新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.345 引っ越し客への勧誘について


投稿者 ケンゾーさん 販売店従業員 投稿日時 2006.12.11 AM 9:21


こんばんは。いつも、勉強させてもらってます。専業を始めてまだ5ヶ月の者です。

さっそくですが質問があります。ゲンさんは引っ越し客は簡単だと言っておられますが、僕には難しいと思える人の方が多いように感じます。

“読む新聞は決めている”とか“他の新聞販売店の話も聞いてから”、“新聞はインターネットで見るから必要ない”と、このように言われることが多くて、なかなかうまくいきません。

こういうお客から契約がとれる何かいい方法はありませんか?ゲンさんは、このようなお客に対してどのように攻めているのか教えてください。

よろしくお願いします。


回答者 ゲン


ワシら拡張員にとって、引っ越し客については100%は無理やとしても、せめて80%以上の確率でカードにせんと、その存在価値がないと言うてもええ。

「引っ越し客に逃げられました」というのは恥やという風潮が根強くあるからな。

ただ、そうは言うても、慣れてない者にとっては、例え、この引っ越し客でも手こずる場合が結構あるんやがな。ベテラン拡張員でも逃がすケースが多々ある。

『読む新聞は決めている』というのは、前の住所で特定の新聞だけしか購読してなくて、その他の新聞は一切、取ってなかったという客の場合がほとんどや。

その相手次第ということもあるが、ここが、ワシらの腕の見せどころでもある。

「ご主人が、以前、住んでおられた地域の○○新聞は確かに、とても、良かったと私も思いますが、ここでは、どうでしょうか」

さりげなくこう言うて、含みを持たせる言い方をする。間違うても「そんな新聞よりこっちの新聞の方がよろしおまっせ」と言うたらあかん。

客は「そんな新聞」と言われることで、自身も否定されたような気分になり気を悪くする。『こいつは「そんな新聞」しか読んでない人間やと思うとるな』と受け取る。

これは、営業の鉄則でもあるが、客の選択してたものを頭から否定するような物言いはしたらあかん。「それもよろしいが、こちらの方が、さらにいいですよ」と言うのが、一番無難なトークや。

また、ストレートにそう言うのやなく、客に反論させるように持っていくと効果的な場合がある。

「同じ○○新聞だったら、どこで取っても同じだろ」

その客が、こう言うて来たら、もうこっちのペースやと思えばええ。

「皆さん、新聞はどの地域で読まれても同じだと思われておられるようですが、実際は、その○○新聞でも、地域により同じ内容の記事が載っているとは限らないんですよ」

これは、事実や。特に全国紙の場合、顕著にそれが表れとる。

たいていの全国紙には、本社、支社を入れて5,6ヶ所の営業所があるのが普通や。そして、それらは独立して紙面を作っとる。

大事件やその新聞社の強調したい記事なんかは、たいてい同じ内容のものが載るが、それ以外では地域により、載ったり載らなかったり、また載っても扱いが微妙に違うというのは普通にある。

さらに言えば、たいていの全国紙には、朝夕セット地域と朝刊のみの全国版というのがあり、おのずと新聞の形態そのものが違うということがある。

極端なことを言えば、地域が変わると、これが同じ新聞社かと思えるくらい内容が違うということが起きることもあるわけや。

「それに、大事件の記事なら、何もその○○新聞でなくても、私どもの新聞も当然ですが、載りましすね。また、サービスなら、この地域では当店が一番ですよ」

勧誘する新聞が、この地域での優位性が高いということを強調するように話を持って行く。

「もちろん、サービスというのは、景品だけではなく、日々の配達にも心配りをしていますので安心して頂いて結構ですし、アットホームなお付き合いをして頂けるように、いつも心がけてもいます」

このとき、独自のサービスをしとるのなら、それを強調するのもええ。例えば、古くなった新聞紙の回収なんかしとれば、それをアピールするという具合や。

一般的に、購読者が、その新聞銘柄に固執しているというのは、その新聞社のファンというより、それまで住んでいた地域の販売店との個人的な付き合いが長かった場合の方が多い。

