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NO.374 新聞の契約は法的拘束力がないのでしょうか?


投稿者 Cさん 新聞販売店従業員 投稿日時 2007.2.23 AM 9:54  


新聞屋で働いてます。いろんなトラブルが発生して、その度に苦労しています。

A紙の契約が2年あるのに奥さんと別居する事になるかもしれないとの事で、新聞を取れる状況ではないと言われ、止めたのに翌日からY紙が入り出しています。

お客さんにY紙をA紙の後にしてほしいといったらA紙は購読中にサービスをくれないからだめだとか言われ、基本的に購読中はお客さんから言われない限り、サービスは特にしていません、

言ってくれたら洗剤でも上げられたのに、と言ったらそんな説明もなかった、だから、辞めたと言って勝手に電話を切られました。

その後、警察から電話が来て「お客さんから電話が止めるように連絡が来たんだろう、止めてよ、頼みますよ、今度その客にはかかわらないでよ」と言います。

一連のいきさつは全部説明したのに、警察はお互いの事を判ろうともせず、一方的に止めろ、かかわらないでよと脅迫気味の電話でした。

その後、10分後位に違う警察の人が来て同じ事を説明して上げました。

「どうなんですかね?警察の方はどう思います?」と聞いたら「いやなんとも言えないですね。そこのところはモラルの問題でしょうね?」言って帰ってしまいました。

とても悔しい思いをしました。新聞の契約は法的拘束力がないのでしょうか?


回答者 ゲン


『新聞の契約は法的拘束力がないのでしょうか?』ということやけど、契約である限り、拘束力があるのは当然や。正しい書式に則った契約は法律で保護される。

契約の成立条項として、民法第521条に『承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回することができない』とある。新聞購読契約は、正に、これに該当する。

一部に「新聞の契約なんか何の拘束力もない」と言う者もおるが、そんなことは絶対にないと断言する。

その拘束力があるからこそ、消費者保護のためのクーリング・オフという制度も生まれたわけや。契約日から、8日間は一方的に契約者から解約を通告できるというものや。

裏を返せば、それを過ぎると一方的な解約はできんということになる。

『A紙の契約が2年あるのに奥さんと別居する事になるかもしれないとの事で、新聞を取れる状況ではない』というのは、自己事由による解約希望ということになる。

この場合は、販売店との話し合いによる合意が必要になる。

すべての販売店が、そうやというわけやないが、その合意は、通常、ペナルティとしての解約違約金を支払ってというのが一般的や。

ただ、今回のケースは、あんたの所で、その客の進言を認めて配達を中止したということやから、その時点で、この契約は解除になったと考えられる。

あんたにしてみれば、その契約者は『奥さんと別居する事になるかもしれない』ということで止めたのに、それが嘘やったという理由で、急遽『お客さんにY紙をA紙の後にしてほしい』と伝えたようやが、残念ながら、それは遅すぎると思う。

あんたにしたら、嵌められたという思いかも知れんが『奥さんと別居する事になるかもしれない』という不確定な言動によるものやから、それが嘘やとか嵌めたと主張するのには弱いと考えられる。気持ちは分かるがな。

契約というのは、双方がそれを守らなあかんものや。購読者は、契約期間はその購読料を支払う義務を負い、販売店は、その間の新聞を遅滞なく配るという義務を負うというのが大原則ということになる。

今回、事情はどうあれ、一旦、その客との契約解除に同意して、その配達を1日でも止めたということやから、その時点で、販売店は義務を放棄したということになり、契約が終了したとみなされても仕方ないということになる。

しかも、このことは、第三者、この場合、警察官にもその事実を知られとるということのようやから、今更、前言撤回も難しいやろうと考える。

契約解除後の異議が認められんというのは、多くの判例がそれを実証しとる。せやから、この件の契約解除に関してはあきらめるしかないということになると思う。

しかし、それと、警察官の言動とは別のものや。

『その後、警察から電話が来て「お客さんから電話が止めるように連絡が来たんだろう、止めてよ、頼みますよ、今度その客にはかかわらないでよ」と言います』というのは、俄には信じられん話やが、事実なら、絶対にあってはならんことやと思う。

警察には、民事不介入の原則というのがあると聞く。

これは、民事紛争については当事者同士で解決することが望ましいという理由で、警察が民事紛争には積極的に介入しないということになっとる。

あんたの話通りの内容やと、あくまでも契約のもつれということになる。これは、立派な民事紛争や。警察の関与する話やない。

『止めてよ、頼みますよ』というのは、どう聞いても、契約の解除を示唆しとるという風にしか受けとれんから、この警官の行為はあきらかに行き過ぎで、介入しとると思われる。

