新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.325 「新聞拡張員ゲンさんの嘆き」へのご相談


投稿者 KCCさん 高知県在住 会社員 投稿日時 2006.10.18 PM 7:27


半年前に不審な「Y新聞のスポーツ新聞」と名乗る者の新聞勧誘を受け、新聞拡張員に対しては不信感を抱いておりましたところ、貴サイト「新聞拡張員ゲンさんの嘆き」を拝見いたしました。

サイト全文を一通り拝見し、「最近は改善されている」との事で、Q&ANo.317では

>一般購読者からの勧誘についての苦情、相談は、東北、北陸、四国、九州、沖縄からは1件もない。

との事ですが、四国の1件目の拡張員の手口についてをご相談させていただきたいと思います。

その日、私は荷物を持ってアパートの階段を上がろうとしていると、運悪くその人物とすれ違いました。

「すみませんが、こちらにお住まいの方ですか?」と聞いてきたので、アパートの住人かと思って「はい」と答えた所、その人物は「私はY新聞のスポーツ新聞の者ですが」と新聞販売所名も名前も名乗ることなく、いきなり「お願いです!3ヶ月だけ取ってください」と勧誘を始めました。

「申し込んでくれればこれを差し上げます」とビール券(大瓶)4枚と100円ショップで売っている大きさよりも小さめの洗剤の箱、ビニール袋を見せ、「これだけ出せばうちは赤字なんですよ〜」と言いながらおもむろに契約書を取り出し、「3ヶ月はサービスですが1年間の契約になります」と契約書とペンを渡そうとしてきました。

「新聞はいりません」「必要ありません」「迷惑です」と何度も断りましたが、全く聞く様子はなく、そのたびに契約書とペンをこちらに記入させるために渡そうとしています。

話を打ち切って自分の部屋に向かおうとしましたが、その拡張員は走って追いかけてきます。

「帰ってください」と言ったら一度は帰ろうとしましたが、拡張員は振り向いたままで無言でビニール袋を渡そうとしてきました。「そんなものはいらないから帰ってください」と断ってようやく拡張員は引き上げていきました。

ご相談したいことは以下の通りです。

1.拡張員は通常、販売所や自分の名前、誌名を言わないものであるか?
2.最初に「3ヶ月だけ」と言いながら「1年契約」と言い直して1年契約の契約書を渡すのは問題があるのではないのか?
3.「新聞はいりません」「必要ありません」等の断り文句は通用しない様ですので、より効果的な断り文句があれば知りたいです。
4.最後に渡そうとしてきたビニール袋をもし受け取っていたとしたら、後で「ビニール袋を返せ」あるいは「ビニール袋を受け取ったから契約しろ」などのトラブルは起こりうるのか?

以上ですが、ご回答いただければ幸いです。


回答者 ゲン


『1.拡張員は通常、販売所や自分の名前、誌名を言わないものであるか?』

このケースの場合『私はY新聞のスポーツ新聞の者ですが』と言うとるから『誌名』は名乗っとる。これで、あんたには、相手が勧誘目的の新聞の営業員やということが分かったはずや。

もっと言えば、新聞銘柄を言うことで、その販売店もすぐ分かるから、販売所名を言うたも同じという感覚が、ワシらにはある。

つまり、あんたの所に勧誘に来たY新聞の販売店は、たった一店舗しかないからや。それが、この業界の仕組みでもある。あんたが、それを調べる気なら、即座に分かるからな。

つかみとすれば、この拡張員の『私はY新聞のスポーツ新聞の者ですが』というのが一般的やろと思う。

たいていの訪問販売でも、第一声は「○○生命です」「○○ふとん店です」「○○建設です」という程度のはずや。

特に、あんたは「新聞はいりません」「必要ありません」「迷惑です」と断りを入れとるわけやから、その拡張員は、何とか突破口を探るのに必死で名乗る余裕もなかったと思われる。

「話しくらい聞きましょうか」ということなら「○○販売店から来ました、○○という者です」という場合は多いやろと思うがな。

この質問は、名乗らん人間は無礼やないのかという意味合いを含んで言われたことやろうが、それならば「あなたの名前は?」と一言、聞いてほしかったと思う。

それで、名乗らんということであれば、無礼と言われても仕方ない。そして、そう問われれば、たいていの拡張員は身分証を提示するはずや。また、そうせなあかん。そう義務付けられとるからな。

『2.最初に「3ヶ月だけ」と言いながら「1年契約」と言い直して1年契約の契約書を渡すのは問題があるのではないのか?』

問題というのは、いろいろな捉え方があるが、違法性ということを言うてるのなら、この程度のことでそれはない。なぜなら、あんたには、それを拒否する権利があるからな。実際、拒否もされとることでもある。

ただ、やり方が稚拙ではあるがな。本人とすれば「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」を使ったつもりなのかも知れんが、かなり的はずれや。

「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」というのは、小さな要求をつきつけ、それが通れば次第に大きな要求をしていくというやり方や。昔から言われとる営業の手法の一つに数えられとるもんや。

これは、その名の通り、ドアに足を差し入れることを言う。最初に足を差し入れられたことで、その程度なら仕方ないとそれを許せば、徐々に入り込む。そして、ついには中に入り目的を達するという意味でそう呼ばれとる方法や。

小さな承諾を積み重ねるうちに大きな承諾を得ることを狙ったやり方ということになる。

もっとも、この拡張員の場合は、その最初の小さな承諾(3ヶ月だけ)も貰うてないわけやから、的はずれと言うたわけや。こんな勧誘で契約が取れるはずがない。

因みに、この反対に「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」というのがある。初めに大きな要求して、小さい要求で手を打つというやり方や。

