新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.360 新聞によってチラシの量が違うのは何故ですか?


投稿者 S.Aさん  投稿日時 2007.1.20 PM 8:25


いつも拝見させいただいています。

以前から疑問に思っていたのですが、新聞によってチラシの量が違うのは何故ですか?

たまには、他の新聞も読みたいと思っているのですが、それだとチラシの量が少なくなるから困ると妻が言います。チラシの量は、今取っている新聞が一番多いらしく、それと同じだと新聞を替えても妻も文句を言わないと思うのですが、他はかなり少ないようです。何故そのようなことになっているのでしょうか?

つまらない質問ですが宜しくお願いします。


回答者 ゲン


折り込みチラシの量は、新聞銘柄よりも地域による違いの方がより顕著に表れとると思う。すべての地域で、大新聞の方が、必ずしも他よりチラシの量が多いとは限らんからな。

基本的に、その地域でシェアがトップであれば、たいてい折り込みチラシの量が一番多いのは確かやけどな。おそらく、あんたが購読しとる新聞は、その地域で一番人気があるはずや。

そのええ例が、ワシらの東海や。ここでは、業界発行部数4位のブロック紙、C新聞が圧倒的なシェアを誇って実に全体の8割前後を占めとると言われとるほどや。それに比例して、折り込みチラシの量も他を圧倒しとる。

残りを業界2位のA紙が1割、業界1位のY紙がそれに続き、M紙、S紙に至っては、かなり影が薄く劣勢という現実がある。

折り込みチラシを入れる業者は、当然やが、それをすることで宣伝効果を狙う。宣伝効果を狙うには客の多い新聞が有利やという理屈になる。勢い、折り込みチラシを入れる業者は、シェアの多い新聞に集中する。

せやから、ここでは日本一の購読者数を誇るY紙といえども、折り込みチラシを入れる業者からすれば、その他の新聞の中の一つという扱いでしかないわけや。当然、折り込みチラシも極端に少ないということになる。

ただ、これは、せやから仕方のないという類のものやないと思う。ワシから言わせれば、その地域の販売店にも問題はあるということになるさかいな。

折り込みチラシの入りが悪いと購読数の伸びにも影響する。あんたの奥さんが『チラシの量が少なくなるから困る』と言うように、そのチラシの量により購読紙を決めるという読者が多いのも事実やからな。

そうであるなら、その折り込みチラシを増やせば読者を増やすことが可能という理屈になる。しかし、その努力を多くの販売店で放棄しとるように思えてならん。

折り込みチラシを良く入れる業者は簡単に分かる。この地域なら朝、そのC新聞を販売店に実際に買いに行ってそれを見て調べれば一目瞭然や。

ただ、それが分かって、その業者に折り込みチラシを入れて貰えるよう営業に行っても、つれない態度の所が多いのも事実や。歯牙にもかけて貰えんというケースが大半やろうと思う。

「おたくの新聞に入れても部数が少ないから、宣伝効果が期待できないでしょう」と言われると、それであきらめてしまうことが多いようや。また、販売店自ら、そう言われるものと考えて営業することに二の足を踏むケースも目立つ。

それにもめげず営業する者は「当店では、今回に限り1枚3円のところ2円で結構ですから」と言うことが多いと聞く。

こういう営業は、勧誘員が購読客に「サービスして安うしまっせ」と言うてるのと同じや。それで、効果があるのやったら購読部数は、とっくに逆転しとるはずやが、実際にはそうはなってない。

因みに、折り込みチラシはその大きさにもよるが、1枚入れる毎に平均3円程度というのが一般的な価格や。公売1万部の店なら1回のチラシ代が3万円ということになる。

宣伝費としては手頃や。せやからこそ、未だにそれを利用する業者が多いわけやけどな。

新聞代にしろ、チラシ代にしろ値段の高い安い、あるいはサービスの多寡で左右される者も確かにおるが、それで左右されん人間もいとるということを認識せなあかん。

この東海の場合、C紙が圧倒的シェアを誇るというのは、企業努力というものもあるやろうが、それ以上に地元紙というのがその理由として強いと思う。

地元をひいきにするという人間の心理には、根深いものがある。原始時代の仲間意識にまで遡ることや。DNAに、それが深く刷り込まれとると言うてもええ。

大都市では、そういう感覚も希薄になってきとるとはいえ、まだまだ島国ニッポンではその構図が根強い。このC紙に限らず、大新聞と呼ばれる全国紙を凌駕しとる地方紙もかなりな数、存在することでもそれが分かる。

しかし、せやからと言うて最初からあきらめるというのでは、新聞販売店としては、あまりにも情けないと思う。

折り込みチラシを増やすことが、購読者増に直接つながる可能性があるのなら、尚更、それに力を入れるべきやないやろか。

当メルマガ『第99回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞を売るということ』の中で、柳田(仮名)というY紙の販売店経営者が、この東海での不利な状況にも関わらず、その地域のC新聞販売店に匹敵するまでに成長させたたという話をしたことがある。

