新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.329 どうにもならないものでしょうか
投稿者 ヨシダさん 投稿日時 2006.10.28 PM 10:43
はじめまして、突然ですが教えてください。
先日主人が新聞購読の2年契約をしたのですが、今現在とっている新聞屋さんに伝えたところ値段等のサービスをするので引き続き購読して欲しいといわれ長年の付き合いもあるので、申し訳ないのですがと新しい新聞屋に断りの連絡を入れたところ、先つけカードがどうとかでききいれてもらえません。
確かにこちらのかってな都合ですが配達開始も2ヶ月先で、サービス品もうけとっていないのにどうにもならないものでしょうか。他に聞く当てもなくよろしくお願いいたします。
回答者 ゲン
先日というのが、いつかによって対応が変わってくる。クーリング・オフの期間内なら無条件に解約できる。
これについては、いかなる阻止理由も販売店は主張することはできん。これは、契約者に与えられた絶対的な特権やからな。
新聞の場合、8日間以内に文書での通告と決められとる。あんたの場合、10月23日の契約日であれば、明日、月曜の10月30日ならまだ間に合う。それ以降の契約日なら、その日も入れて8日間以内に最寄りの郵便局に行って、クーリング・オフの手続きをすれば問題はない。
その方法については『NO.144 クーリング・オフについて教えて下さい』で詳しく言うてるから参考にしてほしい。
しかし、現在がその期間を経過しとるのやったら、簡単に解約するのは難しいと言うしかない。その場合は、その販売店の了解を得るしか方法はない。話し合いで解決するということになる。
あんたの話を聞く限り、ご主人が2年契約をしたという新聞販売店には何の落ち度もないと思われる。クーリング・オフ以外での一方的な解約が可能な場合は、その販売店を含めた勧誘する側に不法行為があった場合くらいのものや。
その不法行為については『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』の中の第1章 新聞営業の基本的な考え方 法律・規則編 その1〜その8で説明しとるから、それに該当する項目があるかどうか照らし合わせてみたらええ。
尚、これは、勧誘員向けの営業心得の一環で言うてることやから、そのつもりで参考程度にしてほしい。詳しい法律が知りたければ、専門家に聞いて貰うしかないけどな。
それらに該当するものが何もなく、販売店が難色を示すということで、それでも尚かつ、あんたの方で解約したいというのであれば、それ相応のペナルティを覚悟せなあかんことになるかも知れん。その販売店次第やがな。
『配達開始も2ヶ月先で、サービス品もうけとっていないのに』と言われるように、タカが新聞の購読契約というくらいに軽く考えておられるのかも知れんが、一度契約書が交わされると、クーリング・オフや不法行為がない限りは、どんな契約書も法律で保護される。
簡単には解約はできんことになる。現時点でサービス品を受け取っとるかどうかというのは関係ない。但し、それが約束の期日までに履行されんかったら契約不履行を主張して解約できる可能性もあるがな。
今回の場合、公平にみて『長年の付き合いもある』という販売店に、問題があるように思う。
ご主人が新たに契約したのは、その勧誘員の提示したサービスや対応が良かったからやないかと考える。以前の販売店のサービスが良ければ、そう簡単に心変わりすることは少ないやろからな。
さらに『今現在とっている新聞屋さんに伝えたところ値段等のサービスをするので引き続き購読して欲しいといわれ』ということでも分かるように、その付き合いの長いという販売店は、そういう新たなサービスをするという所が現れてから、急にそのような対応を取ったということになる。
もっとも、こういう販売店は多いのやがな。本来は、長期購読者ほど大事にせなあかんとは思うのやが、その長期購読者に限ってサービスがあまり良うないというのがこの業界の一般的な姿でもある。中には、新規の客と変わらんサービスをしとる販売店もあるがな。
せやから、ワシは勧誘する際に、そういう不満があるなと察したら「たまに他店で新聞を取られたらどないですか。そうすれば、現在の販売店の対応も良くなりますよ」というトークを使うことがある。
その『長年の付き合いもある』という販売店が正にそうやと言うことになる。言い過ぎかも知れんが、あんたが『長年の付き合いもある』と義理立てするほどには、その販売店はあんたのことは特別には考えとらんということになるのやないかな。
それがあれば、常日頃からもっといろいろと心がけとるやろから、こういう他店の営業が入り込む余地はないと思う。きついようやが、ワシから言わせれば、管理が悪いということになる。
いずれにしても、一度契約が確定されたものは、よほどその販売店が理解を示さん限りは解約するのは難しいということや。
また、そうでなかったら、ワシらのような勧誘を生業としとる者は困る。いつでも、気軽に解約可能ということにでもなれば契約書の意味がない。ワシらが存在する理由すらなくなるからな。
大袈裟に思うかも知れんが、引いては日本の契約社会そのものの崩壊につながることや。契約したという事実は大きい。購読者は、その期間、購読してその代金を支払う義務を負い、販売店はその期間、間違いなく新聞を届けるという義務が課せられる。
『どうにもならないものでしょうか』というのも、サービスを良くするから、また以前の販売店でと考えておられるのなら、どうにもならんと思うてた方がええやろな。
相当の出血覚悟なら、解約も可能かも知れんが、あんたに関しては、それは現実的やないと思う。
それでも一応、説明しとく。あんたのようなケースで解約を希望するのは、一方的な自己事由による契約解除ということになる。この場合は、先にも言うたように当事者間で話し合うしかない。
こういう場合の一般的な話し合いでの解決法は、ペナルティとしての解約違約金を支払ってということになる。その金額はどの程度が妥当かという決まりのようなものは、少なくとも新聞購読契約にはない。
それでも、敢えてどの程度までが妥当な範囲かと問われた場合、このサイトでは、1年以上の契約で最高でも、2万円程度までやと言うてる。それ以上は、法外やともな。
もちろん、これには根拠がある。新聞の購読契約のような形態を、継続的役務提供契約という。他業種やが、最高裁の判決にその継続的役務提供契約の解除に関する解約違約金が示されたケースがある。その判例で2万円というのがあったからや。
話し合いというのは、その範囲内と考えてええやろ。契約事というのは、一度、契約書として交わされれば責任が生じる。責任は果たさなあかん。これが、その責任の取り方やと解してほしい。
結論として、まだクーリング・オフの期間内なら、速やかにそうすればええし、その期間外ということならば、よほどの事情があんたの側にない限り、その契約を全うした方が無難やろと思う。
あるいは、出血覚悟で解約に持ち込むかやが、いずれを選択するかは、あんた次第ということになる。