せやから、ことさら「こちらの販売店は親切ですよ」というのを売り込むわけや。

ワシの場合は、その外見もあるのかも知れんが、たいていの客は、その店の経営者と間違えることが良うある。

もちろん、ワシはそう言うてるわけやないが、その自信を持った接し方で、相手の客が勝手にそう思い込むようや。

ただ、営業ではこの要素は結構重要で、自信のないトーク、接し方はそれだけで、相手にマイナスのイメージしか与えんもんや。

反対に自信を持っとれば、同じ言葉を発していても相手に対して説得力も増すから信用されやすくなる。

これは、拡張員やからとか、まだ新米、あるいは従業員やからという引け目のようなものを感じとったら絶対にそういう雰囲気は出せん。

営業員は客にとっては、その新聞社、販売店の顔なわけや。その顔が頼りなげやったら、どうしてもその新聞や販売店も頼りない、安心できんとしか思えんわな。

ワシは、営業しとるときは「新聞社や販売店は、ワシで成り立っとる」というくらいの気持ちを常に持っとる。「ワシが、○○新聞や」というくらいの気概やな。

あんたも、経営者という触れ込みが難しいとしても、店の責任者やというくらいの押しは利かせてもええと思うがな。

また『他の新聞販売店の話も聞いてから』と言う客も確かに多い。

せやけど、それをそのまま額面通りに受け取らん方がええ。こう言う客は、少なくとも、こちらの勧める新聞には、異議や文句はないわけや。

早い話が、そういう客は、少しでも多くのサービス品がほしいからそう言うてるケースが多い。より有利な所で取るという含みがある。

というても、ここであからさまに「特別にサービスしまっさかい」ちゅうなことを言うても、成功する確率はそれほど上がらんがな。

客によれば、足下を見られたと感じて反発することもある。また、ここらの地域やと、他の店も、同じように言えばサービスするのやないかと考える。

実際、そういう競争に持ち込まれるとサービス合戦になってしまうし、そういう場合は、どうしても後から行く方が有利になる。

前の販売店の提示したサービスが分かるわけやからな。それ以上の提示をすればええわけや。

こういう場合、ワシは「△△新聞はサービスはこんなもんで、□□新聞ならこんなものでっせ」と正直に言う。でたらめや嘘をついて、後でそれと分かるのも拙いからな。

これは、客にサービス合戦をしても無駄やと知らせる狙いがある。「この辺りでは、どこの販売店も決まったサービスしかしませんよ」と言うことでな。

これについては、たいていの地域がそうやと思う。

その上で「うちもこれだけしかできまへんが、今回、これをご縁に購読して頂けるのでしたら、特別に、ご引っ越し祝いとして、これをお付けします」と言うて、気持ちだけの上乗せを強調する。

感じのええ営業やとその客が思えば、これでたいていは契約するはずや。もっとも、誰がしてもそうなるとは保証はできんがな。

感じのええ営業とか安心できるというようなものは、あくまでも相手の主観に左右されるから、こうすれば、あるいはこう言えば絶対やとは言い切れんものがある。

言えることは、客に気に入られるためには、どうしたらええかということを常に考えておくしかないということや。その意識さえあれば、自然にそういう物言い、対応になるはずやと思う。

ただ、最初から新聞を読まん無読者というのも、この頃、増えとる。正直、こういうのはやっかいや。信念というか、新聞そのものに価値がないと思うとる人間が多いさかいな。

しかし、これも、持って行き方次第ではカードになる。最初からあきらめる必要はない。

「うちは、新聞はインターネットで読むことにしているから必要ないから、いらん」

「そうですか。でも、この地域で買い物をされたり、パートのお仕事を探されたりするには新聞の折り込みは役に立ちますよ。そう思いませんか、奥さん」

所帯持ちやったら、こう言うて、さらに続ける。

「初めの3ヶ月だけでもどうです?やはり、郷にいれば郷に従え、と言うこともありますし、新しい地域の情報というのは、他の手段ではなかなか入手しにくいと思いますよ」

このインターネットでと言う人間は、総じてこの「情報」という言葉に弱い。

また、社交性に欠けるきらいがあるから、積極的に地域の住人と交じって、そういった情報を入手しようという意欲も少ない連中が多い。

暗に「そのための情報料とすれば、それほど高くはありませんよ」というのを印象づけるわけや。誰でも、新しい土地では、期待もあるが、それと同じくらい不安もあるもんや。

その情報があるというだけで、こういうインターネット信望者は、心が揺さぶられるわけや。

「その3ヶ月で、必要な情報を入手されてから、後は自由にされたらいいのではありませんか」と言うのが、止めの言葉になる。

こういう風に言えば、何かえらく簡単そうやが、やはり、そういう無読者は難しい。半分、落とせたら良しというところやないやろか。

なるべく、一度めで決めた方がええが、それが無理やったら、その引っ越しの進み具合を見て、1時間から2時間後に、もう一度行く。

しつこいようやが、これが意外に効果がある。

もちろん、そのときは、その当日の新聞をチラシ入りで持って行き、できれば、大きめのゴミ袋など、引っ越しの片づけ後に必要なものを余分なサービスとして持って行くのもええ。

その間に、他の新聞が来ないようなら「そうですか、他は来ませんか。うちほど、積極的な店は、この辺りでは少ないですからね」と、暗にもう来ないというニュアンスを与える。

新聞のほしい人間は、こう言われ、また、実際にいくらか時間が開くと、本当に他はもうどこも来んのやないかと考えやすいもんや。一種の強迫観念やな。客がそういう心境になれば、ほぼ契約となる。

他が来て、そことはまだ契約をしてないのなら、あんたの所の店の姿勢次第やが、多少の無理ができるのなら、そうしてみるのも方法や。

最後に、引っ越し客へのアプローチのポイントは、あんたの所の店が感じが良くて安心できるということを強調することやというのを言うとく。

客が、販売店を選定するポイントはそういう所や。それには、あんた自身が、そう見られるように心がけなあかんがな。


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