新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.351金券撤廃について
投稿者 Mさん 現役拡張員 投稿日時 2006.12.22 AM 9:54
この間は、メールありがとうございました。今回は今自分のいる地区で問題になっているルールに関してです。
来年3月から、自分が叩いている地区では、拡張で使っている、ビール券、ギフト券の完全撤廃が、新聞社からの通達で、ほぼ確実な線で決定しました。
自分らにとっては、ロクパチ(6.8)ルールをはるかに上回る、厳しい条件です。
すでに現金バクや、過剰な金券のサービスに慣れている客に対して、どう対応していこうか、団員、団長、店サイド、戦々兢々の状態です。
団長は、おそらく、団の半分は、つぶれるだろうとか、それぞれの団の揚げ枚数も7割減になるだろうと予想しています。
今、団および店がこの状態で生き残るために考えてることは、金券に変わる、拡材を考えることと、揚げ枚数を維持するために1ヶ月カードの検討、そして、縛り、先お越しカードの仕事を考えること、さらには、拡材のあまりかからない地区への進出などです。
勿論、借財がなくて、身動き自由の人間は、他紙への、乗り換えも考えております。自分も、いろいろな対策を考えています。
今のところ、金券撤廃に伴うカード条件などの変更等は、まだ未定です。
げんさんは、こういう場合、同じ立場だったら、どう対策を考えられますか。よろしくお願いします。
回答者 ゲン
新聞社からの通達ということやが、行き過ぎた金券サービスが禁止というのは昔からあったことで、何も急に決まったことやない。新聞社は表向き、過剰な景品サービスというのは一切認めてないからな。
まあ、これは当たり前の話で、そんなものを公に認めてたら、新聞特殊指定の撤廃につながり、再販制度(再販売価格維持制度)そのものの廃止すら招きかねんからな。
ただ、今までは、あかんとは言うものの、それほど、強制的やなかったのは事実や。あくまでも勧誘は、現場の責任ですべきという姿勢も強かったと思う。
よく言えば信頼してたということになるし、裏を返せば黙認ということにもなる。
それが、ここに来て、そうも言うてられんようになったということや。
このサイトへの相談にも、そういう置き勧に属したものが多いということもそうやし、消費者センターあたりに持ち込まれる苦情も、以前より増してきとるということもある。
加えて、公正取引委員会に協力しとる専属のモニターからもかなりな数、それに対しての報告が入っとるらしいと聞く。せやから、今の内に何とかせなあかんという考えが強いのやと思う。
特に、あんたが仕事しとる周辺地域は、この業界でも異常というてええほど酷い状態やと思われとるからな。そこにいとる、あんたにはそうは感じてないかも知れんがな。
ワシらの方には、新聞社からは団に対して、その拡材の多寡についての指導や通達のようなのは特にないようや。というより、拡材に関しては団や拡張員の考えでどうこうできるものやないというのが、こちらでの認識や。
客に拡材としての景品をどの程度、渡すかを決めるのは、あくまでも販売店次第やからな。ワシらは、その指示を守るしかない。それ以上の拡材を出すのは、禁じられとるし、自腹を切る人間というのも極端に少ない。
もし、そういう者がおったとしても、たいていは、そのことを誰にも言わず黙っとる。そちらで、良くあるという現金バクというのは、こっちではとんでもないことなわけや。
こっちで評価されるのは、いかに少ない拡材で契約が取れるかということや。拡材やサービス品を規定より多く出してカードにするような人間は能力がないと判断される。これは、販売店からだけやなく、仲間内からもそう見られる。
ましてや、現金を渡してまでそうするというのは、論外ということになる。恥さらし以外の何物でもないからな。雰囲気的にそういうことが、しづらいということや。
こちらでは、その通達があるとしたら、販売店にやと思うが、今の所、特にそういうのはないようや。
それには、こちらでは、もともとビール券や商品券のようなものは、ない所が多いというのもあるからやろうと思う。特に、この1、2年、それが目立って減ってきた。
そして、それは全国的な傾向でもある。サイトにも、そういう金券を廃止するという販売店からの報告が多い。しかも、全国紙についてそれが顕著や。
地方紙の一部には、まだ金券に依存しとる所もあるようやが、たいていは廃止かその方向やと聞く。
それにしても、今まで通用してきたやり方が、突然あかんと言われるのは辛いと思う。戦々兢々としとるというのも良く分かる。
しかし、この仕事を続けていくのなら、そうも言うてられんと思う。確かに、あんたからしたら、その状況はピンチかも知れんが、物は考えようで、ピンチはチャンスと捉えることもできる。
