時 2006.8. 5 PM 8:21
新聞の解約について聞きたいのでお願いします。
今年の4月に拡張員が訪問してきて12ヶ月契約をしました。数日してやはり新聞は必要ないと思い解約しようと思ったのですが、販売店の住所や電話番号が契約書に記載されていなかったため、なにも連絡出来ずにいました。クーリングオフについての記載もありませんでした。
4月分の代金はサービスということで当然ながら集金に来なかったのですが、やっと来たのが6月の終わりで2ヶ月分一気に請求されました。とりあえずその分は払い、そのときに解約したいといってなんとか応じてもらえました。
しかし、数日後集金とは別の人が来て「集金の者に言われても」ということを言われ、「契約期間を短くは出来るが解約は出来ません」ということなので仕方なくそちらに応じました。このとき新しく7月30日が契約日になっている6ヶ月契約の契約書を渡されました。
これには販売店の住所や電話番号、クーリングオフについての記載がありました。
新しい契約書を見て7月30日が契約日になってるからクーリングオフ出来ると思い、販売店にクーリングオフの意思を伝える電話をしたところわざわざ従業員らしき人が来て「新しい契約書は前の書き直しなんでクーリングオフはもう過ぎてます」と言われました。
その際には前の契約書にクーリングオフの記載が無かったことは伝えてません。そのことに意味があるとは思わなかったのです。
その後なんとか解約できないかとこのサイトを見つけました。
もし新しい契約日からクーリングオフの期間が数えられるとしても明日まででしかも日曜日なのでもう不可能です。未成年者で親の同意を得ることもしていません。もう3ヶ月も購読してしまっているのですが解約出来るのでしょうか?
あと、最初の契約書と新しい契約書を見比べてみると種類が違います。恐らく、最初の契約の時に来た拡張員の方が販売店控えと間違って置いていったのだと思います。
間違いであって相手方に悪意があったわけではないと思うのでちょっと悪い気もします。
この段階での解約は倫理的にはどう思いますか?
回答者 ゲン
『この段階での解約は倫理的にはどう思いますか?』ということやけど、勧誘時に、だましや脅しなどの違法な行為がなく正当な営業行為のもとで、この契約をしたのなら『新聞は必要ない』と言うて解約するというのは、疑問符がつく。
もっとも、それがクーリング・オフの期間中なら、無条件に解約することが法律で認められとるから、それに対して文句を言うつもりはさらさらない。契約者の権利でもあるからな。
しかし、倫理と法律とは違う。倫理とは人として守るべき道。道徳。モラルのことを言う。法律は、社会の決まり事や。
法律として決まれば、どんなことでもそれに違反すれば罰せられることになる。悪法も法律と言う言葉があるくらいやからな。
対して、倫理には、人として守るべき道という抽象的な概念がある。道徳、モラルもしかりや。さらに、倫理観というのは、人により違うということがままある。それについて一概に、ええとも悪いとも決めつけられん場合がある。
例えば、子供が走っていて転んだとする。子供の怪我を心配して、すぐ助け起こすのも人として当然の行為ということになるし、子供の自立心を養うために敢えて突き放し、自力で起き上がるのを見守るという行為も、人として間違いではないということになる。
他人に倫理観を問うときは、その辺りのことも考えに入れておいてほしいと思う。いろいろな考え方があると。
それを踏まえて貰うた上で、あんたが、ワシにそれを尋ねるのなら「このケースでの解約は倫理的には感心せん」と答えるしかないということや。
ワシは、古い人間というのもあるやろうが、信義というのを重んじる男のつもりや。特に約束事については、頑なすぎるかも知れんと自分でも思うくらいやからな。
ワシは、約束は守るということに徹してきたつもりや。どんな形であれ、男が一旦、口に出した約束は死んでも守るという気概があると自分では思うとる。
それには、ワシが、この営業の世界、一筋にやってきたというのも少なからず影響しとるとは思う。
