新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.296 契約処理に関する質問
投稿者 田舎帝王さん 元販売店従業員 投稿日時 2006.9. 2 PM 10:33
始めまして、私は5年間新聞販売業界で飯を食べてきたものです。
Q&Aのコーナーを読んでいると、契約に関するトラブルについての質問が多いですね。私のいた店は、購読期間の短縮や購読前の契約破棄をすんなりと受け入れていましたよ。ですから、「違約金を払えとか拡材を返せ」なんて言った事は無いですね。
店の損害はかなりの物だとは思いますが、店主の性格上、お客とのトラブルを極力避けたいとの意思がそうさせていました。
げんさんの経験上、契約に厳しい店と融通を利かせる店と、どちらのタイプの店が多かったですか?
回答者 ゲン
『Q&Aのコーナーを読んでいると、契約に関するトラブルについての質問が多いですね』
というのは、そうなるのが必然やと思う。そもそも、このQ&Aのコーナーに訪れる人の多くは、新聞の契約やトラブルで困っておられるか悩んでおられるからやと言うてもええ。
その人たちの多くが悩みを解消する情報を得るために、インターネットの検索サイトで検索して調べると思われる。そのためのキーワードとして「新聞契約」「新聞トラブル」「新聞勧誘相談」「新聞契約相談」「新聞Q&A」というのが多いと聞く。
このコーナーは、たいていの検索サイトでそれが上位でヒットする。このコーナーを含めてサイト自体、それほど世間に知られた存在やないから、初めての人は、それでしか辿り着くのは難しいわけや。
余談やが、このサイトはマスコミなどのメディアには、ほとんど取り上げられることはないから知名度としては残念ながら、かなり低いと言わざるを得ん。
このサイトが唯一、取り上げられたのは経済情報誌の『週間ダイヤモンド 2006.3.11号』誌上だけや。
それも、個人情報保護法の特集記事『特集 大混乱 間違いだらけの個人情報保護 Part3 業種別・混迷の実態』で8業種の中の一つ『新聞販売』として掲載された際、その意見を求められたもので、このサイトが特別に取り上げられたわけやない。
その辺の事情は、当メルマガの『第83回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■『週間ダイヤモンド』誌への掲載で思うこと』で詳しく説明しとるから、興味があれば見てくれたらええ。
ただ、一度訪れられた方でファンになって頂いたというのは多い。業界関係者の方々に至っては当サイトに大勢の方が協力して頂いとるということもあり、その方面では、そこそこ知名度はあると思う。
しかし、一般の人となると、やはり、そういった新聞契約のトラブルが身近で発生せん限りは、サイトやこのQ&Aに訪れることは少ないということになる。
せやから、契約に関するトラブルについての質問が多いのが必然なわけや。それを目的に訪れるのやからな。
『私のいた店は、購読期間の短縮や購読前の契約破棄をすんなりと受け入れていましたよ。ですから、「違約金を払えとか拡材を返せ」なんて言った事は無いですね』
もちろん、そういう所が多いのも良う知っとる。この解約問題の処理については、経営者の判断次第ということになる。これについては業界の決め事があるわけやないからな。
したがって『店の損害はかなりの物だとは思いますが、店主の性格上、お客とのトラブルを極力避けたいとの意思がそうさせていました』という経営者もおられる。
『げんさんの経験上、契約に厳しい店と融通を利かせる店と、どちらのタイプの店が多かったですか?』
この質問がメインということになるのやろうが、これは、一概に、どちらと色分けするのも難しいな。明確な答えが出しにくい。
契約に厳しい店主が常にそういう姿勢ばかりとは限らんし、融通を利かせる経営者も相手次第では、ときとして強硬な態度に出ることも珍しいないことやさかいな。
これにはいろんな状況と事情が加味することやと思う。
一番大きな要素は、やはり経営者の性質、性格、営業方針やろうな。評判を気にする所は、たいてい、あんたの所の店主のように寛容な対応が多いと思う。
「契約違約金を払え」「拡材を返せ」と客に言えば、嫌われるのやないかと考えるわけや。この先、二度と客にはならんのやないかとも思う。
それなら、何も言わず、快くその解約を受けて、次回に期待する。あるいは、噂で「あそこは解約金を取る、えげつない所や」という悪評を避ける方を選ぶということになる。
反対に、厳しいというか几帳面な性格の経営者は、うやむやに処理できんという気持ちになる。それには、契約は絶対やという信念のようなものを持っとるからや。
納得して契約書を交わした以上、それを守るのは人として当たり前という考えや。ワシもその考えは支持する。
やむを得ず約束が守れんかった場合、クーリング・オフなどを除けば、某かの謝罪なり、ペナルティを支払うべきやとなる。拡材に関しては、どんなケースであれ返すのが筋や。
ワシの経験上、拡張員などの営業経験の豊富な人、その世界で揉まれてきた経営者にそういう考えることが多いように思う。
ただ、そういう経営者でも、契約の取り方が明らかに勧誘員が悪いと思うたら、客に頭を下げてその契約を解除するのも珍しいことやない。良く見かけることや。
しかし、中には、このQ&Aの相談でも多いが、無理難題を言う販売店が存在するのも確かや。『NO.294 違約金について』のように、6ヶ月分の契約で6ヶ月分の購読料全額の解約違約金を払えというのがその典型や。
これについては、相手を見てということが多いようや。女性であるとか学生さんに、そういうケースが集中しとる。つまり、相手が弱いと踏んで無理難題を吹っかけとるわけや。
そういう販売店でも、相手がうるさそうな人間やと見たら、そこまでは良う言わんようや。ヤクザのような人間から、解約違約金を取ったというのは未だかつて聞いたことはないからな。
