新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.313 同意してないのですが、サインがある限り契約は有効となるのですか


投稿者 y、sさん  投稿日時 2006.10. 5 AM 7:10


一ヶ月前、ある新聞の勧誘員が、「一ヶ月だけお試しに無料で新聞をおかせてくれ」と我が家に来ました。お試しで置くのはかまわないが契約はしないし、今後も契約する気は無いことをはっきりと伝え、おくことになりました。

そのとき5千円の商品券をにぎらせ「皆さんに渡している」と強引にその受領書にサインをさせられました。

その後,約束の一ヶ月が過ぎたころ新聞の集金が来ました。どうなってるのか問い合わせると「一年契約の契約書にサインがある」の一点張り。

主人の留守を見計らって家にきて「サインがある、契約したことになってる」といってきました。その紙は、商品券の受領書といってたものに、新たに一年契約するよう勧誘員が書き加えたものでした。

同意の上の契約ではないので新聞を入れないようにいい商品券も、すでに返しています。しかし、販売店は、「落ち度はない、サインがある、勧誘員を連れて行く」とまるでやくざのよう。

私は妊娠中で体調を壊し、自宅療養中です。いつ新聞屋がくるかと思うと怖くてなりません。今日も眠れず、ネットで調べてたところです。同意してないのですが、サインがある限り契約は有効となるのですか。お金も払うべきなのかわかりません。ご助言おねがいします。


回答者 ゲン


このケースは、あんたの体調を考えたら難しいなと思う。その気なら、契約解除には持っていけるはずや。しかし、それには、相当の気構えがいるし、多少の揉め事も覚悟せなあかん。

これから、その方法を伝えるから、ご主人に対処して貰うことや。なるべく、あんたは関わらん方がええ。

もし、誰か来ても「うちは何でも主人の許可がないと決められないので、主人と話ししてください」と突っぱねることや。「私に何を言ってもだめですよ」というのを強調しとくことやな。

契約解除に持っていけるポイントは三つある。

一つめは、民法第95条に錯誤無効というのがあるから、それを主張できる。

意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

というものや。錯誤とは勘違いのことや。今回は、騙しの要素も十分あるが、この錯誤の方が持って行きやすいと思う。

その勧誘員の説明から『受領書にサインをさせられました』と思っていて、それが、まさか契約書とは知らなんだと主張することや。それが、事実やろうしな。

二つめは『その紙は、商品券の受領書といってたものに、新たに一年契約するよう勧誘員が書き加えたものでした』というのは、あんたの貰っている受領書(契約書)とは違うというこになる。

これは、後で書き加えたということが確かな場合は、刑法第159条に私文書偽造等というのに該当する畏れがある。勝手に他人名義の契約書を作ったり、契約書を改竄することや。

3ヶ月以上5年以下の懲役に処するという規定があり、軽い罪やない。

おそらく、あんたの話の流れから、契約書の控えを渡されたのやと思う。そのあんたの貰うた控えに「一年契約」というのがどこにもなければ、契約自体も無効にできる。

契約書は、双方同じ内容のものを持つという絶対の原則がある。控えと、持ってきた内容とが違えば、それを主張して、契約解除ができる。

最後の三つめは『同意の上の契約ではないので新聞を入れないようにいい商品券も、すでに返しています』ということで、渡された5000円分の商品券の返還をその販売店の人間が受け取っとるという事実や。

これは、誰が見てもその販売店が、契約の解除を認めたからこそ、その商品券の返還に応じて受け取ったとしか考えられんことや。これも、有力な主張になる。

ただ、苦言を呈するようやけど、あんたの方にも落ち度があったとは思う。

『そのとき5千円の商品券をにぎらせ「皆さんに渡している」と強引にその受領書にサインをさせられました』

というのを、おかしなことやと気付かなあかん。普通は気付く。無料のものに、何で5000円もの商品券が貰えるのかということを考えたら分かりそうなもんやさかいな。

さらに、その受領書をちゃんと確かめたのかという問題もある。新聞の購読契約書には「購読契約書」と「お客様申し込み書」の二通りのタイプがある。いずれも、受領書とは書いてないはずや。

万が一、それに本当に受領書と書かれているのなら、契約書やないから、販売店の言うのは論外ということになる。

おそらく、その販売店は、勧誘員とあんたのやり取りは知らんと言うやろと思う。勧誘員を連れて行くということやが、その勧誘員も、ほぼ間違いなく「お試しなどと言うた覚えはない。奥さんは、快く契約してくれたやないですか」とでも言うはずや。

『同意してないのですが、サインがある限り契約は有効となるのですか』これは客観的に言うたらそういうことになる。法律上は、サインをしているということを持って同意したと見なされる。

実際のところ、それが契約書やったと知らんかったというのは、少し苦しいかも知れん。確かに、新聞の購読契約書は小さいが良く見て読めば、誰にでもそうやと分かるからな。

ただ、それらを割り引いたとしても、まだ、あんたの方が、はるかに有利やとは思う。

『お金も払うべきなのかわかりません』というのは、何を指して言うておられるのか良う分からんけど、解約のための違約金ということなら、少なくとも、今は考える必要はない。1ヶ月分の新聞代にしてもそうや。

あんたの場合は、その契約が無効か有効かが、まだ確定しとらんのやからな。そして、無効になる確率がかなり高いということになると思う。

それにしても、先方はあまりたちのええ販売店やなさそうや。あんたが相手をするのは、ワシは勧められん。

ここは、ご主人に、ワシがアドバイスした三つの方法のいずれかで、その販売店の人間と交渉して貰うしかないやろ。それで、話がつけばそれがベストやと思う。

あるいは、新聞社、新聞公正取引協議会などへの通報も効果があるかも知れんから、試みてみるのもええ。なるべく、あんたが直接交渉をするという事態は極力避けることや。

他の相談者なら、間違いなくこういうケースでは、強気で行くようにアドバイスする。それで、今のところ、解決しとる例が多いさかいな。

ただ、あんたの場合、それを勧めるのは、どうかと思う。

確かに、この騙されたような形の契約をされてこのままやと、損をするやろうと思う。口惜しいのも良う分かる。

しかし、こんなことで揉め、今より体調を崩すようなことになって、お腹の赤ちゃんにでも悪影響が出たら大変や。

赤ちゃんは何ものにも代えられんものやさかいな。タカが新聞の購読契約なんかと引き替えにできることやない。

人は、常に優先順位というものを自分の中に持ってなあかんと思う。何が一番大事なことかということや。それを考えたら、文句なく、あんたの体調であり、お腹の赤ちゃんのはずや。

あんたが恐怖心を抱くようなことになり、これ以上ストレスを感じるのなら、腹立たしい限りやろけど、その契約を飲んで購読しとくというのも、一つの方法や。

本当言うと、このQ&Aのアドバイザーとして、そういう結論は、ワシとしても残念やが、仕方ないと思う。

もっとも、どうするかは、ご主人と良う相談してのことやがな。ワシが言えるのは、ここまでや。後は、そちらの判断に任せるしかない。

ただ、また、問題があるか、分からんことがあれば、いつでも遠慮なく相談してくれたらええ。

くれぐれも体に気を付けて、元気な赤ちゃんを産んでや。いつの日か、吉報を待ってるさかい。


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