新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.349 困っています…


投稿者 Oさん 投稿日時 2006.12.18 AM 0:34


埼玉県の大学1年生です。5時間ほど前(12月17日PM7:30頃)にY新聞社のセールスマンが来ました。私の家はオートロックのマンションでインターホンが共同玄関ではなく居室玄関になっていたので、お向かいに住んでいる友達だと思ってうっかり出てしまいました。

ついでに開けたときに「引っ越して来ました」と言われました。(セールスマンは男でした。うちのマンションは女性限定マンションです)私は、A新聞を購読しているので何度も「いらない」と言いました。

すると、今回6ヵ月だけ購読すれば勧誘には二度と来ないからとしつこく言われました。しかし、今までマンションには新聞の勧誘は来たことがなかったのでそのことを言うと、これからは絶対来るからと何回も言われました。

私はずっと「いりません」と言っていたのですが、セールスマンは「新聞代は一切出さなくていいから」と言って商品券約5千円分と1万円札を渡してきました。

どうしても顧客を増やしたかったようで、あまりにもしつこく、ドアを閉めようとしてもドアを手で押さえてて断りきれず契約してしまいました。

そして、今から社員の人を連れてくるからお金のことは言わないでと行って帰っていきました。すぐに社員の人が来たので、共同玄関に行きやはり解約したいと言った所、すぐにセールスマンを呼びに行き、セールスマンがもう一度部屋に行くからと言ってすぐに居室玄関に来ました。

そこでずっと「お願いだから」と言われ続け、仕方なく社員の人に契約書を渡してしまいました。印鑑は押していません。購読は来年の4月からです。

今、やはり解約したいと思っています。お金を貰いましたが、半分は自腹で払わなくてはいけないし、社員の人には嘘をついていることになるので、それはやはりいけないと思っています。

解約をしたいので、新聞社に電話かクーリング・オフをしたいと思っています。ただ、貰った商品券とお金をどうやって返したらいいか分かりません。

郵送するのは危ないし、セールスマンの人が取りに来たら困ります。お金のことは社員の人は知らないので余計に困っています。どうすればいいか、教えてください。


回答者 ゲン


これは、クーリング・オフをするのが一番ええやろな。このクーリング・オフ制度というのは、正しく、このようなケースのためにあるようなもんやと言うてもええさかいな。

契約は昨日ということやから、8日間が、そのクーリング・オフの期間内となり、12月24日までがその期限ということになる。

但し、クーリング・オフは文書ですることと義務付けられとる。そのための内容証明郵便や配達証明付き郵便及びハガキは、郵便局の受付に行って手続きせなあかんから、実質は12月22日の金曜日中ということになる。

因みに、あんたの場合は、少し費用が高くなるが、内容証明郵便にした方が無難やと思う。

尚、そのクーリング・オフの方法については『NO.144 クーリング・オフについて教えて下さい』を見て貰うたら分かると思う。

普通は、特にその方法に拘る必要はないが、あんたの場合は、金の返還という問題がある。その内容証明郵便に実際に渡された内容の金額を記載しとくわけや。

「尚、勧誘時にそちらの勧誘員さんから頂いた、商品券約5千円分と現金1万円は、返還させて頂きますので、その返還方法を文書でお知らせください」という具合やな。

加えて「特定商取引に関する法律 第6条 3項の禁止行為に該当する畏れがあるので、担当の勧誘員の方の来訪はお断りします」とするものええ。

実際、その拡張員が来ても、その金を受け取るより、またしつこく勧誘を迫るやろうからな。

因みに、その特定商取引に関する法律 第6条 3項の禁止行為というのは「販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない」というものや。

分かりやすく言えば、契約した客がクーリングオフを申し出ているのに、それを防ぐため脅したり威圧して困らせるような行為の禁止ということや。

これは、適用されると2年以下の懲役・300万以下の罰金ということになる。

実際、これに該当して捕まった販売店の勧誘員がおる。『NO.108 近所で販売店員が逮捕されました』がその実例や。

通常なら、その契約書の記載されとる販売店に言うて、受け取りに来させたら問題ないが、あんたの話の内容からすると、その販売店も頼りになりそうにないと思う。

『すぐに社員の人が来たので、共同玄関に行きやはり解約したいと言った所、すぐにセールスマンを呼びに行き、セールスマンがもう一度部屋に行くからと言ってすぐに居室玄関に来ました』

と、あんたが言うてる社員というのは、おそらくその販売店の従業員のはずや。新聞社の社員と勘違いしとるのなら違う。新聞社の人間が、個人の勧誘に関わることはまずないからな。

推測やが、今回、その勧誘に来たやり方というのは「案内拡張」(注 『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座 第2章 新聞営業の実践についての考え方 拡張パターン編 その3 案内拡張についての考え方』 参照)というもののはずや。

せやないと、直後に、そこの従業員が現れるというのは、あまりにも都合が良すぎると思う。よほど、その販売店が近所やというのなら、そういうこともあるかも知れんがな。

『すぐに社員の人が来たので、共同玄関に行きやはり解約したいと言った所、すぐにセールスマンを呼びに行き、セールスマンがもう一度部屋に行くからと言ってすぐに居室玄関に来ました』

