新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.343 引っ越しを理由に新聞をやめたい


投稿者 里さん 投稿日時 2006.12. 2 PM 7:21


ゲンさんはじめまして。お金がないので解約したいと思っています。

8月に新聞勧誘にあって、納得しないまま嫌々でしたが契約してしまいました。購読開始(契約)は11月からの3ヵ月です。

当初クーリングオフという制度のことを忘れていて、契約書裏面の記述も読んでいませんでした。

ただただ、勧誘員が言った言葉を信じてしまい、解約の連絡も遅れてしまったのです。勧誘員からは10月末までに販売店に連絡をすれば開始月の変更や解約もできると言われました。

でも、その10月末に連絡をした結果、クーリングオフのことを言われて解約は無理ですと言われました。いろいろありお金がない・余裕がないと言っても無理でした。

引越しをする場合は、中途解約もできると聞きますが、この際、反則技だと分かっていても転居を理由に解約したいと思っています。

そのくらい余裕がないです。単身者の多いアパートに住んでいますし、大丈夫かなと思っていますが、ばれたら嫌だなという気持ちもあります。

そういうのって調べられたりするのでしょうか?もしそう言って引っ越していなかったら、何かされたりするのでしょうか?

不純な質問で申し訳ないですがよろしくお願いします。


回答者 ゲン


『この際、反則技だと分かっていても転居を理由に解約したい』というのは、実際に引っ越しをせんのにしたと見せかけることのようやが、やめておいた方がええと思う。気持ちは分からんでもないがな。

『そういうのって調べられたりするのでしょうか?』ということやけど、わざわざ調べるまでもなく、すぐ分かる。

あんたが考えとるほど、引っ越しを偽装するのは簡単なことやないというのは知っておいた方がええ。

それには、いろいろな理由、ケースがあるから、それを今から言う。

1.その契約を取った販売店の従業員か、もしくは拡張団の拡張員がそこに行く。あるいは、その販売店、拡張団の人間、すべてがそうする可能性がある。

何もこれは、実際に引っ越しをしたかどうかというのを確認しに行くためだけのことやない。

当たり前やけど、あんたが引っ越しをしたということは、そこは空き部屋になるわけや。販売店、拡張団には、その事実はすぐ知れ渡る。

そのアパートが出入りの激しい所やとしたら、尚更ということになる。次の間借り人が、短期間のうちに入ってくる可能性も高いわけやから、勧誘員は、それを狙うために訪れる。

あんたのケースは、すでに1ヶ月購読済みやから、微妙なところやが、その勧誘員には不良カードとして、拡張料の返還をせなあかん所もあると思われる。

当然、それは汚点、失点となるから、よけい次の客に期待をかける意味でも行くのは、ほぼ間違いないやろな。

2.それでなくても、そのアパートが頻繁に勧誘の来る所なら、その勧誘員と出会す危惧もある。特にその店の従業員と顔見知りになっているようなら、そのアパート内やなくても、道を歩いているだけで会うことも考えられる。

3.空き屋、空き部屋チェックというのをこまめにしとる販売店は結構多い。これは言うまでもなく、次の入居者が入ればすぐ勧誘に行くためや。

引っ越しは早い者勝ちという側面が強いから、競争の激しい地域やと、各新聞販売店が競争してそれをやっとるはずや。

単身者の場合の引っ越しは荷物もたいてい知れてるから、業者に任せたら1時間程度で終わる。それも午前中の場合なら、販売店の従業員も拡張員も勧誘に廻ることはまずないから、その現場は知られずに済むケースが多い。

それにも関わらず、その当日、もしくは翌日あたりに勧誘に来るケースがあるというのは、空き部屋チェックをしとるからに他ならんわけや。

4.引っ越しをすれば、その部屋まで行かんでも、外からその部屋の窓を見ただけで分かる場合もある。引っ越せば、普通はカーテンなども、居住者は持って行く。

また、残しとるような場合、それは、たいてい古くていらんようになったものやから、綺麗なものはない。大家や賃貸業者の方で、そういうのは取り払う。次の客に部屋を見せるのにマイナスとなるやろうからな。

そのアパートによれば、空き屋用の専用カーテンをしとることがある。これは、直射日光なんかで畳の焼けるのを防ぐ意味もある。

あんたが、最初にその部屋を案内された状態を思い出して貰えば分かりやすいと思う。その状態に再現できんかったら、外から見ても一目瞭然で引っ越したかどうかが分かるということや。

