新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.298 身分証の発行について
投稿者 ヒロ太郎 さん 投稿日時 2006.9. 7 PM 6:00
新聞配達員および拡張員の方は現在、各社登録制となり、身分証を発行しているそうですが、他の販売店や他社へ移る場合、登録しなおすのですか?それは、簡単に出来るのですか?
回答者 ゲン
基本的には、新聞配達員も拡張員も移籍は自由やし制限されることはない。法律で労働の自由が保証されとるからな。
それに伴い、その移籍した販売店、拡張団毎で、それぞれ「社員証」「新聞セールス証」の登録ができ、交付もされるはずや。
但し、問題がないわけでもない。
新聞配達員の場合は、地域により一定の期間内は、他紙販売店従業員の同一区域内での雇用を差し控えるということがあると聞く。
これは、情報漏れを防ぐという意味合いで、その地域の販売店同士が協定のようなものを結んで取り決めとるようや。
その期間は、たいてい6ヶ月程度やという。もっとも、現実問題として、その規定の6ヶ月間を他で仕事していて、また、その地域の別の他紙販売店に舞い戻って、勤めるというのは少ないのやないかとは思うがな。
せやから、そういう所では、実質的には同一販売区域内の販売店同士で、従業員が移籍するというケースはないという気がする。
公に全面移籍禁止ということにすれば、法律上問題になるから、協定で一定期間の申し合わせをしとるということやろうと思う。厳密に言うたら、これも問題になるかも知れんがな。
職業選択の自由は、就業可能年齢に達したすべての人に認められとるから、辞めるのも勤めるのも制限されることは基本的にはない。
但し、職業選択の自由があると同時に、雇用選択の自由も経営者側にはある。採用せんということになれば、それまでやからな。
拡張員の場合は、そういうケースはあまり聞かん。むしろ、水面下では活発な引き抜きが日常的に行われとる業界や。今日の友は明日の敵というのも、それほど珍しいことやないからな。
当メルマガ『第27回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ヘッドハンティング』で、その詳しい話をしとるから興味があれば見てくれたらええ。
ただ、同一エリア内の他団への移籍は、節操ということにおいては疑問やがな。ワシも過去、3度ほど拡張団の移籍をしたが、少なくとも、同一地域内ではそれはせんかった。
どんな理由で辞めたにせよ、その団でめしを食わせて貰ったのは確かやから、そこに仇なす「裏切り行為」をする気にはなれんかった。
中には、条件さえ良ければ簡単に移る人間も結構いてた。もっとも、すべての団が、それを受け入れるというわけやない。そういう人間を嫌う団もあるからな。
あんたの『それは、簡単に出来るのですか?』という質問は、単に興味があるだけという風にもとれるが、別の意味があるようにも受け取れる。ワシの考えすぎかも知れんがな。
この答えは、冒頭でも言うたように、移籍自体は自由で受け入れ側が雇いさえすれば、登録や身分証の類は、問題なくできるということや。
但し、その人間が問題を抱えとる場合は、その程度により無理な場合もあるし、難しいケースも考えられる。
その販売店や拡張団を正規に辞めるのやなく、逃げ出したような場合、その理由が大きく影響する。
単に嫌で辞め、その販売店や団に損害をかけてなければ、それほど問題にはならんと思うが、借金の返済をせずにとか、金を持ち逃げしたというケースなら、移籍するのは難しいかも知れん。
場合によれば、被害を受けたとする販売店や団では警察に被害届けを出すこともあるし、業界情報で不良従業員、不良拡張員として手配を要請することもある。
業界情報というのは、いろいろあるから一概にこんなものやとは言えんが、それに加盟しとる販売店、拡張団の間で情報を集め、それを共有するというものや。これは、新聞社の区別なく加盟しとるのが普通や。もちろん、同一新聞系列というのもある。
そこに、以前の職場からその手配が依頼されていて、移籍する側にその情報が届いていたとしたら、その雇用も難しくなるやろし、持ち逃げなんかの場合やったら最悪、通報されて逮捕されるということもあると聞く。
昔は、業界情報も、狭い範囲に限られとったから、逃げる者も逃げ得という面があったが、今はコンピュータの時代やから、その情報が行き渡り、そういうわけにもいかんようになっとる。
拡張団の雇用にしても、昔はそれほどうるさく言うことはなかったが、この登録制度、特に去年4月からの個人情報保護法の施行以降、かなり厳しく審査するよう、各新聞社から通達されとる。
以前は、必要やなかった住民票の提出まで義務づけるようになっとる所が多いからな。せやから、借金や金を持ち逃げなどした人間には昔より厳しい状況になっとると思う。
もし、そういう趣旨での質問やとしたら、この業界での再就職、移籍はリスクが大きいとしか言えん。
もっとも、全国に数千あるとも言われる拡張団の中には、未だに、昔ながらの誰でもいらっしゃい式の所もあるようやから、そういう所へ行くのなら別かも知れんがな。
最後に、あんたの質問に関連したことで『NO.124 勧誘時の社員証、業務委託証明書の携帯について』というのがあるから、興味本位で質問されたのなら、こちらの方も見ておいてほしいと思う。より、実態が分かるはずや。