新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.35  契約内容が新聞販売店から変更されたので解約したい


投稿者 マナミさん 主婦 33歳 奈良県在住 投稿日時 2004.10.20 PM4:08


はじめまして。わたしはこのホームページを見て驚きました。奈良県の拡張戦争のことをゲンさんがおっしゃっておられましたが、その通りだったのでびっくりです。それにあれは普通じゃないということでしたが、そのことについてゲンさんにだったらと思ってメールしました。

実は、今から4年前の10月に4年契約でS新聞と契約しました。契約では来月の11月から新聞をとることになっていました。その連絡が今月の初めにS新聞の配達所からありました。

わたしはその時の約束でした「K百貨店の商品券5万円分を、いつ持って来てくれるの」とその配達所の人に聞くと「もうそのサービスはやっていないからできない」と言います。

だったら約束が違うから新聞はいりません、と断ると、2万円の解約金を払えと言います。こんなばかなことはありません。主人も怒ってその配達所と喧嘩しています。

思い返せば、このホームページでゲンさんが言っておられたように4年前に契約したときに、その商品券を持ってくると配達所の人が言ったとき貰っておけばよかったと思っています。

でも、いくら何でも4年後から取る新聞の商品券なんて受け取ることはできなかったんです。それでも他の人で貰ったという話は聞きましたけど。

相談なのですが、こんなばかな話でも解約金を払わなくてはいけないのでしょうか。だまされたこちらが慰謝料をほしいくらいです。どうか、よろしく教えて下さい。


回答者 ゲン


やはりという感じやな。あの時も、いずれそういうことになるんやないかとは思うとった。行き過ぎた拡張競争やったからな。せやけど、この地域の客にとったらこれが普通なわけや。普通に4年契約で5万円分の商品券が貰えると思うてる。

ワシが良う知っとるのは5,6年前までやから、その地域が今どうなっとるのかは分からんが、こういうトラブルはこれからも増えるやろなとは想像がつく。

奥さんの相談やが、結論から先に言えば、契約は解除出来るし違約金も払う必要はない。その販売所も結果的にそうなることは百も承知のはずや。

結果的にそうなるとしても、どうしてそうなるのか、ということが分かっとらんかったら気持ち悪いやろから、ちょっと、説明する。

まず、その販売所が4年前の拡材のサービスを続けることは、景品表示法や新聞社の自主規制、またこの地域での協定があるから、その販売所の言う通り、今は、5万円の商品券のサービスは無理や。それをしたら、公正取引委員会に摘発される恐れがあるからな。

違約金云々は、この契約が結ばれた時に、販売所は拡張団に拡張料を支払っとるから、その損害の穴埋め的要素がある。

一般的に、販売所が請求する解約違約金というのは、ワシの知る限り、この2万円程度というのが多い。

拡張員が貰う報酬はヨーロッパ(3ヶ月4000円、6ヶ月6000円、1年8000円)と相場が決まっとるが、販売所が拡張団に支払う報酬はこの1.5倍ほどやと思うとったらほぼ間違いない。まあ、団の力にもよるから一概には言えんがな。

販売所の出費はこれにビール券や商品券、洗剤なんかの拡材が加算される。その額が大体、一件あたり2万円程度になるわけや。せやから、客からの一方的な解約の申し入れの場合は、この2万円の違約金を提示しとる所が多いというわけや。

しかし、客である奥さんには、そんなこと関係ないわな。しかも、この場合は、その約束を販売所が守れんというんやからな。契約不履行や。したがって契約自体が無効になる。

解約するのには何の問題もないはずや。販売所のほとんどもそれは承知や。せやけど、はいそうですかとは言えん背景があるということや。

せやから、取り敢えず、違約金の請求をしとこうということになる。中には、それに応じてその違約金を支払う気の弱い客もおるからな。

販売所の中には、裁判するぞと言う所もあるからよけいや。普通の人間は、裁判するぞと言われたら、それだけで萎縮する場合が多い。そこまでするからには、それだけの自信があるのかなと思う。その心理を利用するわけや。

心配せんでもええ。これは単なる脅しのようなもんや。本当にそうするケースはほとんどない。時間と経費がかかり過ぎるからな。割に合わん。

ただ、この地域に関しては、こういうケースが、これからどんどん増えるやろうから、他の客への抑止効果を狙って訴えるということがないとは言えん。結果は、よほどでなければ販売所側の敗訴と思うが、ここまでするような所はそれはどちらでもええと考えるやろな。

訴えたという事実があれば、そのことを他の客に知らせることが出来るからな。抑止効果になると考える。せやけど、これも裏目になるがな。そんな販売所の新聞なんか誰も読みたいとは思わんはずや。評判は、がた落ちになるのは間違いない。

しかし、そこまでするような所は、すでに潰れる間近か改廃寸前に追い込まれとると考えた方がええやろから、背に腹は代えられんということになっとる場合が多いやろなと思う。

実際に違約金の支払いを拒否したことで訴えられたとしよう。これも、対処が分かっておれば何の問題もない。

普通、裁判になると、弁護士を雇ったり裁判所に出向いたりと金がかかると思われるやろけど、弁護士を雇わんかったら、訴えられた側は、交通費くらいしか金はかからん。別に、裁判は絶対に弁護士を雇わな出来んということでもない。特に民事で訴えられる場合はな。

