新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.295 解約のことでお聞きしたいんですが


投稿者 sasaki さん 投稿日時 2006.8.30 PM 9:14


はじめまして。解約のことでおききしたいんですが・・。

H18.7〜12まで契約してしましました。
ネットにつないで見ているからいらないと断ったんですが・・この地区で10人の加入者を確保したらマージンとして5万はいってくるから、そのお金が入り次第半年分の新聞代を「私(セールスの人)が払います」ってことでハンコを押してしまいました。

ですが二ヶ月経った今やっと電話がつながって、一か月分だけお金を振り込んでもらいましたが、その後はもちろん電話も呼び出しばっかりでつながりません。最後に会話した時に「これで今後振り込みがなかったら解約してもらってもいい」と電話でそのひとは言ってました。

その事情を話して販売店に解約したいと言ったんですが取り合ってくれません。この場合、半年間はとらないといけませんか?
集金の人ともめてます。


回答者 ゲン


あんたの場合は、消費者契約法第4条1項の禁止行為である「重要事項について事実と異なることを告げること。当該告げられた内容が事実であるとの誤認」に該当すると思われるから契約の取り消しができる可能性が高い。

通常、こういうケースは、契約書に「新聞代を私(セールスの人)が払います」とは書いてないやろうから、そんなことは知らんと白を切られたら、言うた言わんの水掛け論になって、うやむやになることが多い。

ワシとしても、その証拠がないと、それは違法やから解約できるというアドバイスはしにくい。いくら状況的には相談者の言うてる通りやろうと思うててもな。

しかし、それに比べて今回の相談には、あんたの話を裏付ける証拠が存在するから、出る所へ出ても十分に、その主張が通るはずや。

『一か月分だけお金を振り込んでもらいました』というのがそれや。あんたのその通帳を見れば、その振込人の名前が分かると思う。その振込人の名前と購読契約書に書かれとるはずの勧誘担当者名が一致すれば、あんたの言うてることを裏付けることになるからな。

普通、あんたの言う以外の理由で、勧誘担当者が1ヶ月分の新聞代を客に振り込むということは考えられんことやからな。これは、立派な証拠になると思われる。

これを、新聞社の苦情センターに話すも良し、あんたの地域の新聞公正取引協議会でもええし、消費者センターでも、この相談やったら、直接、その該当する販売店に連絡をとって指導なり注意はするはずや。それで、契約の取り消しができる可能性はある。

昔は、こういうケースでも「それは拡張員が勝手にやったことや」と言うて販売店は逃げることができた。しかし、個人情報保護法の制定以後、それは通用せんようになった。

拡張員は、そこの販売店の社員証を持つことを義務付けられとるから、昔のように外部組織の勧誘員やとは言えんようになったわけや。その勧誘員の不始末は、その販売店が責任を取らなあかんさかいな。

ただ、あんたの方にも、何の落ち度もないということやない。それは承知しといた方がええ。

その勧誘員のトークに上手く乗せられたということはあるやろ。しかし、あんたが契約することにした決め手は新聞代がタダになる上に、景品も渡すと言われたからやと思う。

この手のケースは、たいていそれや。このQ&Aの相談にもそういう相談者が多いからな。

ワシは、今まで、勧誘員の言うタダやという言葉に、何でこれほど簡単に信用して契約する人が多いのか不思議やった。

ちょっと、考えれば誰でも新聞がタダになるわけないというのは、分かりそうなもんやからな。しかも、それを言うとる相手は、その新聞を売ることを生業にしとる勧誘員や。

その不思議やと思うワシの疑問が、インターネットを見とるうちに分かるような気になった。それは、インターネットの情報に「得をする情報」と称するものが、あまりにも多く氾濫しとると気が付いたからや。

すべてやないとは思うが、インターネットで情報を探す人、特に若者は、僅かでも「得をする情報」というのがあると敏感に反応するようや。悪く言えば飛びつくというやつやな。