例えば「1年契約でお願いしますよ」と言うてみる。「1年は無理や」と客が言えば「それなら、3ヶ月でも」と言う。「3ヶ月なら」ということで応じれば、それで成功ということになる。

1年契約を断った手前、それくらいならと考えるという心理をついた手法なわけや。

これらは、営業テクニックのうちやから何の違法性もないと思う。3ヶ月契約を1年契約に変更して勧誘するのも、その拡張員の営業方法ということになる。

あんたが3ヶ月契約を承諾していて1年契約を強要したというのなら問題やが、この時点では、あんたの方にも断る権利もあるわけやから、通常の勧誘行為の範疇と考えられる。

『3.「新聞はいりません」「必要ありません」等の断り文句は通用しない様ですので、より効果的な断り文句があれば知りたいです』

参考になるかどうかは分からんが、同じような質問に『NO.17 拡張員の嫌がる効果的な断り文句を教えて下さい』で回答したものがある。

それにしても、誰にでも利くという万能な断り文句というのはないな。敢えて言えば、毅然とした態度で「いらん」と断るしかないやろと思う。

ワシらは、客になるかならんかの判断を、何も言葉だけでしとるわけやない。同じことを言うてても、勧誘を受けやすい場合と、避けられるケースというのが往々にしてある。

それには客側の仕草、雰囲気というのが大きなウェートを占める。あんたにしつこく迫った拡張員も、他の全員にそんなことをしとるわけやないと思う。その拡張員が、これやと判断したか、脈があると見た人間に対してだけのはずや。

普通に考えて、ヤクザに見えるような人間、あるいは、うるさそうな者へは敬遠するもんや。そんな人間を勧誘することは少ない。

そこから導き出される答えは、そういう雰囲気に見られるというのが、一番、効果的ということになる。そんな人間やと思われたら「新聞はいらんで」の一言で終わりや。声すらかけて来んかも知れん。

反対に、カモやと思われたら、例えどんなに拒否しようがあかん。最後には落とせると勝手に思い込むから、とことんしつこくつきまとわれるということが起きる。

救いのない言い方やが、しつこい勧誘を受けやすい人は、これからもそれは続くということを覚悟しといた方がええ。

ただ、あんたは、最終的に振り切れたわけやから、これからもそうするしかないやろと思う。そうしているうちに、オーラとしてそういう雰囲気が身に付くかも知れんしな。

『4.最後に渡そうとしてきたビニール袋をもし受け取っていたとしたら、後で「ビニール袋を返せ」あるいは「ビニール袋を受け取ったから契約しろ」などのトラブルは起こりうるのか?』

これも、その人間次第やが、一般的にということなら、そういうのは考え辛い。このビニール袋というのは、たいていの販売店では「捨て材」と呼ばれとるものや。

捨て材というのは、文字通り、捨てても惜しくないサービス品ということを意味する。契約して貰えなくても、配っとる販売店というのも実際にある。

言えば、駅前で良う配っとるポケットテッシュみたいなもんやと思えばええ。ポケットテッシュに企業名、宣伝文句が書いてあるのと同じく、ビニール袋にも新聞社名が印刷されとるから、それ自体が広告媒体になっとるようなもんやさかいな。

ただ、貰う方は、何かあるのやないかと考えることもあるやろがな。そう考えるのなら、受け取らんでもええと思う。これも、ポケットテッシュ同様、受け取るも受け取らんも自由や。

あんたからの質問の答えはこんなところやが、最後に、今回の相談についてワシの思うことを言うておく。

あんたの話を聞く限り、その拡張員は、営業能力には疑問ありやが、あくどいと言えるほどやないと考える。むしろ、それなりに一生懸命、仕事に取り組もうとしているように見受けられる。

「すみませんが、こちらにお住まいの方ですか?」と、声をかけとるのも、それなりに礼儀を弁えとる。あんたは、しつこいという印象があるのやと思うが、営業とはそういう一面のある仕事や。

世の営業マンのほとんどが、多かれ少なかれ狙った営業先に、しつこいと言われるくらい食らいついとるもんや。また、それくらいやなかったら、営業マンとしてやっていくのは無理やと思う。

あんたの会社にも、営業の人間というのはいとるやろ。そういう人と話せば分かると思うが、たいていは、営業というのは楽なもんやないと言うはずや。

一度や二度、断られたくらいで簡単に引き下がる営業マンは少ないやろと思う。また、その意識が強いはずや。たいていの営業会社でも「粘れ」と指導もするしな。

今回、この拡張員にすれば、あんたが狙った営業先ということになる。営業というのは、相手が個人であれ、会社であれ同じなわけや。

「いらん」と言われて「はい、分かりました」と簡単に引き下がれん事情というのも、汲んでやってほしいと思う。営業はご用聞きとは違うさかいな。

ただ、そうするあまり、喝勧のように脅すとか、騙すというのは論外な行為や。また、帰れと言われて居座るのもあかん。場合によれば、犯罪に問われることもあるさかいな。

せやけど、この拡張員のようにそれがない限りは、迷惑かも知れんが、同じ拡張員のワシとしては辛抱してほしいとしか言えん。

何も大上段に構えて言うわけやないが、新聞の勧誘自体は、法的には何の問題もない立派な営業行為であり、公認された仕事やからな。

その勧誘が嫌であれば、あんたは断わればええだけのことや。もし、この勧誘について問題があるとするのなら、そこから先、トラブルに発展した場合やと考える。

今回のように、その手前で終わる程度やったら問題というほどでもないやろと思う。世の中には、そういう仕事もあると理解してほしい。


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