5.引っ越せば、当然やけど、電気、ガス、水道の類は止める。そして、それをストップした証しとして、その札がメーターに取り付けられとる。

それがなく、電気メーターが微量でも動いていたら、そこに誰か住んどるのは明白やとなる。いつもの販売店の配達員が、そのアパートの他の部屋にも配達しとるのなら、あんたの部屋の様子も見る可能性がある。

冷蔵庫や、テレビ、パソコンなどの待機電源の微量なものでもメーターは動くから、そういうのをごまかすことは難しいやろと思う。

6.今の時期、冬は日が沈むのも早いから、夕方5時以降に部屋にいとる場合は電灯をつけることが多いはずや。

例え、電灯を消して、テレビやパソコンを使っていたとしても、その光が外に漏れる。加えて、音も出るはずや。四六時中、そのために息抜きをひそめた生活をするのは辛いし、バカげとると思う。

7.ちょっと気の利いた従業員のおる販売店や拡張員なら、そういうアパートには懇意にしとる客を確保しとるもんや。そういう客へは、引っ越しのなどの出入りの情報を聞くために普段からサービスしとる。

ワシの場合は特別かも知れんけど、そういうアパート、マンションのオーナーと懇意にしとるから、その出入りの情報はすぐ掴める。

もし、あんたがワシの客やとしたら、その引っ越しするのが嘘か本当かというのは、瞬時に分かるやろうと思う。

他にも、まだ分かることがあるやろうとは思うが、これだけでも簡単なことやないというのは理解できるはずや。

引っ越しを理由に契約解除を求める場合、最低限度、その日くらいは告げなあかんことになる。しかも、即日に近い状態でそれをせんと新聞代の支払いがかさむだけやしな。

その日を告げて、実際に引っ越ししてないと分かった場合(ほぼ確実に分かるやろうが)そのときは当然のことながら責められるやろと思う。

もっとも『もしそう言って引っ越していなかったら、何かされたりするのでしょうか?』ということで、暴力的なことや嫌がらせ、脅しなどのことを心配されとるのやったら、それはないやろと思う。

もし、そういうことがあれば、それは刑事事件に属することやから、警察に通報すればええことや。心配せんでも、そんなアホなことをする新聞販売店は、まずおらんやろと思う。

ただ「そんな嘘を言われたら困ります。約束通り、残りの分もちゃんと取って貰いますよ」と言う程度は言うやろうがな。

ここで、あんたの取れる方法は限られたものになる。

あんたの場合、完全に自己都合ということになるから、相手の販売店が認めんことには解約することはできん。

普通は「金がない」と正直に言うてるわけやから、それを受け入れる販売店もある。支払いの段になって揉めるのを嫌う所は特にそうや。しかし、それはあくまでも販売店次第やから、言うても始まらんがな。

『解約は無理ですと言われました』ということなら、一般的にはペナルティ覚悟の解約を希望するということになる。たいていの場合は、解約違約金を支払ってということやけど、あんたの場合は、それは現実的やないと思われる。

契約が『11月からの3ヵ月』ということは、11月の1ヶ月はすでに終わっとるということになる。これから、その交渉云々を始めても、その話し合いの姿勢すら見せん販売店やと1,2ヶ月くらいはすぐ経ってしまう。

例え、解約違約金を支払うことで話がついたとして、その額は最低でも、1ヶ月分やと予想される。それ以下で納得する販売店は少ないと思う。

そして、その場合でも、すでに購読した11月分の新聞代は必ず支払わなあかんことになる。これを拒否する正当な理由はあんたにはないやろしな。

それで、併せて2ヶ月分、それに加えて、解約を申し出た場合、最初に貰うた景品類が何かあれば、それも返還せなあかんことになる。

解約というのは、双方が契約以前の状態に戻すということで、その約束が守られんわけやから、そのための付帯条件も消滅するわけや。これは原状回復義務と呼ばれとるものや。

それらを考えたら、解約することで、あんたの得られるメリットは少ないということになる。ワシが現実的でないと言う所以や。

ワシも、解約についてのアドバイスをすることは多いが、それは、ほとんどが1年以上の契約を残しとる場合や。それ以外の自己事由での解約は、メリットが少なくほとんど意味がないと思う。精神的な部分を除いてはな。