相手次第でその対応の違う販売店も存在するということや。あくどいと思われる販売店ほどそういう傾向にある。
他の要素としては、その契約解除を言い出す客の頻度ということもあると思う。
少なければ、評判を気にする経営者にとって、それを我慢することは苦にはならんやろうし、多ければ、例えその経営者でも、そんなことばかりやっていたら、経営できんと考えるはずや。
契約解除を言い出す客の頻度の多い地域の経営者は、どうしても日頃から、それを阻止するために多めに解約違約金を吹っかけるようになる。前述のNO.294 のケースなどは、真意としたら「解約は認めん」ということやと思うからな。
せやけど、一般的に解約を言い出す頻度の多い地域は、やはり勧誘に問題があるがな。
それとは別に客次第ということもある。このQ&Aには、大半が一般読者からの相談やから、販売店側に問題が多いような印象を受けるかも知れんが、客にもえげつないのがおるのも事実や。
まあ、その辺のことは、あんたもこの世界に5年間勤めておられたから、良う分かっておられるとは思うがな。
例えば『NO.133 理不尽な中途解約客について』のケースなんかが、その最たるものやろうと考える。
この販売店の従業員の方は、良くこんな傍若無人な仕打ちに耐えて我慢されたと思う。それでいて、僅かな額にしろ、ちゃんと解約違約金は貰ったということやから立派や。
あんたが、おられた販売店の経営者の姿勢は、それはそれでええと思う。
ただ、この契約解除については、クーリング・オフ以外では、話し合いによる解決が望ましいということだけは確かやし常識的なことや。
多くの消費者センター、法律サイトもそれを推奨しとる。というか、本来はそれしか解決の方法がないわけや。契約は法律で保護もされとるからな。それを無視はできん。
解約に関してのペナルティというか解約違約金については、新聞と同じ「継続的役務提供契約」をしとる、ある業者と顧客との間のトラブルで、最高裁の判決があり、最高でも「2万円までの契約違約金を認める」というのがあった。
その範囲内なら、当事者同士の話し合いで、その金額を決めたらええというのを、ワシのアドバイスとして、このQ&Aでも取り入れとる。常識的に考えて、いくら長期契約でもそれ以上は無茶やと思うしな。
もちろん、当事者間の話し合いやから、何もなしでもええわけや。しかし、それは何度も言うが、販売店次第やから、ワシのアドバイスとしては「そういう店もある」という程度にしか言えん。
過度な期待を相談者に持たせるのも罪やからな。勢い、クーリング・オフ以外での自己都合による一方的な契約解除を望むなら、最悪、ペナルティとしての解約違約金を支払うことになるのは覚悟せなあかんと言うとるわけや。
一般の人は、タカが新聞の購読契約くらいと簡単に考えることが多いようやが、それは間違うとると思う。少なくとも、日本は契約社会や。それが、守れんというのは、世の中の仕組みそのものを守れんということになるからな。
それに、ワシらは、この新聞購読契約を通じて、契約というものを本当に真剣に考え直して貰いたいという思いがある。そのつもりで、相談者にアドバイスをしとるわけや。
せやから、契約に関して甘い認識の相談者には、かなり辛辣な意見さえすることもある。それが、結果的には、その人のためになると信じてな。
はっきり言うて、新聞購読契約程度のことで、人生を棒に振るようなことはない。その意味では、確かにタカが知れてる。安易に考える気持ちも分かる。
しかし、その契約を軽く考える癖がつけば、いずれ、他の悪徳業者により、騙されて取り返しのつかん、それこそ人生そのものを左右しかねんほどの契約を結ばされることになるとも限らんわけや。そのことの気付きの一つになればええとの思いもある。
最後に『げんさんの経験上、契約に厳しい店と融通を利かせる店と、どちらのタイプの店が多かったですか?』ということやが、回答が難しいで済ませては無責任やから、あくまでもワシの経験ということで、その比率を示すことにする。
これは地域でもかなり違うた。おそらく、そのときどきでも違うと思うから、今もそれが当て嵌まることはないというのも言うとく。
まず、京都やが、これを言い出す販売店は多かった。7対3の割合で解約違約金の請求をしてた。
次は大阪、これは少し比率が下がったと思うたな。6対4くらいや。逆に奈良の場合は、ワシの入店した店の9割くらいに、解約違約金の請求は当然という風潮があった。
それが、東海に来ると2対8くらいに逆転して、解約違約金を請求できるということすら知らん経営者もおるくらいや。
当然やが、解約違約金を請求して、それが100%取れるということはない。そこまでの比率というのは分からん。請求しても、相手によりあきらめるということもあったはずや。
ただ、拡材に関しては、解約を言われた場合、たいていの客が自主的に返還を申し出とった。クーリング・オフでは、ほぼ100%やし、購読前の契約解除でもその比率は高い。これは、あんたの所でもあったと思う。
揉めるケースというのは、先付け契約で何年か前に契約してたとか、購読途中くらいやな。これは、そのときどきの事情で対処するしかないようや。
いずれにしても、拡材の返還を渋るというのは、極一部の客や。多くの人は返還するのは当たり前やと捉えとる。
契約を実行せんと断るのに「拡材は返さん」と言える正当性は何もないというのは誰にでも分かることやからな。これは、心情的にも、返すことによって、負い目を作りたくないという気持ちが働くためもあると思う。
このQ&A、特に契約問題のこじれや勧誘問題は、関東方面からの相談が圧倒的に多いから、その方面では、ワシの言う比率は、まったく当て嵌まらんやろと思うがな。
その地域独特の風潮というものがある。この業界には、そういう側面が強い。何事においても全国共通ということは少ない業種や。このサイト、このコーナーをやってて、特にそれを痛感する。