新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.307 十代ならば解約できるとあったのですが


投稿者 ダイスケさん 19歳 学生 投稿日時 2006.10. 1 AM 3:03


新聞解約のことで悩んでいたらこのサイトにたどり着いたのでメール送らせてもらいました。

4月に引っ越してきたときに拡張員があまりにしつこく、「数合わせのため、そのときになっていらなかったら言ってくれればいいから」と言ってきて、ビール券も数枚くれたので、安易な気持ちで10月から契約してしまいました。

そして、昨日になって新聞が届いていたので、解約しようと思い電話すると「クーリングオフの期間が過ぎているのでできません」とかずっと言って全く取り合ってもらえませんでした。

「10月なんて忘れてると思うから、始まる前に確認に伺います」と言っていたのにそれすら来ませんでした。こういった場合はどうしたらいいのでしょうか?

一人で社会に出て一年目からこういった問題に直面するとは思ってもいませんでした。その電話が終わった後で調べてみたら、十代ならば解約できるとあったのですが。自分は今19歳です。

しかも学費以外は奨学金で生活しているので、親からの仕送りはなく、お小遣いの範囲ならば払わなければならない、ということも当てはまらないと思います。

また、クーリングオフの成立条項を調べてみると、支払い方法が明記されている、とあったのですが、そこの欄は空欄になっています。これって契約書に不備があったわけだから、まだクーリングオフできるのでしょうか?

販売所に電話したときに、全く取り合ってもらえなかったのですが、そのときに、後々のことも考えて、もう新聞は入れないでくれと言っておきました。「それでもお金はかわりませんが。」とは言っていましたが。これは有効な手段だったのでしょうか?

話が前後してわかりづらい文章ですが回答よろしくおねがいします。


回答者 ゲン


『十代ならば解約できるとあったのですが』というのは、民法第4条のことを言うてるのやろと思う。

未成年者と契約するには、原則として法定代理人(親権者)の同意が必要で、同意のない行為は、取り消すことができる。

というものや。但し、例外として、未成年の既婚者や本人が未成年やないと告知しとる場合は、この限りではないとなっている。 

あんたの親御さんから「私は、子供のした、その契約は同意してないから認められない」と、民法4条をもとに、その販売店に通告すれば、その契約を取り消すことができることになる。

民法第120条に、行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。とある。

この制限行為能力者には未成年も該当する。それから言えば、未成年自身にも、契約の取り消しができると考えられる。しかし、ワシはそれを勧めることはできんがな。

親権者による取り消しの方が、問題は少ないやろと思う。やはり、本人である未成年が、それと知りながら契約して、それを自ら取り消すというのは、いらんトラブルの原因になると判断するからな。

もっとも、それを主張するのは自由や。ワシが、それについて口を挟むこともできんしな。

『しかも学費以外は奨学金で生活しているので、親からの仕送りはなく、お小遣いの範囲ならば払わなければならない、ということも当てはまらないと思います』

民法第4条と関連する第5条3項に『法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする』というのがある。

分かりやすく言えば、未成年であっても、小遣い程度の金銭であれば、契約の取り消しはできんという考え方や。それがあるから、あんたもそう言われとるのやろと思う。

この小遣いの範囲というのは、実に曖昧なものや。法律には、その受け取り方次第でどうとでも解釈できるというものがあまりにも多すぎる。

このサイトでは、ワシは、新聞契約は小遣いの範囲には該当しないという判断で、アドバイスをしとる。1ヶ月3000円〜4000円程度やから、小遣いの範囲やないかという意見もあると思うが、契約は総額で判断せなあかん。

ワシは、昔、建築屋で営業をしていたことがある。そこで住宅リフォームのローンで契約を取るというのが多かった。

20年ほど前の話になる。100万円の住宅金融公庫ローンで、30年払いにすると、1ヶ月4000円程度の返済で良かった。今なら、金利も低いから、もっと安い金額のはずや。

その頃「ご主人、1ヶ月に1回、居酒屋に行かれるのを我慢されるか、タバコを2日に1箱我慢されたら済む程度ですよ」という営業トークを良く使ってたもんや。

正に、小遣い程度というのを印象づけとったわけやけど、冷静に考えたら100万円のローン返済を小遣いの範囲とは言えんわな。

あんたの契約が何ヶ月やったのかは相談文にないから、その総額の確かなことは分からんけど、最低の3ヶ月にしたところで、9000円〜12000円になる。収入のない学生さんにとって、それが小遣いの範囲と呼べるかどうかということやと思う。

ワシの結論は、小遣いの範囲を逸脱しとるやろうということや。これは、当サイトに協力して頂いている法律家の先生方も同じ意見や。

もっとも、これについては、確かなことは裁判所の判断を仰ぐしかないが、残念ながら、新聞購読の契約についての判例が今のところない。

せやから、どうしてもその販売店が認めんということであれば、そちらで裁判でも起こしてくれと突っぱねるしかない。

因みに、民事の裁判というのは大したことはないから、大袈裟に考える必要はない。裁判やから、絶対という保証はできんけど、この件は、あんたには有利な裁定が下されるやろうと思う。

因みに、民事裁判への簡単な取り組み方が知りたければ『NO.35  契約内容が新聞販売店から変更されたので解約したい』を参考にして貰えればええ。

もっとも、この中でも言うてるけど、こういう問題で裁判までする販売店はないがな。少なくとも、ワシは知らん。

せやから、ほとんどの販売店は、親御さんからそういう申し出があったら、あきらめとるようや。このサイトへも、そういう報告は多い。

もともと、未成年者の学生さんを勧誘するわけやから、常にそのリスクは、たいていの販売店は承知のはずやからな。

それにしても、良くある話やと言ってしまえば、それまでやけど、こういうケースは後を絶たんな。もちろん一番悪いのは、そのええ加減なことを言うて契約させた拡張員やと思う。