但し、紛争がエスカレートして脅迫、恐喝など刑事事件にまでになると民事不介入の原則は及ばないというのも確かにある。

つまり、あんたが、脅迫めいた言動をしたということで、その契約者が怖くなって警察に相談したというのなら、ぎりぎり、その警察官は、犯罪を未然に防ぐための注意をしたと言えるから、民事不介入の原則は及ばんということになる。

おそらく、あんたは、不本意なことをされたため、多少、興奮していたか怒り気味やったせいで言うた言葉が、その契約者に、そう受け取られたのかも知れんな。

しかし、それやったら、その警察官は、真っ先に「脅しは罪になるで」というくらいのことを言うはずやから、それがないというのも妙な話やわな。

後から来た別の警察官というのが「いやなんとも言えないですね。そこのところはモラルの問題でしょうね?」という意味不明な逃げを打っとるということからすると、その警察官も仲間の警察官に対して『つまらんことを言うてくれたな』と考えてたのかも知れんな。

あんたが、脅しなどの暴言を吐いてないという自信があるのなら、民事に介入したということで、その警察官を追求するという手もある。

具体的には、新聞本社にこのことを言うて、抗議を要請することや。『とても悔しい思いをしました』ということなら、そうするしかない。

但し、その場合は、あんたが脅迫したという反論を100%否定できるものを示さんことには、新聞社も動かんやろうと思う。

今回は、悔しいやろうが、あきらめた方が無難やろうな。このまま、もめても好転するとは思えん。

但し、これを教訓として、次回に備えるようにしとくことは必要や。

今度、こういう事案が発生した場合、取りあえず「自己事由での解約はできません」と顧客には通告しとくことや。

その後で、ゆっくりと話し合いの場を持って、相手を確かめた上で、今回のように何もなしの解約に応じるか、違約金を要求するかは、そちらの販売店で決めたらええことやと思う。

もちろん、おだやかな対応を心がけ、あくまでも民事の契約紛争という風に持って行くことや。もめ事は、激高した方が負けやと思うてた方がええくらいやさかいな。

今回、横やりを入れたと思われる警察官は、あまり賢い人間やなさそうやから、また、同じような電話をしてくる可能性もある。そのときの反撃に備えるわけや。

あんたの方で、契約解除していないのに、また、同じように契約解除を要求してきたら、こんどは、はっきりと民事不介入の原則を破ったと新聞社に抗議してもろうたらええ。

もっとも、その警察官が電話をしてきたときに「契約のもめ事は民事ですよね。あなたのしていることは、警察の民事不介入の原則に反しているのではありませんか」と言うのもええ。

それで、気がつく警察官なら、二度とそういうのはないやろうし、気がつかん人間なら勝手に墓穴を掘るはずやから、逆手に取ればええ。

今回の警察官の対応は、独断でしたことやと思う。その契約者と個人的な知り合いだったか、知り合いに頼まれ、安請け合いしたのやないかという気がする。

普通、警察官が、こんな相談程度で動くというのは考え辛いからな。こんなことで動いたとしても、上司から「民事に介入するな」と言われるのがオチやと思う。

知り合いの警察官に聞いても、こんなことは勤務評価に何のプラスにもならんと言うてたしな。

最後に苦言になるかも知れんが、聞く耳があれば聞いてほしいと思う。

『購読中にサービスをくれないからだめだとか言われ、基本的に購読中はお客さんから言われない限り、サービスは特にしていません』という姿勢がある限り、これに近いトラブルがまた起きる可能性はある。

その相手の勧誘員も、正にその点を衝いて契約したのやろうと思う。正直言うて、ワシも、そういう攻め方をして勧誘することがあるからな。

この業界は長期購読者ほどサービス品が少ないという傾向にある。そして、この客のように、長年何も貰ってないことで不満に思う客も結構いとるのも事実や。

あんたは『言ってくれたら洗剤でも上げられたのに』と言うたとのことやが、たいていの客は、わざわざ言うてまで貰う気はないと考えとるもんや。

これは、言い方を変えれば「ほしいのやったら、景品くらいやるがな」と言われとるのと同じなわけや。言われな何もないのやったら、もうええとなる客はいとるからな。

それでも、普段から、客とのコミュニケーションを取っているのなら、そういうことも少ないかも知れんが、疎遠気味やとそうなることもあるということや。

もっとも、そのサービスをするべきやとは、ワシの口から言えん。それは、あくまでも、販売店で考えることやからな。


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