新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.301 新聞社主催のイベントについて
投稿者 Jさん 投稿日時 2006.9.19 PM
9:58
こんばんは。
サイトの主旨である勧誘の世界のこととは、ちょっとかけ離れてしまうかもしれませんが、新聞社の動向について、教えて頂きたいことがあります。
春の甲子園、選抜野球はM新聞、夏の甲子園はA新聞。将棋の名人戦は(最近まで)M新聞などと、新聞社の主催イベントには、それぞれ棲み分けができています。
今回の質問は、次の記事を読んで疑問に感じたからです。
将棋名人戦、M紙とA紙の共催に将棋の名人戦問題で、M新聞社は19日、「A新聞社と対等な立場で、共催を前提に交渉を開始したい」と、A紙側に伝えた。
Aが8月4日、M紙に対して出した共催の意思を確認する文書に回答したもの。A紙も同日これを受諾した。
これにより名人戦は、来年に予選が始まる第66期から、ライバル紙の共催という文化事業では極めて異例な形で運営されることになりそうだ。
この問題で日本将棋連盟は、8月1日に臨時棋士総会を開き、M紙の単独契約案を否決した。しかし投票結果が11票差と際どかったこともあり、総会直後から将棋連盟とA紙は、A紙単独主催のほかに、M紙との共催も検討すると表明していた。
こと、将棋の主催権問題に関しては、だいぶ以前から問題になっており、ある意味、双方のつばぜり合いには、かなり強い執着心のようなものを感じています。
そもそも、彼らにとって、スポーツや競技の主催者になるということは、それほど莫大な利益をもたらすようなメリットがあるとでもいうのでしょうか?
常々疑問に思っていましたが、それに対して明確な解説をしている情報を目にすることはありません。
将棋については、ゲンさんは、昔から心得がおありということで、こういったニュースには、個人的に興味がある話題ではないかと思います。
私は将棋に関しては素人なので、たいへん失礼なものいいになってしまいますが、そもそも、私には「たかが将棋」という感覚があります。
有名な羽生さんはもちろん知っていますが、だからといって、プロ将棋が世間でメジャーな競技というわけではないと思います。将棋の対戦結果を知りたくて新聞を買う人がどれだけいるかを考えると、少々疑問です。
しかし、そこに大金を積んででも権利を取りたいという新聞社の背景には、やはり、その権利が、それ以上の「利益」を生むと踏んでいるからに違いないわけで、もしかしたら、表には出ない、たとえば名誉のようなものがあるのかもしれないと想像しました。
実際はもっと単純な理由でしょうか?こういった推理は、あまり意味がないでしょうか?
いつでもけっこうです、ご意見などいただければ、幸いです。
今回のことは、ゲンさんも私も、全くの門外漢ですので、この件に関しましては、元記者をされていた BEGIN さんに回答をお願いしました。(ハカセ)
回答者 BEGIN
さん
私は「元記者」でして、事業系のことについては、はっきり言ってよく分かりません。
個人的な感想で…という前提でご参考程度にお聞き流し下さい。
まず大前提として、新聞社は非上場のため?決算を公表してないと思いますので、具体的な各事業の赤黒はもとより、会社全体の赤黒に関しても社外秘が建前です。なので、私自身、本当に知らないから言えないわけですが、知っていても言えません。
但し、A新聞の場合は、関連テレビ局(上場)の連結対象なので決算を公表しているようです。私は決算書を分析する能力を持ち合わせていませんので、どうしようもありませんが、この辺を細かく計算していけば、何となく見えてくるかもしれません。
次に一般論からいえば、新聞社の収入はおよそ、販売と広告がその大部分を占め、事業を含めたその他の収入が1割あるかどうかという程度とされています。
この辺りから、普通に考えれば「莫大な利益」はないだろうなと推測されます。
また事業といっても、スポーツ系・芸術文化系・慈善活動系まで多種多様です。
