新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.320 引っ越しによる商品券の返還について
投稿者 M.Nさん 投稿日時 2006.10.14 PM 4:16
今月、転勤で引っ越すことになりました。
A新聞販売店に電話をしたところ、「2年の契約で、1年しかとってないから、3万円渡した商品券の半額を返金する」よう言われました。
「そんな話は聞いたことがない!!」と私は言いましたが、そんなことはないんですね?
返金義務があるんですね?契約時は契約をとるために渡していて、勝手だ!と思うのは、私のわがままですか?
私が住んでいる辺りは住宅街で引越し等があまりなく、競争が激しいのか、5年先の契約までしてしまってます。
来年からはM新聞を3年間、3年後からはY紙を1年間です。M紙は3年で1年無料という契約なので何ももらっていませんが、Y紙は1万円の商品券と、洗剤を6つもらいました。
「引っ越すこともあるかもしれない。」と言ってますが、「その場合は仕方がない。勝手に引っ越してくれて結構。追いかけることもできないから、いいです。」といわれました。
商品券は全て使ってしまってます。洗剤もです。
これは購入して返さないといけないんですか?
回答者 ゲン
今回のあんたの相談には、問題点があると考えられるから、必ずしも、その販売店の言う通りにする必要はないと思う。以下、少し長くなるが、その理由を言う。
『A新聞販売店に電話をしたところ、「2年の契約で、1年しかとってないから、3万円渡した商品券の半額を返金する」よう言われました』
あんたの場合、急な引っ越しということで、A新聞販売店も解約を認めんという話しやないから、その点は問題なさそうや。
問題は、契約時の景品の扱いについてやが、それの返還請求をするかどうかというのは、販売店次第ということになる。
しかし、このケースのような立場の販売店は、大半がその景品の返還請求をするやろなとは思う。理由として、契約に対して、あまりにも景品額が大きすぎることが挙げられる。
2年契約で、3万円の商品券のサービスというのは、昔は良う聞いたが、最近では異例な部類に入る。今は、こういう所は少ないはずや。
単純に計算しても、1年だけの購読やと、その販売店は赤字になるのは間違いないからな。
その地域の新聞代を朝夕刊のセット3925円で計算すると、1年の支払い総額は、3925円×12ヶ月=47100円ということになる。
もちろん、これが全額、販売店の利益ということはない。ここから、新聞社へ新聞の仕入れ代金、従業員、配達員への人件費、諸経費などが、販売店によっても違うが7〜8割程度必要になる。ここでは少なく見積もって7割とする。
すると、販売店の利益は1年で47100円×30%=14130円ということになる。
それに対して、3万円もの商品券をサービスするとなると、単純計算やが、その2年間の購読をして貰っても、そのA新聞販売店に儲けが出んということになる。
もっとも、新聞社により、それぞれ某かの営業助成金が販売店に支払われるから、全くの赤字とはならんやろがな。
しかし、それも、1年だけで購読を終わられたのでは、赤字は確実で大損になると考えたはずや。
急な引っ越しでは、中途解約による違約金の請求はできんから、契約時の景品の返還を要求することで、少しでも損失を防ぎたいという思惑が働いたのやろと思う。
『2年の契約で、1年しかとってないから、3万円渡した商品券の半額を返金』というのは、それなりに筋は通っていそうに見える。
あんたも、このQ&Aを見られて「解約の場合は原状回復の原則に従い、貰うた景品は返すべきや 」と、随所にワシが言うてるので、そうせなあかんということで『返金義務があるんですね?』と言われておられるのやろうがな。
このQ&Aを良う見て貰うたら分かると思うが、ワシがそう言うてるのは、まだ購読に至ってないケースが大半や。その場合は、景品を返還することで、その購読者には何の損失もないことやから、返還するべきやと言うてるわけや。
景品付与というのは、その契約を守ることを条件にして渡されとるものやから、初めから守られん契約やのに、返されんということの方がおかしなことやさかいな。
その意味で言えば、契約の半分しか履行されてないから、景品として貰った商品券のうち半分は返還するべきやと言うべきなのかも知れんが、あんたの場合は、そうとも言い切れん部分がある。
『契約時は契約をとるために渡していて、勝手だ!と思う』と、あんたが言うてるのも、その通りやと考えるからや。
本来、このように中途解約に至る場合、景品の一部返還要求をするためには契約時に業者側が細かくその返還額を示し、契約者の同意を得る必要がある。
つまり、初めに1年しか購読して貰えないときは、半分は返還して貰うという同意を取り付けておくべきやったということや。
新聞の購読契約とは違うけど、携帯電話の契約には、サービスによって契約期間が全うされんかった場合、細かくペナルティ金額が決められたものを提示される。たいていの契約者もそれを納得の上で、そのサービスを受けるというシステムになっとる。
厳密に言うたら、何の約束も同意もないのに、契約が全うされとらんから、その分を返せというのは、勝手やと受け取られてもしゃあないことになるわけや。
ワシが問題があると指摘しとるのは、そういうことや。このQ&Aでも、こういう中途解約での場合の景品返還に関しては、必ず話し合いでと言うてるはずや。それしか解決の方法はないと思う。
せやから、あんたの場合も「最初に返還額の取り決めをしてなかった」ということで、あんたの希望の主張をして交渉したらええ。少なくとも、一方的に、販売店の言い分だけを受け入れる必要はないと考えるがな。
全くその返還を無視するというのも、現実には約束が履行されんわけやから、あんたとしても気持ちのええもんやないとは思う。
折り合える程度の返還ということなら、その返還方法も併せて相談し合意することが、一番、後腐れない方法やないかな。
結論として、返還規約が明確に示されてない契約では、法的に返還義務があるとまでは言えんと思う。ただ、道義上、どう判断するかという問題があるだけや。
一般読者にとって、サービスは多いに越したことはないと思うが、あまり、多すぎると、こういう問題も起こるということやな。
Y紙の人間から『「引っ越すこともあるかもしれない。」と言ってますが、「その場合は仕方がない。勝手に引っ越してくれて結構。追いかけることもできないから、いいです。」といわれました』ということやが、それを言うたのが誰かによって、違う結果になる。
勧誘員が、そう言うたとしたら、そんな話はあてにはならん。販売店の人間なら、それでええかも知れんが、普通は、そんな契約に『1万円の商品券と、洗剤を6つ』を先渡しするとは考えにくいわな。
一般的な、販売店なら、そういう風に言われたら、契約はして貰うかも知れんが、景品は実際に購読が開始になる直前に後届けという形をとるはずや。また、契約者も、購読することになるかどうか、はっきり分からん場合は、そうしてくれと言う方が多いしな。
せやから、これは、一度、その販売店にちゃんと確かめてみることや。返還が必要でないと言うのならそうしたらええし、返還してくれと言う場合は、返還せなあかんやろうと思う。
このケースは、A新聞販売店の場合と違い、まだ購読に至ってないわけやから、そのサービスを受け取る正当な理由があんたにはないことになる。こちらは、原状回復義務による返還義務はあると考えられるということや。
最後に『M紙は3年で1年無料という契約なので何ももらっていません』というのは、引っ越しするからと言えば、何の問題もなく終わるはずや。
立つ鳥、後を濁さず。というから、残りの日数が少なくて忙しいとは思うが、ちゃんと、後始末しといた方がええ。話せば、たいていの販売店なら分かって貰えるはずやと思うからな。
先渡しの景品の一部返還を要求するだけの販売店は、特にそうやと思う。それでも、何かわけの分からんことでも言うて来るようやったら、また遠慮なく相談してくれたらええ。