この場合、虚偽による勧誘やから、その方面でも契約の解除は要求できるが、それが確かな話やという証拠がないと、言うた言わんの水掛論になって埒があかんようになる。

その当の拡張員に「確かにそう言うたやろ」と追及しても「知らんな。言うた覚えはないで」と、とぼけられたら面倒なことになる。その確率が高い。

しかも、この場合、あんたは『ビール券も数枚くれたので』というように景品を貰っているということで、客観的には、その契約を認めたということになる。

本当に、そのときになって断るつもりがその時点であったのなら、その景品は受け取るべきやなかったと思う。購読する気がないのに、それを貰う理由はないはずや。

拡張員がしつこく言うたから、断り切れずということなのやろうが、その理由を、ちょっと考えて貰うたら、すぐ分かったと思う。しつこく迫るのは、そうすることが拡張員にとって、それで仕事になるからや。

後になって、簡単に断る、取り消せることのできる契約というのは、それが契約書の体裁を備えていれば、不法行為によってなされたと証明できるもの、クーリング・オフ以外にはない。契約と名がつけば法律で保護される。

それがあるから、その拡張員は、しつこいほど迫って契約書にサインさせようとするわけや。

あんたの『安易な気持ちで』という思いの中に、ビール券が貰い得になるという気持が、どこかにあったのやないかな。

言うとくが、この取り消しをすると、原状回復義務というのが発生して、お互いが契約以前の状態に戻さなあかんということになる。つまり、貰ったビール券は返還せなあかんということや。

世の中には、無条件で得をするようなものは何もないということを知っておいた方がええ。特に、売り込むことを生業としとる見ず知らずの営業員が、無条件であんたに得をする話を持ちかけるわけがない。

もっとも、極希に、置き勧というて金を置いて行ってまで契約を頼む拡張員もいとるとの話もあるが、そういうのに遭遇して儲かったと思うとる人間も実際は、大損しとるということを知っておくべきやと思う。

どういうことかと言うと、そういうのと出会って、相手をすればするほど、得をするもんやということを考えるようになる。

そうなると、必然的に新聞以外の他の悪徳営業員や詐欺師にも騙されやすくなる。どうしても、疑うという意識に欠けるようになるからな。欲が警戒心に勝るわけや。

儲かる話なら、何でもいらっしゃいということになる。よけいなお世話かも知れんが、現在、こういう若い人が増えとるように思えてならん。

新聞の購読契約程度のことで人生まで踏み外したというのは聞かんけど、そういう悪辣な騙しにあって人生を棒に振ったという人間は腐るほど見てきた。ワシらの仲間にもそういうのは多いからな。

つまり、その場で僅かな得をしたと思う者は、実は、そういう無警戒、不用心な考え方にどうしても陥りやすい状態になっとるから、結果的に大損することにつながるということや。

それより、えらい目に遭うたから、この次から気をつけようとする人の方が、ある意味、はるかに得をしとるということになる。もっとも、その経験を後日、活かせられたらやけどな。

『また、クーリングオフの成立条項を調べてみると、支払い方法が明記されている、とあったのですが、そこの欄は空欄になっています。これって契約書に不備があったわけだから、まだクーリングオフできるのでしょうか?』

ということやけど、これはクーリング・オフの対象にはならんと考えといた方がええと思う。どこの新聞の購読契約書にも、必要事項はすべて含まれとるはずやからな。

そこまで、抜けとる所はこの業界ではまず考え辛い。その契約書の作成、立案は専属の法律家がしとるのが普通やさかいな。

そこに1ヶ月の新聞代の記載もあるはずや。ただ、そこはチェック項目になっていて、チェックは入れられてないかも知れんがな。

それでも、新聞代というのは、一般常識として知れ渡っとるから、分からんかったと主張するにも弱い。1994年4月以降、12年以上も値段の改正がされとらんことやしな。

支払い方法というのも、新聞代が毎月後払いというのは、周知であり常識的なことやから、これを知らんかったとは、あんたも言いにくいはずや。ここらが、他の商品との違いやな。

つまり、それを理由に、クーリング・オフができると考えるのは難しいということや。唯一、その可能性があるとすれば、契約日が記されとらんくらいの場合やな。

それも、常識的な期日の範囲に限られる。例えば、新聞が配達され始めて、8日以上も経ってそれを主張はできんわな。

『販売所に電話したときに、全く取り合ってもらえなかったのですが、そのときに、後々のことも考えて、もう新聞は入れないでくれと言っておきました。「それでもお金はかわりませんが。」とは言っていましたが。これは有効な手段だったのでしょうか?』

有効な手段というより、新聞を入れとらんのに、その新聞代を請求することはできんし、許されんことや。もし、万が一、その新聞代を請求しても払う必要は一切ない。

それよりも、その販売店は、その新聞の投函を放棄したことで、その時点から、自動的に契約も放棄したと見なされる。

新聞購読契約というものは、購読者には、その新聞代を支払う義務が生じるが、同時に販売店は、その新聞を毎日、所定の時間までに契約者に宅配するという義務を負うわけや。

いずれか一方が、その義務を放棄すれば、契約不履行ということになる。当然のことながら、契約も放棄されとるわけやから、その新聞代の請求もできんということになる。

それを無理にすれば、その販売店に恐喝罪が適用されることもある。品物を渡さず、金だけ払えと言うてるのやからな。

結論として、今回の場合は、解約の方法はいろいろあるが、一番無難なのが、未成年を理由に契約の取り消しを申し入れることやな。その場合、親御さんに頼むことやと思う。それで、たいてい話はつくはずや。

それでも、話がつかんというのなら、また、相談してくれたらええ。


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