それには、そのインターネットの中で、実際に同じようなケースでタダになったと広言しとるサイトやブログがあるのも影響しとると思う。それを信用するわけや。

確かに、そのケースがあるのは、ワシも知っとる。しかし、今回のあんたのように騙されたというケースも多い。

ワシらのように、人間を50年以上もやってて、物事の裏面ばかり見せつけられとる者は、どうしてもその発信者、発言者の意図を考え、騙されまいとするが、その意識に欠けとるようや。

それは、何も若くて人生経験に乏しいというだけやないと思う。インターネットのように、発信者の顔が見えん世界に慣れたことの弊害やないかという気がする。

「タダになりその上、得もしますよ」という言葉を得する情報と勘違いするわけや。あんたも、新聞がタダになるというだけやと、それほど食指も動かず、相手にもせんかったはずや。

決定的になったのは「得もしますよ」ということで、景品を渡されたことにあったと思う。

欲が猜疑心を曇らせたことになる。これは、あんたの落ち度と言えば言えるが、どうも、この手の手法を誰かがプロデュースしとると考えた方が自然なようやな。

それには、こういう相談が、ある特定の地域だけに集中しとるというということがあるからや。おそらくは、そこで活動しとる拡張団やと思うが、配下の拡張員にそういう勧誘の指導をしとる所があるのやないかな。

その手口があまりにも酷似しとるし、なかなか人の心理も巧みについてきとるからや。巧みに「欲をかきたてる」というのもそうやし、具体的な情報、事情を織り込むというのもそうや。

詐欺師が嘘の話を人に信用させるテクニックの一つとして、具体的な事実、真実を挿入というのがある。すべてを嘘で固めると整合性にほころびが生まれバレやすい。人は本当のことを言うときは自信を持って言えるから、意図的に真実の話を入れるわけや。

今回の場合やと『この地区で10人の加入者を確保したらマージンとして5万はいってくる』というのが、そうや。

そういう事実があるのかどうかは確認は取れとらんが、少なくとも、その拡張員がその話をするときは、あんたも、それを嘘やとは感じんかったやろと思う。真剣みがあったやろうからな。

具体的事例を入れてトークするというのは、そういう効果を生むわけや。それが、どうもパターン化されとるようや。

こういうトークは、様々に変化するから、これからもこの手に類似した勧誘はありそうやな。インターネットに慣れ「得しますよ」という文句になびきやすい人は、引っ掛かかる確率は高そうやから要注意やと思う。

もっとも、あんたのように一度、こういう経験を踏めば、次からはこんなことにはならんやろうけどな。

その販売店が、あんたの落ち度を指摘する理由に「契約後の電話連絡で確認したばすや」と言うのがあるかも知れん。

これは、通常、監査と呼ばれとる確認行為で、その日、持ち帰った勧誘員の契約内容を、その契約者に電話で確かめるというものや。

その電話があり、そのときあんたはその事実を言うてないやろから「何でそのときにちゃんと言うてくれんかったんや」と、突っ込まれる畏れはある。

『その事情を話して販売店に解約したいと言ったんですが取り合ってくれません。』というのは、それがあるからやろうと思う。販売店に言わせれば「確認済みや」ということでな。

確かに、あんたもその勧誘員の指示通りに口裏を合わせたということはあるやろうが、どちらがより落ち度があるかと言えば、その勧誘員を使った販売店側にあるのは歴然としとる。

根本は、その販売店がそういう勧誘をさせんかったら良かったわけやからな。管理不行き届きということになる。

結論として、消費者契約法第4条1項の禁止行為である「重要事項について事実と異なることを告げること。当該告げられた内容が事実であるとの誤認」を理由に契約の取り消しを主張したらええ。

それも、販売店直接よりも、新聞社、新聞公正取引協議会などを中心に働きかけた方が得策やと思う。

参考までに『集金の人ともめてます』というのは、そうするだけ無駄やと言うとく。何の責任もないような現場の人間と交渉しても埒があかん。集金人はあくまでも、自分の集金ノルマを果たすことしか頭にないさかいにな。

話すのなら、その販売店の責任者とすることや。

しかし、まずは、その関係各所に相談した結果で、次のことを考えたらええのやないかな。

その結果次第で、分からんことや困ることがあれば、またここに相談してくれたらええ。いつでも、相談に乗るさかいな。


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