ワシは営業において、人として信頼されることが最も重要やと考えとる。そのためには、最低でも約束は破るべきやないと思う。そうすることが、人間関係を作ることやと信じとるわけや。
せやから、今回のあんたのように、相手に何の落ち度もないようなケースで、その約束を反故にするようなことは絶対にせん。ワシの倫理観ということで言えば、それは最低の行為やからな。
ついでやから言うとくが、このQ&Aでの回答には、ワシなりの、倫理、正義、正当性ということが根底にある。法律よりも、そちらの比重の方が大きい。
勧誘側がえげつない行為をしとると思えば、それに対抗する助言を積極的にするし、相談者に問題ありと考えれば苦言を呈することも多い。
ただ、今回の回答やと、一方的にあんたを責めとるように思われるかも知れんが、あんたには同情する要素が多いというのも、良う分かっとるつもりや。
せやから、ここからはそれに添ったアドバイスをする。
ワシは、クーリング・オフについては、その法律があり、それに該当すると思えば、迷わずそのためのアドバイスをすることも多い。これは、ええ悪いやなしに、そうすることは契約者に与えられた正当な権利やから、それを避けた助言はできん。
ただ、後で断るのなら、その場で断ってほしいというのはある。それが、結果的には、トラブルを防ぐ、または最小で済ませられることになる。
今回のあんたのケースでは、最初の勧誘時を除いては、その販売店の対応には大いに問題があると思う。
最初に貰うた契約書が『販売店の住所や電話番号が契約書に記載されていなかったため、なにも連絡出来ずにいました。クーリングオフについての記載もありませんでした』というのはその最たるもんや。
その後それは『販売店控えと間違って置いていった』と分かったようやが、単なるミスというには、あまりにもお粗末と言うしかない。考えられんことや。
ワシは、その拡張員やから、よけいそう思う。そういうミスをやったというのは、ワシ自身はもちろん、長い拡張人生の中でも他から聞いたことがない。
販売店控えというのは、3枚綴りの2番目やから、それをうっかり渡すというのはミスとしても、あり得んと思う。そうする方が圧倒的に面倒やさかいな。
例え、それがあったとしても、拡張員には、その日の契約を監査されるということがあるわけやから、そのミスが発見されんと、おかしい。
そのミスが発見されれば、たいていはその日のうちに、拡張員に正規の契約書と差し替えてくるように指示するのが普通や。それを、意図的かどうかは知らんが、この販売店は怠っとる。そんな程度のものが見つけられんはずはないからな。
『販売店の住所や電話番号が契約書に記載されていなかったため、なにも連絡出来ずにいました。クーリングオフについての記載もありませんでした』
というのは、契約書の体裁になってないから、そのとき交わした契約自体、無効やと言える。それは、単なる間違いやったと軽く言える程度のものやないわけや。
現に、あんたはそのおかげで、最初の段階でできてたはずのクーリング・オフができんかったわけやからな。
『新しい契約書を見て7月30日が契約日になってるからクーリングオフ出来ると思い、販売店にクーリングオフの意思を伝える電話をしたところわざわざ従業員らしき人が来て「新しい契約書は前の書き直しなんでクーリングオフはもう過ぎてます」と言われました』
これについては、完全に詭弁なわけやけど、何も知らんかったら、そんなものかと信用するやろな。
しかし、どんな契約書であっても、7月30日が契約日になってるということなら、契約開始日は、その日と判断されるはずや。
当然、クーリング・オフもその日から8日間は有効となるんやが、あんたはその販売店の人間の言うことを信じてあきらめたわけやな。
おそらく、その販売店の人間は、それを信じて言うたことやろと思うが、あんたも、これからクーリング・オフをしよういう先方の販売店の言うことを信じて鵜呑みにしたらあかんわな。普通は、それを阻止しようとして、いろんなことを言うもんやさかいな。