確かに、ワシらの仕事は、拡材の持つ意味は大きい。それは認める。せやけど、拡材がええからというて必ずしも契約が取れるわけやない。
拡材のみに頼るから、そういう営業しかできんようになるし、また、して来んかったのやろうと思う。契約は拡材で取るものやなく、あくまでも、契約のために拡材があるもんやと考えてほしい。
この考え方の違いが、かなり大きなものになる。
契約は拡材で取るものやと考えとるから、現金バクというとんでもないことまでしてしまうわけや。
酷いのになると、その新聞代をすべて払い、さらに景品サービスまで付けて契約を取ろうとする。はっきり言うが、こんなものは営業でも何でもない。
そら、新聞社もそんなことをされたら怒るで。「そんな値打ちのないものを作っとるつもりはない」と言うてな。
新聞を売り込む人間が、その新聞を信頼してないからこういうことになる。普通では売れるはずがないと思い込んどるわけや。そんな考えやと、当たり前やが、売れるものも売れるはずがない。
言うとくけど、ワシらは新聞を売って、その利益でめしを食うてるわけや。その基本を忘れたらあかん。少しでも利益を上げるようにするのが、営業員の仕事やとワシは思う。また、腕の見せどころや。
契約のために拡材があるもんやと考えたら、また違った見方になる。これは、純粋に新聞を契約して貰ったことへのサービスということになるわけや。
これやと、最初から景品をちらつかせて契約を取ろうということは考えんようになる。あくまでも、新聞本位、あるいは営業員の人柄(自分自身)を売り込むことに重きをおく。
ワシは、それで長年やってきた。
ワシの基本的な営業姿勢は、客との人間関係を作ることや。特に、新聞という他と差別化しにくい商品を売るには、その売り込む人間次第やと考えるからな。
「あんたに頼まれたらしゃあないな」「あんたやから契約するんやで」と言われるのを理想としとるわけや。実際、そういう客の方が、ワシの場合は多い。
その人間関係構築について話すと長くなるから、詳しく知りたければ『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』を読んでおいてほしい。考え方のヒントくらいは分かるのやないかと思う。
ワシの場合は、それを常に念頭に入れとるから、どういう状況になろうと、それほど慌てることはないという自信もある。
極端な話、拡材が一切なくなったとしても、いくらかは売り込めると思うとる。その実例を、当メルマガ『第14回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの拡張実践Part2 経験を役立てろ
』でも言うてるしな。
まあ、この話は特別で極端やとしても『今、団および店がこの状態で生き残るために考えてることは、金券に変わる、拡材を考えること』の参考にはなるのやないかな。
因みに、あんたの所で拡材を自由に選択できるのやったら『NO.15 サービスの景品について教えて下さい』で、かなりな数の景品を挙げとるから、それも、参考にして貰うたらええ。
この中で、ネズミ獲り機の話をしとる。これは、ある販売店の所長に持って行けと言われた物や。
さすがのワシも、こんなもの今日び誰も使わんでと思うた。当然、こんな物を拡材として使う気になれんから、客に勧めもせんかった。へたに勧めたらこいつおかしいのと違うかと疑われそうやったからな。
ところが、ワシが行った家で、話し込んでる内に、その家がネズミに悩まされとると言い出した。猫はおるけど、最近の猫はネズミなんか見向きもせん。しかも、その家の猫はネズミを見ると逃げ出すという。ドラエもんみたいな奴や。
話は変な具合になって、そのネズミ獲り機でネズミが捕れたら、新聞の契約をしようということになった。ワシは、いらんこと言うてしもうたと後悔したが後の祭りや。
ネズミ獲り機を持って行って「これでネズミが捕れるかどうか分かりまへんで」とは言いにくいがな。「大丈夫でっせ」と大見得切らなしゃない。せやから、その日はそのネズミ獲り機を仕掛けただけで終わりや。
翌日、あんまり期待もせんとその家に行くと、なんとでかいドブネズミが罠にかかっとるやないか。そら並の猫なら逃げ出すくらいの大物や。それで、その家とは難なく契約出来た。
ワシは試しにとその近辺をネズミ獲り機だけで営業をかけてみた。今度は、ネズミを捕まえた実績があるから強気や。すると立て続けに10軒ほど契約出来た。皆、ネズミに悩まされてたわけや。
ワシはその販売所の所長を見直すと同時に大事なことを、このことで教えて貰うた。
拡材は、必要な時に必要な人間に必要な物を用意するもんやと。