慈善事業のようなものは当然に利益は出ていないでしょう。単発の美術展については、「〇〇展で黒字が出た」という話を時々聞きますので、入場料やグッズ販売などで利益を出すことがしばしばあるようです。
問題は将棋やスポーツなどの毎年恒例のイベントです。常識的には、単純な収支決算で黒字になることはあり得ないと思います。
新聞社側の思惑としては、主催者になることによって、自由に新聞紙面などを使ってイベントを盛り上げることを可能とし、イベント自体を成功させて知名度や企業イメージを上げるとともに、販売数も伸ばすといったところでしょうか。
宣伝効果は表に出ない利益なわけで、一般のスポンサー企業と同じですね。ですから、新聞社主催というのは後援(スポンサー)を含んだ主催と考えた方がいいかもしれません。
さて、前置きが長くなりましたが、問題の「名人戦」です。まず、名人戦の棋譜を載せたところで、新聞の販売部数はほとんど伸びないと思います。
これはJさんの指摘どおり、ゲンさんも同じ回答でしょう。(ごく一部の読者をつなぎ止める程度の役割はあるかもしれません)
次に、「名人戦」自体で収益が出ることもありえません。利益が出るなら、将棋連盟が単体で主催すればいいことですし、新聞社が主催して初めて黒字になるのかと言ったら、その理由も見つかりません。
従って、誰が名人戦という歴史あるイベントのスポンサーとなり主導権を握るのか−が争点なのだと思います。
個人的には、「M紙」のイベントを「A紙」が食った−というのが興味深いところです。
全国紙といっても、(A紙・Y紙)と(M紙+S紙)の収益・販売部数は雲泥の差があります(給料もです)。
ところが、M紙は規模の割には、質のよいイベントをたくさん持っていることで有名です。センバツ・都市対抗・マラソン・高校駅伝などですね。
あえて分かりやすく言えば、金がないのに大イベントを抱えているわけですから、A紙やY紙のターゲットになりやすいというというのは当然の理です。
昔から、高校サッカーはあっても高校野球を持たないY紙がセンバツを狙っているという話は本当か嘘かはよく分かりませんが、よく耳にするところです。
まぁ、コトは将棋なわけで「たかが…」という気持ちは私にもあるのですが、かつては囲碁将棋の紙面が多くの読者ニーズを支えていたのは事実であって、この辺の名残りというか、将棋イベントは他のイベントに比べて「格が高い」という意識が背後に
あるでしょうし、 高齢層を中心にファンは根強いという意見もありますから、A紙にしてみれば、提示金だけの価値があると読んだということでしょう。
そもそも適正なスポンサー料というのは、どういう計算をするのか私には分かりませんW杯の公式スポンサーになると、それだけの大金をはたくだけの価値があるのでしょうか?
名人戦のスポンサー料はどの程度なのか全く想像がつきませんね。この辺の計算は、一般企業の広報系の方に聞いていただくといいかと思います。
何も考えずに眺めれば、将棋のタイトル戦はM紙2、Y紙1、S紙1、A紙0なわけですから、余裕のあるA紙がその1つを欲しがるのは、別段奇異なことではありませんし、提示金の中には、将棋連盟とのパイプ作り?税金対策?が含まれるてるのかも
しれませんね。
一方、M紙としては、ライバル企業に金の力で横取りされるという悪しき先例は作りたくないでしょう。
無抵抗でこれを許したのでは、この先、他の事業が思いやられますし、事業だけではなく本業にもスキを見せるおそれがあるわけで、M紙としては抵抗するしかありません。
もっとも、財務基盤強化のために事業を手放すことは経営判断として考えられますが、今回のようにライバル社主導で乗っ取られる形は嫌がるでしょうね。
もし将棋連盟が間に立ってうまいことやれば、問題にならなかったような気もします。
この辺りが、私のわずかな知識からひねり出した拙い推測です。事業系の人が見れば、見当違いのこともたくさんあるでしょうが、もし詳しい方が閲覧しておられれば、私もぜひ意見をお聞きしたいところです。