ワシが、このサイトで、クーリング・オフをしようと思うのやったら、まず電話した方がええと言うてるのは、あくまでも、それに応じる販売店かどうかの確認をするためや。
電話した段階で、快くそれに応じれば、貰うた景品を返し、契約書に解約済みと一筆書いて貰えば、それで終わり、いらん金がかからんということがある。
今回のように、それに応じて貰えそうにないときは、迷わずクーリング・オフの書面を出すようにと、たいていはアドバイスしとるはずや。
あんたが言うように『もし新しい契約日からクーリングオフの期間が数えられるとしても明日までで、しかも日曜日なのでもう不可能です』という、契約日から起算して8日以内が、その期間とされとるから、残念ながら、今回はタイムオーバーや。
ただ、可能性ということで言えば『新しい契約書は前の書き直しなんでクーリングオフはもう過ぎてます』と不実のことを言うたとして、契約解除を申し立てることも可能やろと思う。
但し、その販売店が確かにそう言うたという証拠なり言質を取った上で、そう申し立てんと、白を切られたら難しいことになる。幸い、今やったら、まだ同じことを言う可能性が高いとは思う。それを、録音でもしとくことやな。
その販売店の人間の言う『新しい契約書は前の書き直しなんでクーリングオフはもう過ぎてます』というのは、考え方としたら間違うとらん。
しかし、それやったら、契約書の書き方には慎重を期すべきやったと思う。ワシも、何度か、購読中の期間短縮を依頼され、販売店の了解のもと、それに応じたことはあるが、その契約開始日は、実際に購読を開始した日からにしとる。
例えば、今回のあんたのように、4月から12ヶ月の契約を6ヶ月に書き直すのなら、契約日の4月はそのままで、終わりを6ヶ月後の10月にするという具合や。その契約変更日を、その日にしたらええだけのことや。それなら、何も問題は起こらずに済む。
『未成年者で親の同意を得ることもしていません』ということやけど、これは、あんたの保護者から「子供と、新聞の契約をしたそうやが、親の私は、それを認めるわけにはいかん」と、その販売店に連絡したら契約解除になるはずや。
民法第4条に未成年者と契約するには、原則として法定代理人(親権者)の同意が必要で、同意のない行為は、取り消すことができるというのがある。
これは、法律の規定やから、いくらその販売店がそれに異を唱えても仕方ない。
『もう3ヶ月も購読してしまっているのですが解約出来るのでしょうか?』というのも、実際に親御さんは知らんかったようやから、問題はない。それに、何度も言うが、その契約は、7月30日のものやから、過去のものは関係ない。
契約は、同種の古いものと新しいものがある場合は、新しい方が優先されることになっとるからな。
それを言うても、その販売店は抵抗するかも知れんけど、その場合は、新聞本社にあんたの親御さんから苦情を持ち込めば、販売店も折れるしかないやろうと思う。
法律的には、そうすることは可能や。
言うまでもないやろが、契約解除ができたとしても、貰うた景品なんかは全部返すようにしといた方がええ。これには『4月分の代金はサービスということ』があるのなら、その新聞代も返還の範疇にあると考えておかなあかん。
契約する上で受けた利益は、すべて返上する。それが、契約解除するということやと思う。
ただ、あんたが『間違いであって相手方に悪意があったわけではないと思うのでちょっと悪い気もします』というのであれば、このまま、その契約を全うする方が、気持ちの上では負い目を感じずに済むやろうけどな。
また、人として、言うたこと、したことの責任を、逃げ道があるからとそこにすがるのは、どうかとは思うがな。常に責任逃れをするような生き方だけはしてほしいないと思う。
しかし、このことは、あんたが『倫理的にはどう思いますか?』という質問を受けて言うてるにすぎん。
ワシは、どう思うかと聞かれれば、それについてコメントするが、法律の規定に逆らうようなことを推奨するつもりはない。またその資格も権利もないしな。
最終的に、判断するのは、あんたと親御さんということになる。あくまでも、ワシの言は、そのための参考意見と考えといてほしい。