裁判所に行くために仕事を休むことがあるかも知れんが、弁護士を雇う費用のことを考えれば、安いもんや。

こんなことを言うと弁護士先生からクレームが来るかも知れんが、これから言うことはワシが実際に体験したことを基に話すことやから、了解して欲しい。後でも言うが、それを取り入れるかどうかはあくまでも、奥さん次第や。

まず、裁判所の出頭通知というものが来る。指定された期日と時間には必ず出向く。この場合、絶対に行かなあかんのは、契約人や。ご主人名やったら、ご主人が行く。出頭通知にも記載されとる。

これを無視したら、いくら分のあることでも、民事では一方的に相手側の言い分が認められるからな。

民事の場合、初めは調停から始める。場所もテレビドラマに出て来るような物々しい法廷やない。こじんまりとした会議室みたいな所が多い。中央に大きめなテーブルがあり、その回りに輪になって座る。対面の場合もある。

裁判所の方は、裁判官と書記官が立ち会う。裁判官の服装も普通の役所の人間が着てるスーツ姿や。喋り方も取り立てて変わっとる所もない。訴えた側は、弁護士と訴えた人間が来る。弁護士だけの場合もある。

訴状の説明があり、認否を訴えられた人間に聞く。間違いと思うことははっきり言う。こういう、訴えられた側が理不尽と思っている場合は、普通は争う姿勢を示す。

ここで、ポイントなのは、相手方に理解を示すような発言をする必要は微塵もないということや。訴えるという行為自体が喧嘩を仕掛けているんやからな。

せやから、こんなことまでも思うようなことでも、相手の落ち度となることは徹底的に言うという姿勢でいとることや。

そのためには、証拠となるものは出来るだけ多く集める。特に契約書は必ず持参する。勧誘時の状況は詳しく文書で作成しておく。

事実の通りにする方が無難やが、多少の誇張は構わんと思う。嘘はあかん。近所の知人から似たようなケースを取材しとくのもええ。

今回の場合で言うと、実際に同じような契約で5万円の商品券を貰っている人間がおれば最高や。これは探せば必ずおる。

相手の弁護士も、そちらの不備を突っ込んで来る。多くは、契約書の裏に、これ以上は無理やと思われるくらいに小さく書かれた契約内容を楯にとってな。

ここで、理不尽やと思って腹を立てん方がええ。裁判とはそうしたもんや。特に弁護士は依頼人に落ち度が高いと思うても、少しでも有利にすることが仕事や。そのためには相手の落ち度をつつくしかないということを分かってなあかん。

相手を攻撃し合うのが裁判で、話し合いの場とは違う。この考えが分かっとらんかったら、いくらこちらが正しいと思っていても足下をすくわれる恐れがある。

裁判官はそれらのことが形式通り済むと、どちらか一方を室内に残し、他方を室外で待たす。それぞれと面談する。裁判官は双方の話しを聞いた上で、助言という形で意見を交え、相手の方針を確かめる。調停にするか本裁判に進むかや。

この場合、訴えられた側は調停を選ばん方がええと思う。この場合の調停は、ほとんどが違約金の金額の交渉やからな。一銭も払う気がなかったら、一切の交渉ははねつけた方がええと思う。

裁判官にもいろいろおるから、絶対とは言えんが、このケースは訴えた側に告訴を取り下げるように忠告するはずや。勝てる見込みはほとんどないと言うてな。せやけど、この場で告訴を止める権限は裁判官にはない。告訴は国民の権利でもあるからな。勝ち負けとは別や。

参考までに、本裁判に進むと、法廷での争いとなる。これはテレビドラマで見るような物々しさがある。この時には、弁護士を雇う方が無難やろと思う。

慣れん者には、この雰囲気自体が強烈なプレッシャーになる。こちらに弁護士がいなければ、相手の弁護士の攻撃を防ぐのは普通はしんどいからな。逆に言えば、ここまで来てから初めて弁護士に頼めばええということや。

因みに、弁護士費用やが、その弁護士によっても事件の程度によっても違いがあるが、民事の場合は一件、30万円程度が一般的や。

まあ、しかし、今まで言うたことはあくまでも、参考として考えてくれてたらええ。ワシの知る限り、こういうケースで販売所が、客を訴えたことはないはずやと思う。そんな話も聞かんからな。

今までは訴えられたケースやが「こちらが慰謝料をほしいくらいです」ということで、訴えた場合は、この逆になる。

ワシの意見としては、これは認められる可能性は低いと思う。契約自体に違法性があり、その利益を逃した精神的苦痛というのは、どうかなと思うからな。販売所の人間がこの件に関して、脅迫なんかをしていたと言うのならまだ可能性があるがな。

それでも、最終的に決まるのは、実際に裁判になって、裁判官が判決を下した場合のみや。法律の条文は一つの目安と思うてた方がええ。

ゲンさんの勧誘・拡張営業講座・法律・規則編・その1 法律・規則についての考え方』の所でも言うたが、最終的な法律判断は、裁判せな分からんということや。

ワシの結論は最初に言うたように、契約は解除出来るし違約金も払う必要はない、ということや。裁判云々の話を持ち出しても、突っぱねたらええ。裁判になっても、利は奥さんの側にあるとワシは思うからな。


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