この柳田の成功は、確かに個人的な努力もあるが、このチラシ営業に力を入れたからということも事実や。自慢話のようで気恥ずかしいが、その一役をワシも担うてた。

一般的な販売店の経営者は、ワシら拡張員に、チラシを増やせということはあまり言わんし、要請もせん。

あくまでもカード(契約)を上げて来いと言うだけや。拡張員はそのためだけの存在やと思うとる所が圧倒的に多い。

もちろん、それを否定するつもりはないが、ワシらは営業力を売りものにしとるわけやから、どんなものでも営業することはできるし、その自信もある。ただ、頼まれもせんのに、自ら進んですることはないがな。

ところが、この柳田は、ワシに折り込みチラシ業者を説得して、チラシを増やしてほしいと依頼してきた。もちろん、それなりの報酬も払うということでな。

ワシも、そうすることの重要性は誰よりも熟知しとるつもりやから、二つ返事で引き受けた。

この地域での折り込みチラシの営業が難しいのは確かやが、それでも、しっかりしたトークをすれば、増やすことはそれほど難しいことやないというのが、ワシの持論や。

これは、あんたの質問の核心でもあることやが、何故シェアの多い新聞だけにチラシを企業が入れたがるのかということから考えなあかんと思う。

「より多くの客に行き渡るから」という答えが、たいていの業者から返ってくる。あるいは「経費節減を考えたら、部数の少ない新聞へのチラシをカットするのは当たり前や」と言うのも多い。

その場合、ワシは、こう切り返す。

「確かにC新聞にチラシを入れられれば8割のお客にはそのチラシが配られることになりますが、それではこの地域の残り2割のお客さんを切り捨てることになるのですよ」

「その2割のお客さんが、どうして、お宅のその商品を買わないと言い切れるのですか?そのチラシを見なかったら、その2割のお客は、その商品が分からないわけですから、絶対に売れませんよ」

これは、結構、インパクトの強いトークになる。

さらに「そういう畏れがあるからこそ、この辺りのスーパーマーケットでは、すべての新聞に折り込みチラシを入れているわけですよ」とたたみかける。

実際、スーパーマーケットとか量販店、百貨店のような所は、それが分かっているためか、ほとんどの地域で新聞に折り込みチラシを入れとるはずや。

あんたの奥さんがほしいというチラシがそれやと言うのなら、他のシェアの低いと目されとる新聞であっても問題はないということになる。

せやから、ワシらも「奥さん、スーパーや量販店のチラシはどこの新聞でも入れるはずですから、それを重視されるのでしたら同じですよ」というトークを良う使うて説得しとるわけや。

チラシが少ないという理由だけで他紙を読まれることに躊躇されるのなら、一度、奥さんにそう言うて説得されてはどうかな。ただ、チラシの全体量が少ないのは確かやから、いくらそう説明されても、感覚的には信じ難いかも知れんがな。

話を業者への営業トークに戻す。それでもまだ難色を示す企業へは、さらに押す必要がある。

「しかも、うちのように、お宅のチラシを常には入れていなければ、お宅の会社、ひいては商品についても馴染みが少ないということになります」

「例え2割とはいえ、軒数にすれば数千軒(状況により数万軒、あるいは数百軒と言い換えるのも可)ということになります。これを最初から除外するのは、お宅のような会社では大きな損失になるのではないでしょうか」

「確かにC新聞さんには、多くのお客さんがおられます。他の会社からのチラシもたくさん入っています。しかし、だからこそ不利だということが分かりませんか。お宅のチラシは、たくさんある中の1枚に過ぎないわけですよ」

「ところが、うちだとチラシが少ない分、C新聞さんに入れるよりかは確実に目立ちますから、より効果的だと思います。それを考えれば、どちらがお得か、お分かりになるでしょう?」

こう説けば、たいていの企業は、なるほどなとなる。

加えて「チラシ代は1枚入れていくらですから、当店はC新聞に比べて部数が少ない分、安いわけです。地域に根ざした宣伝をされるのなら、すべての人に行き渡らせる意味でも、ぜひ当店にもそのチラシをお願いします」と説くわけや。

それで、説得できそうやとなって初めて「今回に限り特別にサービス料金にしますので」と持ちかければ「そうやな。それなら一度、試してみようか」となる可能性が高くなる。

もっとも、この通り言うたからというて、すべての業者で上手くいくかどうかは保証できんが可能性としてはあるということや。

実際、このときは、このトークでかなりの業者から折り込みチラシの契約を取ることができたからな。

ただ、営業は、同じトークを使うても人により違うということがままある。こればかりは、実際に経験を踏んでその機微を会得するしかないと思う。駆け引きに関することは言うて教えられることでもないさかいな。

いずれにしても、そういう営業ができんから、勢いチラシの量も減ってきて、よけいC新聞との差がつくだけのことになるのやと思う。その差を埋める努力をしてへんのやからな。

あんたの質問の結論としては、新聞の銘柄に関係なく、シェアの多い販売店ほど折り込みチラシの量が多く、少ない所は、それを増やす努力に欠ける販売店ということになる。

ただ、スーパーや量販店などの一般の主婦が必要とする折り込みチラシは、どこの新聞でも入っとると思うてまず間違いない。イメージ的に、それが、どこまで信じられるかということはあるがな。


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