これも、勧誘する側だけの一方的な都合で拡材を選択しとったら、おそらく考えつかんことや。自分をその客の立場において考えれば、それが良く見えてくるのやないかと思う。
せやから、拡材なんかは相手次第で流動的でもええわけや。ただ、事前に用意する必要もあるから、ターゲットを絞った上で、もっとも良さそうなものを選ぶ必要はあるがな。
『すでに現金バクや、過剰な金券のサービスに慣れている客に対して』というのは、切り捨てるくらいの気持ちがなかったらあかんと思う。
金券撤廃や置き勧、過剰な景品サービスが厳しく取り締まられるようになる状況で、そういう客と関わってもろくなことにはならんからな。
あんたの危惧する通り、そういう客の考えを変えるのは無理やと思うてた方がええ。それが、新聞を取るときの当たり前の条件やと思うとるからな。
心配せんでも、それを切り捨てたからというて、それほど大きな痛手にならんと思う。
これは、気休めになるかどうかは分からんが、ワシが昔、奈良で拡張しとったときに、4年契約をして貰うたら、その場で、5万円分の商品券を渡すということをしとった時期があった。これは『拡張の歴史』の中でも言うてることや。
それが、あるとき、全廃となった。
当初は、やはり、今のあんたのように「こんなんで、これから仕事になるのか」と誰もが考えとったが、結果は、従来までと大した変わりはなかった。それによって客が減ったということもない。
そのときにしたワシらの対策は一つ。それを強要する客は無視することやった。「これからは、そいうことは禁止になりましたので」ということを徹底すれば、客もあきらめ、その状態に慣れる。
それに、その極端な金券サービスがないと新聞を取らんという客なら、もともと、新聞の読者でも何でもないわけや。
そんな客を相手にするよりも、あんたを気に入って貰える客を新しく開拓する方が、よほど効率がええと思うがな。
あんたの団の内情が良う分からんから、何とも言いにくいが、団員のターゲットが特定の層に集中しとるのやないやろか。もし、そうなら、そのターゲットを拡げることを考えるべきやと思う。
そこの営業エリアの人口比率とあんたの所の団が年間上げた契約数とを見比べたらええが、その差はかなり大きいのやないかな。手づかずの客というのが圧倒的に多いはずや。
そして、そういう客の多くには、他紙の拡張員も手を出してない可能性が高い。過剰なサービスというのは、特定の客層に集中するからこそ、そうなるのやからな。
「あそこは、長期購読者ばかりの地域やから、どうせ行ってもあかん」と考えとるだけで、実際には、そういうことはないと思う。ワシなんかは、むしろ、そういう所が好きで廻っとるしな。
拡張にええ場所、あかん場所というのは、あまり関係ない。あるのは、そう思う気持ちや。営業は精神的な部分の強い仕事やから、あかんと考えた所では契約なんか取れん。逆に、ここは絶対に取れると思い込めば上がるもんなんや。
『身動き自由の人間は、他紙への、乗り換えも考えております』というのは、そうしても一緒やと思う。そこも、遅かれ早かれ同じようになる。もしかすると、あんたの所と同じような通告が、すでにあった所もあるのやないかな。
あまり、大きな声では言えんが、この業界も結構、裏ではつながりがあるというのが、常識であり、一般的な認識や。新聞各社は否定するがな。
今までの流れから言うて、1社で何か決まり事をすれば、それを追従するところが必ず現れる。あるいは、あんたの所に、わざわざ通達したというのは、すでに、各社でそういう決まり事が確認されたとも考えられるわけや。その地域、限定でな。
『揚げ枚数を維持するために1ヶ月カードの検討、そして、縛り、先お越しカードの仕事を考えること』というのは、昔から、どこでも考えとることやし、実行しとることや。
それを今までしてなかったと言うのなら、それの方が問題やと思う。拡張方法は多い方が有利なのは当たり前やさかいな。限定されたやり方は、必ず行き詰まるもんや。
『自分も、いろいろな対策を考えています』これは、ええ心がけや。常に、創意工夫の気持ちを忘れんかったら、必ず道は拓ける。これは、絶対の真理やと思う。
できれば、今回のようなことに直面したからやなく、常日頃からそうする習慣をつけることを勧める。どんな仕事でも向上心がなくなったら終いやさかいな。
また、その環境にあぐらをかいとるからこそ、急な変動に戸惑うことにもなる。常に、いろんなことを考え、その営業方法も、より多くの引き出しを持っとれば、それほど慌てることもないはずや。
今回のことは、あんたにとっては、大変なことかも知れんが、せやからこそ、こういうことを考えられるきっかけになったとすれば、あながち、悪いことやないと思うがな。
これから、大変やとは思うが、めげずに頑張ってほしい。また、ワシでよければ、いつでも相談に乗るつもりやから、遠慮せんと言うてくれたらええ。