これが、その販売店の人間が頼りないと言う理由や。

通常、客が、解約を申し出ているケースでは、その販売店の人間は、その拡張員と客とのやり取りの現場に立ち会わなあかん。それが、案内の仕事でもある。

それを、その拡張員だけを行かせるのは、あんたから「是が非でも契約を貰うて来い」と尻を叩いとるに等しい行為や。拡張員が、あんたを何とか丸め込むと考えての上でな。

あるいは、すべてを承知しとったという可能性もある。承知しとるからこそ、その同席を避けたとも考えられるわけや。

万が一のときでも、そんなことやとは知らんかったと言えるからな。実際、今回、あんたがクーリング・オフの通知を出しても、販売店内、及び新聞社に向けてはそう言うやろうと思う。

穿った見方をすれば、そのオートロックのナンバーを教えたのも、その販売店の従業員かも知れんという気がする。

販売店の従業員の中には、地域のオートロックマンションの解除ナンバーを知っとる者もおるさかいな。もっとも、それは可能性の一つで推測にすぎんがな。

その解除ナンバー自体にも問題があるとも考えられる。その詳しいことは、ここで解説するわけにはいかんが、簡単な番号になっとるようなケースやな。これだけ言えば、あんたに心当たりがあれば分かるはずや。

もっと、単純に、そのマンション自体が玄関からやなく、他から簡単に侵入できる構造になっとるのかも知れんがな。もちろん、これをすれば、住居不法侵入に該当する行為や。しかし、それでもする人間はするようや。

いずれにしても『今までマンションには新聞の勧誘は来たことがなかったのでそのことを言うと、これからは絶対来るからと何回も言われました』という裏付けを、その拡張員が持っていたと考えられる。

向かいの友人とか、そのマンションの有志を何人か募って、そのマンションの解除ナンバーの変更を頼むとか、監視や管理体制の徹底を依頼した方がええと思う。

そんな状況やったら、オートロックマンションの意味がないと言うてな。さらに、このままやと、どんな犯罪が起こるかも知れんし、そうなったら、当然やけど、その管理会社も世間から叩かれるだけやとも付け加えたらええ。

これは、一人だけの苦情では動かん場合がある。もっとも、その管理会社がきちっとしとれば別やがな。そういう所なら、その販売店に注意や警告の連絡くらいは入れるはずや。

そうすれば、その販売店からは、勧誘に来ることはなくなるやろと思う。それでも、絶対やないから、解除ナンバーの変更がベストやというのには変わりはない。

新聞社に電話をするというのは、クーリング・オフの内容証明郵便を出して、その販売店の対応がおかしいと感じたときでも遅くはないと思う。

例え、先に電話を入れたとしても「それでしたら、文書でその販売店宛てにクーリング・オフをしてください」言われて終いや。金の返還に関しては「その販売店と相談してください」と言うのが、関の山やろしな。

これは、新聞社としては契約に関してはタッチできんという建前があるからや。

新聞購読契約というのは、新聞販売店と購読客のみに有効なものや。その契約に関しては、新聞社に法的な責任はないとされとる。

購読者の多くは、新聞社と契約しとると考えがちやが、法律上はそうやないわけや。先ほど、ワシが新聞社の人間が勧誘に関わることがないと言うたのは、それがあるからや。そのことを知らん人は多いがな。

それなら、新聞社に文句を言うてもあかんのかと言えば、そうでもない。

契約の内容云々という苦情や相談は、その担当者によれば、新聞社は関係ないと上手く逃げられることもあるが、法律違反やから何とかしてほしいと言えば、結構、頼りになる場合が多い。

今回の場合で言えば、その拡張員が渡したという『商品券約5千円分と1万円札』というのは、明らかに景品表示法に違反する。

「その違法な金を返したいが、その販売店では、埒があかんから何とかしてくれ」と言えば、新聞社としても放っておくことはできんと思う。

そういうのは、業界では「置き勧」と言うのやが、これは、新聞社がもっとも嫌う行為や。さらに、新聞社は過度な景品サービスや値引き行為も嫌う。少なくとも、表向きはな。

こういうのが分かると、その販売店やその拡張員の所属しとる営業会社である拡張団も、新聞本社から、それなりの叱責を食らうことになる。

また、クーリング・オフをした後で、再訪して「特定商取引に関する法律 第6条 3項の禁止行為」に該当するようなことをしても、放っておくことはないと思う。

せやから、クーリング・オフをした後で、そういうことがあれば、新聞社に通報すれば、かなりの確率で収まるはずや。場合によれば、本当に新聞本社の人間が謝罪に訪れることもある。

最後にもう一つ、今回のこの内容は、ご両親や友人など、なるべく多くの人に知っておいて貰う方がええと思う。揉めたとき、結果的にそれが身を守ることにつながるはずや。

そういうことがあってはいかんのやが、相手が若い女性やというだけで高飛車に出る場合もあるさかいな。そういうときのために、直接、交渉できそうな信頼のおける男性に話しておくのも手や。

もちろん、ご両親、特にお父さんあたりに話をつけて貰うのもええ。

まあ、たいていは、クーリング・オフの通知を出せば、それで済むとは思うがな。

それでも、まだ何かあるようやったら、遠慮せんといつでも相談してくれたらええ。


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