新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.316 大規模拡張団の入店日直前の中止について


投稿者 田舎帝王さん 元販売店従業員 投稿日時 2006.10. 8 AM 1:24


Q&A NO.311』で「ライバル新聞社の拡張員が来るから気をつけろ」とチラシを入れる販売店があると聞いて驚きました。店それぞれと言いますが、常識を逸した事を平然と行う販売店もあるものですね。

拡張団で思い出したのですが、一度、M町の全域エリアにY紙の大規模な拡張団が入ると連絡が入り、警戒警報が発令されて、団の入店予定日は日曜にも拘らず専業はお昼から出勤して『Y紙の拡張員たちの動向を調べ、時には妨害行動をせよ』と、いつも温厚な店主とは似つかわしくないぐらいの厳命が下ったことがありました。

古株の専業さんに聞いてみたところ、「昔は他紙の営業を妨害する事も日常的にあり、よく拡張員と喧嘩をしたもんだ」と聞きました。

喧嘩覚悟で対応しないといけないかと大きな不安とささやかな好奇心とが入り混じってその日が来るのを待ち構えていましたが、団の入店予定日の直前になって「大規模な拡張団の入店が取りやめになった」と連絡があり、警戒警報が解除された事がありました。

今にして考えてみると、大規模な団を入れるにしてもそれなりの準備が要ると思うので、予定日の直前になって団の入店が中止になったと言うのは不自然で、団が入るというのはただの噂で誤った情報が流れてきたとものと思っています。

実際に他店を警戒させるぐらいの大規模な団が入店予定日の直前になって中止になる事はあるのでしょうか?

ゲンさんはこうした事例をご存知ありますか?宜しければゲンさんの経験上で似たような事があったなら教えてください。

わかりにくい質問で申し訳ありませんがよろしくお願いします。


回答者 ゲン


『拡張員たちの動向を調べ、時には妨害行動をせよ』というのは、良く聞く話やし普通にあることや。

当メルマガ『第57回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ 希望ヶ丘の決闘 前編』及び 『第58回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ 希望ヶ丘の決闘 後編』で、その関連した話をしとるから読んで貰うたら、その辺のことも良う分かると思う。

物語風に面白くアレンジしてあるが、こういうことは実際に結構あったことや。もっとも、人知れず秘密裏に行われていたことやから一般の新聞読者が、その事実を知ることは少ないやろうがな。

拡張というのは、ある意味、販売店と販売店、拡張員と拡張員の営業戦争なわけやから、一方が大挙して押し寄せてくると分かって、指をくわえて見とるわけにはいかん。

戦う姿勢のない所は甘く見られ、そこで生き残り勝利することは難しいからな。これは、何も新聞営業だけに限ったことやなく、他の訪問販売の業種、広くは営業全般にも共通して言えることやと思う。

あんたの言う『大規模な拡張団の入店』というのが、どの程度の人数を指して言うてるのかは分からんが、通常は20人以上の場合、そういう判断をワシらもする。

因みに、そういう入店は特拡と呼ばれ、そこそこの規模の拡張団なら、たいていの所にあることやと思う。ワシらの団も、月に1,2度、4、50人編成で、ある特定のバンク(販売店の営業エリア)に入ることがある。

これは、それを要求する販売店のデモンストレーション的意味合いが強いものやが、カード(契約)とすれば、通常よりも上がる確率が高い。

この4、50人編成の場合、専拡(特定販売店の専属拡張員)以外は、大半が駆り出される。そこで、1日コンテストというのをやる。その日に一番多くカードを上げた者に、相応の集金、商品が出るというものや。さらに、班毎の対抗戦という形もとる。

例えは悪いかも知れんが、運動会的様相があるわけや。必然的に、団員のモチベーションは上がる。しかも、それだけの人間がいとるとなれば、下手にサボるわけにもいかん。すぐにバレるからな。

嫌でも仕事せなしゃあない。その分、カードも必然的に良う上がるということになるわな。

もっとも、ええことばっかりやない。拡張員というのは、狙いの地域、客層が集中するということが多い。そうなると、後手を踏む者は、人の行った後ばかりを廻るということも起きてくる。

そういう場合、ただカードが上がりにくいということだけやなく、行く先々で文句や苦情を聞く羽目にもなる。

「あんたで、今日、5人めやで、ええ加減にしてくれ」といった類のものや。それで、迷惑を被った客も多いと思う。

『大規模な団が入店予定日の直前になって中止になる事はあるのでしょうか?』

というのも多くはないが珍しいほどでもない。ワシも何度か経験しとる。その理由の大半は、販売店側の都合が多い。

その中でも、他店の動向に変化があって、それに対応する場合にそうなりやすい。

あんたも知っての通り、各団の拡張員の日程は、前月の終わり頃までに、各販売店に通知される。

あんたの店にも、その他店への拡張員の入店情報が流れたのやろと思う。この情報が流れた場合の対応はいろいろある。

あんたの所がそうしたように、その当日、従業員を警戒させるというのもその一つや。

あるいは、その入店日直前に合わせて、その店で大がかりな勧誘をするか、自社系列の拡張員を大量に呼び込むというのもある。荒らされる前に荒らせという発想や。

そういう情報も逆にも流れることがある。そうすると、特拡予定日をそのさらに前倒しにするか、延期するということもある。

虚々実々の駆け引きがそこにあるわけや。営業戦略というのは、情報が命や。いかに正確な情報を掴めるかによって勝負が決まると言うてもええ。

情報戦略の中には、わざと相手側に知られるようにリークすることもある。

例えば、その月の15日に本来の特拡が組まれていたとする。それを隠して、10日にその特拡があるかのように、意図して情報を漏らすということや。

そうなると、10日という情報を掴んだ販売店は、それを信じてその日を警戒する。しかし、実際は来んわけやから、あんたのケースのように、肩透かしをくらうことになる。

そして、安心させたところを見計らって本来の特拡を実行する。

昔の兵法に「声東撃西の計」というのがある。東を攻撃すると見せかけて、その実、西を攻めるという作戦や。

基本的な考え方は、それと同じや。戦いの駆け引きは、今も昔も、それほど変わりがないということやろうと思う。

それとは別に、他の理由から中止になるということも十分考えられる。

その販売店と拡張団が揉めて仲違いをするということもあるやろ。受け入れ態勢に問題が発生するかも知れん。販売店、拡張団のいずれかに突発事故が起きるということも可能性としてある。

もっとも、その詳しいことは、その時々の当事者にしか分からんことやから、確かなことは伺い知れんけどな。


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