『勧誘員からは10月末までに販売店に連絡をすれば開始月の変更や解約もできると言われました』というのを信じてしまいということなら、消費者契約法に違反するから解約すると主張することはできる。

その消費者契約法の第4条1項には、重要事項について事実と異なることを告げること。当該告げられた内容が事実であるとの誤認などが違反行為として規定され、契約の取り消しができるとある。

今回の場合『10月末までに販売店に連絡すれば解約もできる』と言われたというのが、それに当たると思われる。

しかし、それは、事実と認定されんと厳しい。証拠があれば別やが、口頭で言うたというだけでは「そんなことは知らん、言うてない」と白を切られたらそれまでや。水掛論にしかならん。

今回の場合も、それを実証して調べとる間に日数が過ぎるやろと思う。

特に、この12月というのは、販売店もワシら拡張員も1年のうちで一番忙しい時期やから、カード(契約)になる話以外では、その販売店からは、その話し合いにすら来んかも知れん。

その日延べしとる間にも、新聞は配達してくるやろうから、その分の支払いも発生する。例え、あんたの言い分が通ったとしても、その頃には3ヶ月が過ぎとったということも十分考えられる。せやから、これも現実的には難しいやろと思う。

唯一、その販売店が譲歩する可能性があるのは、期間の延長ということくらいやろうと思う。これに関しては、その勧誘員も『10月末までに言えば開始月の変更はできる』と言うてることに間違いはない。

「しばらく留守にするから新聞を止めてほしい」あるいは「残り2ヶ月分は半年先に延ばしてほしい」というのなら、認める可能性はある。

特に前者の場合は、1ヶ月程度なら認める公算は大や。後者も話し合い次第やろうと思う。販売店は解約するというのは、認める所は少ないが、延長ということなら比較的対応する所は多いさかいな。

あんたの暮らしぶりまでは分からんが、今は苦しくとも、数ヶ月先なら好転しとるということもあると思う。また、その計画も立てられるはずや。

例え『納得しないまま嫌々でしたが契約してしまいました』ということであったにしても、契約した以上は、契約者としての義務が発生する。それが法律というものや。

『当初クーリングオフという制度のことを忘れていて、契約書裏面の記述も読んでいませんでした』というのも、あんたが言われとるように落ち度ということになる。

法律的な見地から言えば、今回の件は新聞代を支払うしかないと思う。ただ、そうは言うても、払う金がないのに払うというのもできんわな。

そういう場合は、誰でも「もうちょっと待ってくれ」と言う。もしくは、払える額だけ払うといて「この次に」という具合やな。払わんというのなら揉めるかも知れんが、これは仕方のないことや。たいていの販売店は待つと思う。

本当は、ワシがこう言うのは具合が悪いかも知れんが、こういうケースでは払える額だけの分割払いくらいしか解決のしようがないと思う。

これに関しては、その販売店がいくら「全額を払え」と言うても、あんたから無理矢理取ることは絶対にできんからな。当初は、多少揉めるかも知れんが、結局は譲歩するしかないはずや。

結論として、あんたが苦しい、余裕がないというのは良う分かるが、そのための姑息な逃げ道を探すような真似はせん方が、これからのあんた自身の人生においても得策やと思う。

なんでも、逃げて好転することは少ない。あんたを狙うた矢でも、正面からそれを見とれば、かわすことは可能やが、後ろを向いて逃げとるところを狙われたら絶対にかわせんからな。

心配せんでも、金のない者は苦しいかも知れんけど、ある意味、最強なんや。誰が来たかて、ないものを取ることは絶対にできんのやからな。

あんたの場合は、最初に金がなく、迷惑をかけるから止めたいと言うとるにも関わらず、その販売店は解約せんというのやから、その代金が回収しにくいとしても仕方のないことや。

そう開き直ればええ。ワシがもし、あんたの立場なら「ないもんは、しゃあないやんけ。払える分しか払えんわい」と開き直ると思う。これが、ええか悪いかは別にして、実際問題として、それしか方法がないからな。ない袖は振れんというやつや。

それを、下手な小細工で逃げようとすれば、それが発覚したとき、精神的にもそういう気持ちにもなれず、自分を追い込むだけにしかならんから、結局は損をすることになる。


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